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居場所がバレました
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日が暮れて、オレはアルバートに戻った。
「んー!」
自室で男の服に着替えたオレは伸びをした。
やっぱり男の姿のほうが体が軽い。
女バージョンだと色々重たいんだよな。主に胸とか。胸とか。
軽いノックとともにアナベルが入ってきた。
「リディア様にお客様なのですが、どうされますか。一応応接室にお通ししていますが」
親父が不在なので家長代理であるオレに聞くのは当然のことだ。リディアはオレだし。
「誰?」
リディアに面会の予定などない。というかリディアの所在を知っているのは国王夫妻と殿下だけだし、フツー彼らはこんな辺境の伯爵家を訪れるほど暇ではない。
アポなしなら断ってもいいんだけど一応聞いてみる。
「ブードゥアニ伯爵です」
「……あー」
男バージョンで会いたくねーなー。
女バージョンなら進んで会いたいかと言うのも違うが。
てかなんでここにたどり着いたんだろ?
セシルと話しているのを見たのかもしれない。
断ったら会えるまで突撃されそうだ。……ちょっとからかうか。
コンフェラートは応接室のソファに腰かけて鷹揚に茶を飲んでいた。
この匂い最近仕入れた高い茶葉じゃねーか。
こいつに出すのなんか安いので十分だわ。
そう考えるあたり小さい男だと思う。知ってる。
まあ安いのなんか出したら何言われるか分かんねーけど。
コンフェラートの前に腰かけて、オレはゆったりとした口調で話しかけた。
「当家にいらっしゃったのは初めてですよね?ブードゥアニ様。ご用向きは?」
「相変わらず何も考えてなさそうな、能天気な顔ですね。
私はリディアに面会に来たのであって、今日は君に用はありません」
イラっ。
能天気なんか言われたくねーわ。
お前は突然女体化されてあげく「男と恋愛しろ」なんて言われたことあんのかよ?
ねーだろ。
お前こそお顔がおよろしくて女にはモテるわ、若くして受け継いだ伯爵の事業も上向きみたいで思い通りにならないことなんかなにもなさそうだけど?
若くしてご両親を亡くしたことは大変だと思うが。
「リディアはあいにく外出しています。貴族であれば面会したい旨を事前に書面で送るものではないですか?年頃の令嬢と面会したいならなおさら」
オレの正論にコンフェラートはうぐっと言葉が詰まった様子だった。
ちょっと溜飲が下がった。
「それは……申し訳なかった。気が急いてしまったので」
おお……謝ってきた。
ずいぶん横柄ではあったけど、オレに謝罪するなんて意外だ。
「リディアはあなたに名前しか名乗らなかったと言っていましたが、どうしてここにいることが分かったのですか?」
コンフェラートの眉がぴくっと動いた。
「リディアは他に、私のことを何か言っていましたか?」
いや、こっちが聞いたんですけど。
質問に質問で返すな。
「嫌いみたいですよ」と言ってやってもよかったが、オレは優しいのでやめておく。
「いえ、あとはダンスが楽しかったとだけ」
「……そうですか」
コンフェラートの顔に喜色が混じる。
イラッとしたのでオレはさらに言葉を重ねた。
「殿下とのダンスも楽しかったそうです」
「……そうですか」
見る間にコンフェラートの眉が下がり、あからさまに落ち込んでいる。
あまりの落ち込みように笑えない。
ええー……。
まさかこいつ殿下に嫉妬してるのかな。殿下年下なのに。まあ結婚しようと思えば十分できる年齢であるが。
「リディアと親しいのですか?」
オレにまで嫉妬してるのかな。
一度ダンスしただけで周りの男に嫉妬されまくったらドン引きなんだけど。
親しいっつーか同一人物だし。
「ええ。まあ。親戚なのでそれなりに、ですが」
「……そうですか」
まだ落ち込んでいる。
めんどくせっ。
親戚だったら仲良くて当然だろ。兄妹みたいなもんなんだから。
「でも、あの、オレは妹のようにしか思ってませんし、あちらも兄のようにしか見てませんよ?子供の頃から知っているので」
「……そうですか」
オレのフォローにコンフェラートは元気になった。
「そうですか」の言い方にこんなにバリエーションがあるなんて知らなかったからびっくりだわ。
元気になってもイライラするけど、落ち込まれてるほうが鬱陶しい。
「先ほどの質問ですけど。あなたの妹のセシルとお話しているのを見かけまして。あとで話しかけたら教えてくれましたよ。リディアは遠縁でわけあってしばらくこちらに滞在していると。
すぐお伺いしたかったのですが、あの後仕事が立て込んでいて来られなかったのです」
おい、セシル。
ペラペラ話すな。
そして話してしまったならせめてオレに言え。
「んー!」
自室で男の服に着替えたオレは伸びをした。
やっぱり男の姿のほうが体が軽い。
女バージョンだと色々重たいんだよな。主に胸とか。胸とか。
軽いノックとともにアナベルが入ってきた。
「リディア様にお客様なのですが、どうされますか。一応応接室にお通ししていますが」
親父が不在なので家長代理であるオレに聞くのは当然のことだ。リディアはオレだし。
「誰?」
リディアに面会の予定などない。というかリディアの所在を知っているのは国王夫妻と殿下だけだし、フツー彼らはこんな辺境の伯爵家を訪れるほど暇ではない。
アポなしなら断ってもいいんだけど一応聞いてみる。
「ブードゥアニ伯爵です」
「……あー」
男バージョンで会いたくねーなー。
女バージョンなら進んで会いたいかと言うのも違うが。
てかなんでここにたどり着いたんだろ?
セシルと話しているのを見たのかもしれない。
断ったら会えるまで突撃されそうだ。……ちょっとからかうか。
コンフェラートは応接室のソファに腰かけて鷹揚に茶を飲んでいた。
この匂い最近仕入れた高い茶葉じゃねーか。
こいつに出すのなんか安いので十分だわ。
そう考えるあたり小さい男だと思う。知ってる。
まあ安いのなんか出したら何言われるか分かんねーけど。
コンフェラートの前に腰かけて、オレはゆったりとした口調で話しかけた。
「当家にいらっしゃったのは初めてですよね?ブードゥアニ様。ご用向きは?」
「相変わらず何も考えてなさそうな、能天気な顔ですね。
私はリディアに面会に来たのであって、今日は君に用はありません」
イラっ。
能天気なんか言われたくねーわ。
お前は突然女体化されてあげく「男と恋愛しろ」なんて言われたことあんのかよ?
ねーだろ。
お前こそお顔がおよろしくて女にはモテるわ、若くして受け継いだ伯爵の事業も上向きみたいで思い通りにならないことなんかなにもなさそうだけど?
若くしてご両親を亡くしたことは大変だと思うが。
「リディアはあいにく外出しています。貴族であれば面会したい旨を事前に書面で送るものではないですか?年頃の令嬢と面会したいならなおさら」
オレの正論にコンフェラートはうぐっと言葉が詰まった様子だった。
ちょっと溜飲が下がった。
「それは……申し訳なかった。気が急いてしまったので」
おお……謝ってきた。
ずいぶん横柄ではあったけど、オレに謝罪するなんて意外だ。
「リディアはあなたに名前しか名乗らなかったと言っていましたが、どうしてここにいることが分かったのですか?」
コンフェラートの眉がぴくっと動いた。
「リディアは他に、私のことを何か言っていましたか?」
いや、こっちが聞いたんですけど。
質問に質問で返すな。
「嫌いみたいですよ」と言ってやってもよかったが、オレは優しいのでやめておく。
「いえ、あとはダンスが楽しかったとだけ」
「……そうですか」
コンフェラートの顔に喜色が混じる。
イラッとしたのでオレはさらに言葉を重ねた。
「殿下とのダンスも楽しかったそうです」
「……そうですか」
見る間にコンフェラートの眉が下がり、あからさまに落ち込んでいる。
あまりの落ち込みように笑えない。
ええー……。
まさかこいつ殿下に嫉妬してるのかな。殿下年下なのに。まあ結婚しようと思えば十分できる年齢であるが。
「リディアと親しいのですか?」
オレにまで嫉妬してるのかな。
一度ダンスしただけで周りの男に嫉妬されまくったらドン引きなんだけど。
親しいっつーか同一人物だし。
「ええ。まあ。親戚なのでそれなりに、ですが」
「……そうですか」
まだ落ち込んでいる。
めんどくせっ。
親戚だったら仲良くて当然だろ。兄妹みたいなもんなんだから。
「でも、あの、オレは妹のようにしか思ってませんし、あちらも兄のようにしか見てませんよ?子供の頃から知っているので」
「……そうですか」
オレのフォローにコンフェラートは元気になった。
「そうですか」の言い方にこんなにバリエーションがあるなんて知らなかったからびっくりだわ。
元気になってもイライラするけど、落ち込まれてるほうが鬱陶しい。
「先ほどの質問ですけど。あなたの妹のセシルとお話しているのを見かけまして。あとで話しかけたら教えてくれましたよ。リディアは遠縁でわけあってしばらくこちらに滞在していると。
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