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24.昨夜の後始末
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休みだ、とは言われているけどなんか身体を動かさないと落ち着かない。食休みをしてからリックと共に訓練場に行くと残っていた連中に声をかけられた。
「あれ? 今日は休みなんじゃなかったのか?」
「ああ」
連絡はしっかりされているらしい。
残っていた連中の中にリュウがいた。
「なんで出てきてるんだ? リック、口説くんじゃなかったのか?」
「えー、毎日口説いてるよー。何するにしても身体が資本でしょ。訓練だけしてくー」
「そうか。いい心がけだな」
北の森の連中の話はみなしないことから、そこらへんがどういう話になっているのかはわからない。一通り身体を鍛えるとリュウに呼ばれた。
「騎士団長が団長室で待ってるってさ」
「ああ、ありがとう」
タオルで汗を拭き、リックに洗浄魔法をかけてもらってさっぱりしてから団長室へ向かった。背後で、
「洗浄魔法使えるっていいよな~」
と何人かが言っていた。ホント、誰でも使える魔法ではないのだ。それをリックが惜しみなく使ってくれることに慣れたらいけないなと思った。
「カイエ、リック参りました。騎士団長、失礼します!」
ノックをして声をかけ、「入れ」と返事があってから扉を開いた。中では騎士団長と副団長が待っていた。
「休みだと伝えておいただろう」
副団長が言う。騎士団長が笑った。
「やはり身体は毎日鍛えんとな! カイエ、リック、身体は大丈夫か」
「「はい!」」
「それならいい。何か少しでも異常を感じたら医務室へ行くように。自力で行けないようなら誰か近くにいる者に声をかけろ」
「はい、ありがとうございます」
そんなにやヴぁい薬を飲まされたのかと冷汗が出た。
「朝には抜けていましたが念の為状態回復魔法はかけました。大丈夫だと思います」
リックが答えた。俺は目を丸くした。いつのまにかけたのだろうか。
「素晴らしい」
騎士団長が素直に称賛する。それだけ魔法が使えるのに、どうしてリックは最近まで騎士に昇進しなかったのだろうと疑問に思った。
「ところで昨夜の件だが」
「はい」
副団長の言に気を引き締める。
「エルク以下北の森に勤務していた者たちは、犯罪奴隷として北の森へ強制送還することになった」
「……はい」
かつて共に酒を酌み交わしたこともある者が何故あんなことをしたのか、俺にはわからない。だが犯罪奴隷にするということは以前から似たようなことをやっていたのだろうということはわかった。
「すいません。犯罪奴隷というのはどういった扱いになるのですか?」
リックが尋ねる。
「あいつらの場合は一生奴隷だ。基本北の森の領主にその扱いは任せることになる。脱走されたら監督官に罰がいくから必死で管理することになるだろう。まぁ、大体は魔物との戦闘で使うか見目がよければ性奴隷になる者もいるだろう。王都へは二度と戻ってこないから安心するといい」
「わかりました。ありがとうございます」
リックが頭を下げた。
「昨夜はお手柄だな。褒美をやりたいと思うが何か希望はあるか?」
やっぱりエルクたちはたびたびああいうことをしていたようだ。苦情があったとしても現行犯逮捕が基本だからエルクたちはうまくもみ消していたのかもしれない。
「いえ、特には……」
「今じゃないんですけど、カイエと結婚したら結婚休暇を一か月ください!」
しんみりしていたのに、リックが全てぶち壊した。
「なんだ、まだ落としてないのか」
副団長が意外そうに言う。アンタもいったいなんなんだよ。
「毎日口説くんで近いうちには!」
「絶対結婚するんだな?」
騎士団長もやめてほしい。
「はい、必ず!」
「ならそれでいいだろう。カイエには、他の褒美を考えてやろう」
「はい……」
「ありがとうございます!」
そうして俺たちは団長室を辞した。精神的に、すごく疲れた気がする。
なんで俺とリックが絶対に結婚することになってるんだよぉ。
「結婚なんて、しないからな……」
「そんなこと言わないでよ。僕、カイエのこと絶対振り向かせてみせるからね」
正直、昨夜のリックはカッコよく見えてどきどきしたのだ。俺を抱いたリックの顔も、いつもと違い雄の顔をしていたと思う。心臓が高鳴ってたいへんだった。
でもだからって結婚したいかっていうとまだ微妙だ。
「身体だけ落とそうったってそうはいかないからな」
「うーん、身体の相性がいいって重要だと思うけど?」
「そりゃあ、そうだけど……。結婚ってそれだけじゃないだろ?」
「うん、僕いっぱい稼ぐよ。カイエがもし子育てで働けなくなったとしても養えるぐらい。でもその場合はシッターさん雇えばいいかな。だから雇えるぐらいお金稼がないとねっ!」
「ううう……」
子どもを産む前提で話をしているのがなんだかなぁと思う。カッコよすぎて惚れてしまいそうだ。
「もちろん、もし子どもが生まれなかったとしても気にしないからね。僕はカイエのことが大好きなんだから!」
「こ、声が大きい!」
慌てて言えば、リックが口に指を当てた。そして食堂のある方向を指さす。示された方向を見たら。
出刃亀か。
何人かの連中の頭が角から少し覗いていた。
「お前らな……」
「カイエにバレたぞー!」
どどどどどと逃げていく連中の特徴から顔を思い浮かべて、俺はその後ソイツらを一人一人殴りに行ったのだった。
「あれ? 今日は休みなんじゃなかったのか?」
「ああ」
連絡はしっかりされているらしい。
残っていた連中の中にリュウがいた。
「なんで出てきてるんだ? リック、口説くんじゃなかったのか?」
「えー、毎日口説いてるよー。何するにしても身体が資本でしょ。訓練だけしてくー」
「そうか。いい心がけだな」
北の森の連中の話はみなしないことから、そこらへんがどういう話になっているのかはわからない。一通り身体を鍛えるとリュウに呼ばれた。
「騎士団長が団長室で待ってるってさ」
「ああ、ありがとう」
タオルで汗を拭き、リックに洗浄魔法をかけてもらってさっぱりしてから団長室へ向かった。背後で、
「洗浄魔法使えるっていいよな~」
と何人かが言っていた。ホント、誰でも使える魔法ではないのだ。それをリックが惜しみなく使ってくれることに慣れたらいけないなと思った。
「カイエ、リック参りました。騎士団長、失礼します!」
ノックをして声をかけ、「入れ」と返事があってから扉を開いた。中では騎士団長と副団長が待っていた。
「休みだと伝えておいただろう」
副団長が言う。騎士団長が笑った。
「やはり身体は毎日鍛えんとな! カイエ、リック、身体は大丈夫か」
「「はい!」」
「それならいい。何か少しでも異常を感じたら医務室へ行くように。自力で行けないようなら誰か近くにいる者に声をかけろ」
「はい、ありがとうございます」
そんなにやヴぁい薬を飲まされたのかと冷汗が出た。
「朝には抜けていましたが念の為状態回復魔法はかけました。大丈夫だと思います」
リックが答えた。俺は目を丸くした。いつのまにかけたのだろうか。
「素晴らしい」
騎士団長が素直に称賛する。それだけ魔法が使えるのに、どうしてリックは最近まで騎士に昇進しなかったのだろうと疑問に思った。
「ところで昨夜の件だが」
「はい」
副団長の言に気を引き締める。
「エルク以下北の森に勤務していた者たちは、犯罪奴隷として北の森へ強制送還することになった」
「……はい」
かつて共に酒を酌み交わしたこともある者が何故あんなことをしたのか、俺にはわからない。だが犯罪奴隷にするということは以前から似たようなことをやっていたのだろうということはわかった。
「すいません。犯罪奴隷というのはどういった扱いになるのですか?」
リックが尋ねる。
「あいつらの場合は一生奴隷だ。基本北の森の領主にその扱いは任せることになる。脱走されたら監督官に罰がいくから必死で管理することになるだろう。まぁ、大体は魔物との戦闘で使うか見目がよければ性奴隷になる者もいるだろう。王都へは二度と戻ってこないから安心するといい」
「わかりました。ありがとうございます」
リックが頭を下げた。
「昨夜はお手柄だな。褒美をやりたいと思うが何か希望はあるか?」
やっぱりエルクたちはたびたびああいうことをしていたようだ。苦情があったとしても現行犯逮捕が基本だからエルクたちはうまくもみ消していたのかもしれない。
「いえ、特には……」
「今じゃないんですけど、カイエと結婚したら結婚休暇を一か月ください!」
しんみりしていたのに、リックが全てぶち壊した。
「なんだ、まだ落としてないのか」
副団長が意外そうに言う。アンタもいったいなんなんだよ。
「毎日口説くんで近いうちには!」
「絶対結婚するんだな?」
騎士団長もやめてほしい。
「はい、必ず!」
「ならそれでいいだろう。カイエには、他の褒美を考えてやろう」
「はい……」
「ありがとうございます!」
そうして俺たちは団長室を辞した。精神的に、すごく疲れた気がする。
なんで俺とリックが絶対に結婚することになってるんだよぉ。
「結婚なんて、しないからな……」
「そんなこと言わないでよ。僕、カイエのこと絶対振り向かせてみせるからね」
正直、昨夜のリックはカッコよく見えてどきどきしたのだ。俺を抱いたリックの顔も、いつもと違い雄の顔をしていたと思う。心臓が高鳴ってたいへんだった。
でもだからって結婚したいかっていうとまだ微妙だ。
「身体だけ落とそうったってそうはいかないからな」
「うーん、身体の相性がいいって重要だと思うけど?」
「そりゃあ、そうだけど……。結婚ってそれだけじゃないだろ?」
「うん、僕いっぱい稼ぐよ。カイエがもし子育てで働けなくなったとしても養えるぐらい。でもその場合はシッターさん雇えばいいかな。だから雇えるぐらいお金稼がないとねっ!」
「ううう……」
子どもを産む前提で話をしているのがなんだかなぁと思う。カッコよすぎて惚れてしまいそうだ。
「もちろん、もし子どもが生まれなかったとしても気にしないからね。僕はカイエのことが大好きなんだから!」
「こ、声が大きい!」
慌てて言えば、リックが口に指を当てた。そして食堂のある方向を指さす。示された方向を見たら。
出刃亀か。
何人かの連中の頭が角から少し覗いていた。
「お前らな……」
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