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家探し
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(オレが素直に座ったら喜ぶのかな)
と思わないでもなかったけど、しゃくだったので座らなかった。
「いえ、いいです。失礼しまーす」
断ったオレは、デカいシーズベルト様のベッドの下をしゃがみこんでのぞき込む。
そこはエロ本どころか、ほこり一つない。
「おっかしいなー。別なところなのかな」
定番の隠し場所なのに。
あ、シーズベルト様はおふくろさんもいないみたいだし、堂々と本棚!?
本棚に並ぶ本の背表紙をざっと見渡すが、小難しそうな本のタイトルばかりだ。オレが読めない外国語の本もある。
(中に隠してるのかな?)
オレは適当に一冊抜きだし、パラパラめくってみるが、カバーと中身は一致していた。
それを幾度か繰り返すが、どれも同じだ。
(え?マジかよ?もしかして本当にないの?この人本当に年頃の男かよ?)
オレは思わず驚愕の目でシーズベルト様を見た。
シーズベルト様も明らかに不審な行動をとるオレを怪訝そうに見ている。
「何してるアルバート」
オレは手に持っていた本を本棚に戻した。シーズベルト様の隣に座る。
「エロ本とか隠してねーかなと思って」
飄々としたオレの言葉に、シーズベルト様は心底呆れた顔をした。
「あるわけないだろう」
シーズベルト様はふんと鼻を鳴らした。
(何当然そうに言ってるんだ、この人)
「え?じゃあ今までどうしてたんですか?」
「勝手に女が寄ってくるから、自分でする必要はなかった」
シーズベルト様は自慢げでもなんでもなく、当然のことのように言って、それがまたオレをいら立たせる。
(うっぜ。モテ自慢かよ。あれ、てか)
オレはムッとしてシーズベルト様に詰め寄った。
じぃーっとシーズベルト様を見つめる。
「あんた『好きでもないやつにたつような節操のない男にみられたくない』って言ったじゃないですか。ということは寄ってくる女寄ってくる女、皆好きだったんですか?ずいぶん惚れっぽいんですね?」
言ったのはほんの数時間前だぞ。
忘れてたとは言わせない。ボケてんのか、その若さで。
オレが怒っているのに、シーズベルト様はなぜか嬉しそうに微笑んだ。
「妬いてるのか?可愛いな」
「はぁー?」
オレは熱くなった頬をごまかすように膨らませた。
「はぐらかす気ですか?」
つーかだからオレに「可愛い」なんて言うな。ぜんっぜんうれしくねーから!
「愛撫は一切していない。『それでもいい』というからしただけだ」
男のマグロ?最低じゃねーか。
「アーテルの時は、必要に応じてするが、最後まではしてない。子供ができたり、『認知しろ』だの迫られたらめんどうだからな。したのはリディアだけだ。それじゃだめか?」
「……」
シーズベルト様は切々と訴えてくる。
な、なんかオレが悪いような気がしてくるから大概甘いんだと思う。
「……これからは最後までじゃなくったって、しないでくださいよ。アーテルの時もですよ」
「オレはしない。アーテルのときは……善処する」
シーズベルト様は困り顔で頷いた。
アーテルはなぁ。オレには教えてくれない何やかんやがあるから、一概に「しない」とは言い切れないんだろうなぁ。
いささか不服だったが、それが必要なことであるなら、「やめてくれ」なんて言えない。四六時中一緒にいるわけじゃないのだから、「しない」って言って女を抱いたって、オレにはわかりはしないのに、馬鹿正直だな。
「じゃあいいです。それで」
しぶしぶオレが頷くと、シーズベルト様は困り顔のままオレの頭を撫でた。
「我慢させてすまない」
「いえ」
と思わないでもなかったけど、しゃくだったので座らなかった。
「いえ、いいです。失礼しまーす」
断ったオレは、デカいシーズベルト様のベッドの下をしゃがみこんでのぞき込む。
そこはエロ本どころか、ほこり一つない。
「おっかしいなー。別なところなのかな」
定番の隠し場所なのに。
あ、シーズベルト様はおふくろさんもいないみたいだし、堂々と本棚!?
本棚に並ぶ本の背表紙をざっと見渡すが、小難しそうな本のタイトルばかりだ。オレが読めない外国語の本もある。
(中に隠してるのかな?)
オレは適当に一冊抜きだし、パラパラめくってみるが、カバーと中身は一致していた。
それを幾度か繰り返すが、どれも同じだ。
(え?マジかよ?もしかして本当にないの?この人本当に年頃の男かよ?)
オレは思わず驚愕の目でシーズベルト様を見た。
シーズベルト様も明らかに不審な行動をとるオレを怪訝そうに見ている。
「何してるアルバート」
オレは手に持っていた本を本棚に戻した。シーズベルト様の隣に座る。
「エロ本とか隠してねーかなと思って」
飄々としたオレの言葉に、シーズベルト様は心底呆れた顔をした。
「あるわけないだろう」
シーズベルト様はふんと鼻を鳴らした。
(何当然そうに言ってるんだ、この人)
「え?じゃあ今までどうしてたんですか?」
「勝手に女が寄ってくるから、自分でする必要はなかった」
シーズベルト様は自慢げでもなんでもなく、当然のことのように言って、それがまたオレをいら立たせる。
(うっぜ。モテ自慢かよ。あれ、てか)
オレはムッとしてシーズベルト様に詰め寄った。
じぃーっとシーズベルト様を見つめる。
「あんた『好きでもないやつにたつような節操のない男にみられたくない』って言ったじゃないですか。ということは寄ってくる女寄ってくる女、皆好きだったんですか?ずいぶん惚れっぽいんですね?」
言ったのはほんの数時間前だぞ。
忘れてたとは言わせない。ボケてんのか、その若さで。
オレが怒っているのに、シーズベルト様はなぜか嬉しそうに微笑んだ。
「妬いてるのか?可愛いな」
「はぁー?」
オレは熱くなった頬をごまかすように膨らませた。
「はぐらかす気ですか?」
つーかだからオレに「可愛い」なんて言うな。ぜんっぜんうれしくねーから!
「愛撫は一切していない。『それでもいい』というからしただけだ」
男のマグロ?最低じゃねーか。
「アーテルの時は、必要に応じてするが、最後まではしてない。子供ができたり、『認知しろ』だの迫られたらめんどうだからな。したのはリディアだけだ。それじゃだめか?」
「……」
シーズベルト様は切々と訴えてくる。
な、なんかオレが悪いような気がしてくるから大概甘いんだと思う。
「……これからは最後までじゃなくったって、しないでくださいよ。アーテルの時もですよ」
「オレはしない。アーテルのときは……善処する」
シーズベルト様は困り顔で頷いた。
アーテルはなぁ。オレには教えてくれない何やかんやがあるから、一概に「しない」とは言い切れないんだろうなぁ。
いささか不服だったが、それが必要なことであるなら、「やめてくれ」なんて言えない。四六時中一緒にいるわけじゃないのだから、「しない」って言って女を抱いたって、オレにはわかりはしないのに、馬鹿正直だな。
「じゃあいいです。それで」
しぶしぶオレが頷くと、シーズベルト様は困り顔のままオレの頭を撫でた。
「我慢させてすまない」
「いえ」
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