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パラサイト
記憶
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「私は引きこもりではないわ。」
レイは憎々しそうに北川を見た。
が、北川は気にせずにレイに向かって歩いて行く。
私は深夜の睡魔との戦いに辛うじて勝利した。
と、言うか、臭くて寝てられない…が、正解だと思う。
「確かに、こうして、甲虫として遺伝情報を揃えるには、時間がかかったろうね。
目覚めてから、人の意識を覚醒し、一気に近代化へと導くところは、感動すら覚えるよ。」
北川がレイに近づく…
殴ったりはしないんだろうな…(-_-;)
私はダルい体をなんとか中腰まで持ち上げた。
五十代(このとし)で、深夜のタックルとか…自分の体の方が心配だが仕方ない。
あと、この二人が幻覚の可能性もあるが、今は考えない。
レイは、2人の男を前に怯むことは無かった。
それどころか、上品に微笑んで北川を挑発する。
「ありがとう。そう、私は人の脳に寄生する。
そして、知識の流れを操れる。」
「ああ…シュメールを滅ぼし、エジプト、ローマの文明を閉ざした。」
北川の言葉に、レイはため息をついて言い訳をする。
「仕方ないわ。ここの生物は滅びたがるのだから。
でも、私は地球と滅びるなんて真っ平なのよ。
火星を目指すわ。
そして、更に遠くに…
その為には、ここで絶滅させるわけにはいかないの。
だから、なんどもリセットが必要になったわ。
あともう少しなのに…
うまく行かないものね。」
草柳レイは、目に見えない何かを見つめながら、独り言のように呟いた。
それは、三千年で集めた遺伝情報を精査しているように私には見えた。
濃密に集まるウイルスを吸い込みながら、私もまた、知らない世界を見つめていた。
まるで、パソコンのインストールのように、一瞬で大量の情報がうごきだしている。
私は眩しい光に包まれた感覚で動けなかった。
鼻血をたらし、涙を流しながら、口で説明できないすごい情報が、巨大な蛇のように空を泳ぐのを見つめていた。
それは、長い人類の営みのなかで、親から子へとウイルスと共に受け継がれた記憶。
日頃は、それらの記憶は思い出せないように回路は繋がれない。
まあ…こんな記憶…思い出していたら、生きて行けないと、言うのもあるのだろうが。
我々は、何度か大気圏外を目指していた…
昔は月…
しかし、その行為は、様々な問題を引き起こした。
人は、寄生虫が思うままに動かすには強欲で、複雑だった。
そして、知識を手にすると、社会が機能停止に陥るまで破滅の道を突き進むのだ。
レイは憎々しそうに北川を見た。
が、北川は気にせずにレイに向かって歩いて行く。
私は深夜の睡魔との戦いに辛うじて勝利した。
と、言うか、臭くて寝てられない…が、正解だと思う。
「確かに、こうして、甲虫として遺伝情報を揃えるには、時間がかかったろうね。
目覚めてから、人の意識を覚醒し、一気に近代化へと導くところは、感動すら覚えるよ。」
北川がレイに近づく…
殴ったりはしないんだろうな…(-_-;)
私はダルい体をなんとか中腰まで持ち上げた。
五十代(このとし)で、深夜のタックルとか…自分の体の方が心配だが仕方ない。
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「ありがとう。そう、私は人の脳に寄生する。
そして、知識の流れを操れる。」
「ああ…シュメールを滅ぼし、エジプト、ローマの文明を閉ざした。」
北川の言葉に、レイはため息をついて言い訳をする。
「仕方ないわ。ここの生物は滅びたがるのだから。
でも、私は地球と滅びるなんて真っ平なのよ。
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そして、更に遠くに…
その為には、ここで絶滅させるわけにはいかないの。
だから、なんどもリセットが必要になったわ。
あともう少しなのに…
うまく行かないものね。」
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それは、三千年で集めた遺伝情報を精査しているように私には見えた。
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まるで、パソコンのインストールのように、一瞬で大量の情報がうごきだしている。
私は眩しい光に包まれた感覚で動けなかった。
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しかし、その行為は、様々な問題を引き起こした。
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