義兄皇子に囚われて溺愛されてます

浅葱

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四八、装出生气(怒ったふり)

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 帰宅して、偉仁はまっすぐ明玲に会いにきてくれた。それだけで半分以上許してしまっていたが、完全に許すわけにはいかないと明玲は思っていた。
 事前に話を聞いていたとはいえ後宮に召喚されたこと。もしそこで皇帝に会ってしまっていたら半年は後宮に閉じ込められてしまったかもしれないという話。そしてここ半月ほっておかれたこと。どれも許しがたいことだと明玲は思う。
 ただこんなことは大事の前の小事なのだろう。そう思うとやはり腹が立ってきた。

「私とても怒っているのです」
「そうであろうな」

 でも偉仁の腕の中から出ようとは思わなかった。

「すごく不安だったのです。グァは……私が皇帝に会うとは思わなかったのですか?」
「……先帝を甘く見ていたことは否定しない。だから薊王の兵を後宮に向かわせた。先帝を後宮に行かせるわけにはいかなかった」

 段取りに不備があったと哥は言う。もっと様々なことを想定して準備するべきであったと。ただ中秋節の後に反乱することは決めていたらしい。

「そなたが呼び出されることがなければいいと願っていた。そなたに何かあれば、先帝を弑してでも止めるつもりでいた」
「哥……」

 明玲を抱きしめたまま淡々と偉仁が言う。皇帝を弑するなど謀反ではないか。明玲はあまりの恐ろしさに身震いした。

「そんなことをしたら、天と地が合わさってしまいます……」
「ならば合わさる前にそなたを攫って逃げよう」

 明玲は偉仁の胸を叩いた。結果的にそうはならなかったが、哥たちは随分危ない橋を渡っていた。
 やんわりと腕を掴まれて、叩くのを止めさせられた。哥はとても優しい目で明玲を見つめていた。

「哥は……これからもこちらに留まるのですか?」
「いや、そろそろ王領に戻る。母たちのことが済んだらもう関わるつもりはない」
「そうなのですね……」

 明玲はほっとした。もしこのまま偉仁が皇都に残り新しい皇帝に仕えると言ったらどうしようかと思ったのだ。権力というのはほどほどにあるぐらいが丁度いい。台頭すればいらぬ争いに巻き込まれる。

「芳妃娘娘と、母はどうなるのでしょうか」

 そう簡単に答えが出ない問いだが、聞かずにはいられなかった。そして、兄弟もどうなるのだろう。先帝の血を引いた子供たちはどうなるのか。

「先帝の子を宿していなければ何も起こらぬが……」
「宿していたならばどうなるのです? 産まれてくる子は……」
「宿していたなら子が産まれてくるまでは後宮から出られぬ。……産まれる子に関してはそなたが知る必要はない」
「そうですね……」

 いろいろなことが想像できるが、どれも信憑性がない。そして明玲がどう思おうが、どうするのかということは上の者たちが決めていくのだ。今明玲ができることは、芳妃や母が先帝の子を身籠っていませんようにと願うぐらいだろう。

「#__ミンリン__#……触れたい……」

 甘く、哥の声が耳に届く。

「……そんな気にはなれません」
「抱いて寝るだけでもだめか」
「……それぐらいなら」

 哥の譲歩に胸が熱くなる。自分は大事にされていると明玲は思う。そう、明玲はこれ以上ないほど大事にされているのだ。

「ねぇ、哥……どうして薊王に協力することにしたのですか?」

 一歩間違えば反逆罪で捕らえられたかもしれないのに。
 偉仁は明玲を抱き上げた。そしてベッドに明玲を押し倒す。至近距離に哥の顔がきて、明玲は胸が早鐘を打つのを感じた。

「……そんなこと決まっているだろう」

 なんだかその目に色が浮かんでいるように思える。

「明玲、そなたを奪われない為だ」

 明玲は陥落した。
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