27 / 39
貧乏神と私
旅行プラン
しおりを挟む
ある日、お大臣が国民皆に10万円あげるから、使って経済を回しなさい。
そんなおとぎ話のような政策で、お金が降ってきても、私と剛が名古屋に行くためには、大きなハードルがまだあった。
そう、剛は男。私は女。
年を取っても、家族が出来れば、男の混ざった泊まりの旅行にいくには、色々と説明がいる。
ここでは、饒舌に語れる私も、夫の前で剛に対する気持ちを上手く伝えるのは、とても難しかった。
お金もないし、温泉とかに泊まりは無理だなぁ(´-`).。oO
昭和の2時間ドラマのように、沢山のご馳走に囲まれる旅行は無理だ。
それこそ、大賞でも受賞しない限り…
しかし、剛の名古屋の夢にそんなご馳走は無かった。
むしろ、モーニングを食べに行くには、ホテルの朝食バイキングは邪魔になる。
貧乏神に愛された剛は、貧乏の魅力を見せる事にも無意識にたけていた。
剛は、喫茶店で皆で集まるたびにこんな夢を語った。
「モーニング。まずはこれを食べてね、
名古屋でビルジングを見るんだ♪
名古屋城?城は興味ないから見なくて良い。」
名古屋城をどうでも良い扱いをされて、私と萩原さんは、名古屋城の魅力を剛に口々に伝えたが、剛には、金のシャチホコよりも、名古屋のビルジングを見る方が楽しいらしかった。
「ビルジングなんて見て、何が楽しいの?」
と、萩原さんに聞かれると、剛は悠々とこう答えた。「名前が良い。」
はぁ?(°Д°)
ポカンとする我々に、剛は動じることもなく、ゆったりとコーヒーを飲んで笑った。
「(--;)い、良いんじゃないな…
複合ビルには、飲食店が沢山入っているから。」
スマホを検索しながら萩原さんは言った。
「宿泊は、どうするの?お金が無いからって、野宿なんてダメだからね。
マンガ喫茶に泊まるなら…私も、付き合わないわけではないけど。」
私は、昔から、マンガ喫茶に宿泊して、思う存分本を読んでみたいと考えていた。
が、マンガ喫茶に宿泊なんて、年を取ると、そうそう出来るものではない。
それに、一人で泊まるのは、少し怖い。
剛に便乗して、その夢を叶えるのも…悪くない気がした。が、剛が、それを否定した。
「マンガ喫茶…そんなところ高いよ…寝れないし。
寝るだけなら、二千円あれば泊まれる場所はあるよ…。」
「えっ…(°∇°;)二千円って……。」
私と萩原さんは、世間知らずの剛に抗議した。
今時、二千円って…
「カプセルホテルに泊まるの?つまらない様にね。」
私は、マンガ喫茶の夢が破れるのを感じながら、少し嫌みに言ってみた。
カプセルホテルとは、丸い筒状のスペースに眠る宿泊施設で、狭いイメージがある。
「カプセルホテルかぁ…窮屈そうだね。」
萩原さんが少し残念そうに呟きながら、自分のスマホでカプセルホテルを検索する。
「でも…二千円は難しいなぁ。」
萩原さんの呟きに剛もスマホを検索する。
「そんなんじゃなくて、普通の宿屋だよ…。」
剛の言葉に萩原さんも検索を始める…
そして、数件、そんなホテルを見つけた。
当時、確かに、インターネット上に、そんな宿泊地が紹介されていたのだ!
ビックリした。
色々と。
そして、剛の旅に興味も出てきた。
名古屋城もひつまぶしも、大きなエビフライまで否定した、剛の夢の名古屋旅行…
全く、想像も出来ない、新しい旅の話がそこにある気がした。
思い返すと、あれでも贅沢な旅だったのだ。
現実は、二千円の宿泊施設さえ泊まれない(;_;)
それでも…モーニングがあれば、
剛がよければそれで良い気がした。
名古屋の人は、モーニングを食べて、そのままランチまで居着く人がいるらしいが、そんな旅行も…
ある意味、楽しいのかもしれない。
「名古屋のモーニングは、凄いんですよ。
パンが食べ放題だったり、寿司がでるところもあるんです。」
離婚した父親が住む名古屋を語る紗耶香ちゃんの言葉に、剛は、おとぎ話を聞くように惹き付けられていた。
モーニングで例え、寿司が出てきても、それを食べるだけに名古屋に行くのは、ある意味、贅沢で無駄な気もする。
が、そこに現在、父親と生活する、20代の紗耶香ちゃんが加わると…その価値は格段に変わる。
が、私だって、泊まりの旅なんて、そうそう行けない。
行くなら、伊勢志摩まで足を伸ばしたい。そして、安くても真珠を手に入れたかった。
伊勢志摩の真珠と言えば高級なイメージがあるが、町を歩くと、イビツな形や色のため、格安に売られる真珠もある。
傷や形を気にしなければ、一粒100円も夢ではないのだ!多分。
その真珠をビーズの指輪にして、私は、私の読者賞を記念に作る。
貧乏神…確かに、神とつくだけあって、ご利益があるのかもしれない。
100円も、その価値に想像力を巡らせれば、ビックリするような感動的な何かに変わるし、
投稿して数ヵ月が過ぎる頃、サイトを開くと、2ポイントが溜まり、
念を込めて連弾しなくても、換金へと続くボタンはなんなく押せた。
その瞬間、私のなかで、インターネットの魔法使いが、異界の森で目をさました。
そんなおとぎ話のような政策で、お金が降ってきても、私と剛が名古屋に行くためには、大きなハードルがまだあった。
そう、剛は男。私は女。
年を取っても、家族が出来れば、男の混ざった泊まりの旅行にいくには、色々と説明がいる。
ここでは、饒舌に語れる私も、夫の前で剛に対する気持ちを上手く伝えるのは、とても難しかった。
お金もないし、温泉とかに泊まりは無理だなぁ(´-`).。oO
昭和の2時間ドラマのように、沢山のご馳走に囲まれる旅行は無理だ。
それこそ、大賞でも受賞しない限り…
しかし、剛の名古屋の夢にそんなご馳走は無かった。
むしろ、モーニングを食べに行くには、ホテルの朝食バイキングは邪魔になる。
貧乏神に愛された剛は、貧乏の魅力を見せる事にも無意識にたけていた。
剛は、喫茶店で皆で集まるたびにこんな夢を語った。
「モーニング。まずはこれを食べてね、
名古屋でビルジングを見るんだ♪
名古屋城?城は興味ないから見なくて良い。」
名古屋城をどうでも良い扱いをされて、私と萩原さんは、名古屋城の魅力を剛に口々に伝えたが、剛には、金のシャチホコよりも、名古屋のビルジングを見る方が楽しいらしかった。
「ビルジングなんて見て、何が楽しいの?」
と、萩原さんに聞かれると、剛は悠々とこう答えた。「名前が良い。」
はぁ?(°Д°)
ポカンとする我々に、剛は動じることもなく、ゆったりとコーヒーを飲んで笑った。
「(--;)い、良いんじゃないな…
複合ビルには、飲食店が沢山入っているから。」
スマホを検索しながら萩原さんは言った。
「宿泊は、どうするの?お金が無いからって、野宿なんてダメだからね。
マンガ喫茶に泊まるなら…私も、付き合わないわけではないけど。」
私は、昔から、マンガ喫茶に宿泊して、思う存分本を読んでみたいと考えていた。
が、マンガ喫茶に宿泊なんて、年を取ると、そうそう出来るものではない。
それに、一人で泊まるのは、少し怖い。
剛に便乗して、その夢を叶えるのも…悪くない気がした。が、剛が、それを否定した。
「マンガ喫茶…そんなところ高いよ…寝れないし。
寝るだけなら、二千円あれば泊まれる場所はあるよ…。」
「えっ…(°∇°;)二千円って……。」
私と萩原さんは、世間知らずの剛に抗議した。
今時、二千円って…
「カプセルホテルに泊まるの?つまらない様にね。」
私は、マンガ喫茶の夢が破れるのを感じながら、少し嫌みに言ってみた。
カプセルホテルとは、丸い筒状のスペースに眠る宿泊施設で、狭いイメージがある。
「カプセルホテルかぁ…窮屈そうだね。」
萩原さんが少し残念そうに呟きながら、自分のスマホでカプセルホテルを検索する。
「でも…二千円は難しいなぁ。」
萩原さんの呟きに剛もスマホを検索する。
「そんなんじゃなくて、普通の宿屋だよ…。」
剛の言葉に萩原さんも検索を始める…
そして、数件、そんなホテルを見つけた。
当時、確かに、インターネット上に、そんな宿泊地が紹介されていたのだ!
ビックリした。
色々と。
そして、剛の旅に興味も出てきた。
名古屋城もひつまぶしも、大きなエビフライまで否定した、剛の夢の名古屋旅行…
全く、想像も出来ない、新しい旅の話がそこにある気がした。
思い返すと、あれでも贅沢な旅だったのだ。
現実は、二千円の宿泊施設さえ泊まれない(;_;)
それでも…モーニングがあれば、
剛がよければそれで良い気がした。
名古屋の人は、モーニングを食べて、そのままランチまで居着く人がいるらしいが、そんな旅行も…
ある意味、楽しいのかもしれない。
「名古屋のモーニングは、凄いんですよ。
パンが食べ放題だったり、寿司がでるところもあるんです。」
離婚した父親が住む名古屋を語る紗耶香ちゃんの言葉に、剛は、おとぎ話を聞くように惹き付けられていた。
モーニングで例え、寿司が出てきても、それを食べるだけに名古屋に行くのは、ある意味、贅沢で無駄な気もする。
が、そこに現在、父親と生活する、20代の紗耶香ちゃんが加わると…その価値は格段に変わる。
が、私だって、泊まりの旅なんて、そうそう行けない。
行くなら、伊勢志摩まで足を伸ばしたい。そして、安くても真珠を手に入れたかった。
伊勢志摩の真珠と言えば高級なイメージがあるが、町を歩くと、イビツな形や色のため、格安に売られる真珠もある。
傷や形を気にしなければ、一粒100円も夢ではないのだ!多分。
その真珠をビーズの指輪にして、私は、私の読者賞を記念に作る。
貧乏神…確かに、神とつくだけあって、ご利益があるのかもしれない。
100円も、その価値に想像力を巡らせれば、ビックリするような感動的な何かに変わるし、
投稿して数ヵ月が過ぎる頃、サイトを開くと、2ポイントが溜まり、
念を込めて連弾しなくても、換金へと続くボタンはなんなく押せた。
その瞬間、私のなかで、インターネットの魔法使いが、異界の森で目をさました。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる