16 / 24
15
しおりを挟む
一方リュディアスに抱きかかえられたジャスミンは、無事竜の島に到着した。港に降り立つ。二人で出掛けるなんてこともなかったので、ここに来たのは二年ぶりだ。
以前見た時よりは船の数が増えている。ヴァ―リアス王国に荷物を運び入れるためだろう。
「リュディアスさま! おかえりなさいませ」
「その綺麗な人はだれ―?」
「わぁー。人間だ! 初めて見た! 羽がない」
近くで遊んでいたらしい子供たちがわらわらと集まってきて、二人を取り囲む。リュディアスは慕われているらしい。
リュディアスとエリクはたまに他の国に行くこともあるそうだが、基本的に他の竜族は島から出ないので、人間を見たことがないのだろう。
(こんなに慕われるなんて、王としては大事なことだわ)
ジャスミンはこっそりと感心した。
リュディアスは優しく子どもたちを見下ろしながら、頭を順番に撫でてやる。
「オレの番だよ」
「番!? 人間なのに?」
竜王の番が長く見つからなかったことを子どもたちも気にしていたらしく、ジャスミンが番だということを知って、嬉しそうだ。
「いつこの島に来るのー?」
ドレスの裾を引っ張られて、ジャスミンは困ってしまった。結婚の約束もできないのに、島に来る予定もない。
困っているジャスミンを見かねてか、リュディアスが口を挟んできた。
「いつ来られるかは分からないんだ。彼女は王女だからな。そう簡単に結婚できない」
「本物のお姫様なの!」
「だからすごくきれいなドレスなんだね! 触ってもいい?」
子どもたちの関心がドレスに移って、ジャスミンは内心ほっとする。
「ええ。いいわ」
「飾りが壊れないよう優しくな」
好奇心旺盛な子どもたちが少々乱暴に触るのを見かねて、リュディアスが口を出す。
「大丈夫ですよ。うちのお針子は優秀なので、取れても元通り直してもらえますわ。子どもたちが触った程度で取れた飾りならば問題ありません」
「そうか」
ジャスミンが微笑むと、リュディアスもほっとしたように微笑んだ。
「ジャスミンさまばいばーい! また遊ぼうね!」
「ええ。また来るわ」
ひとしきりドレスを触ったり、ジャスミンに質問したりして満足したらしいこどもたちに見送られて、リュディアスとジャスミンは歩きだした。行先は秘密らしい。
時折通りすがりの竜族に軽く挨拶をしながら。
以前見た時よりは船の数が増えている。ヴァ―リアス王国に荷物を運び入れるためだろう。
「リュディアスさま! おかえりなさいませ」
「その綺麗な人はだれ―?」
「わぁー。人間だ! 初めて見た! 羽がない」
近くで遊んでいたらしい子供たちがわらわらと集まってきて、二人を取り囲む。リュディアスは慕われているらしい。
リュディアスとエリクはたまに他の国に行くこともあるそうだが、基本的に他の竜族は島から出ないので、人間を見たことがないのだろう。
(こんなに慕われるなんて、王としては大事なことだわ)
ジャスミンはこっそりと感心した。
リュディアスは優しく子どもたちを見下ろしながら、頭を順番に撫でてやる。
「オレの番だよ」
「番!? 人間なのに?」
竜王の番が長く見つからなかったことを子どもたちも気にしていたらしく、ジャスミンが番だということを知って、嬉しそうだ。
「いつこの島に来るのー?」
ドレスの裾を引っ張られて、ジャスミンは困ってしまった。結婚の約束もできないのに、島に来る予定もない。
困っているジャスミンを見かねてか、リュディアスが口を挟んできた。
「いつ来られるかは分からないんだ。彼女は王女だからな。そう簡単に結婚できない」
「本物のお姫様なの!」
「だからすごくきれいなドレスなんだね! 触ってもいい?」
子どもたちの関心がドレスに移って、ジャスミンは内心ほっとする。
「ええ。いいわ」
「飾りが壊れないよう優しくな」
好奇心旺盛な子どもたちが少々乱暴に触るのを見かねて、リュディアスが口を出す。
「大丈夫ですよ。うちのお針子は優秀なので、取れても元通り直してもらえますわ。子どもたちが触った程度で取れた飾りならば問題ありません」
「そうか」
ジャスミンが微笑むと、リュディアスもほっとしたように微笑んだ。
「ジャスミンさまばいばーい! また遊ぼうね!」
「ええ。また来るわ」
ひとしきりドレスを触ったり、ジャスミンに質問したりして満足したらしいこどもたちに見送られて、リュディアスとジャスミンは歩きだした。行先は秘密らしい。
時折通りすがりの竜族に軽く挨拶をしながら。
0
あなたにおすすめの小説
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
ヤンデレ王子に鉄槌を
ましろ
恋愛
私がサフィア王子と婚約したのは7歳のとき。彼は13歳だった。
……あれ、変態?
そう、ただいま走馬灯がかけ巡っておりました。だって人生最大のピンチだったから。
「愛しいアリアネル。君が他の男を見つめるなんて許せない」
そう。殿下がヤンデレ……いえ、病んでる発言をして部屋に鍵を掛け、私をベッドに押し倒したから!
「君は僕だけのものだ」
いやいやいやいや。私は私のものですよ!
何とか救いを求めて脳内がフル稼働したらどうやら現世だけでは足りずに前世まで漁くってしまったみたいです。
逃げられるか、私っ!
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる