異世界転生したオレは女体化しました

水無瀬雨音

文字の大きさ
112 / 117

可愛い妹とメイドが遊びに来ました 2

しおりを挟む
 セシルたちが帰ろうと腰をあげたとき、ドアがノックされた。

「はーい。どうぞ」

 入ってきたのはシーズベルト様だった。今日は早いお帰りだったらしい。

「ただいま、アルバート」

 オレはシーズベルト様に駆け寄った。

「シーズベルト様! すみません、お帰りに気づかずお出迎えできなくて」
「かまわない。お客様だったんだな」
「あ、はい。妹とアナベルが」
「お邪魔しております、シーズベルト様」

 セシルが優雅に淑女の礼をとった。

「シーズベルト様とゆっくりお話したかったのですけれど、そろそろお暇いたします。このあと予定がありますので」
「そうか。また来るといい」
「ありがとうございます。シーズベルト様もお兄ちゃんとうちの屋敷に遊びにきてくださいね」

 セシルがにやにやと笑う。

「あのドライなお兄ちゃんがシーズベルト様にはそんなにデレデレするのねー。お兄ちゃん可愛い! ご主人様に懐いてる犬みたいよ」
「うるせぇよ」

 シーズベルト様と話してるところ家族に見られるの恥ずかしいわ! 前実家にシーズベルト様が来たときはそこまででれでれしてなかったからな。 

「ああ、帰りに市場に寄ったんだが、新鮮なピーマンやニンジンがあったから買ってきた。料理長が張り切っていたから楽しみにしておけ」
「はい。ありがとうございます」

 一応喜んだものの、ピーマンとニンジンかー。どっちも食べられるが嫌い。前世の品種改良が進んでる、青臭くなくて苦くもない野菜に慣れてるから、こっちのピーマンとニンジンは慣れていないのだ。
 
「シーズベルト様、僭越ながらアルバート様は野菜がお嫌いなんですよ。特にピーマンやニンジンなど色の濃い野菜が。アルバート様にお土産を買っていただけるなら、ケーキなど甘いものが適正です」
「アナベルー? どうした!?」

 突然アナベルがぶっこんできた。どうしたの、突然。なんか乗り移った?
 使用人に不敬な言動をされ、当然シーズベルト様が片眉を吊り上げる。

「もちろん知っているが? 栄養を摂らせるためバランスよく食べさせるべきだ。甘やかすことは愛情ではないが? それにオレが食べさせればアルバートは頑張って食べる」
「ピーマンやニンジン以外の野菜から栄養を摂れば問題ありません。代替可能にもかかわらずわざわざ嫌いな食べ物を食べさせるなんて可哀想です。それに私もアルバート様にあーんしたことはあります」
「どうせ幼少期だろう」
「いいえ! 体調を崩されたとき、ご自分でお食事するとこぼして面倒が増えるので、私が食べさせました!」
「二人ともやめて!?」

 なぜ急に自分のほうがオレのこと知ってるマウント取り始めるの? 特にアナベルは、オレはともかく主人及び貴族にマウントとってくるような子じゃなかったよ?
 ていうかオレが辱めを受けてるからー!

「アナベルは使用人だろ、シーズベルト様に食って掛かるな!」

 オレの静止にアナベルが顔色を変える。深々とシーズベルト様に頭を下げた。

「……申し訳ありません。昔からアルバート様は嫌いな野菜を食べさせると泣きじゃくってお可哀想でしたので……取り乱して出過ぎた真似をいたしました」
「それは小さかったからだろ! 今は泣かないから! シーズベルト様、オレの指導が行き届いておらず申し訳ございません」
「申し訳ございません」
 
 オレとセシルも並んで頭を下げるが、シーズベルト様は手を振った。

「かまわん。オレは狭量な人間ではないからな。ただ、一番アルバートのことを知っているのはオレ! だ」

 気分を害してはいないっぽいが、この人が大きい声出すの珍しい。そこだけは絶対に譲れないらしい。
 アナベルがピクっと反応したが、さすがにもう言い返さない。

「……公爵様の寛大なご慈悲に感謝いたします」
「もー、早く帰れ。シーズベルト様と一緒にいるとからかってくるし!」

 しっしっとセシルを手で追い払うと、またニヤニヤされた。

「早くだーいすきなシーズベルト様と二人きりになりたいものね? 邪魔者は退散するから安心してね。行こ、アナベル」
「はい。お嬢さま。失礼いたします」
 
 ようやく二人が退散した。
 部屋着に着替えたシーズベルト様と、ソファーに腰掛ける。

「で、セシルがそろそろ結婚をってせっつかれてるらしくてー。あ、すみません」

 シーズベルト様に会えた嬉しさで、一方的にペラペラ話していたことに気がついて、オレは口に手をあてた。
 
「シーズベルト様お疲れなのに」
「いや? 君が話しているのを聞くのは楽しい。オレは口下手だから」

 優しく微笑むシーズベルト様。なんてできた旦那なんだ。

「それならいいですけど。あ、お茶淹れますよ」
「頼む」

 オレはシーズベルト様の前にティーカップを置くと、お茶を注いだ。

「君はシスコンだから、妹が結婚するとなると大変だな? 相手が」
「……それは否定できませんが」

 あんなに可愛い妹だ。生半可な相手には任せられないからな。さらにオレのせいで悪いのだが、そこそこの家柄でありつつ、うちに婿養子に入れる立場の相手でないとならない。結婚する前に厳しく審査してしまう自信しかない。
 
「でも姪か甥ができるのは楽しみなんですよね! 相手も決まってないのにめちゃめちゃ気が早いんですけど」
「君、子供は好きか?」
「ええ、まあ。それなりに」

 セシルが産まれたときも、すごく嬉しくてかわいがったことを覚えている。

「そうか。残念ながらオレと君の間には子供は望めないが、そのうち養子をもらおう」

 オレとシーズベルト様には子供は作れない。でもシーズベルト様は公爵なので、絶対に跡継ぎが必要だ。間にリディアが入れば可能と言えば可能なのだが。

「ですね」
「ああ、そういえば」
「なんですか?」
「君が子どもを授かることも可能なんじゃないか? 君が魔女に頼めば」
「は? 何言ってるんですか、あんた」

 つい暴言が口に出てしまったけれど、仕方がないと思う。だって本当、何言ってるんだこの人。
 てか、そんな恐ろしいことどうしてわざわざオレが「やってください」って頼むんだよ?
「彼女は、オレの頼みはきいてくれないだろう」
「いや、そういうこと言ってるんじゃないですよ」

 話がかみ合わないな。というより意図的にかみ合わせてないだろ。 
 ていうかそうじゃなくてもこんな会話聞かれたら危ないんだけど! 「あらー、面白そうね!」とか言い出しかねないから!
 
「君は男の子がいいか? 女の子か? どちらでもいいな」

 やばい。シーズベルト様の話が膨らみ始めた。オレは慌ててシーズベルト様の腕にしがみついた。

「もうしばらくは二人きりがいいです! こんなにかっこいいシーズベルト様がパパだったら子供にとられますもん!」

 子どもとしては鼻が高いだろうけどな。

「そうか、そうか。オレもまだ新婚気分を楽しみたいな」

 よしよし。シーズベルト様デレデレし始めたぞ。

「君のほうこそ子供にとられる気がする。君は子供に好かれるからな」
「そんなことないと思いますけど」

 オレは子供にはまとわりつかれる方だが、どちらかと言うと同レベルに思われてるだけだと思う。
 どうか魔女がこの話を聞いていませんように、と心の中で祈った。



  ★★★


 アナベルとシーズベルトがアルバートに関してマウントを取り合うところが書けて楽しかったです。
 礼節わきまえたアナベルがシーズベルトに突っかかることはあり得ないんですが。
 セシルとアナベルがアーテルと顔合わせた時の会話が気になるのでいつか書きたい。アナベルと相性悪そう。セシルも嫌いなタイプだと思う。(会ったことない……はず)
 本編大分前に終わってますが、書きたいことを書くまではだらだら続けたいなーと思ってます。
 
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

目が覚めたら叔父さんの妻になっていた!?

白透
BL
交通事故で命を落とした、ごく普通の自称な医学生・早坂悠斗。 次に目が覚めたとき、鏡に映っていたのは自分ではなく、血の繋がらない叔父・鷹宮と「冷え切った政略結婚」をしていたはずの、超絶美形な「男妻」・蓮の姿だった!? 中身はガサツな医学生、見た目は儚げな美人。 「俺はバリバリのノンケだ!」と言い張る悠斗だったが、同居する鷹宮は、隙あらば鋭い眼差しと腹黒い微笑みで、最短最速の距離まで詰め寄ってくる。 女の子と手を繋ぐのにも3ヶ月かかる超・天然純情な悠斗は、叔父さんの無自覚な猛攻にいつまで耐えられるのか?

処理中です...