異世界転生したオレは女体化しました

水無瀬雨音

文字の大きさ
69 / 117

シーズベルトとレオナルド2

しおりを挟む
 レオナルド様の次期国王の座は盤石なものと思いきや、けしてそうではなかった。レオナルド様を産んだ王妃様は正妃でありながら、庶民の出だ。それを心よく思わないものも、少なくなかったのだ。
 大っぴらにではないが、レオナルド様が嫌がらせをされることも少なくなかった。レオナルド様は「捨ておけ」とおっしゃったし、特に命を狙われているとまではいかないものではあったが、エスカレートする可能性は大いにある。
 レオナルド様が王位につくために邪魔になるものがあれば、排除しておきたい。
 それがアーテルを作った理由だった。
 目と髪の色は魔法で変えた。性格も意図的に変えた。性格を変えたのはオレだと気づかれないようにということもあったが、情報を収集したりするのにもともとの性格では適当でなかったからだ。
 もちろんレオナルド様に頼まれたわけではないし、知らせてもいない。聡いあの方は薄々は気づいているだろうが。

 アーテルとして動いて約半年。
 城下町を中心に情報を探り、レオナルド様を狙う輩が裏で非合法の薬を売りさばいているのを突き止めた。レオナルド様への嫌がらせ、非合法の薬の売買。その証拠を突き付ければ、罪に問うのは簡単だ。

 ようやく。ようやくだ。
 黒幕まであと少し、というところに来た。
 
「いい加減、黒幕とアジト吐けばー? そんなに義理立てする必要あんの? 言わないなら確実に殺すよ。黒幕と重要な手がかり吐くんなら殺さないでやるかもね?」

 まぁ吐かないなら吐かないで、別の手はある。調査にかかる時間が増えるだけの違いなのだが。

「くっ……!」

 オレはすでに戦意喪失して転がっている男を蹴飛ばした。
 オレの周りには血だまりと転がっている数人の男。どれもこのまま捨て置けばそのうち死ぬだろう。
 これから自分のすることが、危険なことは分かっている。その上でアルバートにプロポーズしたことは、オレの傲慢でしかない。もしものことを考えたら、すべて終わってからにするのが筋だ。
 それでも、オレはプロポーズした。アルバートが受け入れてくれたなら、生きることに執着できる気がしたから。


 先ほど蹴飛ばした男が動かなくなった。
 加減を間違ったかもしれない。
 ならば次は、別の男に訊くまで。


「アーテル……さ、ま?」

 足を振り上げた時、ふいに聞こえた声。
 聞き覚えのあるその声が、間違いであってほしい、と願った。だが、オレがその声聞き間違えるはずがなかった。

 ……ほら、やっぱり。

 怯えた顔でこちらを見ているのは、オレの最愛の人だった。

しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

美人王配候補が、すれ違いざまにめっちゃ睨んでくるんだが?

あだち
BL
戦場帰りの両刀軍人(攻)が、女王の夫になる予定の貴公子(受)に心当たりのない執着を示される話。ゆるめの設定で互いに殴り合い罵り合い、ご都合主義でハッピーエンドです。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

処理中です...