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レイナは都心にある外資系ホテル一階のラウンジで待っていた。
翠はスマホを突き出した。
「時間がないんで、前置きは抜きで、この写真を見てくれますか?」
見せられた瞬間、レイナが鼻で笑う。
「何これ、どうしたの?」
「須垣陸っていう株式配信者から送られてきたんです」
「ああ、この前のパーティーで私も会った人ね」
「レイナさんは蒼也さんとつきあっていたことがあるんですか?」
問い詰める翠にレイナは唇をゆがめながら肩をすくめた。
「この写真で疑ってるのね。残念ながらノーね」
唇をとがらせ翠が黙り込むと、レイナは写真を拡大させた。
「この写真の私たちを見てよ。服装はどう?」
「二人ともコートを着てますね」
「こんな真夏に?」
あっ!
「私、春にも日本に来てたのよ。ボスのオコンネルが日本の桜を見たいからって。ほら、私たちの後ろに写ってるこの白髪のおじいさん。兆の資産を持つ投資会社を率いる世界的有名人だから、おそらく、経済誌の記者とかが張り込みしてたんじゃないかしらね。だって、彼の一言で株価が動くんだもの。この時も、日本の商社株を買い集めたってニュースになってたんだから」
そして、笑みを浮かべながら付け加えた。
「兆って、ドルよ」
思わずしゃっくりが出てしまう。
「じゃあ、須垣さんが知り合いの記者から手に入れた無関係の場面ってことですか」
「雨が降ってたのは、銀座でお寿司食べた時かな。蒼也はジェントルマンだから、傘を差してくれたのよ。この後、このタクシーにオコンネルさんが乗って、ここのホテルに帰ってきたってわけね。私もいつもここに泊まってるの。グローバルエリート会員だから、自動的にアップグレードしてもらえるからね。蒼也はいつもの運転手さんの車で自宅に帰ったと思うけど」
それなら、運転手さんの勤務記録に残っているはずだ。
そこまで裏付けをとらなくても、写真の真相はこれで間違いないのだろう。
翠はホテルカードのメッセージも表示して見せた。
その途端、レイナは手をたたいて笑い出したが、周囲の注目を集めてしまい、自分の口に人差し指を立ててウィンクした。
「これは無理よ」
「どうしてですか?」
「だって私、日本語書けないもん」
――え?
「私って、アメリカ生まれだけど、両親が日本人だから家では日本語でしゃべってたのね。だから、会話は全然問題ないの。だけど、漢字の練習なんて、あんなメンドクサイのやったことないから、ひらがなを書くのもやっとかな。しゃべれるけど、読み書きは全然別の能力よ」
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