異世界転生したオレは女体化しました

水無瀬雨音

文字の大きさ
104 / 117

アルバートに贈り物

しおりを挟む
 自室のソファで本を読んでいると、いつものように部屋主か? ってほど遠慮なくアーテルが入ってきた。
 当然のようにオレの隣に座った。なんか普段と違う匂いがする。香水変えたのか?

「はい。どうぞー」

 満面の笑みのアーテルに、後ろ手に持っていたものをほいっと手渡された。

「どうも……」

 反射的に受け取ったものを見ると、可愛らしくラッピングされていて軽い。
 なんだろう。振るとかさかさと軽い音をたてた。

「なんですか、これ」
「ホワイトデーだからねー」
「え、オレあげてませんけど」
「うん、でもオレあげたかったから」

 よかった。てっきり記憶を捏造しちゃったんだと思った。
 ちなみにオレからシーズベルト様へも、リディアからもどっちにもあげてない。
 こういうイベントごとまめじゃなくて、本当すいませんねえ。
「ていうか、こっちの世界だと男からあげるでしょ? だからむしろおくれてごめんね? って感じなんだけど」
「あー、ですよね。つーか、それならオレじゃなくてリディアにあげるべきでは?」

 オレ男だけど。同性同士ならまだしも、オレはリディアになれるんだからそのときに渡すべきでは?
 まあそのへん追求すると、非常にめんどいわけなんだけども。

「後日リディアにも渡すよ? でもたまたま三月十四日今日がアルバートだったから」
「さいですか。ありがとうございます。リディア喜ぶと思いますよ」

 行き先というか、食べるのは結局一人なんだけど。

「開けてもいいですか?」
「もちろん」

 しおりを挟んで本をテーブルに置くと、オレはラッピングを解き始めた。

「おおっ」

 ふたを開けると、現れたのは色とりどりのマカロン。デコレーションもごてごてとすごくて、女ウケ良さそう。今度セシルに渡したら兄として株爆上がりしそうだな。

「気に入ってくれたー?」
「もちろんです。店で買ったんですか? 今度連れてってください」
「いいよー。やったー。デート一回決ーまり」

 嬉しそうにピースサインを作るアーテル。
 いちいちわざとらしいが、一応は嬉しい。

「あとねー、これも」
「わっ!」

 さっとアーテルが背中から差し出してきたのは、花束だった。詳しくないから名前が分からないけど、色とりどりの花。
 香水じゃなくて、花の匂いだったのか。
 オレは花束に顔をうずめた。
 ふんわりと鼻をくすぐる優しい甘い香り。

「オレ、最近庭の一部で花の世話しててさー。きれいに育てたら君とリディアに見せたいなーと思って。君の年の数だけきれいなものを選んできたー」
「ええ……あんたいつの間にそんな趣味できたんですか……」

 土いじりしてるアーテル全然イメージできない。

「できたの。実は」

 キザか!
 オレも女の子に花渡したことあるけど、喜んでくれる子もいれば、「花もらっても困るわー。食べられるものでもなし貴重品でもなし」って突っ返されることもあって。
 でも、あれだな。
 いざ自分が花をもらうのって、すごい特別でものすごく……嬉しい。
 しかもだよ?
 相思相愛のイケメンが、自分のために育てた花を年の数だけきれいなものを選んで贈ってくれたって……。
 オレが特別チョロいのだろうが、嬉しくて恥ずかしくて頬が熱いのが自分でわかるから顔があげられない。

「前世含めてこんなプレゼントもらったの初めてです。……ありがとうございます」
「アルバートの初めて一つゲットー。いえーい」
「アーテル様の育ててる花、今度見に行ってもいいですか」
「もちろん」
「順番が逆だけど、リディアもオレも何かしら渡しますから」
「気持ちだけでもいいけどやった」



★★★

 短いですがホワイトデーの話です。
 ホワイトデー前に書いてたのに寝かせて忘れてました……。
 アルバートはドライなのでこういうイベントは積極的にやらないでしょうね(笑)


しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

病み墜ちした騎士を救う方法

無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。 死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。 死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。 どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……? ※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

処理中です...