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通話を切った途端、別の画像が送られてくる。
ミサラギホテルのカードに蒼也あてのメッセージが書かれた写真。
《蒼也へ 久し振りに愛し合わない? 部屋で待ってる》
流麗な筆記体で《Reina》のサインも記されている。
これは……。
心臓がざわつき、思わず胸を押さえる。
須垣からまた電話がかかってくる。
出ざるを得ないように仕向けて、こちらの反応を楽しんでいるのだ。
翠は動揺を悟られないように努めて冷静に電話に出た。
「無理に落ち着いたふりなんかしなくていいぞ」
「イラつかせて駆け引きを楽しんでいるんでしょうけど、そうはいきませんよ」
取り繕ってみたところでお見通しなのは、こちらも承知の上だが、どちらにしろ向こうのペースにはめられてしまうのが悔しい。
「写真を見ただろ。旦那だって楽しんでるんだ。あんたも一人の男だけじゃつまらないだろ」
「どうしてこんな写真をあなたが持っているんですか?」
「言っただろ、情報は力だって」
黙っていると、須垣が声を抑え気味に語りかけてきた。
「どう受け止めるかは、あんた次第だな」
蒼也の会社がトラブルに巻き込まれているとしても、部外者の翠にできることなど何もないはずだ。
ただ、それが須垣の仕掛けたことだとしたら、ここで断ればまずいことになるのだろうか。
判断できずに無言の時間が過ぎていく。
「迷ってる暇はないぞ。今この瞬間も下落している。いつでも連絡を待ってるよ」
高慢な笑い声とともに電話が切られた。
スマホでミサラギメディカルを検索すると、真っ赤な株価が表示された。
関連表示で荒れたSNSも流れてくる。
――どうしたらいいの?
蒼也に連絡を取ってみようとしたが、そもそも、須垣の言っていることが本当なのかも分からない。
助けてやるというのは、株を買い支えるということなのか、それに、個人でそんなことができるのか、翠にはまったく見当もつかなかった。
「センセー、どうしたの?」と、ヒロキくんとルナちゃんが脚に飛びついてくる。
「あ、ううん、なんでもないよ」
慌ててスマホを片づけると、ヒロキくんが首をかしげる。
「トム・ソーヤとはなしてたの?」
「ち、違うよ」
「トム・ソーヤってなあに?」と、今度はルナちゃんが首をかしげる。
「こうえんのおじさん!」
あらら、やっぱりおじさんかぁ。
蒼也さん、あの時、本気で不機嫌だったな。
「センセー、おうたのじかんでしょ」
子どもはすぐに興味が移る。
今は、そういう切り替えがありがたい。
「そうだね、お教室に行こうか」
「オレね、こえでっかい!」
「元気いっぱい歌ってね」
子どもたちに手を引っ張られているうちに、翠は先生の顔に戻っていた。
ミサラギホテルのカードに蒼也あてのメッセージが書かれた写真。
《蒼也へ 久し振りに愛し合わない? 部屋で待ってる》
流麗な筆記体で《Reina》のサインも記されている。
これは……。
心臓がざわつき、思わず胸を押さえる。
須垣からまた電話がかかってくる。
出ざるを得ないように仕向けて、こちらの反応を楽しんでいるのだ。
翠は動揺を悟られないように努めて冷静に電話に出た。
「無理に落ち着いたふりなんかしなくていいぞ」
「イラつかせて駆け引きを楽しんでいるんでしょうけど、そうはいきませんよ」
取り繕ってみたところでお見通しなのは、こちらも承知の上だが、どちらにしろ向こうのペースにはめられてしまうのが悔しい。
「写真を見ただろ。旦那だって楽しんでるんだ。あんたも一人の男だけじゃつまらないだろ」
「どうしてこんな写真をあなたが持っているんですか?」
「言っただろ、情報は力だって」
黙っていると、須垣が声を抑え気味に語りかけてきた。
「どう受け止めるかは、あんた次第だな」
蒼也の会社がトラブルに巻き込まれているとしても、部外者の翠にできることなど何もないはずだ。
ただ、それが須垣の仕掛けたことだとしたら、ここで断ればまずいことになるのだろうか。
判断できずに無言の時間が過ぎていく。
「迷ってる暇はないぞ。今この瞬間も下落している。いつでも連絡を待ってるよ」
高慢な笑い声とともに電話が切られた。
スマホでミサラギメディカルを検索すると、真っ赤な株価が表示された。
関連表示で荒れたSNSも流れてくる。
――どうしたらいいの?
蒼也に連絡を取ってみようとしたが、そもそも、須垣の言っていることが本当なのかも分からない。
助けてやるというのは、株を買い支えるということなのか、それに、個人でそんなことができるのか、翠にはまったく見当もつかなかった。
「センセー、どうしたの?」と、ヒロキくんとルナちゃんが脚に飛びついてくる。
「あ、ううん、なんでもないよ」
慌ててスマホを片づけると、ヒロキくんが首をかしげる。
「トム・ソーヤとはなしてたの?」
「ち、違うよ」
「トム・ソーヤってなあに?」と、今度はルナちゃんが首をかしげる。
「こうえんのおじさん!」
あらら、やっぱりおじさんかぁ。
蒼也さん、あの時、本気で不機嫌だったな。
「センセー、おうたのじかんでしょ」
子どもはすぐに興味が移る。
今は、そういう切り替えがありがたい。
「そうだね、お教室に行こうか」
「オレね、こえでっかい!」
「元気いっぱい歌ってね」
子どもたちに手を引っ張られているうちに、翠は先生の顔に戻っていた。
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