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第27話 正義のヒーローナンパ成功す
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偶然にも街中で出会ってしまった自称正義のヒーローと正義のヒロイン。
お互いに志しは同じであれど今は敵同士。
分かり合える筈もなく……
それでも正秀は仲良くしようとお誘いをするが……
「なぁ、いいだろ? 少しくらい。俺、この街のことは全然解らないんだよ」
「……その前に、バカみたいに大きな刃物を寄こしなさい」
「お? こいつか?」
正秀は嬉しそうに大剣をショルダーラックから外すと片手で天に掲げて見せた。
日の光に照らされキラリと光る刃が禍々しい。
商店街で剣を振りかざすなど以ての外だ。
モモは焦って手を伸ばす。
「何をしているのですかっ! 早くこちらに渡しなさい!」
「おう。モモちゃんもジャスプリのカッコ良さが分かるのかい。そうそう、ジャスプリってのはジャスティスプリンスのことで、コイツの名前さ。ジャスプリさえ有ればどんな悪党だって一刀両断だぜ」
「ちょっと待ちなさい」
「俺はジャスプを初めて見た時に電気が走ったような感覚を覚えたんだぜ。このたくましい刀身に美しい装飾、それでいて……」
「待ちなさーいっ!!」
モモは思わず声を荒げてしまった。
このままでは、いつまで大剣の意味不明な説明を聞かされるの分からない。
延々と聞かされては堪ったものではないのだ。
「ん? どうしたんだ? 急に大きな声を…… おおっ! 分かったぜ。モモちゃんもジャスプリを持ってみたいんだな。うん、分かるぜその気持ち。うんうん」
「違いますが、こちらに渡しなさい」
「あー…… でもなぁ…… モモちゃんには重過ぎるぜ」
「大丈夫です。これでも力には自身がありますから」
と、モモは言うが小柄な少女に持てるとは到底思えない。
正秀はどうしようかと悩んだ。
「うーんっ! 良しっ! そこまで言うなら貸してやるぜ。気を付けなよ」
一応は考えはしたが、やっぱり自慢したいので二つ返事で貸すことした。
大剣を下ろし剣先を地面に付けて柄をゆっくりとモモに差し出す。
可なり重いので正秀なりに気を使ったつもりではある。
「え? あ、はい、どうも(意外と素直なのですね)」
自分の言うことを聞く不審者にモモは少しは安心して大剣を受け取った。
しかし、重い、重過ぎる。
金属の塊なので当然である。
「気を付けなよ」
「平気です。ふんっ!」
モモは力を入れて持ち上げようとするが、まったく動かない。
それでもと気合を入れてみるが……
「うぎぎぎぃ…… きゃっ!?」
ドテン
手を滑らせ尻もちを付いてしまった。
そこへ大剣が倒れてくる。
「きゃぁぁぁっ!」
ビターンッ
手で支えようとしたが、あまりの重さに仰向けに倒れてしまい大剣の下敷きになってしまった。
「ぐえぇ…… お、重い…… 助け……」
「モモちゃん大丈夫か? 重いから気を付けろって言ったろ」
「わ、分かりましたから…… ぐるじぃ……」
「しょうがねーな」
正秀は大剣を軽々と拾い上げ背中のマウントに戻すと手を差し伸べる。
だが、モモは手を取ろうとはせずに少し膨れた顔付きで起き上がろうとする。
「結構です。自分で起きれます」
「お、おう……」
行き場を失った右手で頭をポリポリと掻くと少しは困った顔でモモを見る。
どうやら怒っている様子だ。
「はぁ…… その大きな剣が重いのは分かりました…… ですが! あなたのような輩を放っておく分けにもいきませんっ。いいでしょう、しばらく見張ることにします」
「えーっと…… じゃあ、喫茶店にでも入ろうぜ」
「ダメです!」
「ええっ!? な、なんでだよ…… モモちゃん」
「そのような物騒な物を持ってお店に入られては、店員さんにご迷惑です」
「ダメなのか?」
「当たり前です」
「しょうがねーな、じゃぁ…… どっかの露店にでも行くか…… モモちゃん、コーヒー売ってるとこでも案内してくれよ」
「……仕方ありませんね。大人しくしているのですよ」
「おう」
こうして正秀はモモに連れられて商店街を進むことになった。
喫茶店に入れなかったのは残念だが、見知らぬ土地で一人でブラつくよりも女の子と一緒の方が楽しいだろうとは思う。
なので気を取り直して街角コーヒー屋さんへと向かい始める。
「なあ、モモちゃん」
折角なので何か話そうと歩きながら横目でモモを見て話し掛ける正秀。
「気安く話し掛けないで下さい」
「なんだよ…… 俺はただモモちゃんと仲良くしようと思ってるだけだぜ」
「どうして敵であるあなたと仲良くしなければならないのですか」
「……いや、だって、そりゃぁ……」
「それで、なんの用ですか」
「お、おおう。えーっと、アレだ。どうしてモモちゃんは魔法少女をやってるんだい? やっぱりほら、俺が言うのもなんだけどな色々と危ないだろ?」
「あなたには関係の無いことです」
「……俺は正秀だぜ、名前くらい覚えてくれてもいいだろ」
「分かりましたマサヒデさん。これでいいですか?」
どうにも素っ気ない返答ばかりに正秀はどうしようかと思う。
嫌われているなら別段こちらも相手をする必要はない。
見張られているとは言っても逃げることなど容易いことである。
それでも何故だか放ってはおけなかった。
たった1人で悪に立ち向かい街の平和を守ろうとしている彼女が気になって仕方ない。
どんなに痛めつけられ惨たらしく凌辱されても、決して諦めずに立ち上がろうとする姿が脳裏に浮かぶ。
「怪我はもう大丈夫かい? ポーションは飲んでくれたみたいだな」
正秀がそう言うとモモは急に立ち止まり振り向いた。
「ん? どうかしたのか?」
「なぜ私にあのような薬を? 私はあなた方の…… マサヒデさんの敵です。殺そうとは思わないのですか!? チャンスは幾らでも有った筈です!!」
「モモちゃん……」
「いったい、あなた方の目的はなんなのですか! マサヒデさんも正義の味方と言うならば何故あんな…… 悪者の怪人と一緒に居るのですか!!」
「そ、それは……(教えても大丈夫なのか? いや…… そもそも信じてもらえるのか?)」
正秀は悩んだ。
君は騙されていると言った所で信じてもらえないのは分かりきっている。
だからと言って誤魔化すような上手い言葉も思い付かない。
それでも……
「モモちゃん。俺達はな…… 宇宙人なんだ」
「は?」
事実を語った正秀だが、当然の如く頭のおかしな人のように見られてしまう。
「地球って星から来たんだ。迷子になっちまってな、今はその星を探して帰ろうとしてるんだ。もっとも帰った所で知ってる連中はもう居ないだろうけどな」
「……はぁ。ふざけるのもいい加減にして下さい」
「そうだな…… ふざけてこんなことが言えたらどんなに良かったか、だぜ……」
他の知的生命体との交流が全く無い星の住人であるモモにとって、正秀の言葉など戯言にしか聞こえなかった。
しかし、目の前に居る男は何故か少し悲しそうな顔をしていた。
「それで…… 帰って何がしたいのですか?」
「ああ。俺には婚約者が居てな、指輪を渡したかったんだ。だけどなぁ…… 何百…… 何千年もの時が過ぎれば無駄な話なんだぜ。星が無事かどうかすら分かんねーからな。ははっ」
「そう、会えない想い人に会いに行くのですか」
「どうだろうな…… 自分でも分からないし、時々悪い夢でも見てるんじゃないかと思うぜ」
「少なくとも、ここは現実ですよ」
「だな…… 悪りぃな変な話をしちまって」
「本当ですよ、人を馬鹿にするのも程々にして下さい」
「それよりコーヒーを売ってる店はまだかい?」
「そこの角を曲がったとこですよ」
そう言いながら、モモはすぐ先の路地を指した。
「よし、じゃあ俺が買って来るからモモちゃんは…… そうだな、向こうのベンチで待っててくれよ」
見ると街中に立つ1本の木を囲うようにサークル状のベンチがある。
「逃げるつもりですか?」
と、ジト目で睨んできた。
「逃げないぜ! そもそも誘ってるのは俺のほうだろっ」
「ふふっ ……そうでしたね」
「ちょっと行ってくるぜ。モモちゃんの方こそ逃げないでくれよ」
そう言い残すと正秀は走ってコーヒーを買いに行ってしまった。
1人になったモモは言われたように少し離れた所にあるベンチへと移動して座って待つことにした。
周囲ではいつものように人々が行き交い幸せそうな日常を送っている。
向こうの方では何処かへ遊びに行くのだろうか?
母親と娘が手を繋ぎ楽しそうに歩いている。
そんな光景をモモは羨ましそうに見ていた。
「今日は平和そうですね。また、怪人が現れなければいいのですが……」
そう呟きながら肩に掛けていた大きなショルダーバッグを少し開いた。
中には白い物体が蠢いている。
「きっと今日は平和もっち」
むにゅりんであった。
「そうですね」
「…………」
「マサヒデさんは敵なのでしょうか? どう思います?」
「分からないもっち」
「そう……」
それ以上は話し掛けても無駄なことを知っているモモはそっとバッグを閉じた。
魔法の国からやって来た言う得体の知れない白い物体の何か。
教えたことは覚えるし会話も一応できるが感情を持った言葉は話さない。
無機質な生命体らしきモノであった。
それでもモモは満足であった。
街の平和を守る力を与えてくれる存在であることに……
「もうしばらく掛かりそうですね(あの店は焙煎からしますから……)」
などと考えたながらふと先程の母娘に目をやった。
……次の瞬間
ドカーンッ!! ガラ ガラ ガラ!!
突然、近くの建物が轟音を鳴り響かせながら爆発でもしたかのように壁が崩れた。
「な、何事ですか!?」
驚いて立ち上がるモモの目には女の子が瓦礫に埋もれる瞬間がスローモーションのように映る。
咄嗟に駆寄ろうとするが破壊された建物から鉄骨を持った巨大な大男が出て来た!
「まさか、怪人っ!?」
身長は優に3メートルを超えブリーフパンツ1丁で青みがかった皮膚をし、頭からは2本の角を生やした姿は鬼そのものであった。
足元では母親が娘を助けようとしながら狂ったように奇声を上げている。
モモは急いで建物の陰に隠れるとむにゅりんを取り出した。
「むにゅりんお願い」
「任せるもっち」
体が全体が光ると着ていた制服が消滅し、何処からともなく魔法少女のコスチュームが身を纏う。
一瞬でピーチエールに変身すると鬼の元へと急行する。
「そこまでです!」
巨大で筋肉ムキムキの鬼の前に毅然とスティックを構える。
不意に出現した怪人にも臆することなく立ち向かうピーチエールであった。
お互いに志しは同じであれど今は敵同士。
分かり合える筈もなく……
それでも正秀は仲良くしようとお誘いをするが……
「なぁ、いいだろ? 少しくらい。俺、この街のことは全然解らないんだよ」
「……その前に、バカみたいに大きな刃物を寄こしなさい」
「お? こいつか?」
正秀は嬉しそうに大剣をショルダーラックから外すと片手で天に掲げて見せた。
日の光に照らされキラリと光る刃が禍々しい。
商店街で剣を振りかざすなど以ての外だ。
モモは焦って手を伸ばす。
「何をしているのですかっ! 早くこちらに渡しなさい!」
「おう。モモちゃんもジャスプリのカッコ良さが分かるのかい。そうそう、ジャスプリってのはジャスティスプリンスのことで、コイツの名前さ。ジャスプリさえ有ればどんな悪党だって一刀両断だぜ」
「ちょっと待ちなさい」
「俺はジャスプを初めて見た時に電気が走ったような感覚を覚えたんだぜ。このたくましい刀身に美しい装飾、それでいて……」
「待ちなさーいっ!!」
モモは思わず声を荒げてしまった。
このままでは、いつまで大剣の意味不明な説明を聞かされるの分からない。
延々と聞かされては堪ったものではないのだ。
「ん? どうしたんだ? 急に大きな声を…… おおっ! 分かったぜ。モモちゃんもジャスプリを持ってみたいんだな。うん、分かるぜその気持ち。うんうん」
「違いますが、こちらに渡しなさい」
「あー…… でもなぁ…… モモちゃんには重過ぎるぜ」
「大丈夫です。これでも力には自身がありますから」
と、モモは言うが小柄な少女に持てるとは到底思えない。
正秀はどうしようかと悩んだ。
「うーんっ! 良しっ! そこまで言うなら貸してやるぜ。気を付けなよ」
一応は考えはしたが、やっぱり自慢したいので二つ返事で貸すことした。
大剣を下ろし剣先を地面に付けて柄をゆっくりとモモに差し出す。
可なり重いので正秀なりに気を使ったつもりではある。
「え? あ、はい、どうも(意外と素直なのですね)」
自分の言うことを聞く不審者にモモは少しは安心して大剣を受け取った。
しかし、重い、重過ぎる。
金属の塊なので当然である。
「気を付けなよ」
「平気です。ふんっ!」
モモは力を入れて持ち上げようとするが、まったく動かない。
それでもと気合を入れてみるが……
「うぎぎぎぃ…… きゃっ!?」
ドテン
手を滑らせ尻もちを付いてしまった。
そこへ大剣が倒れてくる。
「きゃぁぁぁっ!」
ビターンッ
手で支えようとしたが、あまりの重さに仰向けに倒れてしまい大剣の下敷きになってしまった。
「ぐえぇ…… お、重い…… 助け……」
「モモちゃん大丈夫か? 重いから気を付けろって言ったろ」
「わ、分かりましたから…… ぐるじぃ……」
「しょうがねーな」
正秀は大剣を軽々と拾い上げ背中のマウントに戻すと手を差し伸べる。
だが、モモは手を取ろうとはせずに少し膨れた顔付きで起き上がろうとする。
「結構です。自分で起きれます」
「お、おう……」
行き場を失った右手で頭をポリポリと掻くと少しは困った顔でモモを見る。
どうやら怒っている様子だ。
「はぁ…… その大きな剣が重いのは分かりました…… ですが! あなたのような輩を放っておく分けにもいきませんっ。いいでしょう、しばらく見張ることにします」
「えーっと…… じゃあ、喫茶店にでも入ろうぜ」
「ダメです!」
「ええっ!? な、なんでだよ…… モモちゃん」
「そのような物騒な物を持ってお店に入られては、店員さんにご迷惑です」
「ダメなのか?」
「当たり前です」
「しょうがねーな、じゃぁ…… どっかの露店にでも行くか…… モモちゃん、コーヒー売ってるとこでも案内してくれよ」
「……仕方ありませんね。大人しくしているのですよ」
「おう」
こうして正秀はモモに連れられて商店街を進むことになった。
喫茶店に入れなかったのは残念だが、見知らぬ土地で一人でブラつくよりも女の子と一緒の方が楽しいだろうとは思う。
なので気を取り直して街角コーヒー屋さんへと向かい始める。
「なあ、モモちゃん」
折角なので何か話そうと歩きながら横目でモモを見て話し掛ける正秀。
「気安く話し掛けないで下さい」
「なんだよ…… 俺はただモモちゃんと仲良くしようと思ってるだけだぜ」
「どうして敵であるあなたと仲良くしなければならないのですか」
「……いや、だって、そりゃぁ……」
「それで、なんの用ですか」
「お、おおう。えーっと、アレだ。どうしてモモちゃんは魔法少女をやってるんだい? やっぱりほら、俺が言うのもなんだけどな色々と危ないだろ?」
「あなたには関係の無いことです」
「……俺は正秀だぜ、名前くらい覚えてくれてもいいだろ」
「分かりましたマサヒデさん。これでいいですか?」
どうにも素っ気ない返答ばかりに正秀はどうしようかと思う。
嫌われているなら別段こちらも相手をする必要はない。
見張られているとは言っても逃げることなど容易いことである。
それでも何故だか放ってはおけなかった。
たった1人で悪に立ち向かい街の平和を守ろうとしている彼女が気になって仕方ない。
どんなに痛めつけられ惨たらしく凌辱されても、決して諦めずに立ち上がろうとする姿が脳裏に浮かぶ。
「怪我はもう大丈夫かい? ポーションは飲んでくれたみたいだな」
正秀がそう言うとモモは急に立ち止まり振り向いた。
「ん? どうかしたのか?」
「なぜ私にあのような薬を? 私はあなた方の…… マサヒデさんの敵です。殺そうとは思わないのですか!? チャンスは幾らでも有った筈です!!」
「モモちゃん……」
「いったい、あなた方の目的はなんなのですか! マサヒデさんも正義の味方と言うならば何故あんな…… 悪者の怪人と一緒に居るのですか!!」
「そ、それは……(教えても大丈夫なのか? いや…… そもそも信じてもらえるのか?)」
正秀は悩んだ。
君は騙されていると言った所で信じてもらえないのは分かりきっている。
だからと言って誤魔化すような上手い言葉も思い付かない。
それでも……
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「は?」
事実を語った正秀だが、当然の如く頭のおかしな人のように見られてしまう。
「地球って星から来たんだ。迷子になっちまってな、今はその星を探して帰ろうとしてるんだ。もっとも帰った所で知ってる連中はもう居ないだろうけどな」
「……はぁ。ふざけるのもいい加減にして下さい」
「そうだな…… ふざけてこんなことが言えたらどんなに良かったか、だぜ……」
他の知的生命体との交流が全く無い星の住人であるモモにとって、正秀の言葉など戯言にしか聞こえなかった。
しかし、目の前に居る男は何故か少し悲しそうな顔をしていた。
「それで…… 帰って何がしたいのですか?」
「ああ。俺には婚約者が居てな、指輪を渡したかったんだ。だけどなぁ…… 何百…… 何千年もの時が過ぎれば無駄な話なんだぜ。星が無事かどうかすら分かんねーからな。ははっ」
「そう、会えない想い人に会いに行くのですか」
「どうだろうな…… 自分でも分からないし、時々悪い夢でも見てるんじゃないかと思うぜ」
「少なくとも、ここは現実ですよ」
「だな…… 悪りぃな変な話をしちまって」
「本当ですよ、人を馬鹿にするのも程々にして下さい」
「それよりコーヒーを売ってる店はまだかい?」
「そこの角を曲がったとこですよ」
そう言いながら、モモはすぐ先の路地を指した。
「よし、じゃあ俺が買って来るからモモちゃんは…… そうだな、向こうのベンチで待っててくれよ」
見ると街中に立つ1本の木を囲うようにサークル状のベンチがある。
「逃げるつもりですか?」
と、ジト目で睨んできた。
「逃げないぜ! そもそも誘ってるのは俺のほうだろっ」
「ふふっ ……そうでしたね」
「ちょっと行ってくるぜ。モモちゃんの方こそ逃げないでくれよ」
そう言い残すと正秀は走ってコーヒーを買いに行ってしまった。
1人になったモモは言われたように少し離れた所にあるベンチへと移動して座って待つことにした。
周囲ではいつものように人々が行き交い幸せそうな日常を送っている。
向こうの方では何処かへ遊びに行くのだろうか?
母親と娘が手を繋ぎ楽しそうに歩いている。
そんな光景をモモは羨ましそうに見ていた。
「今日は平和そうですね。また、怪人が現れなければいいのですが……」
そう呟きながら肩に掛けていた大きなショルダーバッグを少し開いた。
中には白い物体が蠢いている。
「きっと今日は平和もっち」
むにゅりんであった。
「そうですね」
「…………」
「マサヒデさんは敵なのでしょうか? どう思います?」
「分からないもっち」
「そう……」
それ以上は話し掛けても無駄なことを知っているモモはそっとバッグを閉じた。
魔法の国からやって来た言う得体の知れない白い物体の何か。
教えたことは覚えるし会話も一応できるが感情を持った言葉は話さない。
無機質な生命体らしきモノであった。
それでもモモは満足であった。
街の平和を守る力を与えてくれる存在であることに……
「もうしばらく掛かりそうですね(あの店は焙煎からしますから……)」
などと考えたながらふと先程の母娘に目をやった。
……次の瞬間
ドカーンッ!! ガラ ガラ ガラ!!
突然、近くの建物が轟音を鳴り響かせながら爆発でもしたかのように壁が崩れた。
「な、何事ですか!?」
驚いて立ち上がるモモの目には女の子が瓦礫に埋もれる瞬間がスローモーションのように映る。
咄嗟に駆寄ろうとするが破壊された建物から鉄骨を持った巨大な大男が出て来た!
「まさか、怪人っ!?」
身長は優に3メートルを超えブリーフパンツ1丁で青みがかった皮膚をし、頭からは2本の角を生やした姿は鬼そのものであった。
足元では母親が娘を助けようとしながら狂ったように奇声を上げている。
モモは急いで建物の陰に隠れるとむにゅりんを取り出した。
「むにゅりんお願い」
「任せるもっち」
体が全体が光ると着ていた制服が消滅し、何処からともなく魔法少女のコスチュームが身を纏う。
一瞬でピーチエールに変身すると鬼の元へと急行する。
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巨大で筋肉ムキムキの鬼の前に毅然とスティックを構える。
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