1 / 1
①
しおりを挟む
私は橋本カオリ、大学2年生。
今日は意見交換交流会とは名ばかりの合コンに来ている。
人数だって5対5で対面で座ってるし。お店は小洒落た居酒屋だし。趣味とか休日の過ごし方とか、免許と車持ってるアピールいれてくるし。
私の隣の席、大学で1番有名な美人だし。
私の右隣の席は壁際の1番奥の端っこになるんだけど、そこには、美人で有名な佐藤さんが座っている。
佐藤キョウコさん、同じ大学の同級生。知らない人はいない程の美人。
女子側幹事の飯田さんにテキパキと席を決められ、私の席はここになった。
「佐藤さん、今日はよろしくね。」
とってつけたような挨拶になったけど、私なりに佐藤さんに歩み寄ろうと思い、席に着いた時に声をかけた。
佐藤さんは、私の顔を真顔で見つめ、真顔のまま
「こちらこそ・・・」
と言った。
私は地味で平凡で、本当は佐藤さんみたいなスクールカースト上位女子と、口を聞くような人間じゃない・・・
今日だって、どうせ引き立て役ぐらいで呼ばれてる。
男子グループは他の大学の生徒で、みんな同じフットサルチームのメンバーらしい。
佐藤さんの正面に座ってる人、すっごいイケメン・・・めちゃくちゃカッコイイ。
私には関係ないけど。どうせ佐藤さん目当てで、そこに座ってるんだろうし。
オーダーした料理とドリンクが来て、とりあえず乾杯して自己紹介して・・・って、ほんと合コンだよね。
左の女子3人は、高い声で男の子達とキャッキャ話してる。今日誘ってくれたのも、あの3人だけど大学で話はしても普段、一緒に遊びに行っことなんてなかった。
私は、あまり友達がいないから、今日誘われて本当は嬉しかった。来てみたら、なるほど、こういうことかって感じ・・・
「佐藤さん、こっちのお料理食べる?良かったら取ろうか?」
私は、佐藤さんに声をかけた。先程から男子達が、佐藤さんに時おり声をかけるが、そっけない返事を返すだけで、にこりともしない。
美人には美人の事情があるのだろう・・・私は、そう思うことにした。
「あっ、・・・じゃあお願い・・・」
佐藤さんは、少し驚いた顔をしたけど、ちゃんと答えてくれた。
良かった・・・無視されないで。
「ありがとう。」
料理をよそったお皿を渡すと、ふんわりと微笑んでくれた。
同性だけどドキッとする。無表情からの笑顔は、刺激が強い。だって、すごい美人だし。
「佐藤さんは、休みの日、何してるの?」
「えっ!?私っ??」
めっちゃビックリしてる。聞いたら、いけないことだっただろうか・・・。
男子達は、私なんて興味ない。その証拠に誰も話しかけてこない。私だって自分のことは分かってる。
佐藤さんと話す機会なんて今日限りだろうから、少し勇気をだして、友達気分を味わってみたい。
「私・・・趣味とかなくて・・・あんまり出掛けたりもしない。橋本さんは?趣味とかあるの?」
「ゲームが好きだから、休みの日は何時間でもしてる!映画も好きだから、ほとんど家の中だよ。」
「どんな映画みるの?」
佐藤さんは自己紹介で名前と学年しか言わなかったから、もう少し知りたかった。私のことを知って欲しいなんて、図々しいことは考えてない。この場限りの友人でも、私は満足だ。
「楽しそうだね?申し訳ないんだけど、僕にもそこの料理、よそってくれないかな?」
突然、佐藤さんの目の前のイケメンが割って入ってくる。私に料理を取り分けてくれだと?
彼は、自己紹介でもフルネームを言わず、ケイイチという名だけ名乗っていた。
怪しい・・・女の子相手に遊んでも足がつかないように偽名でも名乗っているんじゃないだろうか・・・
「はぁ?そんなの貴方の隣の男にでも頼みなさいよ。 」
佐藤さんが、私の代わりに答えてくれたが、余りにも冷たかった。
「女の子と食事するなんて、なかなかないから思い出に、ぜひ♡ね、お願い♡」
「・・・」
え・・・絶対嘘じゃん。こんなセリフ言える人、絶対、女子と食事行きまくりじゃん。
「橋本さん、煩いから料理とってあげてくれる?ごめんね?こんなことさせたくないんだけど・・・」
きっと佐藤さんは、料理は女子が取り分けるものみたいな考えをしない人なんだろうな。私はあんまり気にしないから、そんなに気を使ってくれなくていいんだけどね。
「ぜんぜんいーよ。気にしないで!」
私が、料理をよそったお皿を渡すとケイイチ君はにっこり笑ってお礼を行ってくれた。すっごく女慣れしてそうだけど、やっぱりイケメンだ。
それから、暫く3人で会話していたが、私は御手洗に行きたくなって席を立った。
私が御手洗から出てくると、廊下に幹事の飯田さんが立っていた。もしかして、トイレが空くのを待っていたのだろうか。
「あっ、飯田さん、もしかして御手洗待ってた?ごめ「そろそろ、帰ってくれない?」
「えっ・・・」
私が言葉を言いきらないうちに、飯田さんが被せるように言ってきた。聞き間違えじゃない。
「帰る?」
「うん、キョウコも一緒に連れて帰ってね。もういいから。」
「・・・どうして・・・?」
「キョウコがいるって言ったらハイスペ大学の男子呼べるんだけど、あの子が居たら私達ずっと引き立て役でしょ?まぁ、あのビジュアルの隣に座るのは勘弁だから、橋本さん呼んだんだけど、キョウコが帰るんだったら橋本さんも帰っていいから。」
「そんな・・・」
あまりにも身勝手すぎる。純粋な気持ちで誘われたんじゃないことぐらい分かっていたけど、佐藤さんの隣に座らすためだけに呼ばれたってこと?
「前もって向こうには、キョウコは門限があって途中で帰るって言ってあるから平気よ。じゃあ、席にもどったら、ちゃんとキョウコ帰らせてね。」
何て言えっていうの?私達、もう用済みだから帰りましょう!って?
そんなの言えるわけない・・・
佐藤さんは、この場を楽しんではないかもしれないけれど、初対面なのに私が話しかけたら相手をしてくれた。良い思い出になりそうだった時間が、最悪な形で終わろうとしている・・・
私は飯田さんの後について、とぼとぼと席にもどった。
席にもどっても、どうしていいか分からない。1人で帰れと言われた方がマシだった。
「あの・・・佐藤さん・・・」
「・・・」
とりあえず、佐藤さんに声をかけた。やばい、泣きそう・・・悔しい・・・
佐藤さんは、私をじっと見ると
「私と橋本さん、門限があるから帰るわ。」
すっと席を立って私と自分の荷物を纏めて持つと、私の手を引いてスタスタと歩く。
「えっ、ちょっとっ」
私はビックリしたけど、あの場に残るわけにもいかないから、ついて歩いた。
すると後ろから
「女の子2人じゃ危ないからおくっていくよ。」
と、ケイイチ君の声がした。きっと佐藤さん目当てだ。もぅ、どうでもいいけど・・・。
追いかけてきたケイイチ君に
「好きにすれば?」
と、佐藤さんが言ったので、私達は3人でお店をでた。
後ろの方で、飯田さん達のザワつく声が聞こえたけど、知るもんか。
「ごめんね、佐藤さん。荷物ありがとう・・・」
「帰れって言われたんでしょう?飯田達、いっつもそうだから。」
「え・・・」
「向こうから誘ったくせに、男がいる席では、いつも先に帰らすの。キョウコは美人だから遅くなったら危ないとか、適当な理由つけて。」
私の巻き添えでごめんねって佐藤さんが悲しそうに言うから、私はとうとう我慢できずに泣いてしまった。
「うぇっ、佐藤さんのせいじゃないよぉ~、うぅ~」
佐藤さんは私の背中を撫でてくれて、わざわざ自分のティッシュをくれた。佐藤さんにピッタリのオシャレなティッシュケースに入った、柔らかいタイプのティッシュだった。美人って抜かりない・・・
少しして私が落ち着くと、ほぼ空気みたいになってたケイイチ君が夜の遅い時間でもあいてるカフェがあるからと言うので、そこに向かった。
「最近はね、誘われても参加してなかったんだけどね・・・」
「そうなんだ・・・じゃあ、今日はなんで?」
カフェは、薄暗くて落ち着いてて、他のお客さんの会話の声が適度に聞こえて、いろいろ丁度良い雰囲気だった。
私と佐藤さんは同じカフェラテ、ケイイチ君はホットコーヒーを頼んだ。
「あんなに合コンしてんのに、こいつらまだ彼氏できてないのかって思い始めるとおもしろくなってきて、久々に必死に男に媚びてるとこ見てやろうかなって・・・」
「へぇ・・・」
私を笑わせようとしてくれたのかもしれない。けれど、私はまだメンタルが快復しきってなくて、気の利いた返しもできなかった。
「私、今日、橋本さんが話しかけてくれるとは思わなかったの。貴方が、私の隣に座った時、飯田達に連れてこられて、私の隣を強要したんだって分かったから・・・」
「強要だなんてっ!!」
確かにあの席を指定されたけど、イヤイヤ座ってたわけじゃない。
「無理矢理だったの?ずっと、ニコニコして楽しそうにみえたけど?」
ケイイチ君の言う通り、私は楽しかった。確かに佐藤さんの隣は緊張したけど、佐藤さんと話せるチャンスが嬉しかった。
「私、ずっと佐藤さんの隣に座れたの嬉しかったよ。」
「どうして?飯田達なんて、私の隣の席は押し付けあいよ・・・」
「憧れてたから。佐藤さんと話せるのなんて、きっと今日だけだって思って、勇気だしたの。」
大学の構内を歩く佐藤さんは、どこにいても注目を集めてしまうのに、そんな人の視線をものともせず、堂々していてカッコイイ。
パンプスをカツカツならす、ジーンズの長い足が少し早足で歩いているのを見るのが好きだ。
私は、それを本人に伝えた。まるで告白みたいで、胸がドキドキ痛かった。
「今日だけなんて言わないで ・・・」
「佐藤さん・・・?」
「明日からは話せないの?」
佐藤さんが、私を真剣に見つめている。なんで、そんなこと言ってくれるんだろう・・・今日、私が泣いてかわいそうだったからかな・・・
「ねぇ、橋本さん。良かったらキョウコと友達になってやってよ。僕、今日、君を見ていて思ったんだ。この子は、きっと何の下心もなく自然に人に優しくできるんだって。きっとキョウコも同じ気持ちだよ。」
なんで、この人、佐藤さんのことキョウコって呼んでるの・・・急に馴れ馴れしすぎない?内容が入ってこないよ・・・
「なんで、佐藤さんのこと呼び捨ててるの・・・?」
「えっ!?家族だからだよ。」
「双子なの。私達。言うの忘れてて、ごめんね。」
似てない!!!2人とも整ってるけど、造形は似てない!!
「あんまり、似てないね?」
「うん、よく言われる。今日は、名前でバレないように苗字言わなかったんだけどね。キョウコから飯田さん達の話を聞いて、見てみたくてメンバーに入ったんだ。」
見てみたかったなんて言ったけど、きっとケイイチ君は心配だったんだと思う。
「友達になってほしい・・・」
「・・・私なんかで良いなら・・・」
私と佐藤さんは、付き合い始めるカップルみたいな雰囲気で友達をスタートさせた。ケイイチ君の視線が恥ずかしかった。
「私とケイイチは顔は似てないけど、好みはすごく似てるのよ。昔から・・・。食べ物から洋服、好きな芸能人やアニメのキャクターなんかも。」
ケイイチ君が御手洗に立った後、佐藤さんが教えてくれた。子供の頃の2人なんて、絶対にめちゃくちゃ可愛かったはずだ。写真見てみたい。
「そうなんだ?」
「そうよ。だから、今回も絶対そうなの。」
「今回?」
なんの話だろう?私、なにか聞き逃しちゃったのかもしれない・・・
「双子の感がハズレるはずないもの。」
よく分からないが佐藤さんはやけに深刻そうだった。
今日は意見交換交流会とは名ばかりの合コンに来ている。
人数だって5対5で対面で座ってるし。お店は小洒落た居酒屋だし。趣味とか休日の過ごし方とか、免許と車持ってるアピールいれてくるし。
私の隣の席、大学で1番有名な美人だし。
私の右隣の席は壁際の1番奥の端っこになるんだけど、そこには、美人で有名な佐藤さんが座っている。
佐藤キョウコさん、同じ大学の同級生。知らない人はいない程の美人。
女子側幹事の飯田さんにテキパキと席を決められ、私の席はここになった。
「佐藤さん、今日はよろしくね。」
とってつけたような挨拶になったけど、私なりに佐藤さんに歩み寄ろうと思い、席に着いた時に声をかけた。
佐藤さんは、私の顔を真顔で見つめ、真顔のまま
「こちらこそ・・・」
と言った。
私は地味で平凡で、本当は佐藤さんみたいなスクールカースト上位女子と、口を聞くような人間じゃない・・・
今日だって、どうせ引き立て役ぐらいで呼ばれてる。
男子グループは他の大学の生徒で、みんな同じフットサルチームのメンバーらしい。
佐藤さんの正面に座ってる人、すっごいイケメン・・・めちゃくちゃカッコイイ。
私には関係ないけど。どうせ佐藤さん目当てで、そこに座ってるんだろうし。
オーダーした料理とドリンクが来て、とりあえず乾杯して自己紹介して・・・って、ほんと合コンだよね。
左の女子3人は、高い声で男の子達とキャッキャ話してる。今日誘ってくれたのも、あの3人だけど大学で話はしても普段、一緒に遊びに行っことなんてなかった。
私は、あまり友達がいないから、今日誘われて本当は嬉しかった。来てみたら、なるほど、こういうことかって感じ・・・
「佐藤さん、こっちのお料理食べる?良かったら取ろうか?」
私は、佐藤さんに声をかけた。先程から男子達が、佐藤さんに時おり声をかけるが、そっけない返事を返すだけで、にこりともしない。
美人には美人の事情があるのだろう・・・私は、そう思うことにした。
「あっ、・・・じゃあお願い・・・」
佐藤さんは、少し驚いた顔をしたけど、ちゃんと答えてくれた。
良かった・・・無視されないで。
「ありがとう。」
料理をよそったお皿を渡すと、ふんわりと微笑んでくれた。
同性だけどドキッとする。無表情からの笑顔は、刺激が強い。だって、すごい美人だし。
「佐藤さんは、休みの日、何してるの?」
「えっ!?私っ??」
めっちゃビックリしてる。聞いたら、いけないことだっただろうか・・・。
男子達は、私なんて興味ない。その証拠に誰も話しかけてこない。私だって自分のことは分かってる。
佐藤さんと話す機会なんて今日限りだろうから、少し勇気をだして、友達気分を味わってみたい。
「私・・・趣味とかなくて・・・あんまり出掛けたりもしない。橋本さんは?趣味とかあるの?」
「ゲームが好きだから、休みの日は何時間でもしてる!映画も好きだから、ほとんど家の中だよ。」
「どんな映画みるの?」
佐藤さんは自己紹介で名前と学年しか言わなかったから、もう少し知りたかった。私のことを知って欲しいなんて、図々しいことは考えてない。この場限りの友人でも、私は満足だ。
「楽しそうだね?申し訳ないんだけど、僕にもそこの料理、よそってくれないかな?」
突然、佐藤さんの目の前のイケメンが割って入ってくる。私に料理を取り分けてくれだと?
彼は、自己紹介でもフルネームを言わず、ケイイチという名だけ名乗っていた。
怪しい・・・女の子相手に遊んでも足がつかないように偽名でも名乗っているんじゃないだろうか・・・
「はぁ?そんなの貴方の隣の男にでも頼みなさいよ。 」
佐藤さんが、私の代わりに答えてくれたが、余りにも冷たかった。
「女の子と食事するなんて、なかなかないから思い出に、ぜひ♡ね、お願い♡」
「・・・」
え・・・絶対嘘じゃん。こんなセリフ言える人、絶対、女子と食事行きまくりじゃん。
「橋本さん、煩いから料理とってあげてくれる?ごめんね?こんなことさせたくないんだけど・・・」
きっと佐藤さんは、料理は女子が取り分けるものみたいな考えをしない人なんだろうな。私はあんまり気にしないから、そんなに気を使ってくれなくていいんだけどね。
「ぜんぜんいーよ。気にしないで!」
私が、料理をよそったお皿を渡すとケイイチ君はにっこり笑ってお礼を行ってくれた。すっごく女慣れしてそうだけど、やっぱりイケメンだ。
それから、暫く3人で会話していたが、私は御手洗に行きたくなって席を立った。
私が御手洗から出てくると、廊下に幹事の飯田さんが立っていた。もしかして、トイレが空くのを待っていたのだろうか。
「あっ、飯田さん、もしかして御手洗待ってた?ごめ「そろそろ、帰ってくれない?」
「えっ・・・」
私が言葉を言いきらないうちに、飯田さんが被せるように言ってきた。聞き間違えじゃない。
「帰る?」
「うん、キョウコも一緒に連れて帰ってね。もういいから。」
「・・・どうして・・・?」
「キョウコがいるって言ったらハイスペ大学の男子呼べるんだけど、あの子が居たら私達ずっと引き立て役でしょ?まぁ、あのビジュアルの隣に座るのは勘弁だから、橋本さん呼んだんだけど、キョウコが帰るんだったら橋本さんも帰っていいから。」
「そんな・・・」
あまりにも身勝手すぎる。純粋な気持ちで誘われたんじゃないことぐらい分かっていたけど、佐藤さんの隣に座らすためだけに呼ばれたってこと?
「前もって向こうには、キョウコは門限があって途中で帰るって言ってあるから平気よ。じゃあ、席にもどったら、ちゃんとキョウコ帰らせてね。」
何て言えっていうの?私達、もう用済みだから帰りましょう!って?
そんなの言えるわけない・・・
佐藤さんは、この場を楽しんではないかもしれないけれど、初対面なのに私が話しかけたら相手をしてくれた。良い思い出になりそうだった時間が、最悪な形で終わろうとしている・・・
私は飯田さんの後について、とぼとぼと席にもどった。
席にもどっても、どうしていいか分からない。1人で帰れと言われた方がマシだった。
「あの・・・佐藤さん・・・」
「・・・」
とりあえず、佐藤さんに声をかけた。やばい、泣きそう・・・悔しい・・・
佐藤さんは、私をじっと見ると
「私と橋本さん、門限があるから帰るわ。」
すっと席を立って私と自分の荷物を纏めて持つと、私の手を引いてスタスタと歩く。
「えっ、ちょっとっ」
私はビックリしたけど、あの場に残るわけにもいかないから、ついて歩いた。
すると後ろから
「女の子2人じゃ危ないからおくっていくよ。」
と、ケイイチ君の声がした。きっと佐藤さん目当てだ。もぅ、どうでもいいけど・・・。
追いかけてきたケイイチ君に
「好きにすれば?」
と、佐藤さんが言ったので、私達は3人でお店をでた。
後ろの方で、飯田さん達のザワつく声が聞こえたけど、知るもんか。
「ごめんね、佐藤さん。荷物ありがとう・・・」
「帰れって言われたんでしょう?飯田達、いっつもそうだから。」
「え・・・」
「向こうから誘ったくせに、男がいる席では、いつも先に帰らすの。キョウコは美人だから遅くなったら危ないとか、適当な理由つけて。」
私の巻き添えでごめんねって佐藤さんが悲しそうに言うから、私はとうとう我慢できずに泣いてしまった。
「うぇっ、佐藤さんのせいじゃないよぉ~、うぅ~」
佐藤さんは私の背中を撫でてくれて、わざわざ自分のティッシュをくれた。佐藤さんにピッタリのオシャレなティッシュケースに入った、柔らかいタイプのティッシュだった。美人って抜かりない・・・
少しして私が落ち着くと、ほぼ空気みたいになってたケイイチ君が夜の遅い時間でもあいてるカフェがあるからと言うので、そこに向かった。
「最近はね、誘われても参加してなかったんだけどね・・・」
「そうなんだ・・・じゃあ、今日はなんで?」
カフェは、薄暗くて落ち着いてて、他のお客さんの会話の声が適度に聞こえて、いろいろ丁度良い雰囲気だった。
私と佐藤さんは同じカフェラテ、ケイイチ君はホットコーヒーを頼んだ。
「あんなに合コンしてんのに、こいつらまだ彼氏できてないのかって思い始めるとおもしろくなってきて、久々に必死に男に媚びてるとこ見てやろうかなって・・・」
「へぇ・・・」
私を笑わせようとしてくれたのかもしれない。けれど、私はまだメンタルが快復しきってなくて、気の利いた返しもできなかった。
「私、今日、橋本さんが話しかけてくれるとは思わなかったの。貴方が、私の隣に座った時、飯田達に連れてこられて、私の隣を強要したんだって分かったから・・・」
「強要だなんてっ!!」
確かにあの席を指定されたけど、イヤイヤ座ってたわけじゃない。
「無理矢理だったの?ずっと、ニコニコして楽しそうにみえたけど?」
ケイイチ君の言う通り、私は楽しかった。確かに佐藤さんの隣は緊張したけど、佐藤さんと話せるチャンスが嬉しかった。
「私、ずっと佐藤さんの隣に座れたの嬉しかったよ。」
「どうして?飯田達なんて、私の隣の席は押し付けあいよ・・・」
「憧れてたから。佐藤さんと話せるのなんて、きっと今日だけだって思って、勇気だしたの。」
大学の構内を歩く佐藤さんは、どこにいても注目を集めてしまうのに、そんな人の視線をものともせず、堂々していてカッコイイ。
パンプスをカツカツならす、ジーンズの長い足が少し早足で歩いているのを見るのが好きだ。
私は、それを本人に伝えた。まるで告白みたいで、胸がドキドキ痛かった。
「今日だけなんて言わないで ・・・」
「佐藤さん・・・?」
「明日からは話せないの?」
佐藤さんが、私を真剣に見つめている。なんで、そんなこと言ってくれるんだろう・・・今日、私が泣いてかわいそうだったからかな・・・
「ねぇ、橋本さん。良かったらキョウコと友達になってやってよ。僕、今日、君を見ていて思ったんだ。この子は、きっと何の下心もなく自然に人に優しくできるんだって。きっとキョウコも同じ気持ちだよ。」
なんで、この人、佐藤さんのことキョウコって呼んでるの・・・急に馴れ馴れしすぎない?内容が入ってこないよ・・・
「なんで、佐藤さんのこと呼び捨ててるの・・・?」
「えっ!?家族だからだよ。」
「双子なの。私達。言うの忘れてて、ごめんね。」
似てない!!!2人とも整ってるけど、造形は似てない!!
「あんまり、似てないね?」
「うん、よく言われる。今日は、名前でバレないように苗字言わなかったんだけどね。キョウコから飯田さん達の話を聞いて、見てみたくてメンバーに入ったんだ。」
見てみたかったなんて言ったけど、きっとケイイチ君は心配だったんだと思う。
「友達になってほしい・・・」
「・・・私なんかで良いなら・・・」
私と佐藤さんは、付き合い始めるカップルみたいな雰囲気で友達をスタートさせた。ケイイチ君の視線が恥ずかしかった。
「私とケイイチは顔は似てないけど、好みはすごく似てるのよ。昔から・・・。食べ物から洋服、好きな芸能人やアニメのキャクターなんかも。」
ケイイチ君が御手洗に立った後、佐藤さんが教えてくれた。子供の頃の2人なんて、絶対にめちゃくちゃ可愛かったはずだ。写真見てみたい。
「そうなんだ?」
「そうよ。だから、今回も絶対そうなの。」
「今回?」
なんの話だろう?私、なにか聞き逃しちゃったのかもしれない・・・
「双子の感がハズレるはずないもの。」
よく分からないが佐藤さんはやけに深刻そうだった。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
感想ありがとうございます!!
共感していただけて、嬉しいです!