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135.練兵場へ行きました
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武官はそれなりの早さで歩いているみたいだった。
なんか周りの景色が早く過ぎていく気がするのだ。それに雷月も俺を抱きながら普通に付いていっているように見えるけど、きっと魔法を使っているんだろうなと思った。
多分純粋な腕力とか筋力でいったら雷月が一番弱いんじゃないだろうか。もしかしたら俺、雷月をお姫様だっこできるかも? あ、でもどうなんだろうな。巨人族の身体の重さとかがわからないからそういうことは聞いてからの方がいいかも。ちょっとだけわくわくしてきた。
「芳さま?」
「ん?」
「なにか……今変なことを考えませんでしたか?」
「ええっ!?」
なんでわかったんだろう。俺はだらだらと冷汗をかいた。
「へ、変なことって?」
「芳さまが楽しいならばかまいませんけどね?」
なんか怖い。俺は雷月の胸に顔をすり寄せた。またおまんこ躾けられちゃったらたいへんだし。そう思ったら尻穴がきゅんと疼いた。
だめだめっ。忘れろ忘れろ。
どうにか身体に言い聞かせているうちに練兵場とかいう場所に着いたようだった。
「わぁ……」
一言で言って、すごい広さだった。ここってどれぐらいの広さがあるんだろう。
「広い、ね……」
「練兵場だからな。これぐらいの広さがないと大規模な訓練は難しい」
文浩が答えてくれた。
「こちらで少々お待ちください」
武官はそう言って、兵士たちが集まっている方に向かった。別に急いでいるようには見えないのだけど、けっこうな速さで向かっているらしいというのはわかった。そういう走り方とかあるのかな。文浩と建文が俺の前にいる。後ろには西文がいる。なんか守られているような構図だなと思った。
実際守られているんだろうけど。
なんか偉そうなおじさんがやってきた。武官を後ろに従えてササササーッて音がしそうなかんじで。走ってるっていうのかな、あれ。
「皇子殿下」
そのおじさんは文浩の手前二メートルほどのところで止まると拱手した。文浩もでかいと思っているんだけど、この人更にでかくない? 俺は内心冷汗をかいた。
「よい。挨拶は不要だ。紹介しておこう、弟の建文、西文、そして雷月と妻だ」
「皇子殿下、並びに妃殿下にお会いできたこと、誠の誉れにございますれば……」
「いらぬ。芳、こちらは成青(チョンチン)将軍だ。あそこにいる士兵(兵士)を統率している」
「あ……初めまして」
文浩に紹介されて俺は雷月に抱かれたまま挨拶した。本当は下りた方がいいのだろうけど、頼んでも絶対に下ろしてもらえなさそうだったからそのままで。
将軍は俺を見て、一瞬ぐっと目を見開いた。大人の魅力が溢れてるなって思うようなとても逞しいおじさんだけど、怖いって思った。
「妃殿下は恥ずかしがり屋でいらっしゃるのか?」
将軍が笑って尋ねた。でも目が笑ってないよー、怖いよー。
じっと見られるのなんかやだ。身体を舐め回されているような不快感に、俺は身を震わせた。文浩が俺を隠すように前に出た。
「そんなことはない。我らが妻を誰にも見せたくないだけだ。成将軍、そのような目で妻を見るのはやめていただきたい」
「申し訳ありません。妃殿下がとても小さく見えましたもので」
文浩は嘆息した。
「妻は人だ。我ら巨人族とは違う」
「そうでございましたか。失礼しました」
そうだよな、と遠い目をしたくなった。俺はこの国では小さいのだ。元の世界では190cmもあって、筋肉ムキムキだったからどちらかといえば怖がられていたのだけど、ここは巨人族の国だから俺が怖がる側になっている。情けないかもしれないけど、でかいって単純に強いのだ。
「人の身で皇子殿下を受け入れるのはたいへんではないのですかな?」
やだこのおっさん。セクハラかよ。
「たいへんだろうな。人の妻のことを詮索するな」
「はっ。たいへん失礼いたしました」
慇懃無礼ってこういうことを言うんだろうかとたそがれたくなった。
「皇子殿下は模擬戦のようなことをされたいとおっしゃられていましたので、士官を用意しております。こちらで始められますか?」
「ああ、少し身体をほぐさせてもらうがここでかまわぬ」
「わかりました」
武官がまた兵士たちが集まっているところへ向かった。なんか使いっ走りにされてかわいそうだなと思った。
ほどなくして、三人胸当てをした兵士がやってきた。彼らは剣を二本ずつ持っている。
「皇子殿下……」
「挨拶はいらぬ。身体を少し動かしてから始めさせてもらおう。今回は妻に見せるのが目的だ」
「わかりました!」
柔軟体操でもするのかなと思っていたのだけど、身体をほぐすと言って始めたのは無手での武術だった。建文、西文もそれぞれ足を使ったり拳を使ったりして型をなぞるように兵士たちを攻撃し始めた。
まるで演舞を見ているようで、俺は目を丸くした。
「すごい……かっこいい」
三人とも流れるような動きで、とてもかっこいいと思った。細身だと思った建文も優雅に動く。これで剣を持ったらどんなに美しい動きが見られるのだろうと、俺はわくわくした。
なんか周りの景色が早く過ぎていく気がするのだ。それに雷月も俺を抱きながら普通に付いていっているように見えるけど、きっと魔法を使っているんだろうなと思った。
多分純粋な腕力とか筋力でいったら雷月が一番弱いんじゃないだろうか。もしかしたら俺、雷月をお姫様だっこできるかも? あ、でもどうなんだろうな。巨人族の身体の重さとかがわからないからそういうことは聞いてからの方がいいかも。ちょっとだけわくわくしてきた。
「芳さま?」
「ん?」
「なにか……今変なことを考えませんでしたか?」
「ええっ!?」
なんでわかったんだろう。俺はだらだらと冷汗をかいた。
「へ、変なことって?」
「芳さまが楽しいならばかまいませんけどね?」
なんか怖い。俺は雷月の胸に顔をすり寄せた。またおまんこ躾けられちゃったらたいへんだし。そう思ったら尻穴がきゅんと疼いた。
だめだめっ。忘れろ忘れろ。
どうにか身体に言い聞かせているうちに練兵場とかいう場所に着いたようだった。
「わぁ……」
一言で言って、すごい広さだった。ここってどれぐらいの広さがあるんだろう。
「広い、ね……」
「練兵場だからな。これぐらいの広さがないと大規模な訓練は難しい」
文浩が答えてくれた。
「こちらで少々お待ちください」
武官はそう言って、兵士たちが集まっている方に向かった。別に急いでいるようには見えないのだけど、けっこうな速さで向かっているらしいというのはわかった。そういう走り方とかあるのかな。文浩と建文が俺の前にいる。後ろには西文がいる。なんか守られているような構図だなと思った。
実際守られているんだろうけど。
なんか偉そうなおじさんがやってきた。武官を後ろに従えてササササーッて音がしそうなかんじで。走ってるっていうのかな、あれ。
「皇子殿下」
そのおじさんは文浩の手前二メートルほどのところで止まると拱手した。文浩もでかいと思っているんだけど、この人更にでかくない? 俺は内心冷汗をかいた。
「よい。挨拶は不要だ。紹介しておこう、弟の建文、西文、そして雷月と妻だ」
「皇子殿下、並びに妃殿下にお会いできたこと、誠の誉れにございますれば……」
「いらぬ。芳、こちらは成青(チョンチン)将軍だ。あそこにいる士兵(兵士)を統率している」
「あ……初めまして」
文浩に紹介されて俺は雷月に抱かれたまま挨拶した。本当は下りた方がいいのだろうけど、頼んでも絶対に下ろしてもらえなさそうだったからそのままで。
将軍は俺を見て、一瞬ぐっと目を見開いた。大人の魅力が溢れてるなって思うようなとても逞しいおじさんだけど、怖いって思った。
「妃殿下は恥ずかしがり屋でいらっしゃるのか?」
将軍が笑って尋ねた。でも目が笑ってないよー、怖いよー。
じっと見られるのなんかやだ。身体を舐め回されているような不快感に、俺は身を震わせた。文浩が俺を隠すように前に出た。
「そんなことはない。我らが妻を誰にも見せたくないだけだ。成将軍、そのような目で妻を見るのはやめていただきたい」
「申し訳ありません。妃殿下がとても小さく見えましたもので」
文浩は嘆息した。
「妻は人だ。我ら巨人族とは違う」
「そうでございましたか。失礼しました」
そうだよな、と遠い目をしたくなった。俺はこの国では小さいのだ。元の世界では190cmもあって、筋肉ムキムキだったからどちらかといえば怖がられていたのだけど、ここは巨人族の国だから俺が怖がる側になっている。情けないかもしれないけど、でかいって単純に強いのだ。
「人の身で皇子殿下を受け入れるのはたいへんではないのですかな?」
やだこのおっさん。セクハラかよ。
「たいへんだろうな。人の妻のことを詮索するな」
「はっ。たいへん失礼いたしました」
慇懃無礼ってこういうことを言うんだろうかとたそがれたくなった。
「皇子殿下は模擬戦のようなことをされたいとおっしゃられていましたので、士官を用意しております。こちらで始められますか?」
「ああ、少し身体をほぐさせてもらうがここでかまわぬ」
「わかりました」
武官がまた兵士たちが集まっているところへ向かった。なんか使いっ走りにされてかわいそうだなと思った。
ほどなくして、三人胸当てをした兵士がやってきた。彼らは剣を二本ずつ持っている。
「皇子殿下……」
「挨拶はいらぬ。身体を少し動かしてから始めさせてもらおう。今回は妻に見せるのが目的だ」
「わかりました!」
柔軟体操でもするのかなと思っていたのだけど、身体をほぐすと言って始めたのは無手での武術だった。建文、西文もそれぞれ足を使ったり拳を使ったりして型をなぞるように兵士たちを攻撃し始めた。
まるで演舞を見ているようで、俺は目を丸くした。
「すごい……かっこいい」
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