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第五十話 麻雀荘のハイエナ
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時:翌日 深夜23:30
所:新宿・歌舞伎町 地下麻雀荘「紅龍」
テレビ局は手に入れた。
だが、法の絞首縄はすでに首にかかっていた。
化学工場と『週刊真相』が手を組み、玲奈を提訴。損害賠償は10億円、さらに懲役10年の可能性。
全国の法律事務所には“警告”が回り、誰もこの事件に触れようとしなかった。
「まともな弁護士が怖がるなら、まともじゃない奴を探せばいい。」
澄原龍立は吉岡を連れ、煙と汗の臭いが染みついた地下室の扉を押し開けた。
奥の卓で、アロハシャツに無精髭、煙草をくわえた男が、刺青の大男たちに押さえつけられていた。
「三上(みかみ)弁護士、借金は返せ。今日この500万を払わねえなら、その牌を掴む指は要らねえよ。」
——三上健一(みかみ けんいち)、35歳。
元・特捜部のエース検事。事件で権力者に噛みつき、嵌められて資格を奪われた。
いまやホステスやヤクザの“抜け道”を作る、通称「法廷のハイエナ」。
刃が落ちる——
「その500万、俺が払う。」
一枚の小切手が、麻雀卓にふわりと舞い落ちた。
三上は固まった。
煙の向こうに立つ男を見て、目の色が変わる。
軽薄な笑みの仮面が剥がれ、獣じみた警戒心だけが残った。
「……澄原龍立? 財閥の異端児か。」
三上は煙草の吸い殻を吐き捨て、小切手をつまみ上げる。
「俺は“いい人”の裁判はやらねえ。いい人は金がないし、すぐ道徳で縛ってくる。」
龍立は椅子を引き、腰を下ろした。
三上の濁った瞳を、まっすぐに見据える。
「俺はいい人じゃない。正義を買う人間だ。」
「不可能を可能にする裁判を、勝ってほしい。相手は『週刊真相』の阿久津(あくつ)。昔、権力者と組んでデマを流し、お前の検事人生を潰した——“筆で人を殺す”奴だ。」
“阿久津”の名を聞いた瞬間、三上の指がわずかに震えた。
沈黙が長く落ちる。
そして突然、三上は笑った。
犬歯が、鋭く光る。復讐の牙だ。
「阿久津か……。あの、糞を撒き散らすだけの狂犬。」
三上は立ち上がり、床に落ちたスーツの上着を拾い、埃を払うように軽く叩いた。
「龍立の旦那。この仕事、受ける。金はいらねえ、受ける。ただし先に言っておく。法廷じゃ俺は——奴の喉を噛み切る。」
所:新宿・歌舞伎町 地下麻雀荘「紅龍」
テレビ局は手に入れた。
だが、法の絞首縄はすでに首にかかっていた。
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全国の法律事務所には“警告”が回り、誰もこの事件に触れようとしなかった。
「まともな弁護士が怖がるなら、まともじゃない奴を探せばいい。」
澄原龍立は吉岡を連れ、煙と汗の臭いが染みついた地下室の扉を押し開けた。
奥の卓で、アロハシャツに無精髭、煙草をくわえた男が、刺青の大男たちに押さえつけられていた。
「三上(みかみ)弁護士、借金は返せ。今日この500万を払わねえなら、その牌を掴む指は要らねえよ。」
——三上健一(みかみ けんいち)、35歳。
元・特捜部のエース検事。事件で権力者に噛みつき、嵌められて資格を奪われた。
いまやホステスやヤクザの“抜け道”を作る、通称「法廷のハイエナ」。
刃が落ちる——
「その500万、俺が払う。」
一枚の小切手が、麻雀卓にふわりと舞い落ちた。
三上は固まった。
煙の向こうに立つ男を見て、目の色が変わる。
軽薄な笑みの仮面が剥がれ、獣じみた警戒心だけが残った。
「……澄原龍立? 財閥の異端児か。」
三上は煙草の吸い殻を吐き捨て、小切手をつまみ上げる。
「俺は“いい人”の裁判はやらねえ。いい人は金がないし、すぐ道徳で縛ってくる。」
龍立は椅子を引き、腰を下ろした。
三上の濁った瞳を、まっすぐに見据える。
「俺はいい人じゃない。正義を買う人間だ。」
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そして突然、三上は笑った。
犬歯が、鋭く光る。復讐の牙だ。
「阿久津か……。あの、糞を撒き散らすだけの狂犬。」
三上は立ち上がり、床に落ちたスーツの上着を拾い、埃を払うように軽く叩いた。
「龍立の旦那。この仕事、受ける。金はいらねえ、受ける。ただし先に言っておく。法廷じゃ俺は——奴の喉を噛み切る。」
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