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パラサイト
蝉
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「そう…蝉ですわ。」
頭の中の雅苗が私に語りかける。
さっきまでの、妄想の男の手記を7年前、雅苗は屋敷で見つけていた。
太田務と尊行には、接点があった。
それは、文学と日本人のルーツを探る秘密クラブのようなものだった。
避暑地でもある、この屋敷には夏に学者や知識人が集まって、色々な議論を飛ばしていた。
それらは、同人誌としてまとめられ、この屋敷に保存されていた。
ミイラと昆虫についての論文で、あの男は一度、同人誌の表紙を飾っていた。
2012年、失意の雅苗が目にしたシケイダ3301の画像が、その表紙を思い出させたのだ。
羽を広げて飛び立つ蝉…
それは、偶然なのか、何者かの思惑なのかはわからない。
しかし、私には、2018年、昨年辺りから、また、エジプトで新しいミイラの発見があった事がそら寒く感じていた。
ミイラが、未知のウイルスのタイムカプセルだとしたら…
それは、発掘からまた、人を呼び込むことになるのだろう。
19世紀、イギリスでは、発掘されたミイラは燃料として燃やされたりもしたようだ。
つまり、飛沫や粉塵、燃えかすとして、3000年昔のウイルスが拡散した可能性もあるわけだ。
19世紀…それは、人の移動距離が爆発的に伸び、物資も大量に移動した年なのだ。
それは、新たな資源をもたらすものであり、
未知の感染症を撒き散らす行為でもあった。
この時代、コロリと呼ばれ、恐れられたコレラが流行し、日本でも沢山の人間が亡くなった。
「変化のスイッチは、環境に委ねられているわ。
砂漠バッタが、急に遠征を始めるように、
私達も、それに従うだけ。
昔、私達が眠りに落ちる前にも、暑い火が続いたわ。
草や木や虫が消えて、町が海に沈んだわ。
生き延びるためには…カスタマイズが必要になったのよ。
だから、私達は必要な遺伝情報(ソフト)を持つ仲間を探さなきゃいけなくなったのよ。」
草柳レイは、そう言って私に微笑みかけた。
私は、その笑顔に…近代に続く人類の文明の進化が、彼らの欲望によるものではないかと、そんな漫画チックな恐怖に背筋を凍らせていた。
頭の中の雅苗が私に語りかける。
さっきまでの、妄想の男の手記を7年前、雅苗は屋敷で見つけていた。
太田務と尊行には、接点があった。
それは、文学と日本人のルーツを探る秘密クラブのようなものだった。
避暑地でもある、この屋敷には夏に学者や知識人が集まって、色々な議論を飛ばしていた。
それらは、同人誌としてまとめられ、この屋敷に保存されていた。
ミイラと昆虫についての論文で、あの男は一度、同人誌の表紙を飾っていた。
2012年、失意の雅苗が目にしたシケイダ3301の画像が、その表紙を思い出させたのだ。
羽を広げて飛び立つ蝉…
それは、偶然なのか、何者かの思惑なのかはわからない。
しかし、私には、2018年、昨年辺りから、また、エジプトで新しいミイラの発見があった事がそら寒く感じていた。
ミイラが、未知のウイルスのタイムカプセルだとしたら…
それは、発掘からまた、人を呼び込むことになるのだろう。
19世紀、イギリスでは、発掘されたミイラは燃料として燃やされたりもしたようだ。
つまり、飛沫や粉塵、燃えかすとして、3000年昔のウイルスが拡散した可能性もあるわけだ。
19世紀…それは、人の移動距離が爆発的に伸び、物資も大量に移動した年なのだ。
それは、新たな資源をもたらすものであり、
未知の感染症を撒き散らす行為でもあった。
この時代、コロリと呼ばれ、恐れられたコレラが流行し、日本でも沢山の人間が亡くなった。
「変化のスイッチは、環境に委ねられているわ。
砂漠バッタが、急に遠征を始めるように、
私達も、それに従うだけ。
昔、私達が眠りに落ちる前にも、暑い火が続いたわ。
草や木や虫が消えて、町が海に沈んだわ。
生き延びるためには…カスタマイズが必要になったのよ。
だから、私達は必要な遺伝情報(ソフト)を持つ仲間を探さなきゃいけなくなったのよ。」
草柳レイは、そう言って私に微笑みかけた。
私は、その笑顔に…近代に続く人類の文明の進化が、彼らの欲望によるものではないかと、そんな漫画チックな恐怖に背筋を凍らせていた。
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