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第28話 恐怖の大鬼! 魔法少女をリョナる
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大鬼と対峙するピーチエール。
街の平和を守る為に果敢に挑もうとするが、瓦礫に埋もれてしまった女の子が気になって仕方がない。
無事で居てほしいと願い、どうにか隙きをついて救出しようと考えているのであった。
「街を破壊する怪人! 建て直すのにどれだけの時間と労力が必要と思っているのですか! この乙女戦士ピーチエールが許しません。成敗します!!」
「ガハハハッ! 予想以上に早い登場じゃねーか小娘。むざむざ殺られに出て来るとは馬鹿な奴よ」
「その言葉。そっくりお返しします! たあっ」
ピーチエールは飛び上がるとスティックに魔力を込め攻撃を仕掛ける。
「ホーリーボンバーッ」
数多くの怪人を葬り去ってきた光の玉が鬼を目掛けて飛翔する。
しかし、鬼は怯むこと無く拳を振り上げ光の玉を殴りつける。
ドコーン
と、弾かれた光の玉は近くの建物に当たり壁面が破壊されガラスが飛び散る。
「ガーハッハッハァ! なんだ今のは? ん? 蚊でも飛んで来たかぁ? ひひぃ、俺様を怪人と一緒にしない方がいいぜぇ」
「なっ…… ホーリーボンバーが通じない……」
必殺魔法を軽くあしらわれて動揺が走る。
それでも負けまいと果敢に攻めるピーチエール。
距離を取ると連続魔法で攻撃を仕掛ける。
「ホーリーボンバー! ホーリーボンバー! ホーリーボンバー!」
連射される光の玉は執拗に鬼を撃つが呆気なく弾かれ、直撃した攻撃すらもかすり傷ひとつ負わせることができない。
だがピーチエールは攻撃を休めること無く光の玉を撃ち続ける。
「まだまだ、行きますよっ!」
「うぜぇ! ちょこまかと、そんな攻撃効かねぇんだよっ!」
ダメージは無くとも苛立った鬼が駆け寄って来る。
「今ですっ!」
ピーチエールは咄嗟に鬼の又をスライディングで潜り抜けると泣き叫ぶ母親の元へと近づいた。
そして、女の子が埋もれているであろう瓦礫にスティックを叩き付ける。
「ピコリンハンマー、えいっ、えいっ」
叩かれた瓦礫が消滅してゆく。
すると中から女の子の声が聞こえてくる。
「うわぁーん、ママー、ママー、助けてー」
母親は娘の声に瓦礫を退かそうとするが、ピーチエールは静止する。
「待って下さい。周りの瓦礫を消しますので」
「は、はい」
「ピコリンハンマー、ええいっ、やっ」
瓦礫が消滅し女の子の全身が見えてくると、母親は夢中で我が子を引き摺り出し抱きしめた。
擦り傷はあるものの大きな怪我はしていない様子だ。
どうやら隙間に上手く入り込んでいたようであった。
「ああっ、ありがとうございます。なんとお礼を言ったら良いのか」
「お姉ちゃんありがとう」
「さっ、ここは危ないから早く逃げて下さい」
安心したピーチエールは母娘を逃がそうとしてから鬼へと目を向ける。
そこには、なんと持っていた鉄骨を振り上げ今にもこちらへ投げ付けようとしていた!
「危ない! 早く逃げてっ!」
「はいっ、ああっ!?」
逃げようとした母親が瓦礫に躓いて転んでしまった。
娘が手を引いて起こそうとするが……
「けっ! そういうことかよっ!! 皆殺しだっ!!」
ブォン
鬼は標的をピーチエールから母娘に変更し巨大な鉄骨を投げつけた!
「間に合わない! ごめんなさい!」
ピーチエールは咄嗟に2人の襟元を掴むと力いっぱい放り投げた。
変身すれば常人の何倍もの力が出せる。
大の大人を投げ飛ばすことは用意であった。
しかし、飛んで来た鉄骨を避ける余裕が無い。
「っ!!」
ドカーンッ
直撃を喰らってしまった。
身体を押し潰されそうな衝撃の後に建物に打ち付けられガラガラとレンガが崩れる。
埋もれてしまったであろうピーチエールの元へと鬼はニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら近づいた。
「おいおい、まさかこれで終わりじゃねーだろうな、ああん?」
鬼は呆れた表情で言い放ったが土埃の先には人影が見える。
「うあっ…… はぁ、はぁ…… こ、この程度では私は倒せません!」
崩壊したレンガの上には至る所から血を流し、片腕を押さえながらも立ち上がる魔法少女の姿があった。
コスチュームも破れ所々白い肌を露にしているが闘志は失っていない。
「ガハハ、立っているのもやっとといった感じだな。だが俺様は容赦しねーぞ」
「正義は負けません! この身が滅びようともあなたを倒します!」
「ああ、そうかよっ」
と、巨大な拳が襲い来るがピーチエールはヒラリと宙を舞って避ける。
空を殴ったパンチはそのまま地面を抉り石つぶてを撒き散らす。
「たぁ、ピコリンハンマー!」
ホーリーボンバーが通用しないので近接攻撃で仕掛けるピーチエール。
ドカッ
動きの遅い鬼の背中を殴りつけるも、いつものように弾け飛ばず全く効いてない様子だ。
即座にスティックから光の刃を出し、今度は斬撃による攻撃に切り替える。
「セイントランサー! はぁぁぁっ!」
ガキンッ
皮膚すらも斬れない。
まるで鋼鉄でも叩いているかのようだ。
「小賢しいわっ!」
再び殴り掛かってくる鬼だがピーチエールはスピードの速さで勝っているので容易く避けられる。
ブンブンと手当たり次第に殴るが当たる様子は全然ない。
可なり苛立っているのだろう、皮膚の色が微妙に赤みがかってきた。
「無駄ですよ、ホーリーボンバー」
「ああっ、うぜぇっつてんだよ!! でりゃぁぁぁぁぁ!」
魔法少女の光の玉は弾かれ、鬼の拳は空を殴る。
互いに決め手がな無く、どちらも疲弊するばかりだ。
「いい加減に諦めたらどうですか?」
「うるせーっ! こうなりゃ……」
鬼はピーチエールに背を向けると突然反対方向へと走り始めた。
その先には野次馬達がこちらを見ている。
埒が明かないと思った鬼は一般人へと襲い掛かことにしたのだ。
「あっ!? 待ちなさい」
慌てて追いかけるピーチエール。
しかし、鬼は容赦無く野次馬を攻撃しようとパンチを繰り出す。
「うぉぉぉぉらぁ、死ねやこらぁっ!」
寸前の所でピーチエールは野次馬の前に立ち、巨大な拳を防ごうとした。
が……
衝撃が来ない。
代わりに全身を締め付ける苦痛が襲う。
「捕まえたぜぇぇぇ!」
「あっ!? くっ、し、しまった……」
鬼は初めからピーチエールを捕らえるのが目的であった。
一般人を攻撃すれば必ず助けに入るだろうと読んでいたのだ。
「ガハハハッ、バカめ。ゴミ虫共を庇って捕まるとはなぁ。正義のヒロインも大変だな。ギヒヒヒッィ」
鬼は嬉しそうに笑いながら握る手に力を込める。
「あああああっ!! ぐはっ!」
あまりの力の強さに抜け出すこともできず、ギシギシと骨が軋む。
「うぉらぁ! このまま握り潰してもいいが、それじゃぁつまんねーよなぁ? だろぉ?」
「こ、この程度…… すぐにでも脱出して…… ぎぃやぁぁぁぁぁ!!」
更に力を込められ少女の悲痛な絶叫が街中に響く。
両腕と胴体は握られてしまい、地面から離れた足をバタつかせながら叫ぶしかなかった。
「ゲハハハァ、いい声で鳴くじゃねーか。もっと聞かせてみろや」
「あぐぐっぁ…… どうしてこんな……」
ピーチエールは不思議に思った。
今までの怪人は自分に攻撃はしても決して街の人はもちろん警備隊にすら手出しはしなかった。
それなにの鬼は平気で人を殺そうとする。
今までとは何かが違った。
いつも連れている量産型怪人すら居ないのだ。
「言った筈だぜぇ。俺様を怪人と一緒にするなとなっ」
「何が違うと……」
「イヒャハッハァ! いいだろう。テメェはどうせ死ぬんだ、面白いものを見せてやるぜ。おいっ! むにゅりん!」
「え……?」
何処からともなく現れた黒い物体にピーチエールは我が目を疑う。
色こそ違うが、むにゅりんそのものであった。
「なんだもっち? 何か用かもっち?」
喋り方まで同じだ。
「ヒャハァ、別に用はないぜぇ」
「分かったもっち。鬼神様は早く魔法少女を殺すもっち」
「へへっ、言われなくてもな」
黒いむにゅりんは再びフラフラと飛んで行き物陰へと隠れた。
ピーチエールは信じられないといった様子で焦りが隠せない。
「ど、どうして…… むにゅりんが……」
「どうだっていいだろう? テメェはゆっくりと嬲り殺してやるからよう」
「くっ……」
「まずは小賢しい動きを止めるか、フヒヒ」
気持ちの悪い笑いを上げながら鬼は華奢な少女を掴んでいる反対の手で両足を握った。
そのまま目一杯力を入れて握り締める。
ゴキ ゴキ ゴキ ぐちゃ……
「ギャァァァァァアアアアアッッッ!!」
両足の骨が全て粉砕され激痛が走り、ピーチエールは涙を流し悲鳴を上げた。
それでも鬼は容赦がない。
「へへっ、これで動けねーだろよぉぉぉっ!!」
と、今度は地面へ投げつけた。
「ぐおぇっ、がはっ!」
周囲の瓦礫が吹き飛ぶ勢いで背中から打ち付けられ息ができない。
口からは血の塊まりを吐き出すだけだ。
「あっ…… あぐぐぁぁぁ…… あ、足が……」
どうにか立ち上がろうとするが、ぐちゃぐちゃに潰された足は全く動かない。
完全に殺しにかかっている敵を前に絶体絶命のピンチであった。
「どうした、どうした。んん? おらぁ!!」
無残に倒れるピーチエールを踏みつけようとする鬼。
ドカッ
「ヒィィィ!!」
恐怖のあまり両腕で顔を隠すが痛みは無い。
鬼は面白そうに地面を踏みつけただけであった。
ジョボボ……
怯えるピーチエールは失禁をしてしまった。
「ギャハハハッ、正義のヒロインがお漏らしとはなぁ! こいつぁ面白れぇぜ」
「い、嫌ァァァァァ…… ほ、ホーリー…… ボンバー」
なんとか勇気を振り絞り魔法を放つも、強大な鬼には意味を成さず弾け飛ぶだけだ。
「次はスティックだな、そいつが無くなりゃどうするか見物だなぁ。ガハハハッ」
と、鬼はピーチエールが右手に握り締めているスティック…… ではなく、腕そのものを掴んだ。
「な、何をする気ですか…… お願い、もうやめ……」
懇願しようとするピーチエールであったが、言葉は途中で悲鳴に変わる。
ブチッ ブチ ブチ ブチッッッ
「うぎゃぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!」
右腕は引き千切られ鮮血が吹き出す!
人体の一部をもぎ取らる凄惨な光景を目の前に悲鳴はいつしか嗚咽となる。
もう立ち上がることも魔法も使うこともできなくなった魔法少女は可弱い少女でしかない。
千切れた腕から飛び出す骨を目にするとガチガチと歯を鳴らし恐怖する。
奪われた腕は握り潰されミンチと化し、ピーチエールの顔に滴り落ちるのであった。
街の平和を守る為に果敢に挑もうとするが、瓦礫に埋もれてしまった女の子が気になって仕方がない。
無事で居てほしいと願い、どうにか隙きをついて救出しようと考えているのであった。
「街を破壊する怪人! 建て直すのにどれだけの時間と労力が必要と思っているのですか! この乙女戦士ピーチエールが許しません。成敗します!!」
「ガハハハッ! 予想以上に早い登場じゃねーか小娘。むざむざ殺られに出て来るとは馬鹿な奴よ」
「その言葉。そっくりお返しします! たあっ」
ピーチエールは飛び上がるとスティックに魔力を込め攻撃を仕掛ける。
「ホーリーボンバーッ」
数多くの怪人を葬り去ってきた光の玉が鬼を目掛けて飛翔する。
しかし、鬼は怯むこと無く拳を振り上げ光の玉を殴りつける。
ドコーン
と、弾かれた光の玉は近くの建物に当たり壁面が破壊されガラスが飛び散る。
「ガーハッハッハァ! なんだ今のは? ん? 蚊でも飛んで来たかぁ? ひひぃ、俺様を怪人と一緒にしない方がいいぜぇ」
「なっ…… ホーリーボンバーが通じない……」
必殺魔法を軽くあしらわれて動揺が走る。
それでも負けまいと果敢に攻めるピーチエール。
距離を取ると連続魔法で攻撃を仕掛ける。
「ホーリーボンバー! ホーリーボンバー! ホーリーボンバー!」
連射される光の玉は執拗に鬼を撃つが呆気なく弾かれ、直撃した攻撃すらもかすり傷ひとつ負わせることができない。
だがピーチエールは攻撃を休めること無く光の玉を撃ち続ける。
「まだまだ、行きますよっ!」
「うぜぇ! ちょこまかと、そんな攻撃効かねぇんだよっ!」
ダメージは無くとも苛立った鬼が駆け寄って来る。
「今ですっ!」
ピーチエールは咄嗟に鬼の又をスライディングで潜り抜けると泣き叫ぶ母親の元へと近づいた。
そして、女の子が埋もれているであろう瓦礫にスティックを叩き付ける。
「ピコリンハンマー、えいっ、えいっ」
叩かれた瓦礫が消滅してゆく。
すると中から女の子の声が聞こえてくる。
「うわぁーん、ママー、ママー、助けてー」
母親は娘の声に瓦礫を退かそうとするが、ピーチエールは静止する。
「待って下さい。周りの瓦礫を消しますので」
「は、はい」
「ピコリンハンマー、ええいっ、やっ」
瓦礫が消滅し女の子の全身が見えてくると、母親は夢中で我が子を引き摺り出し抱きしめた。
擦り傷はあるものの大きな怪我はしていない様子だ。
どうやら隙間に上手く入り込んでいたようであった。
「ああっ、ありがとうございます。なんとお礼を言ったら良いのか」
「お姉ちゃんありがとう」
「さっ、ここは危ないから早く逃げて下さい」
安心したピーチエールは母娘を逃がそうとしてから鬼へと目を向ける。
そこには、なんと持っていた鉄骨を振り上げ今にもこちらへ投げ付けようとしていた!
「危ない! 早く逃げてっ!」
「はいっ、ああっ!?」
逃げようとした母親が瓦礫に躓いて転んでしまった。
娘が手を引いて起こそうとするが……
「けっ! そういうことかよっ!! 皆殺しだっ!!」
ブォン
鬼は標的をピーチエールから母娘に変更し巨大な鉄骨を投げつけた!
「間に合わない! ごめんなさい!」
ピーチエールは咄嗟に2人の襟元を掴むと力いっぱい放り投げた。
変身すれば常人の何倍もの力が出せる。
大の大人を投げ飛ばすことは用意であった。
しかし、飛んで来た鉄骨を避ける余裕が無い。
「っ!!」
ドカーンッ
直撃を喰らってしまった。
身体を押し潰されそうな衝撃の後に建物に打ち付けられガラガラとレンガが崩れる。
埋もれてしまったであろうピーチエールの元へと鬼はニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら近づいた。
「おいおい、まさかこれで終わりじゃねーだろうな、ああん?」
鬼は呆れた表情で言い放ったが土埃の先には人影が見える。
「うあっ…… はぁ、はぁ…… こ、この程度では私は倒せません!」
崩壊したレンガの上には至る所から血を流し、片腕を押さえながらも立ち上がる魔法少女の姿があった。
コスチュームも破れ所々白い肌を露にしているが闘志は失っていない。
「ガハハ、立っているのもやっとといった感じだな。だが俺様は容赦しねーぞ」
「正義は負けません! この身が滅びようともあなたを倒します!」
「ああ、そうかよっ」
と、巨大な拳が襲い来るがピーチエールはヒラリと宙を舞って避ける。
空を殴ったパンチはそのまま地面を抉り石つぶてを撒き散らす。
「たぁ、ピコリンハンマー!」
ホーリーボンバーが通用しないので近接攻撃で仕掛けるピーチエール。
ドカッ
動きの遅い鬼の背中を殴りつけるも、いつものように弾け飛ばず全く効いてない様子だ。
即座にスティックから光の刃を出し、今度は斬撃による攻撃に切り替える。
「セイントランサー! はぁぁぁっ!」
ガキンッ
皮膚すらも斬れない。
まるで鋼鉄でも叩いているかのようだ。
「小賢しいわっ!」
再び殴り掛かってくる鬼だがピーチエールはスピードの速さで勝っているので容易く避けられる。
ブンブンと手当たり次第に殴るが当たる様子は全然ない。
可なり苛立っているのだろう、皮膚の色が微妙に赤みがかってきた。
「無駄ですよ、ホーリーボンバー」
「ああっ、うぜぇっつてんだよ!! でりゃぁぁぁぁぁ!」
魔法少女の光の玉は弾かれ、鬼の拳は空を殴る。
互いに決め手がな無く、どちらも疲弊するばかりだ。
「いい加減に諦めたらどうですか?」
「うるせーっ! こうなりゃ……」
鬼はピーチエールに背を向けると突然反対方向へと走り始めた。
その先には野次馬達がこちらを見ている。
埒が明かないと思った鬼は一般人へと襲い掛かことにしたのだ。
「あっ!? 待ちなさい」
慌てて追いかけるピーチエール。
しかし、鬼は容赦無く野次馬を攻撃しようとパンチを繰り出す。
「うぉぉぉぉらぁ、死ねやこらぁっ!」
寸前の所でピーチエールは野次馬の前に立ち、巨大な拳を防ごうとした。
が……
衝撃が来ない。
代わりに全身を締め付ける苦痛が襲う。
「捕まえたぜぇぇぇ!」
「あっ!? くっ、し、しまった……」
鬼は初めからピーチエールを捕らえるのが目的であった。
一般人を攻撃すれば必ず助けに入るだろうと読んでいたのだ。
「ガハハハッ、バカめ。ゴミ虫共を庇って捕まるとはなぁ。正義のヒロインも大変だな。ギヒヒヒッィ」
鬼は嬉しそうに笑いながら握る手に力を込める。
「あああああっ!! ぐはっ!」
あまりの力の強さに抜け出すこともできず、ギシギシと骨が軋む。
「うぉらぁ! このまま握り潰してもいいが、それじゃぁつまんねーよなぁ? だろぉ?」
「こ、この程度…… すぐにでも脱出して…… ぎぃやぁぁぁぁぁ!!」
更に力を込められ少女の悲痛な絶叫が街中に響く。
両腕と胴体は握られてしまい、地面から離れた足をバタつかせながら叫ぶしかなかった。
「ゲハハハァ、いい声で鳴くじゃねーか。もっと聞かせてみろや」
「あぐぐっぁ…… どうしてこんな……」
ピーチエールは不思議に思った。
今までの怪人は自分に攻撃はしても決して街の人はもちろん警備隊にすら手出しはしなかった。
それなにの鬼は平気で人を殺そうとする。
今までとは何かが違った。
いつも連れている量産型怪人すら居ないのだ。
「言った筈だぜぇ。俺様を怪人と一緒にするなとなっ」
「何が違うと……」
「イヒャハッハァ! いいだろう。テメェはどうせ死ぬんだ、面白いものを見せてやるぜ。おいっ! むにゅりん!」
「え……?」
何処からともなく現れた黒い物体にピーチエールは我が目を疑う。
色こそ違うが、むにゅりんそのものであった。
「なんだもっち? 何か用かもっち?」
喋り方まで同じだ。
「ヒャハァ、別に用はないぜぇ」
「分かったもっち。鬼神様は早く魔法少女を殺すもっち」
「へへっ、言われなくてもな」
黒いむにゅりんは再びフラフラと飛んで行き物陰へと隠れた。
ピーチエールは信じられないといった様子で焦りが隠せない。
「ど、どうして…… むにゅりんが……」
「どうだっていいだろう? テメェはゆっくりと嬲り殺してやるからよう」
「くっ……」
「まずは小賢しい動きを止めるか、フヒヒ」
気持ちの悪い笑いを上げながら鬼は華奢な少女を掴んでいる反対の手で両足を握った。
そのまま目一杯力を入れて握り締める。
ゴキ ゴキ ゴキ ぐちゃ……
「ギャァァァァァアアアアアッッッ!!」
両足の骨が全て粉砕され激痛が走り、ピーチエールは涙を流し悲鳴を上げた。
それでも鬼は容赦がない。
「へへっ、これで動けねーだろよぉぉぉっ!!」
と、今度は地面へ投げつけた。
「ぐおぇっ、がはっ!」
周囲の瓦礫が吹き飛ぶ勢いで背中から打ち付けられ息ができない。
口からは血の塊まりを吐き出すだけだ。
「あっ…… あぐぐぁぁぁ…… あ、足が……」
どうにか立ち上がろうとするが、ぐちゃぐちゃに潰された足は全く動かない。
完全に殺しにかかっている敵を前に絶体絶命のピンチであった。
「どうした、どうした。んん? おらぁ!!」
無残に倒れるピーチエールを踏みつけようとする鬼。
ドカッ
「ヒィィィ!!」
恐怖のあまり両腕で顔を隠すが痛みは無い。
鬼は面白そうに地面を踏みつけただけであった。
ジョボボ……
怯えるピーチエールは失禁をしてしまった。
「ギャハハハッ、正義のヒロインがお漏らしとはなぁ! こいつぁ面白れぇぜ」
「い、嫌ァァァァァ…… ほ、ホーリー…… ボンバー」
なんとか勇気を振り絞り魔法を放つも、強大な鬼には意味を成さず弾け飛ぶだけだ。
「次はスティックだな、そいつが無くなりゃどうするか見物だなぁ。ガハハハッ」
と、鬼はピーチエールが右手に握り締めているスティック…… ではなく、腕そのものを掴んだ。
「な、何をする気ですか…… お願い、もうやめ……」
懇願しようとするピーチエールであったが、言葉は途中で悲鳴に変わる。
ブチッ ブチ ブチ ブチッッッ
「うぎゃぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!」
右腕は引き千切られ鮮血が吹き出す!
人体の一部をもぎ取らる凄惨な光景を目の前に悲鳴はいつしか嗚咽となる。
もう立ち上がることも魔法も使うこともできなくなった魔法少女は可弱い少女でしかない。
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