23 / 77
22.智紀、GW中の活動を相談す
しおりを挟む
ゴールデンウィークって、5月3日から5日の三日間のことなんだろうけど、今年は6日が土曜日だから五連休になる。
でも寮にいたらそんなにそんなにやることはないと思うんだよな。
とはいえ生物管理部なのでGW中もずっとだらだら過ごして終わるわけはないだろう。林の中の見回りもあるし。
「GW中? どう活動するか考えようか~」
放課後、帰ってきてから嵐山さんに聞いたら、急きょ四階に集まることになった。先輩たちがぜえはあしている。
「よ、四階は……」
「きつい……」
「……つらい……」
「もっと体力をつけた方がいいんじゃないかな?」
嵐山さんが苦笑していた。
確か先輩たちの部屋は二階と三階だったはずだ。そこから一、二階上がるだけなのに何がしんどいんだろうとか思ってしまう。さすがに四階分を一気に上ったら疲れるだろうけどさ。
そんな疑問が顔に出ていたのか、
「僕たちは……」
「体力が……」
「……ないんだ……」
全然えばれないよ先輩方。
つーか息は荒いけど発言は相変わらず息ぴったりである。意味がわからない。
「これから体力つけていこうね。よくこの学校にいて体力つかないままでいられるよねー」
嵐山さんが笑う。まぁ寮内は至れり尽くせりな環境だから、ぶっちゃけ飯の時間以外は同じフロアから出なくても暮らせたりする。
大浴場は一階にしかないのだけど、シャワー室は各階にあったりする。一応シャワー室には鍵がかかるようになっているので安全だよと初日に教えてもらった。男だけなのになんで鍵? と思ったけど「男しかいないからね!」と嵐山さんははっはっはー! と笑ってごまかしていた。
村西を見たらサッと目を逸らしたからわかっているのかもしれない。そこらへんもGW中に追及しようと思う。
さてそんな寮内事情はともかく、GW中の割り振りである。先輩方は3,4,5日で実家に帰るらしい。全員が二泊三日不在するわけではなく一泊二日がずれるかんじのようだ。林の見回りは三人でしてもらうことになっているから、三人揃ってからの方がいいだろう。
というわけで俺たち三人と嵐山さんで3,4,5日は見回りをすることが決まった。6,7日に関しては先輩たちが戻ってきてから応相談である。
なにせうちの先輩方は体力ないし。
「そういえば先輩たちって、ピー太たちに何をどう助けてもらったんです?」
「カツアゲ……」
「からかい……」
「……同じく……」
「えええええ」
金子先輩はカツアゲに遭いそうになり、小原先輩は眼鏡を取られて周りが見えなくなってパニックを起こし、益子先輩は前髪を無理矢理切られそうになったとか。
カツアゲもこわいけど、眼鏡取るとか前髪切ろうとするとか犯罪じゃん。
眼鏡ないと見えないから眼鏡してるわけだし。前髪だって勝手に切ろうとしちゃいけないだろう。
「……それはひどいですね」
「ピー太君たちが……」
「つつき回して……」
「……助けてくれたから……」
「「「がんばります……」」」
とうとうハモッた。
嵐山さんは腹を抱えて笑っていた。気持ちはわかるけど失礼だなぁ。村西も笑ってんじゃねえよ。
「この学校、いじめ問題には敏感って口コミに書いてありましたけど、けっこう治安悪いんですか?」
嵐山さんは胸を押さえた。
「おおう……直球だね……」
理事長なんだからそこらへんの説明はしっかりしてくれないと困る。
入ったはいいけどひどい目に遭いましたじゃなんの為に来たのかわからない。
「うーん、まぁどうしても周りに何もない男子校だからね。鬱屈が溜まる生徒もいるんだよ。大体は僕たち職員が目を光らせて対処してるんだけど、それでも問題が0とはいえないなぁ。ごめんね」
嵐山さんはそう言って先輩たちに手を合わせた。先輩たちは慌てる。
「ただ、4,5年前にピー太君がここに来てからは未遂で終わることが多くなったんだよ。本来被害が出てからじゃ遅いしね。だからピー太君たちの為に何かしたかったのは本当」
体よく押し付けられた感がしないでもないが、俺自身ピー太とはできるだけかかわりたいからいいかと思った。
稲村がにっこりした。
「じゃあ嵐山さん。部費をいただけなかった分は嵐山さんのポケットマネーでお願いしますね? 僕たちは十分努力しましたからね?」
目が笑ってないよー。稲村がこわいよー。
「う、うん……わかったー」
というわけで、今年度の部の予算はどうにかなりそうだとほっとした。
安心して部屋に戻ると、また窓の外にピー太がいた。
「開けていいぞ」
俺が許可を取る前に村西がそう言ってくれた。村西にも甘えてばっかだな。
「ありがとう」
窓を開ければピー太が入ってきた。
「トモー、ノリー、ドコー? ドコー!」
頭の上に留まってジタジタされる。
「ごめんごめん。また部活だったんだ。もう少ししたらもっと一緒にいられるからなー」
頭に手を乗せると腕にトットッと移動する。顔の前に持ってきたら鼻を甘噛みするようにかじかじされた。
俺の家にいた頃より格段に目つきは鋭くなってるけど、拗ねてるピー太はかわいいなと思ったのだった。
ーーーーー
注:危ないので智紀の真似はしないでください。鳥の嘴、けっこう痛いです(汗
でも寮にいたらそんなにそんなにやることはないと思うんだよな。
とはいえ生物管理部なのでGW中もずっとだらだら過ごして終わるわけはないだろう。林の中の見回りもあるし。
「GW中? どう活動するか考えようか~」
放課後、帰ってきてから嵐山さんに聞いたら、急きょ四階に集まることになった。先輩たちがぜえはあしている。
「よ、四階は……」
「きつい……」
「……つらい……」
「もっと体力をつけた方がいいんじゃないかな?」
嵐山さんが苦笑していた。
確か先輩たちの部屋は二階と三階だったはずだ。そこから一、二階上がるだけなのに何がしんどいんだろうとか思ってしまう。さすがに四階分を一気に上ったら疲れるだろうけどさ。
そんな疑問が顔に出ていたのか、
「僕たちは……」
「体力が……」
「……ないんだ……」
全然えばれないよ先輩方。
つーか息は荒いけど発言は相変わらず息ぴったりである。意味がわからない。
「これから体力つけていこうね。よくこの学校にいて体力つかないままでいられるよねー」
嵐山さんが笑う。まぁ寮内は至れり尽くせりな環境だから、ぶっちゃけ飯の時間以外は同じフロアから出なくても暮らせたりする。
大浴場は一階にしかないのだけど、シャワー室は各階にあったりする。一応シャワー室には鍵がかかるようになっているので安全だよと初日に教えてもらった。男だけなのになんで鍵? と思ったけど「男しかいないからね!」と嵐山さんははっはっはー! と笑ってごまかしていた。
村西を見たらサッと目を逸らしたからわかっているのかもしれない。そこらへんもGW中に追及しようと思う。
さてそんな寮内事情はともかく、GW中の割り振りである。先輩方は3,4,5日で実家に帰るらしい。全員が二泊三日不在するわけではなく一泊二日がずれるかんじのようだ。林の見回りは三人でしてもらうことになっているから、三人揃ってからの方がいいだろう。
というわけで俺たち三人と嵐山さんで3,4,5日は見回りをすることが決まった。6,7日に関しては先輩たちが戻ってきてから応相談である。
なにせうちの先輩方は体力ないし。
「そういえば先輩たちって、ピー太たちに何をどう助けてもらったんです?」
「カツアゲ……」
「からかい……」
「……同じく……」
「えええええ」
金子先輩はカツアゲに遭いそうになり、小原先輩は眼鏡を取られて周りが見えなくなってパニックを起こし、益子先輩は前髪を無理矢理切られそうになったとか。
カツアゲもこわいけど、眼鏡取るとか前髪切ろうとするとか犯罪じゃん。
眼鏡ないと見えないから眼鏡してるわけだし。前髪だって勝手に切ろうとしちゃいけないだろう。
「……それはひどいですね」
「ピー太君たちが……」
「つつき回して……」
「……助けてくれたから……」
「「「がんばります……」」」
とうとうハモッた。
嵐山さんは腹を抱えて笑っていた。気持ちはわかるけど失礼だなぁ。村西も笑ってんじゃねえよ。
「この学校、いじめ問題には敏感って口コミに書いてありましたけど、けっこう治安悪いんですか?」
嵐山さんは胸を押さえた。
「おおう……直球だね……」
理事長なんだからそこらへんの説明はしっかりしてくれないと困る。
入ったはいいけどひどい目に遭いましたじゃなんの為に来たのかわからない。
「うーん、まぁどうしても周りに何もない男子校だからね。鬱屈が溜まる生徒もいるんだよ。大体は僕たち職員が目を光らせて対処してるんだけど、それでも問題が0とはいえないなぁ。ごめんね」
嵐山さんはそう言って先輩たちに手を合わせた。先輩たちは慌てる。
「ただ、4,5年前にピー太君がここに来てからは未遂で終わることが多くなったんだよ。本来被害が出てからじゃ遅いしね。だからピー太君たちの為に何かしたかったのは本当」
体よく押し付けられた感がしないでもないが、俺自身ピー太とはできるだけかかわりたいからいいかと思った。
稲村がにっこりした。
「じゃあ嵐山さん。部費をいただけなかった分は嵐山さんのポケットマネーでお願いしますね? 僕たちは十分努力しましたからね?」
目が笑ってないよー。稲村がこわいよー。
「う、うん……わかったー」
というわけで、今年度の部の予算はどうにかなりそうだとほっとした。
安心して部屋に戻ると、また窓の外にピー太がいた。
「開けていいぞ」
俺が許可を取る前に村西がそう言ってくれた。村西にも甘えてばっかだな。
「ありがとう」
窓を開ければピー太が入ってきた。
「トモー、ノリー、ドコー? ドコー!」
頭の上に留まってジタジタされる。
「ごめんごめん。また部活だったんだ。もう少ししたらもっと一緒にいられるからなー」
頭に手を乗せると腕にトットッと移動する。顔の前に持ってきたら鼻を甘噛みするようにかじかじされた。
俺の家にいた頃より格段に目つきは鋭くなってるけど、拗ねてるピー太はかわいいなと思ったのだった。
ーーーーー
注:危ないので智紀の真似はしないでください。鳥の嘴、けっこう痛いです(汗
44
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる