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21.毒が無効になる魔法ってなんだろう
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王妃様が私を嫌いなのは変わりないと思う。なのでできるだけ刺激しないようにヴィクトーリア様の影に隠れるのが基本だ。決して出しゃばってはならない。許しもなく口をきいてもいけない。私は侍女、そう侍女なのだ。自分にそう言い聞かせて、ヴィクトーリア様の部屋に戻った時はほっとした。ああもう胃がきりきりする。胃薬ほしい。
「ローゼ、こちらに」
ヴィクトーリア様の髪を少し楽なように結いなおしたら、ソファの隣に座るよう促された。部屋付きの侍女たちの視線がとても痛いので私は部屋の隅にいたいです。
「ローゼ、私たち友達でしょう?」
とても魅力的な笑顔を向けられたけど私は騙されません。友達は朝まで私のことを抱き潰したりしないと思います。でも一介の侍女が王太子妃に逆らえるはずもなく、言われるがままに腰掛けた。そうして侍女が運んできたお茶を飲んだ。うん、おいしい。
前に毒見とか、と聞いたことがあるが一切必要ないとヴィクトーリア様は言っていた。王宮の結界の中ではありとあらゆる毒が無効化されるらしい。どんなチートなんだそれは。
「そうは言っても未知の毒には対応できないが」
「未知の毒、ですか?」
「ああ、今までに王宮で使われたありとあらゆる毒をリスト化して結界を強化しているんだ。だが今までに使われたことのない毒だとすり抜けてしまう可能性はある。だから一応毒見役はいるのだがな」
「そうなんですね」
ただし、結界で毒が無効化されることは王であっても知らないらしい。知っているのは公爵家の人間のみである。
「全てを伝えることがいいことだとは限らない。まぁ、王は薄々感づいてはいるようだが……」
「そうなんですか」
ということは、とか思ってしまう。もし王妃が私の飲み物に毒を入れていたとしても効いていないわけだ。
私は小声でヴィクトーリア様に話しかけた。
「あの……今回のお茶会って……」
「大丈夫だ。犯人は特定できている。いくら王妃の命でも許されん」
やっぱりいいいいい!
どうやら私のお茶には毒が入っていたようだった。王宮こわいいいい。おうち帰りたいいい、って帰るところなんかないよおおおお。すでに私は詰んでいる。
「その……どうなさるのですか?」
「聞きたいか?」
目が笑っていない笑顔がとっても美しくて怖いです。
「いえ、いいです……」
人間知らない方がいいことって沢山あるんだよ!(さわやかな笑顔で)
なんか知ったらひどい目に遭いそうだよね。
「……全く……あまり挿げ替えると人材がいなくなってしまうのだがな……いたしかたないことだ」
ヴィクトーリア様はそう言ってため息をついた。当然ですがこの会話、侍女たちには聞こえていないそうです。聞こえてたら大問題だよね。
今日は王太子が訪ねてこなかった。ヴィクトーリア様と夕食を共にした際、明日から公務だから遠慮すると言っていた。
「そなたの公務にさしつかえるというのは本意ではない」
「お気遣いありがとうございます」
そうなんだよね。本来王太子はそれなりに気づかいの人でもあった。でも私に出会ったことで変わられてしまった。ってことは私が悪いんだろうか。
「公務の様子を見て、明日の夜以降は判断しよう。それでいいか?」
「はい、ありがとうございます」
ヴィクトーリア様はそっと礼ををとった。私にはドレスを着た美しい男性にしか見えないんだけど、王太子には以前私が見ていたヴィクトーリア様に見えているわけだよね。そう考えると複雑だなぁと思った。
そんなわけで今夜はお役御免だと思ったのに、何故か私はまたベッドに押し倒されています。
「あ、あのあのっ! 何故私は今ヴィクトーリア様に押し倒されているのでしょうかっ!?」
「ローゼの顔を見たら抱きたくなった」
「そんなあぁ~~」
朝までとはいかなかったけど、またそれなりの時間ヴィクトーリア様に抱かれてしまった。なんでだ。
「ローゼ、こちらに」
ヴィクトーリア様の髪を少し楽なように結いなおしたら、ソファの隣に座るよう促された。部屋付きの侍女たちの視線がとても痛いので私は部屋の隅にいたいです。
「ローゼ、私たち友達でしょう?」
とても魅力的な笑顔を向けられたけど私は騙されません。友達は朝まで私のことを抱き潰したりしないと思います。でも一介の侍女が王太子妃に逆らえるはずもなく、言われるがままに腰掛けた。そうして侍女が運んできたお茶を飲んだ。うん、おいしい。
前に毒見とか、と聞いたことがあるが一切必要ないとヴィクトーリア様は言っていた。王宮の結界の中ではありとあらゆる毒が無効化されるらしい。どんなチートなんだそれは。
「そうは言っても未知の毒には対応できないが」
「未知の毒、ですか?」
「ああ、今までに王宮で使われたありとあらゆる毒をリスト化して結界を強化しているんだ。だが今までに使われたことのない毒だとすり抜けてしまう可能性はある。だから一応毒見役はいるのだがな」
「そうなんですね」
ただし、結界で毒が無効化されることは王であっても知らないらしい。知っているのは公爵家の人間のみである。
「全てを伝えることがいいことだとは限らない。まぁ、王は薄々感づいてはいるようだが……」
「そうなんですか」
ということは、とか思ってしまう。もし王妃が私の飲み物に毒を入れていたとしても効いていないわけだ。
私は小声でヴィクトーリア様に話しかけた。
「あの……今回のお茶会って……」
「大丈夫だ。犯人は特定できている。いくら王妃の命でも許されん」
やっぱりいいいいい!
どうやら私のお茶には毒が入っていたようだった。王宮こわいいいい。おうち帰りたいいい、って帰るところなんかないよおおおお。すでに私は詰んでいる。
「その……どうなさるのですか?」
「聞きたいか?」
目が笑っていない笑顔がとっても美しくて怖いです。
「いえ、いいです……」
人間知らない方がいいことって沢山あるんだよ!(さわやかな笑顔で)
なんか知ったらひどい目に遭いそうだよね。
「……全く……あまり挿げ替えると人材がいなくなってしまうのだがな……いたしかたないことだ」
ヴィクトーリア様はそう言ってため息をついた。当然ですがこの会話、侍女たちには聞こえていないそうです。聞こえてたら大問題だよね。
今日は王太子が訪ねてこなかった。ヴィクトーリア様と夕食を共にした際、明日から公務だから遠慮すると言っていた。
「そなたの公務にさしつかえるというのは本意ではない」
「お気遣いありがとうございます」
そうなんだよね。本来王太子はそれなりに気づかいの人でもあった。でも私に出会ったことで変わられてしまった。ってことは私が悪いんだろうか。
「公務の様子を見て、明日の夜以降は判断しよう。それでいいか?」
「はい、ありがとうございます」
ヴィクトーリア様はそっと礼ををとった。私にはドレスを着た美しい男性にしか見えないんだけど、王太子には以前私が見ていたヴィクトーリア様に見えているわけだよね。そう考えると複雑だなぁと思った。
そんなわけで今夜はお役御免だと思ったのに、何故か私はまたベッドに押し倒されています。
「あ、あのあのっ! 何故私は今ヴィクトーリア様に押し倒されているのでしょうかっ!?」
「ローゼの顔を見たら抱きたくなった」
「そんなあぁ~~」
朝までとはいかなかったけど、またそれなりの時間ヴィクトーリア様に抱かれてしまった。なんでだ。
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