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テーブルにお子様ランチみたいな食事が二人分並べられた。
「さあ、食べよう」
並んで座った蒼也くんにうながされて私は手を合わせた。
「いただきます」
「どうぞ召し上がれ」
いざ食べ始めてみると、ワンプレートのお子様ランチかと思った食事は、パーティー会場にあった大人向けのものをそれっぽく盛りつけたもので、ハンバーグの代わりにローストビーフ、ケチャップライスの代わりがトマト風味のチーズリゾットだった。
それでも一口ゼリーとナポリタンが添えられていて、リゾットの小山にはなんかおしゃれなマークのついた旗が立っていたから、立派なお子様ランチだ。
「翠ちゃん」
へ?
急に名前を呼ばれて顔を向けたら、隣に座っていた蒼也くんがペーパーナプキンを持っていた。
「ケチャップついてる」と、ほっぺをそっと拭ってくれた。
ナポリタンのケチャップだ。
私は今でもスパゲティの食べ方が下手だ。
幼稚園教諭をやっているけど、生徒から『センセー、ケチャップついてるぅ。スパゲッティ食べたでしょー』と名探偵みたいに指をさされてしまう。
その時も私と同じ小学生なのに、器用に食べる彼はとても大人っぽく見えた。
「ツルツルって勢いよく吸い込むとタコの足みたいにスパゲッティが暴れちゃうよ」
「えー、できないよぉ」
そう言って口をとがらせる私に微笑みながら、蒼也くんが思いがけないことをつぶやいた。
「でも、タコさんみたいな顔、かわいいよ」
今だったらさすがにからかわれているって分かるけど、あの頃は私も純真で、『かわいいよ』のところしか頭になくて(都合良すぎ)、そんなふうに言われたことがなかったから、物語に出てくる王子様の告白みたいに思えて、なんか急にドキドキしちゃったのよね。
「どうかした?」
顔をのぞき込まれると、頭の中がぐるぐるしてますますなんて言ったらいいか分からなくなっちゃった。
「えっと……」
「僕は蒼也だよ」
「トム・ソーヤ?」
アハハと屈託のない笑顔が返ってくる。
「それ、冒険する男の子だっけ。僕は御更木蒼也だよ」
「ミサラギ?」
「うん」
小さかった私は、それが戦前から続くミサラギグループのことだとは知らなくて、ちょっと言いにくい名前だなとしか思わなくて、頭の中で何度もミサラギミサラギと呪文みたいに唱えていた。
デザートのゼリーまで食べ終えてすることがなくなってしまったけど、パーティーはまだまだ終わりそうになかった。
「さあ、食べよう」
並んで座った蒼也くんにうながされて私は手を合わせた。
「いただきます」
「どうぞ召し上がれ」
いざ食べ始めてみると、ワンプレートのお子様ランチかと思った食事は、パーティー会場にあった大人向けのものをそれっぽく盛りつけたもので、ハンバーグの代わりにローストビーフ、ケチャップライスの代わりがトマト風味のチーズリゾットだった。
それでも一口ゼリーとナポリタンが添えられていて、リゾットの小山にはなんかおしゃれなマークのついた旗が立っていたから、立派なお子様ランチだ。
「翠ちゃん」
へ?
急に名前を呼ばれて顔を向けたら、隣に座っていた蒼也くんがペーパーナプキンを持っていた。
「ケチャップついてる」と、ほっぺをそっと拭ってくれた。
ナポリタンのケチャップだ。
私は今でもスパゲティの食べ方が下手だ。
幼稚園教諭をやっているけど、生徒から『センセー、ケチャップついてるぅ。スパゲッティ食べたでしょー』と名探偵みたいに指をさされてしまう。
その時も私と同じ小学生なのに、器用に食べる彼はとても大人っぽく見えた。
「ツルツルって勢いよく吸い込むとタコの足みたいにスパゲッティが暴れちゃうよ」
「えー、できないよぉ」
そう言って口をとがらせる私に微笑みながら、蒼也くんが思いがけないことをつぶやいた。
「でも、タコさんみたいな顔、かわいいよ」
今だったらさすがにからかわれているって分かるけど、あの頃は私も純真で、『かわいいよ』のところしか頭になくて(都合良すぎ)、そんなふうに言われたことがなかったから、物語に出てくる王子様の告白みたいに思えて、なんか急にドキドキしちゃったのよね。
「どうかした?」
顔をのぞき込まれると、頭の中がぐるぐるしてますますなんて言ったらいいか分からなくなっちゃった。
「えっと……」
「僕は蒼也だよ」
「トム・ソーヤ?」
アハハと屈託のない笑顔が返ってくる。
「それ、冒険する男の子だっけ。僕は御更木蒼也だよ」
「ミサラギ?」
「うん」
小さかった私は、それが戦前から続くミサラギグループのことだとは知らなくて、ちょっと言いにくい名前だなとしか思わなくて、頭の中で何度もミサラギミサラギと呪文みたいに唱えていた。
デザートのゼリーまで食べ終えてすることがなくなってしまったけど、パーティーはまだまだ終わりそうになかった。
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