異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら恐怖の触手怪人現る

おっぱいもみもみ怪人

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第49話 話のタイトルをつけ忘れた

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 ―― 3ヶ月後

 「着いた。かな?」

 「知らねーよっ」

 正秀は暗く何も無い宇宙空間で、パラソルを広げた下にあるデッキチェアに寝転びながら為次の問に答えた。
 傍らの小さなテーブルにはカクテルの入ったグラスが置かれており、まさにバカンス気分である。
 一方の為次は今朝から運転席に籠もりっぱなしであった。

 「タメツグ様ーっ、お昼は何にしますかぁ?」

 「おう。スイちゃん、フレンチで頼むぜ」

 為次が答える前に正秀は意味不明な希望を出した。

 「マサ…… フレンチって…… そろそろアブべともお別れなんだけど」

 「なんだよ、もうちょっと連れて行こうぜ」

 この3ヶ月間の食料はアブベーンシップから頂いた。
 ハッキリ言ってアノ星で補給する必要も無かったくらい大量に積んであったから。
 毎日が宴会で、騒ぎ放題、飲み放題と最高の毎日であった。

 「そろそろお別れだよ」

 「ちぇ、つまんねーなー」

 「ここらでいいでしょ」

 「まっ、しょうがねーか…… ワープできない船を連れてても仕方ないしな」

 「そうそう」

 どれだけアノ星から離れたかは分からない。
 正確にはレオパルト2のセンサーで距離は簡単に測れるが、安全距離かどうかが分からないのだ。
 一応、シミュレーターで計算はしているので大丈夫な筈ではあるが、不安定な小型モノポールドライブによって生成されるワームホールの影響は未知数であった。

 「タメツグ様、お昼は?」

 「んー、なんでもいいよ」

 「なんでもが一番困るのです」

 「じゃあ適当でいいよ」

 「むきぃー! どっちも同じなのです!」

 「ワームホール出すから後でね」

 「もぉー…… タメツグ様は……」

 「スイちゃん。フレンチだぜ」

 為次が運転席に籠もると中々出て来ないし、構ってくれないことを知っているスイは、諦めて献立を考え始めた。

 「ぽてとさてと……」

 トラクタービームを切り離すとアブベーン船に通信を入れる為次。

 「もしもしぃ、着いたよ」

 『着イタカ』

 「うい」

 『アブベーン、ドウスレバイイ?』

 「ワームホール出すから、入れば数時間で帰れるよ」

 『本当ウカ? 帰レルカ?』

 「見てれば分かるよ」

 『アブベーン、了解シタ』

 座標を入力し、モノポールドライブを起動する。

 「んじゃま、やりますか」

 レオパルト2は通常、対消滅機関をメインエンジンとしている。
 しかし、大出力が必要なモノポールキャノン及びワームホールの使用には出力不足の為に、補助エンジンとしてモノポールドライブが無理矢理搭載されているのだ。
 本来、小型車両に積めるような代物ではないが、魔導機関によってドライブ状態でもなんとか安定さることが可能である。

 「座標は…… あいつらワープできないからピッタリ送ってやらないとね。再確認おけっと、ワームホール生成開始」

 入念に座標を確認しワームホールを作り出す。
 モノポールドライブが動き始め前方にエネルギーの照射が始まった。
 光のレンズが何もない無の空間に出現する。
 その先には位相幾何学のトンネルが存在しているのだ。

 「もしもしぃ、できたよ」

 『コレガワームホールカ?」

 「うい」

 『入レバ帰レルカ?』

 「そだよ、通信もできる筈だけど」

 『アブベーン、通信スル』

 「うい」

 暫くの間、アブベーンは母星ムニュリスとの交信を行った。
 多少のラグが発生しているので、ある程度の時間は要したが無事にトンネルが繋がっているのを確信したらしい。

 『ムニュリス騒ガシイ』

 「は?」

 為次は意味が分からなかった。

 『大変ソウダ』

 「へぇ…… じゃあ早く帰った方がいいね」

 『アブベーン、スグ帰ル』

 「うん。バイバイ」

 巨大な宇宙船が光の輪をくぐる。
 光は波紋のように波打ち、アブベーン達は現宙域よりあっと言う間に消え去った……
 それを見ていた正秀はカクテルの入ったグラスを手に取り立ち上がる。

 「じゃあな、達者でな」

 と、グラスを掲げた。
 そこへ為次も砲塔の上に出て来る。

 「行っちゃったね……」

 「おう」

 「でも、よかったのですか?」

 そう言いながら、スイは炊き立てのご飯が入った丼を為次に渡す。

 「え? 何が?」

 「座標ですよ」

 と、丼ご飯の上に梅干を乗せるスイ。

 「そりゃあもちろん。あいつらワープできないから、なるべく近くにしてやったんだよ。しかもピンポイントで。何も問題ないでしょ」

 「なあ、為次。俺達ってモモちゃんの居た星に悪影響があるとマズいからここまで来たんだよな?」

 正秀も梅干しの乗った丼ご飯をスイから受け取りながら言った。

 「…………」

 暫し無言の後、為次は慌てて浮遊スクリーンを出しムニュリス星のデータを表示する。
 ワームホールの出現ポイントはムニュリス星の公転軌道上であった。
 あまりにも正確に惑星と同じ座標を入力してしまっていたのだ。

 「やべぇ……」

 「スイちゃん。これってフレンチなのか?」

 焦る為次を無視して正秀は訊いた。

 「フレンチ風の日の丸丼なのです」

 そもそもスイはフレンチを知らない。
 もっとも、正秀だってまともには食べたことがないので、よく分からずに雰囲気で言っただけである。

 「お、おう……(フレンチってベタベタした食パンだったと思うぜ)」

 フレンチトーストしか知らなかった。

 「……俺、カレーが食べたかったんだけど」

 「タメツグ様…… もっと早く言ってくれないと困るのです。さっきはなんでもいいと言いましたっ!」

 「言ったっけ?」

 「言ってたぜ。俺はフレンチを希望したんだぜ」

 為次は梅干を摘まんで中から種をムニュッと取り出し、目の前で見つめる。

 アブベーンシップがホールアウトするタイミングはピッタリと惑星に重なる。
 船は星の核にめり込み、核はワームホールに飲まれる。

 「まさに梅干しか……」

 そう呟いた為次は、種を舐めながら考えるのをやめた……

 その日、コールシュライバー銀河から一つの種族が消えた。
 惑星と共に…… 消滅した。

 だが、広大な宇宙にとって、それは些細な出来事でしかない。
 例え知的生命体が何千、何万の種族ごと居なくなろうとも、宇宙は何も変わらない。
 寧ろ、それはありふれた、何も珍しいことではないのだ。

 「さっ、為次。飯食ったら行こうぜ」

 「ですです、次の星に行くです。もっと美味しいものが有るかもです」

 「ま、いっか…… りょかーい」

 ちっぽけな戦車は今日も宇宙を走る。

 宛ての無い帰還を目指して……

 ……………
 ………
 …

 to be continued ――


 ※  ※  ※  ※  ※


 「ふぉ、ふぉ、ふぉ、まだじゃ、まだ終わらぬぞ」

 もう完結でいいやと思った時、もりもり大統領はそう言った。

 「勝手に完結するでないぞ」

 彼は今、秘密の部屋でモニター越しに怪人とピーチエールの戦いを観戦している。
 この3ヶ月で人間の怪人化に成功したのである。
 現在は試験段階といったところであろうか。

 「それにしてもピーチエールも頑張るのう、だいぶ苦戦しておるようじゃが」

 モニターに映るピーチエールは異形の人型怪人と対峙し、ダメージを受けながらも互角に戦っている様子だ。

 「じゃが、そろそろ潮時かの…… 壊れる前に回収せんとのう」

 もりもり大統領は怪人の強さを試すのに、ピーチエールと戦わせていた。
 人と他の生物を合成して造る怪人には、なんの生物が1番いいのかを検討しているのだ。
 それぞれの生物が持つ能力を人が使えるようになるのと、人体の強度が決まるとの理由からである。
 色々と試した結果、怪人から産まれる胎児との合成ならば、どれでもベストであるとの結論に至った。

 こうして新たなる最強の怪人軍団を作り、人々を捕らえ改造してゆく。
 怪人化した人間は、もりもり大統領の命令をなんでも聞くようになっている。
 国民全てを怪人に仕立て上げたのち、他国を侵略し最終的には全人類を怪人にするのだ。
 そして人々は合成された特殊能力を持ち、強靭で鋼の肉体を持った最強の種族へと進化する。

 これこそが人類怪人化計画の全貌であった。

 「ふふ…… ふふふっ…… わーはっはっはっ」

 声高らかに笑いを上げると、もりもり大統領は立ち上がり白衣を羽織る。

 「素晴らしい…… 素晴らしいぞ、タメツグっ!!」

 身体がグニュグニュと変形し、肉塊へと姿を変え無数の触手を生やす。
 その姿は紛れもなく触手怪人であった。

 「もぐもぐもぐぐー。もっもぐもぐぐっ!(タメツグの切れた触手と合成したこの身体。怪人の王として実にふさわしいではなかっ!)」

 モニターから目を離し鏡の前に立つ触手怪人は満足そうにしながら触手を蠢かす。
 新しい肉体にご満悦なもりもり大統領は、老人の体を思い浮かべる。

 「もぐもぐぐもも、もっぐぐも……(年老いた肉体も、もう3年にもなるかのう……)」

 3年前…… もりもり…… モジモジ博士は人体実験を行った。
 自らの身体からだを使って……

 研究は行き詰まっていた。

 昆虫や小動物を培養し怪人にすることはできたが、何故かある程度の知性を持った動物は、どうしても失敗していたのである。
 第一に人間を含めた大型動物は形を維持するのが大変だった。
 元の細胞の大半を怪人細胞として使用する為に、とても崩れやすい。
 昆虫などは培養細胞がほぼ全てを占めるおかげで成功率が高いのだ。
 そして、やっとの思いで大型動物の怪人を成形できても、発狂し自我も無く、全く手に負えない怪人しか造れなかった。

 そして……

 モジモジ博士はついに禁断の実験に手を出してしまう。
 そう、人体実験である。
 己の身体を使用し、自ら培養ポッドに入った。

 結果は失敗に終わった。
 緊急非常停止装置が作動して、一命こそ取りとめたものの、細胞はボロボロになり、見るも無残な姿となった。

 「ふぅ…… 嫌な思い出じゃのう…… じゃが、今は違うのじゃ。タメツグの残してくれた生体強化スーツに神経接続システム…… その応用で完璧な怪人製造ポッドが完成したわ。ふふっ、あ奴には感謝しかないわい」

 もりもり大統領はいつの間にか人間の姿に戻っていた。
 そして、鏡に映っているのは年老いた大統領ではなく、若き頃のモジモジ博士であった。

 「くくくっ、待っておるのじゃ…… ではないな…… 待っていろピーチエール! 貴様を手に入れ世界を手中に収めてくれるわ。はははははっ!」

 再びモニターを見るとピーチエールは怪人を討伐していた。

 かなり苦戦したであろう。
 コスチュームが破損し、肌を露わにして血を流している。
 周囲の人々が心配そうに見ているが、すぐには立ち去ろうとはしない。
 苦しそうな表情をしているが、内心見られていることに興奮しているのだ。

 自分の殺した怪人が、元は人間とも知らずに……
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