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20.王妃様とお茶会らしいです
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しっかし、いくら自分の息子に嫁いだからっていきなりお茶会に呼び出すとかハードル高くないですか? せめて声をかけた翌日にするとかそういう気遣いはないのかとかちょっと考えてしまった。
んで、王妃とのお茶会の席である。私はヴィクトーリア様の後ろに控えるようにして顔を伏せて立っていた。私は空気、私は空気。誰も私のことは気にしていない、はず。
「ねぇヴィクトーリア」
「はい、王妃様」
王妃様はヴィクトーリア様を隣に座らせてにこやかに声をかける。こんなに近くにいてもヴィクトーリア様が男性と気づかないって。どんだけ彼の魔法の効果が高いのか、はたまた王家の人間がゆるゆるなのかと現実逃避してしまう。
王妃様はこれ見よがしに扇子で鼻から下を覆った。
「……空気が悪いわ。そこの侍女を部屋に戻してもらえないかしら?」
そこの侍女って絶対私だよね! 聞いてないフリ。私は石。そう石ころなのよ! だから傷ついたりしないもん。
するとヴィクトーリア様は悲痛な表情をした。
「まぁ、それはいけませんわ。申し訳ありませんが、ローゼと私は一心同体ですの。ですから、せっかくのお誘いでしたけれども私も戻らせていただきますわ」
王妃の言に対してヴィクトーリア様がさらりととんでもないことを言った。
一心同体って何ー? そんなこと聞いてないよおおおお!
王妃の口元が一瞬ひくりとした。
こわいよー。王妃様こわいよー。
「まぁ、ヴィクトーリア……ただの冗談よ。ここの空気が悪かったら国中の空気が悪いことになってしまうわ」
「ええ、きっと」
すっごくきつい視線を感じる。それも王妃様からだけじゃなくて、周りから超敵意が集まってるよ。助けてヴィクトーリア様!
ヴィクトーリア様は嘆息した。
「……王妃様の憂い、私にとっても無縁ではありませんわ」
「まぁ……ヴィクトーリアに何がわかるというの?」
「ローゼとはずっと仲良くしてきましたけれど、ローゼは男爵家の令嬢でございましょう? ですから、きっと逆らえなかったのだと思います。この子はとても真面目ですから……」
王妃の目が途端に吊り上がった。きゃー、こわーい。
「……では、その娘には一切の非はないとでもいうつもり?」
それを聞いて、この王妃様は腹芸ができない方なのだなということがわかった。私のことは王太子に取り入ろうとする悪者にしか見えないんだろう。まぁ実際そうだったんだけどね。卒業記念パーティーの直前までは。
「王妃様、冷静になってくださいませ。たかが男爵令嬢が、王家の方に逆らえるとでも本当に思っていらっしゃるの?」
「……それは……」
王妃様は口ごもった。
「ですから私の侍女にしたのです。私の側に、常にいる者にあだなす存在などありえないでしょう?」
「……それは、全てということね?」
「はい。指一本触れさせはしませんわ」
「ではヴィクトーリアを信じましょう。このクッキーはおいしいわよ」
「ありがとうございます、いただきます」
さっきまで悪い笑みを浮かべていた人たちが、いきなりにこやかになるとそのギャップに引くよね。
「ローゼ、といったかしら?」
「は、はははいいっ!?」
いきなり王妃様に声をかけられて私はピーン! とまっすぐになった。
「あら、面白いわね。ヴィクトーリアの隣に腰掛けなさい。誰ぞ、この者にお茶を」
「かしこまりました」
そんなわけで、何故か私もお仕着せのままお茶会に参加することになってしまいました。ああうう胃がきりきりする。
お茶もお茶菓子も勧められるままに食べてしまったけど、特に毒みたいなのは入っていなかったようです。生きててよかった。
そうしてお茶会を終えた頃、
「母上に目通りを願います」
王太子がやってきた。そういえば練兵場に行くとかなんとか言ってた気がする。
「まぁアルノルトどうしたの? もうお茶会は終りますよ?」
「ごきげんよう母上。実はヴィクトーリアたちに私が鍛えているところを見てもらおうと思っていましてね」
王太子が礼をとり、ここへきた理由を話した。それに王妃様は呆れたような顔をした。
「アルノルト……女性にそのような野蛮な姿を見せるものではないわ。明日は商人がくるから同席なさい。ヴィクトーリアに素敵なものを買ってあげるのよ」
「……わかりました」
王太子はあからさまに嫌そうな顔をした。確かに女性の買物に付き合わされるのはたいへんだよね。
そんなわけで私たちは練兵場へは行かなくていいことになった。王太子はともかく、騎士とかが身体を鍛えてるところとかちょっと見たかったな。ほんの少しだけそのことは残念に思った。
んで、王妃とのお茶会の席である。私はヴィクトーリア様の後ろに控えるようにして顔を伏せて立っていた。私は空気、私は空気。誰も私のことは気にしていない、はず。
「ねぇヴィクトーリア」
「はい、王妃様」
王妃様はヴィクトーリア様を隣に座らせてにこやかに声をかける。こんなに近くにいてもヴィクトーリア様が男性と気づかないって。どんだけ彼の魔法の効果が高いのか、はたまた王家の人間がゆるゆるなのかと現実逃避してしまう。
王妃様はこれ見よがしに扇子で鼻から下を覆った。
「……空気が悪いわ。そこの侍女を部屋に戻してもらえないかしら?」
そこの侍女って絶対私だよね! 聞いてないフリ。私は石。そう石ころなのよ! だから傷ついたりしないもん。
するとヴィクトーリア様は悲痛な表情をした。
「まぁ、それはいけませんわ。申し訳ありませんが、ローゼと私は一心同体ですの。ですから、せっかくのお誘いでしたけれども私も戻らせていただきますわ」
王妃の言に対してヴィクトーリア様がさらりととんでもないことを言った。
一心同体って何ー? そんなこと聞いてないよおおおお!
王妃の口元が一瞬ひくりとした。
こわいよー。王妃様こわいよー。
「まぁ、ヴィクトーリア……ただの冗談よ。ここの空気が悪かったら国中の空気が悪いことになってしまうわ」
「ええ、きっと」
すっごくきつい視線を感じる。それも王妃様からだけじゃなくて、周りから超敵意が集まってるよ。助けてヴィクトーリア様!
ヴィクトーリア様は嘆息した。
「……王妃様の憂い、私にとっても無縁ではありませんわ」
「まぁ……ヴィクトーリアに何がわかるというの?」
「ローゼとはずっと仲良くしてきましたけれど、ローゼは男爵家の令嬢でございましょう? ですから、きっと逆らえなかったのだと思います。この子はとても真面目ですから……」
王妃の目が途端に吊り上がった。きゃー、こわーい。
「……では、その娘には一切の非はないとでもいうつもり?」
それを聞いて、この王妃様は腹芸ができない方なのだなということがわかった。私のことは王太子に取り入ろうとする悪者にしか見えないんだろう。まぁ実際そうだったんだけどね。卒業記念パーティーの直前までは。
「王妃様、冷静になってくださいませ。たかが男爵令嬢が、王家の方に逆らえるとでも本当に思っていらっしゃるの?」
「……それは……」
王妃様は口ごもった。
「ですから私の侍女にしたのです。私の側に、常にいる者にあだなす存在などありえないでしょう?」
「……それは、全てということね?」
「はい。指一本触れさせはしませんわ」
「ではヴィクトーリアを信じましょう。このクッキーはおいしいわよ」
「ありがとうございます、いただきます」
さっきまで悪い笑みを浮かべていた人たちが、いきなりにこやかになるとそのギャップに引くよね。
「ローゼ、といったかしら?」
「は、はははいいっ!?」
いきなり王妃様に声をかけられて私はピーン! とまっすぐになった。
「あら、面白いわね。ヴィクトーリアの隣に腰掛けなさい。誰ぞ、この者にお茶を」
「かしこまりました」
そんなわけで、何故か私もお仕着せのままお茶会に参加することになってしまいました。ああうう胃がきりきりする。
お茶もお茶菓子も勧められるままに食べてしまったけど、特に毒みたいなのは入っていなかったようです。生きててよかった。
そうしてお茶会を終えた頃、
「母上に目通りを願います」
王太子がやってきた。そういえば練兵場に行くとかなんとか言ってた気がする。
「まぁアルノルトどうしたの? もうお茶会は終りますよ?」
「ごきげんよう母上。実はヴィクトーリアたちに私が鍛えているところを見てもらおうと思っていましてね」
王太子が礼をとり、ここへきた理由を話した。それに王妃様は呆れたような顔をした。
「アルノルト……女性にそのような野蛮な姿を見せるものではないわ。明日は商人がくるから同席なさい。ヴィクトーリアに素敵なものを買ってあげるのよ」
「……わかりました」
王太子はあからさまに嫌そうな顔をした。確かに女性の買物に付き合わされるのはたいへんだよね。
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