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44.ピー太、みんなの為にいろいろがんばる
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トモノリたちには夏休みなるものがあるらしい、というのは知っての通りだ。
暑い季節というのは食べ物が豊富にあるからいいのだが、いかんせん暑くて困る。オレサマたちには身を守る為の羽毛があるが、それがどうしても暑い。おかげで最近は小屋の外で寝ている始末だ。
だがやはり小屋の外というのは危険だ。小屋は頑丈でなかなかいいのだが、もう少し風の通りというものがあると助かる。それをどうにかユーリやピーコたちと共に、トモノリたちに訴えてみた。
「ヨルー、ソトー」
など、なんとなく関係のありそうな言葉を並べて。
しかしトモノリたちはなかなか理解しなかった。うちのトモノリはすごくかわいいのだが、ちょっと察しが悪いのである。そんなところもかわいいのだが。
しかたなくオレサマは木の枝に留まり、目を閉じて寝たフリをしてみた。
「ん? もしかして夜も外で寝てるのか? 危ないだろ?」
やっとトモノリが気づいた。さすがはオレサマのトモノリである。
ニシが小屋を見上げた。
「もしかして……暑いんじゃないか?」
「あ、そっか」
ニシは偉い。さすがはトモノリの友人である。ピコーがピーピー鳴いてニシの頭の上に留まった。ピコーはニシが気に入ったらしい。いいことである。
「……村西、大丈夫か?」
「平気だ……」
どうやらニシはピコーのかわいさに悶えているらしい。大事にしてやってほしいものである。
「確かに鳥小屋は頑丈だけど、空気の通りが悪いよなー。かといって穴を開けるのもなぁ」
トモノリたちはみなああでもないこうでもないと言いながら考えることにしたらしい。
そして何日かしてから、小屋の壁を通気性のよいものに変えてくれた。やるではないかと思った。
「とりあえずこんなかんじでいいかな? 他の鳥小屋も全部かぁ……」
トモノリたちはため息をつきながらも、他のインコやカケス、スズメ、フクロウの小屋も修理した。さすがはオレサマのトモノリである。
タカのユーリが飛んできた。
ユーリが住んでいるのはトモノリたちが住む建物の四階だ。トビーと共に住んでいるからなかなか快適らしい。夏は確かに羨ましくもなるが、小屋を改造してもらったオレサマはムテキなのであるッ!
夏の間、トモノリはリョウカンに連れられてまたどこかへ行ったりした。
その時も付いていこうとしたのだが、ユーリにまた止められてしまった。全くもって理不尽と言わざるをえない。オレサマがこんなに心配しているというのにトモノリはわかっていないのだ。
その日、トモノリが戻って来てからは夜まで離れなかった。トモノリはもう少しオレサマを大事にした方がいい。
「なんだなんだ、甘えただな~」
そ、そんなに喜ばれてもオレサマの機嫌は直らないぞっ。
ト、トモノリ、撫でるのがうまいじゃないか。
……いや、まぁしょうがない。オレサマも大人になろう。
トモノリはまだ人としては小さいから、オレサマが守ってやらなければならないのだ。
そうしてやっと涼しくなってきた。涼しくなってくるといろいろな生き物が動き出す。
ユーリと共に山の向こうへパトロールをするようにした。
あれは突進してくるもの、あれは木に登ってくるものなど、ユーリに脅威を伝える。基本的に木々に沿って飛んで行けば問題はないのだが、オレサマは身体が小さいせいか別の鳥に狙われることもある。ユーリがいれば安心だが、気は抜かないようにしている。一瞬の気の緩みが命取りだったりするのだ。
リョウカンに危険な生き物が山の向こうにいることを報告した。
「ほんっと、ピー太君もユーリ君も優秀だよね。クマがやっぱいるのか……ちょっと警戒は必要かな。あっちの山だね?」
ピピーッ! と返事をしておいた。
「イノシシはこっちの山でもいるんだよなー。さすがに突進されたら死ぬよなー。困るなぁ……。罠の設置を頼むべきか」
リョウカンはいろいろたいへんらしい。トモノリたちが楽しく暮らす為にがんばってもらいたいものである。
更に涼しくなってきたら、毎年恒例のサバイバル大会なるものが開催された。
指定された木に登るという競技があるのだが、早さと正確さが求められる。これはイノシシ避けでできるようになっておいた方がいいみたいだ。しかしクマだと登ってきてしまうのだから困りものである。
さすがに山向こうのクマは人が多いところには出てこないからいいが、そうでなければ我らの小屋も壊されたりする場合もあるだろう。
山の中は脅威がいっぱいだが、みななんとか生きている。
トモノリを悲しませたくはない。だからみな精いっぱい生き延びるのだ。
暑い季節というのは食べ物が豊富にあるからいいのだが、いかんせん暑くて困る。オレサマたちには身を守る為の羽毛があるが、それがどうしても暑い。おかげで最近は小屋の外で寝ている始末だ。
だがやはり小屋の外というのは危険だ。小屋は頑丈でなかなかいいのだが、もう少し風の通りというものがあると助かる。それをどうにかユーリやピーコたちと共に、トモノリたちに訴えてみた。
「ヨルー、ソトー」
など、なんとなく関係のありそうな言葉を並べて。
しかしトモノリたちはなかなか理解しなかった。うちのトモノリはすごくかわいいのだが、ちょっと察しが悪いのである。そんなところもかわいいのだが。
しかたなくオレサマは木の枝に留まり、目を閉じて寝たフリをしてみた。
「ん? もしかして夜も外で寝てるのか? 危ないだろ?」
やっとトモノリが気づいた。さすがはオレサマのトモノリである。
ニシが小屋を見上げた。
「もしかして……暑いんじゃないか?」
「あ、そっか」
ニシは偉い。さすがはトモノリの友人である。ピコーがピーピー鳴いてニシの頭の上に留まった。ピコーはニシが気に入ったらしい。いいことである。
「……村西、大丈夫か?」
「平気だ……」
どうやらニシはピコーのかわいさに悶えているらしい。大事にしてやってほしいものである。
「確かに鳥小屋は頑丈だけど、空気の通りが悪いよなー。かといって穴を開けるのもなぁ」
トモノリたちはみなああでもないこうでもないと言いながら考えることにしたらしい。
そして何日かしてから、小屋の壁を通気性のよいものに変えてくれた。やるではないかと思った。
「とりあえずこんなかんじでいいかな? 他の鳥小屋も全部かぁ……」
トモノリたちはため息をつきながらも、他のインコやカケス、スズメ、フクロウの小屋も修理した。さすがはオレサマのトモノリである。
タカのユーリが飛んできた。
ユーリが住んでいるのはトモノリたちが住む建物の四階だ。トビーと共に住んでいるからなかなか快適らしい。夏は確かに羨ましくもなるが、小屋を改造してもらったオレサマはムテキなのであるッ!
夏の間、トモノリはリョウカンに連れられてまたどこかへ行ったりした。
その時も付いていこうとしたのだが、ユーリにまた止められてしまった。全くもって理不尽と言わざるをえない。オレサマがこんなに心配しているというのにトモノリはわかっていないのだ。
その日、トモノリが戻って来てからは夜まで離れなかった。トモノリはもう少しオレサマを大事にした方がいい。
「なんだなんだ、甘えただな~」
そ、そんなに喜ばれてもオレサマの機嫌は直らないぞっ。
ト、トモノリ、撫でるのがうまいじゃないか。
……いや、まぁしょうがない。オレサマも大人になろう。
トモノリはまだ人としては小さいから、オレサマが守ってやらなければならないのだ。
そうしてやっと涼しくなってきた。涼しくなってくるといろいろな生き物が動き出す。
ユーリと共に山の向こうへパトロールをするようにした。
あれは突進してくるもの、あれは木に登ってくるものなど、ユーリに脅威を伝える。基本的に木々に沿って飛んで行けば問題はないのだが、オレサマは身体が小さいせいか別の鳥に狙われることもある。ユーリがいれば安心だが、気は抜かないようにしている。一瞬の気の緩みが命取りだったりするのだ。
リョウカンに危険な生き物が山の向こうにいることを報告した。
「ほんっと、ピー太君もユーリ君も優秀だよね。クマがやっぱいるのか……ちょっと警戒は必要かな。あっちの山だね?」
ピピーッ! と返事をしておいた。
「イノシシはこっちの山でもいるんだよなー。さすがに突進されたら死ぬよなー。困るなぁ……。罠の設置を頼むべきか」
リョウカンはいろいろたいへんらしい。トモノリたちが楽しく暮らす為にがんばってもらいたいものである。
更に涼しくなってきたら、毎年恒例のサバイバル大会なるものが開催された。
指定された木に登るという競技があるのだが、早さと正確さが求められる。これはイノシシ避けでできるようになっておいた方がいいみたいだ。しかしクマだと登ってきてしまうのだから困りものである。
さすがに山向こうのクマは人が多いところには出てこないからいいが、そうでなければ我らの小屋も壊されたりする場合もあるだろう。
山の中は脅威がいっぱいだが、みななんとか生きている。
トモノリを悲しませたくはない。だからみな精いっぱい生き延びるのだ。
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