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七二、迎接(出迎える)
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梅が咲き、白玉蘭(木蓮)が咲いた。
春の花が咲き乱れ、それが散る頃になってやっと先帝の妾妃たちは下界に降りることを許された。
清明節の頃である。
事前に芳妃と明妃を迎えに行く為の手続きをし、偉仁の弟皇子と明玲の妹公主も一緒に皇都の館へ連れて来させた。
明玲は直接離宮へ迎えに行きたかったがそれは叶わなかった。先帝は好色で、沢山の妾妃を後宮に入れ、子も山ほど成した。まだ成人していない子らの処遇は複雑を極めた。皇太子を除く皇子の皇位継承権を破棄させるにもいろいろあったらしい。
偉仁は早々に皇位継承権を放棄し、まだ二歳の弟皇子にも放棄させた。芳妃もそれについては異論はなかった。
偉仁は清明節の行事の為皇都の館を離れている。その間に芳妃たちを乗せた馬車は蘇王の館に着いた。
趙山琴以下妾妃と館に仕える者たちは総出で芳妃たちを迎えた。
「出迎えご苦労」
「芳妃娘娘、明妃娘娘、大勇皇子、星雨公主のお帰りを心よりお待ちしておりました。道中お疲れのことと存じます。どうぞこちらへ」
一通り挨拶をした後、山琴が応接室に芳妃たちを案内した。
大勇皇子は偉仁の弟である。侍女に手を引かれながら、子どもらしくちらちらと周りを見回している様子がかわいらしく映った。明玲の異父妹である星雨公主は緊張した面持ちで侍女に手を引かれていた。早く慣れたらいいなと明玲は思った。
応接室では山琴、偉仁の最初の妾妃である令妃と明玲が芳妃たちをもてなした。
芳妃と明妃はお茶に口をつけると、ほうっと息を吐いた。
「偉仁が妾たちを受け入れてくれて本当によかったわ。これから厄介になるわね。できるだけ口を出さないようにするからよろしく」
「芳妃娘娘。そうおっしゃらずに、これからもよろしくご指導ください」
「そう? 先に言っておくけど、大勇はもう皇子ではないし、星雨も公主ではなくなったわ。私たちも皇帝の妾妃ではなくなった。これからはただの家族よ。そのつもりでお願いね」
「芳妃娘娘、明妃娘娘、ありがとうございます。部屋は離れにご用意しました。後ほど案内させます」
基本話すのは芳妃と山琴で、明玲の母の明妃はにこにこしているだけだ。大勇と星雨は侍女に点心をもらいもぐもぐと無言で食べていた。
「ああそうだわ、明玲。偉仁と結婚したのでしょう? 遅れてしまったけど、結婚おめでとう。これからも仲良くしてね」
芳妃が思い出したように明玲の手を取った。
「芳妃娘娘、ありがとうございます。私も……ご報告が遅れて申し訳ありません……」
「そんなことはいいのよ。それよりもできるだけ早く孫が見たいわ。どうかよろしくね」
「は、はい……」
笑顔の芳妃とは対照的に明玲の顔は引きつってしまった。
「玉芳、子は授かりものよ。あまり私の娘をいじめないでちょうだい」
そこに助け舟のように明妃が口を開いた。
「あら、いじめてなんかいないわ。次の蘇王には偉仁の子がなるべきよ。大勇には継がせられないわ」
「玉芳、それは妾たちが決めることではないわ」
にこやかだが何か恐ろしい物を見ているようで、明玲はどうしたらいいのかと山琴たちを窺った。
「芳妃娘娘、明妃娘娘、失礼ですが、部屋の準備が整ったそうです。どうなさいますか?」
侍女に耳打ちされた山琴が声をかけると、二人は矛を収めた。
「そうね、この話は偉仁が戻ってからにしましょう。恵明、参りましょう」
芳妃は明妃の手を取って立ち上がった。大勇と星雨はそれぞれ侍女が手を取った。
相変わらず二人は仲がいい。だからこそ明玲は偉仁と共になることができたのだ。
(哥との子、できたらいいな……)
明玲は山琴たちと共に二人を見送りながら願った。
※玉芳は芳妃の本名。恵明は明妃の本名です。
春の花が咲き乱れ、それが散る頃になってやっと先帝の妾妃たちは下界に降りることを許された。
清明節の頃である。
事前に芳妃と明妃を迎えに行く為の手続きをし、偉仁の弟皇子と明玲の妹公主も一緒に皇都の館へ連れて来させた。
明玲は直接離宮へ迎えに行きたかったがそれは叶わなかった。先帝は好色で、沢山の妾妃を後宮に入れ、子も山ほど成した。まだ成人していない子らの処遇は複雑を極めた。皇太子を除く皇子の皇位継承権を破棄させるにもいろいろあったらしい。
偉仁は早々に皇位継承権を放棄し、まだ二歳の弟皇子にも放棄させた。芳妃もそれについては異論はなかった。
偉仁は清明節の行事の為皇都の館を離れている。その間に芳妃たちを乗せた馬車は蘇王の館に着いた。
趙山琴以下妾妃と館に仕える者たちは総出で芳妃たちを迎えた。
「出迎えご苦労」
「芳妃娘娘、明妃娘娘、大勇皇子、星雨公主のお帰りを心よりお待ちしておりました。道中お疲れのことと存じます。どうぞこちらへ」
一通り挨拶をした後、山琴が応接室に芳妃たちを案内した。
大勇皇子は偉仁の弟である。侍女に手を引かれながら、子どもらしくちらちらと周りを見回している様子がかわいらしく映った。明玲の異父妹である星雨公主は緊張した面持ちで侍女に手を引かれていた。早く慣れたらいいなと明玲は思った。
応接室では山琴、偉仁の最初の妾妃である令妃と明玲が芳妃たちをもてなした。
芳妃と明妃はお茶に口をつけると、ほうっと息を吐いた。
「偉仁が妾たちを受け入れてくれて本当によかったわ。これから厄介になるわね。できるだけ口を出さないようにするからよろしく」
「芳妃娘娘。そうおっしゃらずに、これからもよろしくご指導ください」
「そう? 先に言っておくけど、大勇はもう皇子ではないし、星雨も公主ではなくなったわ。私たちも皇帝の妾妃ではなくなった。これからはただの家族よ。そのつもりでお願いね」
「芳妃娘娘、明妃娘娘、ありがとうございます。部屋は離れにご用意しました。後ほど案内させます」
基本話すのは芳妃と山琴で、明玲の母の明妃はにこにこしているだけだ。大勇と星雨は侍女に点心をもらいもぐもぐと無言で食べていた。
「ああそうだわ、明玲。偉仁と結婚したのでしょう? 遅れてしまったけど、結婚おめでとう。これからも仲良くしてね」
芳妃が思い出したように明玲の手を取った。
「芳妃娘娘、ありがとうございます。私も……ご報告が遅れて申し訳ありません……」
「そんなことはいいのよ。それよりもできるだけ早く孫が見たいわ。どうかよろしくね」
「は、はい……」
笑顔の芳妃とは対照的に明玲の顔は引きつってしまった。
「玉芳、子は授かりものよ。あまり私の娘をいじめないでちょうだい」
そこに助け舟のように明妃が口を開いた。
「あら、いじめてなんかいないわ。次の蘇王には偉仁の子がなるべきよ。大勇には継がせられないわ」
「玉芳、それは妾たちが決めることではないわ」
にこやかだが何か恐ろしい物を見ているようで、明玲はどうしたらいいのかと山琴たちを窺った。
「芳妃娘娘、明妃娘娘、失礼ですが、部屋の準備が整ったそうです。どうなさいますか?」
侍女に耳打ちされた山琴が声をかけると、二人は矛を収めた。
「そうね、この話は偉仁が戻ってからにしましょう。恵明、参りましょう」
芳妃は明妃の手を取って立ち上がった。大勇と星雨はそれぞれ侍女が手を取った。
相変わらず二人は仲がいい。だからこそ明玲は偉仁と共になることができたのだ。
(哥との子、できたらいいな……)
明玲は山琴たちと共に二人を見送りながら願った。
※玉芳は芳妃の本名。恵明は明妃の本名です。
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