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第五話 伏見稲荷・狐の嫁入りと捨てられた願い(四)
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その人物だけは、白無垢ではなかった。
蒼白い列の先頭に立つのは、ごく普通の濃い色の着物に、簡素な羽織をひっかけた男。足元は草履。歩きぶりもゆっくりと落ち着いていて、どこにでもいる夜の参拝客のようだ。
ただ――着けている狐面だけが違っていた。
よく見かける絵馬風の狐面ではない。全体が真っ黒で、目の部分にだけ極細の金糸が二筆だけ引かれている。遠目には、瞳孔のない眼窩のようにしか見えない。
男は、彼らの数歩前で立ち止まった。
狐嫁の行列は、彼の背後を静かに流れていく。水が岩を避けて二つに分かれるように。
「よそ者。」
面の奥から漏れる声は、年齢も感情も測りにくい。
「このラインは、本来お前のルートじゃない。」
「最近、お前たちは、俺が通った場所にマーキングしたがる。」
劉立澄は澄心剣を横に構えた。声には淡々とした平坦さがあった。
「清水寺、錦市場、鴨川……そして伏見。」
「よく見ている。」
黒い狐面が、わずかに傾ぐ。
「だがこれらの場所は、もともと割れていた。我々はそれを利用しているだけだ。狐嫁の伝承も古くからある。私たちは、そこに少し手を添えているにすぎない。」
男は、空中に指で一本線を引いた。
その軌跡に沿って、鳥居の柱に刻まれた奉納の文字が一行ずつ光りはじめる。
名前、年号、会社名、祈願の言葉が、木の表面から剥がれ落ちて、裏返しに空中へ貼りついていく――。
「商売繁盛」「合格祈願」「良縁成就」「厄除」……
もともとは真面目な祈りの言葉と、「もう要らない自分」を投げ捨てるために吐かれた言葉とが、ここでは一緒くたにされ、同じ狐嫁の隊列へと押し込まれていた。
「願いを集めて、何をする。」
劉立澄が問う。
「実験。」
黒い狐面は、当たり前のことでも言うように答えた。
「“欲しいもの”と“いらないもの”のあいだが、いちばん大きく割れているのが人間だ。その亀裂を並べてみて、龍脈の上でどこまで改造が利くのか――それを見ている。」
「お前たちの上の連中が欲しがっているのは、龍脈か、それとも人間の残骸か。」
「都市のメンテナンスだと思ってくれればいい。」
男は、愉快そうに笑う。
「道士の先生。あなたも似たような仕事をしているだろう?」
綾女の背筋に寒気が走る。
その男の言葉には、狂信も罪悪感もなかった。ただ一人の技術者が、淡々と工事計画を説明しているだけのように聞こえる。
「あなた方みたいな存在が、一番厄介だ。」
黒い狐面は、さらに一言つけ加えた。
「自分たちを“人助け”をしている側だと思い込んでいるから。」
「俺はそこまで善人じゃない。」
劉立澄は静かに返す。
「この街の“裂け目”を、勝手に実験場にされるのが嫌なだけだ。」
右手が、ゆっくりと上がる。
これまで腰で静かに揺れていただけの刀の鞘が、夜風の中でかすかに音を立てた。
装飾らしい装飾のない、暗い木鞘。末端の金具にだけ、ごく小さな紋が彫り込まれている――縮められた龍の鱗のような印。
柄に、右手の指がかかる。
その刹那、空気の温度が一度だけ下がった。
日本刀が抜き放たれる。
過剰な閃光はない。抑えつけた鋼の色、刃文の波が、研ぎ澄まされた獣の牙のように、光を静かに噛み砕いていた。
「龍牙。」
綾女は心の中で、その名を繰り返す。
以前、一度だけ酒の席で彼が口にしたことのある名だ。日本刀の作りの話になったとき、「ただの“借り物の牙”だよ」と、それ以上説明しなかった。
今、その牙がようやく露わになる。
左手に澄心剣、右手に龍牙。
黒い狐面が、かすかに沈黙した。
何かを計算し直しているように見える。
「……そういうことか。」
男は、ため息をひとつ落とした。
「本部から、あなたとの正面衝突は極力避けろと言われていた理由がわかった。龍脈が自分の足で歩いているようなものだからね。」
その言葉が終わると同時に、背後の狐嫁行列が揃って足を止めた。
白無垢が一斉に向きを変え、左右の鳥居に顔を向ける。二枚の静かな壁になり、真ん中の道だけを細く空けた。
「では、内部試験の一環として、対応の限界を見させてもらおう。」
黒い狐面の手のひらが、ゆっくりと下へ向けて押し下ろされる。
足元が、ぐんと沈んだ。
石段が崩れたのではない。現実そのものの重さが、一段階軽く切り替えられたような感覚――霧も水気も光も一斉に沈み込み、白無垢の殻たちが見えない圧力に押されて前へ進みだす。この道に立つ「余分な人間」を、まるごと隊列の中へ巻き込もうとするかのように。
綾女は膝の裏が抜けるような感覚に襲われ、視界がにわかにぼやけた。
そして、もう一人の自分を見た。
いつまでも花街に残り、客の前で笑い、裏で誰かの身代わりになって怒鳴られ、帳簿の小さな数字に目を凝らし続けるだけの自分。あの奇妙な道士とも出会わず、符紙を握って町を駆け回ることもなかった自分。
その「自分」に白無垢がかけられ、狐面をつけられ、無言のまま隊列の奥へと紛れ込んでいく。
「綾女。」
誰かが名前を呼んだ。
大きな声ではない。けれど、誰かが意識の端を掴み、隊列の中から無理やり引き戻してくるような響きだった。
目を瞬かせる。胸が鋭く痛み、思わず心臓を押さえて、その場にしゃがみ込む。呼吸が荒くなる。
劉立澄は、彼女と狐嫁のあいだに立っていた。
足元の石段が、一つ一つ、淡い線を帯びていく。
それは紙を貼ったわけではない。彼が踏みしめた足跡そのものが、地面に軌跡を刻みつけていた。
「北斗罡歩――願を錠として陣を組む。」
小さく呟く。
七つの足跡が、前後左右に散り、鳥居の間に逆さに吊られた柄杓のような星の形を描いた。
その一つ一つに、日本から持ってきた銅銭の幻が浮かび上がる。文様はあいまいだが、気の流れには深く食い込んだ印だった。
「“錠願玄罡陣”。」
澄心剣を立て、いちばん近い「星」を軽く叩く。
澄んだ音が、彼の耳のすぐそばで弾け、そこから気脈を伝って、鳥居の反対側へと走っていく。
この狐嫁ルートにぶら下がっていたありとあらゆる「願いごと」が、その一瞬だけ、陣の中で足を止める。
「どうなってもいい」と口にした言葉。
「彼さえ幸せならそれでいい」と自分を捨て置いた声。
「これからは空っぽでもかまわない」と諦めた夜。
そういう文句が、いっせいに一度だけ「待て」をかけられた。
「願いには全部、持ち主がいる。」
小さな声が、はっきりと響いた。
「他人の肩に勝手に乗っかって並ぶのは、もうおしまいだ。」
澄心剣が空へ跳ね上がる。
ほとんど同時に、龍牙が横から滑り出る。
左の剣は霧を切り、右の刀は形を断つ。
列から枝分かれしていた「身代わり」の層が、一枚また一枚と剝がれていく。白無垢の布は灰のようにほろほろと崩れ、面の裏から覗く顔には、怒り、自嘲、そして長年麻痺してしまった疲れが次々と浮かび上がった。
切り離された「自分たち」は、陣の力に押し返され、それぞれの本来の人生へ押し戻されていく。
会社のトイレの個室で、床にしゃがみ込んで声を殺して泣いている人がいる。泣き終えてようやく、「本当に死にたいのか」をはじめて真剣に考えはじめる。
満員電車の中で、つり革を握る手に汗をにじませながら、「今すぐ降りて、飲み会を断ってもいいんじゃないか」とふと思いつく人がいる。
深夜のコンビニのレジ台の陰で、小さく吹き出す人もいる。あのとき吐き捨てた「どうでもいい」の言葉が、いざ本当に叶いそうになったら、自分がさっぱり納得していないのだと気づいて。
狐嫁の陣形が、目に見えて乱れはじめる。
黒い狐面が、ほんの少し眉をひそめたように見えた。
「……そういう手口か。」
どこかうんざりしたような調子だった。
「こちらは削るほうなのに、全部押し戻してくる。」
「お前たちは、手抜き工事だ。」
劉立澄は、龍牙の切っ先を男の胸元へと向けた。
「この街じゅうの裂け目を一気に“切り取って”しまいたいんだろうが、肝心の住人に一言も聞かずにやろうとしている。」
蒼白い列の先頭に立つのは、ごく普通の濃い色の着物に、簡素な羽織をひっかけた男。足元は草履。歩きぶりもゆっくりと落ち着いていて、どこにでもいる夜の参拝客のようだ。
ただ――着けている狐面だけが違っていた。
よく見かける絵馬風の狐面ではない。全体が真っ黒で、目の部分にだけ極細の金糸が二筆だけ引かれている。遠目には、瞳孔のない眼窩のようにしか見えない。
男は、彼らの数歩前で立ち止まった。
狐嫁の行列は、彼の背後を静かに流れていく。水が岩を避けて二つに分かれるように。
「よそ者。」
面の奥から漏れる声は、年齢も感情も測りにくい。
「このラインは、本来お前のルートじゃない。」
「最近、お前たちは、俺が通った場所にマーキングしたがる。」
劉立澄は澄心剣を横に構えた。声には淡々とした平坦さがあった。
「清水寺、錦市場、鴨川……そして伏見。」
「よく見ている。」
黒い狐面が、わずかに傾ぐ。
「だがこれらの場所は、もともと割れていた。我々はそれを利用しているだけだ。狐嫁の伝承も古くからある。私たちは、そこに少し手を添えているにすぎない。」
男は、空中に指で一本線を引いた。
その軌跡に沿って、鳥居の柱に刻まれた奉納の文字が一行ずつ光りはじめる。
名前、年号、会社名、祈願の言葉が、木の表面から剥がれ落ちて、裏返しに空中へ貼りついていく――。
「商売繁盛」「合格祈願」「良縁成就」「厄除」……
もともとは真面目な祈りの言葉と、「もう要らない自分」を投げ捨てるために吐かれた言葉とが、ここでは一緒くたにされ、同じ狐嫁の隊列へと押し込まれていた。
「願いを集めて、何をする。」
劉立澄が問う。
「実験。」
黒い狐面は、当たり前のことでも言うように答えた。
「“欲しいもの”と“いらないもの”のあいだが、いちばん大きく割れているのが人間だ。その亀裂を並べてみて、龍脈の上でどこまで改造が利くのか――それを見ている。」
「お前たちの上の連中が欲しがっているのは、龍脈か、それとも人間の残骸か。」
「都市のメンテナンスだと思ってくれればいい。」
男は、愉快そうに笑う。
「道士の先生。あなたも似たような仕事をしているだろう?」
綾女の背筋に寒気が走る。
その男の言葉には、狂信も罪悪感もなかった。ただ一人の技術者が、淡々と工事計画を説明しているだけのように聞こえる。
「あなた方みたいな存在が、一番厄介だ。」
黒い狐面は、さらに一言つけ加えた。
「自分たちを“人助け”をしている側だと思い込んでいるから。」
「俺はそこまで善人じゃない。」
劉立澄は静かに返す。
「この街の“裂け目”を、勝手に実験場にされるのが嫌なだけだ。」
右手が、ゆっくりと上がる。
これまで腰で静かに揺れていただけの刀の鞘が、夜風の中でかすかに音を立てた。
装飾らしい装飾のない、暗い木鞘。末端の金具にだけ、ごく小さな紋が彫り込まれている――縮められた龍の鱗のような印。
柄に、右手の指がかかる。
その刹那、空気の温度が一度だけ下がった。
日本刀が抜き放たれる。
過剰な閃光はない。抑えつけた鋼の色、刃文の波が、研ぎ澄まされた獣の牙のように、光を静かに噛み砕いていた。
「龍牙。」
綾女は心の中で、その名を繰り返す。
以前、一度だけ酒の席で彼が口にしたことのある名だ。日本刀の作りの話になったとき、「ただの“借り物の牙”だよ」と、それ以上説明しなかった。
今、その牙がようやく露わになる。
左手に澄心剣、右手に龍牙。
黒い狐面が、かすかに沈黙した。
何かを計算し直しているように見える。
「……そういうことか。」
男は、ため息をひとつ落とした。
「本部から、あなたとの正面衝突は極力避けろと言われていた理由がわかった。龍脈が自分の足で歩いているようなものだからね。」
その言葉が終わると同時に、背後の狐嫁行列が揃って足を止めた。
白無垢が一斉に向きを変え、左右の鳥居に顔を向ける。二枚の静かな壁になり、真ん中の道だけを細く空けた。
「では、内部試験の一環として、対応の限界を見させてもらおう。」
黒い狐面の手のひらが、ゆっくりと下へ向けて押し下ろされる。
足元が、ぐんと沈んだ。
石段が崩れたのではない。現実そのものの重さが、一段階軽く切り替えられたような感覚――霧も水気も光も一斉に沈み込み、白無垢の殻たちが見えない圧力に押されて前へ進みだす。この道に立つ「余分な人間」を、まるごと隊列の中へ巻き込もうとするかのように。
綾女は膝の裏が抜けるような感覚に襲われ、視界がにわかにぼやけた。
そして、もう一人の自分を見た。
いつまでも花街に残り、客の前で笑い、裏で誰かの身代わりになって怒鳴られ、帳簿の小さな数字に目を凝らし続けるだけの自分。あの奇妙な道士とも出会わず、符紙を握って町を駆け回ることもなかった自分。
その「自分」に白無垢がかけられ、狐面をつけられ、無言のまま隊列の奥へと紛れ込んでいく。
「綾女。」
誰かが名前を呼んだ。
大きな声ではない。けれど、誰かが意識の端を掴み、隊列の中から無理やり引き戻してくるような響きだった。
目を瞬かせる。胸が鋭く痛み、思わず心臓を押さえて、その場にしゃがみ込む。呼吸が荒くなる。
劉立澄は、彼女と狐嫁のあいだに立っていた。
足元の石段が、一つ一つ、淡い線を帯びていく。
それは紙を貼ったわけではない。彼が踏みしめた足跡そのものが、地面に軌跡を刻みつけていた。
「北斗罡歩――願を錠として陣を組む。」
小さく呟く。
七つの足跡が、前後左右に散り、鳥居の間に逆さに吊られた柄杓のような星の形を描いた。
その一つ一つに、日本から持ってきた銅銭の幻が浮かび上がる。文様はあいまいだが、気の流れには深く食い込んだ印だった。
「“錠願玄罡陣”。」
澄心剣を立て、いちばん近い「星」を軽く叩く。
澄んだ音が、彼の耳のすぐそばで弾け、そこから気脈を伝って、鳥居の反対側へと走っていく。
この狐嫁ルートにぶら下がっていたありとあらゆる「願いごと」が、その一瞬だけ、陣の中で足を止める。
「どうなってもいい」と口にした言葉。
「彼さえ幸せならそれでいい」と自分を捨て置いた声。
「これからは空っぽでもかまわない」と諦めた夜。
そういう文句が、いっせいに一度だけ「待て」をかけられた。
「願いには全部、持ち主がいる。」
小さな声が、はっきりと響いた。
「他人の肩に勝手に乗っかって並ぶのは、もうおしまいだ。」
澄心剣が空へ跳ね上がる。
ほとんど同時に、龍牙が横から滑り出る。
左の剣は霧を切り、右の刀は形を断つ。
列から枝分かれしていた「身代わり」の層が、一枚また一枚と剝がれていく。白無垢の布は灰のようにほろほろと崩れ、面の裏から覗く顔には、怒り、自嘲、そして長年麻痺してしまった疲れが次々と浮かび上がった。
切り離された「自分たち」は、陣の力に押し返され、それぞれの本来の人生へ押し戻されていく。
会社のトイレの個室で、床にしゃがみ込んで声を殺して泣いている人がいる。泣き終えてようやく、「本当に死にたいのか」をはじめて真剣に考えはじめる。
満員電車の中で、つり革を握る手に汗をにじませながら、「今すぐ降りて、飲み会を断ってもいいんじゃないか」とふと思いつく人がいる。
深夜のコンビニのレジ台の陰で、小さく吹き出す人もいる。あのとき吐き捨てた「どうでもいい」の言葉が、いざ本当に叶いそうになったら、自分がさっぱり納得していないのだと気づいて。
狐嫁の陣形が、目に見えて乱れはじめる。
黒い狐面が、ほんの少し眉をひそめたように見えた。
「……そういう手口か。」
どこかうんざりしたような調子だった。
「こちらは削るほうなのに、全部押し戻してくる。」
「お前たちは、手抜き工事だ。」
劉立澄は、龍牙の切っ先を男の胸元へと向けた。
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