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月樹《つき》

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白珪学園編

第十四話 皆野家の秘密②

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 聖アルメリア王国を救った勇者ノゾミは、聖女として魔王討伐の旅を共にした王女フローラと結婚し、やがて人々に望まれその国の王となりました。

 勇者が国王になったことを記念して、新しく国旗のデザインも新調されました。

 何があろうと何度でも蘇る不死鳥フェニックス。それを取り囲む勝利のシンボル月桂樹。

 これは、勇者が日本で学生であった時に、再来年から新調される新しい制服のエンブレム用にと考えた…いかにもそのくらいの年頃の男子が考えそうなデザインでした。
 せっかくこれから入学する後輩達のために…と考えたのに、応募することなく召喚されてしまったので…じゃあ新しい国旗に使おう!とそのまま安易に流用したものです。

(お父様…あなたの考えたデザインはコチラでも採用されておりましたよ。
 この学校の制服を見た時は、それはビックリしました…まさかデザインをこちらでも使用していたとは…。
 ユカリおばあちゃんあたりが、学校にデザイン提出してくれたのかしら…?)

 やがて国王夫妻の間には、規格外の知恵と魔力を持った第一王子知聖ちさと・ルーク、人格者で剣の才に恵まれた第二王子優樹ゆうき・ノア、母譲りの美貌と聖女としての能力を受け継いだ第一王女たから・カメリアが生まれます。

 そう…この第一王女こそ私、皆野・宝・カメリアです。
 
 祖国では、その麗しい笑顔と聖女としての能力から『聖アルメリアの至宝』などと呼ばれています。
 ちなみにルークお兄様には『聖アルメリアの叡智』、ノアお兄様には『聖アルメリアの守護者』という二つ名があります。

 恥ずかしいので、人前で自分から名乗ったりしませんが…

 こんな風に聖アルメリア王国で家族にも恵まれ、順調に歩み始めたお父様でしたが…それでも日本に帰ることを諦めたわけではありませんでした。
 そして国一番の魔導師、魔法使い、魔導具師、賢者、異世界の勇者の知恵と魔法で、ついにこちらと日本を行き来できる転移装置を完成させたのは…召喚されてから、15年後の事でした…。

 理論的には完成していましたけれど…いざ人体実験となると…ちゃんと問題なく転移できるのか分からないものに王様を乗せるわけにはいかない!!となり…誰が試運転に挑戦するのかで言い争いになりました。
 時空の狭間で体が真っ二つ…なんてことになったらたまりませんから…。

 どうするべきか…?と悩んでいたところ…


『姫様~、どちらに行かれましたか~?姫様~!!』

    …パタパタパタパタ…


 けたたましい侍女の声と、足音が聞こえた…と思ったら…


     ーバターンー


 扉の開く音がして…


    …バタバタバタバタ…
 

 怖ろしい勢いで高速ハイハイをした赤ん坊が…


     ~ポーン♪~
 

 そのまま直線上にあった転移装置の上に上がり、運悪く運転スイッチを押してしまいました!?
     

「宝!?」「「「「姫~!?」」」」


 慌てて赤ん坊を降ろそうとした王様が転移装置に乗ったタイミングで…


     ~ウィーン♪~


 装置が動き始めた…そして…


「「「「王~!!、姫~!!」」」」


 赤ん坊と一緒に消えた…!?






 まあ、もちろんその赤ん坊が私で、お父様と自ら実験台になり、無事転移装置が成功したことが証明されたのですけれど…


 それから更に改良され、今では莫大な魔力は消耗するけれど、安定して日本と聖アルメリア王国を行き来できるようになりました…。

 初めは…おじいちゃんもおばあちゃんも腰を抜かして驚きました…。

 15年も前に行方不明になった息子が、突然大人になって、赤ん坊を抱いて現れたら…そりゃビックリしますよね…。

 その後、お父様はおじいちゃんおばあちゃんに異世界での15年間の話をしました。
 とても信じられない話だけれど…話は作り話には聞こえず、そもそもそんな嘘を言うような息子ではなかったし…ピンク髪に赤い瞳の孫を見たら信じるしかありませんでした…。
 転移装置の安全性を確認できてからは、他の孫達や嫁にも会い、今では定期的にテレビ電話でお互いの近況を報告しています。

 お父様はもう聖アルメリア王国に籍があるため、日本で戸籍を再取得はしませんでしたが…今回私は日本の学校に通うにあたり、おじいちゃんとおばあちゃんの子供として養子縁組をして戸籍を作ることになりました。
 DNA鑑定をすれば血の繋がりは証明できますが…何せ肝心の父親が不在のため、手続きはなかなかにややこしく…

 とりあえず『うっ…頭が痛い…記憶が…』を乱発して、何とか乗り切り、最終的には学校入学に間に合うよう戸籍取得することが出来ました。
 ちなみにお兄様達はこちらで暮らす予定がないため、日本国籍を取得したのは私だけです。

 この戸籍を取る時に、目立つピンク頭に赤い瞳は幻影魔法で隠蔽しました。
 今の私の容姿は、AI画伯が描いた『目立たない日本人女子中学生』を参考に作られたものなのです。


 ■□■□■□■□

 お読みいただきありがとうございます。
 簡単な人物紹介を夕方にあげる予定です。

 また次回から、お話は白珪学園に戻ります。

きずな児童書大賞にエントリーしております。
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