138 / 208
パラサイト
7番目のつき
しおりを挟む
北城が打ち込みを始めている横で、私はその金の価値のある1ドル札を見つめていた。
なんで、ノストラダムスの詩を使ったのだろう?
私は怪しげな詩の1節を眺めながらぼんやりと考えていた。
確かに、ノストラダムスの予言は1970年代に流行したが、万博の頃より後だった気がする。
なぜ、1970年のカードにこんなものを挟んだのだろうか?
書かれた文字を見ながら、私はある事に気がついてギョッとした。
7番目の月…
LuneになってるじゃないかっΣ( ̄□ ̄)!
ここで、私は自分の壮大な勘違いに気がついた。
そう、フランス語では、
一ヶ月など、ときをあらわす場合の月は、mois
惑星をあらわす場合はluneだ。
お札にはluneの方で書いてある。
これだと意味が全く変わってくるのだ。
「北城!お前、これ、惑星の月じゃないか。それだと、ノストラダムスの予言は関係ないぞ、この詩の意味はっ、」
私は北城に叫んだ。が、その時には既に、北城はパスワードを打ち込み、エンターを押していた。
「それがどうした?確か、私は読み聞かせたはずだぞ。」
北城は、私をにらんだ。
睨まれて、思い起こす。
確かに、読んでいた。フランス語で読んでくれていたよ………。
「そうだったな、悪かったよ。」
私は不服だったが謝った。
あんな、キザな読み方でペラベラッとボヤかれても、普通の日本人は分からないと、言ったところでしたかない。
「で、何か出てきたのか?」
私は話題を変えたくて聞いてみた。
1970年から、7番目の月…それは、多分、今年の話だと思う。1970年に尊徳先生が貰ったショクダイオオコンニャクの7番目の開花の月……。
「トリノの聖ヨハネ大聖堂の写真だ。」
北城の言葉に、私はゾクリとした。
月が…惑星をあらわすとしたら……聖ヨハネには別の意味がかかってくるからだ。
私は閉じられていた温室のモニターを開いた。
そこには、身の毛もよだつような美しさで、ショクダイオオコンニャクが、咲き誇っていた。
そして、その後ろでは、ガラスの壁が部屋の明かりを反射しながらゆらゆらと揺れていた。
揺れる?
その不自然な動きが気になる。
そして、次の瞬間、それが複数の虫の集まりであることに気がついた。
花の香りに誘われたのだろうか?
さすがにモニター越しではわからなかったが、虫の特定の前に、揺れるガラスの壁に虫で作られた人の顔を見た。
それは、年配の髭を蓄えた男性で、聖骸布を思い起こさせた。
「聖ヨハネの意味がわかったよ……。北城、今日は大潮だ…そして、明日は夏至になる。
聖ヨハネの日は、6月24日だが、これは夏至祭りの意味合いもある。」
私は立ち上がり、外に出掛ける準備を始めた。
そして、長山に電話をする。
大量の虫の発生を知らせなければいけない。
そして、場合によっては駆除をしなくてはいけないだろう。
7年前、雅苗さんはこの光景を見たのだろうか?
なんで、ノストラダムスの詩を使ったのだろう?
私は怪しげな詩の1節を眺めながらぼんやりと考えていた。
確かに、ノストラダムスの予言は1970年代に流行したが、万博の頃より後だった気がする。
なぜ、1970年のカードにこんなものを挟んだのだろうか?
書かれた文字を見ながら、私はある事に気がついてギョッとした。
7番目の月…
LuneになってるじゃないかっΣ( ̄□ ̄)!
ここで、私は自分の壮大な勘違いに気がついた。
そう、フランス語では、
一ヶ月など、ときをあらわす場合の月は、mois
惑星をあらわす場合はluneだ。
お札にはluneの方で書いてある。
これだと意味が全く変わってくるのだ。
「北城!お前、これ、惑星の月じゃないか。それだと、ノストラダムスの予言は関係ないぞ、この詩の意味はっ、」
私は北城に叫んだ。が、その時には既に、北城はパスワードを打ち込み、エンターを押していた。
「それがどうした?確か、私は読み聞かせたはずだぞ。」
北城は、私をにらんだ。
睨まれて、思い起こす。
確かに、読んでいた。フランス語で読んでくれていたよ………。
「そうだったな、悪かったよ。」
私は不服だったが謝った。
あんな、キザな読み方でペラベラッとボヤかれても、普通の日本人は分からないと、言ったところでしたかない。
「で、何か出てきたのか?」
私は話題を変えたくて聞いてみた。
1970年から、7番目の月…それは、多分、今年の話だと思う。1970年に尊徳先生が貰ったショクダイオオコンニャクの7番目の開花の月……。
「トリノの聖ヨハネ大聖堂の写真だ。」
北城の言葉に、私はゾクリとした。
月が…惑星をあらわすとしたら……聖ヨハネには別の意味がかかってくるからだ。
私は閉じられていた温室のモニターを開いた。
そこには、身の毛もよだつような美しさで、ショクダイオオコンニャクが、咲き誇っていた。
そして、その後ろでは、ガラスの壁が部屋の明かりを反射しながらゆらゆらと揺れていた。
揺れる?
その不自然な動きが気になる。
そして、次の瞬間、それが複数の虫の集まりであることに気がついた。
花の香りに誘われたのだろうか?
さすがにモニター越しではわからなかったが、虫の特定の前に、揺れるガラスの壁に虫で作られた人の顔を見た。
それは、年配の髭を蓄えた男性で、聖骸布を思い起こさせた。
「聖ヨハネの意味がわかったよ……。北城、今日は大潮だ…そして、明日は夏至になる。
聖ヨハネの日は、6月24日だが、これは夏至祭りの意味合いもある。」
私は立ち上がり、外に出掛ける準備を始めた。
そして、長山に電話をする。
大量の虫の発生を知らせなければいけない。
そして、場合によっては駆除をしなくてはいけないだろう。
7年前、雅苗さんはこの光景を見たのだろうか?
0
あなたにおすすめの小説
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/27:『ことしのえと』の章を追加。2026/1/3の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/26:『はつゆめ』の章を追加。2026/1/2の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/25:『がんじつのおおあめ』の章を追加。2026/1/1の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/24:『おおみそか』の章を追加。2025/12/31の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/23:『みこし』の章を追加。2025/12/30の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/22:『かれんだー』の章を追加。2025/12/29の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/21:『おつきさまがみている』の章を追加。2025/12/28の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる