義兄皇子に囚われて溺愛されてます

浅葱

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三六、煩悩(悩む)

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 明玲は少し困っていた。
 偉仁はまだ見ぬ子どもの話を当たり前のようにしていた。
 偉仁には正妃である趙山琴を含め何人も妻がいるが、まだそのうちの誰も身籠ってはいない。それなのに何故明玲には子ができる前提で話をするのだろう。明玲にはわからないが、偉仁は毎晩のようにどこかの部屋を訪れているのではないかと思う。それなのにいまだ懐妊の話を聞かないということは、偉仁に問題があるのではないかと明玲は考えた。だがそんなことを偉仁に言うわけにもいかない。明玲は悶々とした。
 これは言っていいものか、悪いものか。明玲は翌日いっぱい悩んでから、とうとう山琴に尋ねることにした。

「どうしたの? なんだかとても難しい顔をしていてよ?」

 山琴がいつになく真剣な顔をしている明玲に首を傾げた。
 午後、いつものように礼儀作法を教わった後、明玲は曹梅花を先に部屋へ帰した。さすがにこんなことを聞かれるわけにはいかない。
 しかしどう聞いたらいいのかもわからない。子ができるできないについては聞くだけでも憚られるような問題である。聞いたら嫌われてしまうのではないかとか否定的な考えが頭を巡った。

「あの……グァが……」
「偉仁がどうかしたの?」

 傾げられる首が艶めかしい。

「あの……ここのところ、胸に触れられてて……」
「まだ触っていなかったの?」
「いえ、その……」

 山琴が目を丸くした。そんなに驚かれるようなことなのだろうか。

「子どもが生まれたら乳を飲むからって……」
「そうね。飲ませなければならないでしょうね」

 当たり前のようにそう言って、山琴ははっとしたようだった。なんとも察しのいい義姉である。

「何を気にしているのかと思えば……」

 山琴は呆れたように嘆息した。

「……明玲、貴女が気にすることではないわ。時がくれば話すけれども、それまではそんなことで悩まないでちょうだい。悩む暇があるなら少しでも多く学びなさい。わかった?」
「は、はい!」
「大丈夫だから、その想像は捨てなさい。いいわね?」
「……はい」

 山琴はいつになく念を押すように言うと、明玲にお茶を飲むよう促した。もやもやはそう簡単には晴れないが、山琴が悩むなと言ったのだから悩んではいけないのだ。他力本願と言われるかもしれないが、何よりも明玲には情報が足りない。その状態でいくら考えても正しい答えは出ないのである。
 だから明玲はもう考えないことにした。理由を教えてくれないということはそこに何かがあるのだ。時がくれば話してくれるというのだから待っていればいい。

(忘れなくちゃ……)

 夜にはまた偉仁に触れられてしまうのだろう。偉仁は明玲の胸にご執心で、揉みながら乳首を舐めたり甘噛みしたりする。明玲の乳首は普段隠れている。その乳首を刺激することでぷっくりと膨らませることに偉仁は楽しみを覚えているようだった。

(私の乳はおもちゃじゃないのに……)

 いじられると腰の奥から何かが溢れてくる感覚がしてなんとも恥ずかしい。だからといってそれが子を成す為には必要なことだと言われてしまうと拒否することもできないのだ。
 明玲はほうっとため息をついた。
 山琴の部屋を出て、今は自分の部屋である。復習をしなければと思うのにイマイチ身体が動かない。
 そんな明玲に周梨は呆れていたが特に声をかけることはなかった。聞かされても対応ができない。梅花はいつにない明玲の様子に少し戸惑っていたが、こちらも声をかけてくることはなかった。
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