伯爵令嬢に生まれ変わった元騎士は憧れの人に恩返しをしたい

羽山コウリ

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ウサギの伝言

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ここは?

真っ白な空間にひとり

ミュリエルは立っていた


「神とか夢じゃない、これは初めてのパターンかも」

何もないと思ったら、何か動いた

真っ白い空間で真っ白いものが動いている  

目で追うとそれは動物のようだ

まるで捕まえてみなよ

とでもいうようなその動き

ミュリエルは座り込み
パタリと背中を地面につけた

「上も白い」

これ
もしかして、死んじゃった?

今回は最後にウルドを見た気がする

抱きしめられたような?

記憶は曖昧だ

目を閉じて、記憶を呼び起こす

確か、黒い竜の頭を治してあげようとしたらすごい魔力を持っていかれたのは覚えている

考えていると人の声がした

「おい、無視するなんてひどいよ」

パチっと目を開くと

それはミュリエルを覗きこんでプンプン怒り人語を喋るウサギであった

「わぁ、ウサギ喋ってる」

初めて見た喋るウサギ

白いウサギは、小さな前足で、ミュリエルの額をパシパシ叩く

ダメージはない。
そんな可愛らしい手?足?で
叩かれても痛くはない

「かわいい」

「かわいいウサギが逃げてるのに放置ってなに?追いかけてきなさいよ」

人語を話すウサギはミュリエルに追いかけてきて欲しがったようだ

「ごめんね、気がつかなくて」

ミュリエルは上半身を起こすと、素早くウサギを捕まえて腕に抱いた

だいたい小動物は追いかけたら逃げるし、気にせず興味のないふりをして、ほったらかしていたら寄ってくる。

アレンだったころ、狩りで見つけた鳥やウサギ、近所の野良猫がそうだった

ミュリエルに捕まったウサギは狼狽える

「気のないふりして誘き寄せたのか」

「まさか、そんな事しません」
ミュリエルはニコニコと笑いウサギを撫でる

白い毛並みフワフワで。ピンク色の鼻
耳、赤い瞳

「あーかわいい」

撫でる事に足りず、ミュリエルはぐりぐりと頬をこすりつけた

「や、やめろ!
ほんとうにお前がジアの言っていた光の神子なのか?」

「なにそれ?」

ペシっとウサギの前足がミュリエルの鼻にヒットした
渾身の力を込めたウサギの一撃に驚き、うっかり手を離してしまう

ミュリエルの手から逃れたウサギは
さっと後ろに飛び去りミュリエルと距離を取った

「いいか、よくきけ」

「?」

「お前は眠っていて、もうすぐ目が覚める」

やはり夢だったか、、


「はい」

「目が覚めたら、ジアに伝えてほしい」

「ジア?誰かわからない」

「白い髪の魔女だ」

「!」

「あの子はもうすぐ死んでしまう、けれどジアのせいではない。家の裏庭にあるセレンの木の下を掘って」

ウサギがそう言ったら
白い空間が黒く変わった

白いウサギの体も黒く染まっていく
 
「ウサギさん!」

手を伸ばしてウサギをつかもうとしたが

ウサギは真っ黒になり、黒い闇に消えた

白い空間が一変し、真っ黒になり

ミュリエルは辺りを見回した

真っ暗な中に、黒い何かが周りを取り囲んでいる気配がする

姿は認識できないか、少しずつ近づいてくる

それから逃げるように走り

一点の光を見つけた

「出口?」

魔法で灯りを作ろうとしたが
発動しない

「いい!見えないほうがいいってことよね!」

後ろから追ってくるものがなんなのか

気になる
けど追いつかれてはいけないってこともわかる

やっと光に辿り着き手を伸ばした

ガシっ!

と何かを掴んだ瞬間
ミュリエルは目を開く

手には少しゴワっとフワっとした手触り

「?」

「目が覚めたか」

あまりに近く、一瞬わからなかったが目の前にはライアンの顔があった

「朝になったから様子を見に来たが、急に頭を掴まれたから驚いたぞ」

少し顔を赤くしたライアンはミュリエルを上から覗ききむように見ていた

ミュリエルの上に落ちないよう、テントの少し柔らかい床にミュリエルの顔をはさむように両手をついている

「わ!ごめんなさい!寝ぼけて?たみたい!」

ミュリエルはサッとライアンの髪から手を離す

「よかった、元気になったみたいだな朝食はとれそうか?」

「うん」

ライアンも両手を離して立ち上がると
テントをでていく

「ロージー医師を呼んでくるよ」


ゆっくり体を起こす
(ロージーがきてくれたのね)

まだ3日も経ってないと思うけど、ウルドが呼んだのかな?

テントの隙間から朝日が眩しい

コロコロと胸元からロージーの魔石が転がった

「やっぱり、魔力切れか」

拾った魔石はすでに空っぽだ

ミュリエルはそれを空間魔法の陣に入れるとテントから出た
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