毎回、イチャついてる間に映画が終わってる。

豆腐屋

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    待って!待って!
今日の啓介さんのウェア、めっちゃ可愛いんだけど!!!

    ゴルフ場のレストランで働く佐柳純也(サヤナギ ジュンヤ)27歳は、厨房から抜け出しこっそりフロアを眺めて驚愕した。
     目線の先には彼の恋人である大石啓介(オオイシ ケイスケ)39歳。同じゴルフ場でコース管理のグリーンキーパーをしている。
     
     純也がゴルフ場に勤めて約2年。他のゴルフ場がどうかは知らないが、恋人の啓介はよく自身の仕事相手とラウンドしている。
    仕事に使う薬品や道具の業者だったり、他のゴルフ場の従業員だったり、何かと一緒にラウンドする機会が多いようだった。
    
    このゴルフ場に就職して半年で純也は啓介を好きになり猛アタックして恋人の座をもぎ取り、今も溢れんばかりの重い愛情を注ぎ続けている。

    その最愛の人の本日のゴルフウェアが、純也の予想を裏切ったのだ。
    良い意味で。

    なにあれ、可愛すぎる・・・前から思ってたけど、啓介さんって私服よりゴルフウェアの方がオシャレなのなんで・・・

    別に純也は啓介の私服をダサいと思っているわけではない。ものすごくシンプルなだけで。ほとんど柄物を着ないし、着心地の気に入ったものを色違いで何枚も持ってたりすることに驚いただけだ。

    今日の啓介のゴルフウェアは、夏を先取りしたようなマリンルックで、ネイビーブルーと白色が大変爽やかだ。
    サイズの合ったポロシャツは白地に、紺色のインクを手書きでペイントしたような掠れたボーダー柄で、ボトムは真っ白なクロップドパンツで引き締まった足首が見えている。

    俺といる時、あんなの絶対着ないのに・・・

    啓介のウェア姿は、結構な確率で純也の性的な部分にヒットするのだ。冬場のダウンベスト姿もやたら可愛らしかった。普段、見れないだけに希少価値もついてくる。  

 今日のラウンドは事前に聞いていたが、どんなウェアを着るかまでは知らない。今までは陰ながら当日に見て一喜一憂していたが、自分以外の人前で魅力的な格好をされると恋人としては心配だ。
 これからは、前日に確認させてもらってもいいだろう。恋人特権で。

    少し前にラウンド後の啓介と事に及んだ時のことを思い出す。
   愛する人との行為はいつだって最高に幸せで気持ち良い。相手にもそうであってほしいと思う。

     啓介の同業者で同い年の親友、伊集のナイスアシストのおかげで意外な一面を知ることが出来き、仕事終わりに浮かれた気分のまま啓介の家に向かった純也と帰宅した啓介がほぼ同じタイミングになった。
    ラウンド後にシャワーを浴びずに帰宅した啓介は、純也にとっては酷く唆られるゴルフウェア姿のままという嬉しいサプライズだった。

     あの黒いウェアも良かったなぁ・・・アスリート系だけど、派手な色が入ってて少しヤンチャな感じで♡



「純也っ!!まだシャワー浴びてないからっっ!」

「そんなの全然平気。」

    啓介の首筋に顔を埋めて、思いっきり匂いを吸い込む。汗をかいたとはいえ、まだ夏のような気温ではない。少しの汗の匂いと啓介の愛用する柔軟剤の香りに興奮した。息がかかって擽ったいのか、啓介は少し身をよじった。

「んんっ♡♡」

「啓介さんっ、俺、めっちゃ嬉しかったです・・・いつも周りに俺達のこと内緒にしろっていうのに、伊集さんには話してくれてたんすね。」

「・・・付き合う前から、お前のこと相談してたから・・・」

    あぁ、可愛い・・・。気まずそうに顔をそらしながらも嘘つかないの本当可愛い。太陽浴びまくって新鮮な空気吸いまくってるから?
 健康的でピュアだよね。
体は大人で、いやらしいけど!!  
 
 純也と啓介の働くゴルフ場は町から外れた山の中にあり、コースの中に入ってしまえば見渡す限り緑一色だ。そこは、日常を忘れさせてくれる。
 日頃の日常から切り離された非日常を提供するため、啓介は毎日、手を抜かず見回りをしメンテナンスしている。 
 二階にあるレストランから見るコース風景は、今日も美しい。
 啓介の努力の証だと思うと、純也は毎日、それが誇らしい。

  
  
 あぁっ、行っちゃう!!俺の可愛い啓介さんが、知らないおじさん達と~!!  

 純也が思いをはせているうちに啓介の休憩時間は終わってしまった。
 平日の客の少ないタイミングだったので、こんなことが許されているが啓介が知ったら顔をしかめるだろう。 
 なので、あくまでこっそりのぞいているのだ。

 今日は、オムライス食べてくれた♡♡
あのマリンな服装でオムライス食べてるの、めっちゃ可愛いかった♡ 
 
 啓介は、今日も純也が担当している洋食メニューを頼んでくれた。プライベートでも、しょっちゅう純也の手料理を食べている啓介がお金を払う時も自分の料理を食べてくれる、純也はそれが心底、嬉しかった。

 専門外だが、純也は啓介のために和食も練習している。何をふるまっても、嘘のない笑顔で美味しいと言ってくれるので甘えそうになるが、本来、和食好きな啓介の好みを探り、より美味しいものを日々目指している。
 喜んでほしいし、幸せにしたいし、単純に美味しいものを食べさせたいし、それに恋愛において胃袋を掴むのは間違いのない策だと思っている。

 今日も啓介さんとこ行くから、夜も俺の料理食べてもらお♡
 食後は、俺が啓介さんもらっちゃうけど♡♡



「啓介さん、今日のウェア、すごく似合ってました♡」

「そうか?」

「啓介さん、普段ああいうの着ないし新鮮で可愛かったです♡♡」

「可愛いとか言うなっ///次から着にくくなるだろっ!」

 純也は住んでるんじゃないかというぐらいの頻度で啓介の家に通っている。
 純也としては、本当は同棲に持ち込みたいのだが、啓介には結婚歴があり、別れた奥さんと一緒に暮らしている娘が二人いて、時折、遊びにくるのだ。
 二人とも大きくなったから、いつまで来てくれるか分からないと父親の顔をする啓介を見て、今は身を引いている。
 いや、純也からしたら同棲してくるところに訪ねてきてくれても、ぜんぜんかまわないのだが。
 啓介の大切にしているものなら受け入れるし、自分も大切にする。

 純也は、啓介の部屋着のTシャツの上から、そっと両手を這わし胸元に置く。素肌に着たTシャツ越しに啓介の体温と肉感が伝わってくる。 

 仕事終わりに純也は啓介の家に来て、いつも通り腕によりをかけた夕食をふるまい、食後は二人でまったり配信サービスの映画を見ていた。
 後ろから啓介を抱き込むと、啓介は当たり前のように純也に体を預けてきた。最初の頃は、すごい勢いで拒否られたが、めげずにチャレンジし続け、今ではあっさり許してくれるようになった。
 この時間、純也が啓介にプレゼントした『全人類をダメにするクッション』は、大いに活躍してくれる。
 最高に気持ちいいクッションに身を預け、腕の中には顔を赤くした愛しい恋人。

「あっ♡あぁっ♡じゅんやっっ♡♡」

 胸に回した手をそのままに純也は啓介の耳の後ろや首周りにキスをし、舌でなめ軽く肌を吸う。

「あっ♡見えるとこに跡をつけるなっ!あんんっ♡」

「啓介さん、明日、休みでしょ?そんなに強くつけないから、一日あったら平気ですって♡」

「あっ、で、でもっ、んっっっ♡♡」

 屋外の仕事をしている啓介の体の見えるところというのは、日にさらされて日焼けしているので薄い跡なら目立たない。
 純也としては、啓介が自分の恋人であるとまではいかなくても、せめてこの人には恋人がいるのだと周りに分かってもらいたい。
 思いにまかせて強く肌を吸った時、痛いと言われ諦めた。

 軽くつけた跡など、一日あれば更に薄れて焼けた肌にまぎれてしまう。
 それに啓介本人が、わずかでも残っていると気になって仕方ないらしく、作業服の下にハイネックのアンダーを着て隠してしまうのだ。

「あっ♡」

 純也が啓介の胸をTシャツの上から揉んだ。日頃の肉体労働で鍛えられた胸筋がムニュリと形を変える。
 上背のある純也は手も大きく、すっぽりと啓介の胸元を隠してしまう。
 
「啓介さんの、雄っぱい気持ちいい♡♡心配だから、あんまり強調する服着ないでくださいね?」

「んっ♡そんな服、持ってないっ!」

「たまにゴルフウェアで、ちょっとエロい時ありますもんっ!!この前の黒いやつだって!!」

「黒いやつ?」

 啓介は、自分の胸元にある純也の手に自分の手を重ねた。話をするのに、いったん止まれという意味なのだが後ろにいる純也には、とんでもなかった。

 えっ、可愛い・・・

 両手を自分の胸に、しかも純也の手に重ねて振り返っての上目遣い。

「・・・伊集さんとラウンドしてた時のウェア・・・」

 暴力的に可愛いものだから、なんだか片言みたいになってしまった。だが、見ないのはもったいないので純也は、瞬きも忘れ啓介をガン見する。

「あ・・・あれか・・・あれ・・・」

 分かってくれたのだろうか?急に目をそらして俯いた啓介の耳が赤い。先程までのイチャイチャのせいではないだろう。

「思い出してくれました?今日のマリンな啓介さんは最高に可愛いかったけど、あのウェアの啓介さんはセクシーで、ちょっとイヤらしかったです。」
 
「・・・普通のウェアだろ!もう何度も着てるし!」

 ウェア単体で見たら普通かも知れないが、服と言うものは着る人によって左右されるのだ。
 分かってほしい。

 それに、その耳が赤いのは、あの日、自分があのゴルフウェアを着たままだった啓介に飛び付いて、シャワーも浴びずに1ラウンド終えたのを思い出したからではないのか?

「ひっん♡」

 急に耳を舐められ啓介が、大きく体を揺らす。

「着るなとは言いません。似合ってますし・・・」

「あっ♡まっ、てぇ♡」

 啓介の耳に舌を這わせながら、再び、純也の手が動きだす。
 温かな肉感を楽しむように揉んでいると、手のひらに小さな突起があたる。Tシャツ上から、軽く摘んで捏ねた。

「んんっっ♡♡」

「俺、どんな啓介さんも大好きだけど、あの日の啓介さんは特別でした。レストランに来た時から、今日のウェア、なんかエロいなぁーって思ってたのに、伊集さんの手助けがあったとはいえ、啓介さん、めっちゃ可愛いし・・・」

 友人に純也のことを話しているのがバレて恥ずかしがったり、素直になれと言われて人前なのに恋人を匂わせる言葉を言ってくれたり、情事の時もいつもより素直だったりと、とにかくあの日の啓介は純也にとっては特別だった。
 なんなら供給過多だった。

 次の日には、いつもの啓介さんだったけどね・・・

「やっ♡あっ♡」

 純也が指の腹で突起をくすぐると、思わずといった感じで啓介が純也の手をぎゅっとにぎる。
 そういった小さなことにも、純也は心をくすぐられてしまう。

「あっ、あの日なら、お前だって・・・」

 ん?俺?
まぁ、すっごい浮かれてたし興奮してたから、いつもと違ったかもしれない・・・
 でも、あんな啓介さん見たら仕方なくないか?

「・・・すごく格好良かった・・・///」

「えっ・・・えっ・・・ええっー!?」

 どういうこと?俺が?格好良かったの?
いつ?どこ?どの俺?

「・・・啓介さん・・・それって、いつの俺が?」

「ナポリタン、持ってきてくれた時の仕事中着てる白いやつ・・・」

 純也はあの日、啓介と伊集の二人きりのラウンドが心配で、二人の座るテーブルに自分の作ったナポリタンを自分で配膳した。
 二人きりなのも心配だし、ウェアはセクシーでエロいし、我慢できずに牽制しに行ったのだ。

「仕事中のお前、初めてちゃんと見たけど格好良かった///」

  ずっと俯いてるし声小さいし、耳だけじゃなく首まで赤くなってるし、純也の手を握りっぱなしの手にはずっと力が入ってる。

「俺のコックコート姿、格好良かったの?」

「コックコート?」

「うん、コックコートっていうんです。仕事中に着てる、あの白いの。」

「格好良かった・・・」

 小さな声で繰り返す啓介に、愛しさが溢れ後ろから抱きしめる。

「ほんと!?めっちゃ嬉しい!!啓介さんが、そう言ってくれるなら、これからも時々、俺が料理持って行きますね♡♡」

 なんなら、毎回、持って行きたい。別デザインのコックコートも持ってるし、新しく買ってもいい。
 何回でも格好良いって思ってほしい。

「それは、やめろ。」

「えっ・・・」

 すっぱり拒否されて、浮かれていた気持ちが一気に沈む。

「目立ってたから、周りの客が見てた。近くの女性客が、自分たちもお前に料理持って来てもらいたいとかって、聞いてきたのを伊集が上手く断ってくれたんだ。」

「そんなことになってたんですか・・・」

 どうやら知らない間に迷惑をかけたらしい、と純也は少し落ち込む。
 
「人気がでたら困るから、あの姿であまり人前に出てほしくない・・・」

 純也は啓介のことばかり気にしているけれど、啓介からしたら純也の方が人から好かれると思う。スラリと長身で顔立ちだって、爽やかで整っている。
 40を目前にした自分より、同世代の魅力的な相手なんていくらでもいるだろう。

 けれど、あの日、事情をよく知る伊集が『あそこまで牽制してくるなんて、愛されてるじゃないか。お前も大事にしてやれよ。』なんて言ってきた。

 啓介は啓介で、さんざん悩み、照れや恥ずかしさで死にそうになりがらも、時には素直に気持ちを伝えようと決めたのだ。
 だが、普段、真面目で男らしく仕事にストイックな啓介の素直になるわずかな機会は、貴重なデレとして純也を更に沼の深みにはまらせていた。

「・・・啓介さん、それってヤキモチ?」

「・・・。」

「ヤキモチですよね?」

「・・・そうだな・・・」

「ふふっ、嬉しい♡啓介さん可愛い♡♡」

 二人が思いを確かめ合っていた間に、見ていたはずの映画はとっくに終わっていた。

「啓介さん、お風呂の準備してくるんで、一緒に入りたいです♡いいでしょ?ね?」

 後ろから抱きしめたまま、届く範囲一面にキスを落としながら、甘えてお願いすると耳を赤くしたまま頷いてくれた。

  やっぱり俺の啓介さんは、最高に可愛い!!
    
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