幽霊倶楽部メルティキッスにようこそ

月樹《つき》

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白珪学園編

第二十二話 体育祭①

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 長い夏休みが終わり、二学期が始まりました。
 夏休みの間には、新学園長兼幽霊倶楽部メルティキッスの次代顧問として鈴木千明ちゃんが決定したり、私は実家で色々…本当に色々あったりしましたが…

 気持ちを切り替え、新しい学期を迎えましょう。

 学園では、早々に体育祭に向けての練習が始まりました。
 私は日本での体育祭が初めてなので、聖アルメリア王国との違いにビックリすることだらけでしたが、日本ではこれが一般的な競技だと聞き、そういうものなのか…と自分を納得させました。

 今は今学期最初の幽霊倶楽部メルティキッス定例会の最中です…。

『え~っ、じゃあタカラちゃんの育った国では、体育祭にどんな競技をしていたの?』
 椿先輩が興味津々きょうみしんしんといった感じで聞かれるので…

「え~、そうですね…。(魔術戦のことは、こちらでは話ししたらダメですし…)剣や弓などの道具を用いた競技が多いですね…」と答えましたら…

『えっ…剣?弓…?』
 あらっ…?椿先輩のこの反応…。
 そういえば…こちらで得物を使う競技は槍投げくらいで、あまりありませんでしたわね…。それなら…

「私がいた国でもリレーはあるのですが、基本1人が走る距離は10000メートルくらいなんです。
 借り物リレーもありますよ。
 ただ…借りられる対象物はダンジョン危険地域内に隠されていますので、体育祭の開催中に無事持ち帰る者は、毎年1人か2人で…中には、そのまま帰ってこなかった者もいます」
 と、こちらで一般的な競技もちゃんとあることを伝えました。異文化と言っても、異文化過ぎると警戒されますからね。

『どんな恐ろしい体育祭をしているのよ!!いったいどこの国の話なの?』
 あらっ?思っていた反応と違う…。

「ヨーロッパの地図にも載っていないような小さな国です」
 お父様には、聞かれたらそう答えるように言われていましたので、そう答えておきましょう…。

『世界って広いのね…』
 椿先輩は私の話を聞いて腑に落ちない…という顔をしながらも、お茶を飲んで気持ちを落ち着けていました。

「それで…タカラさんは何の競技で出場されるんですか?」
 ちょっと気まずい…という思いが顔に出ていたのか、話題を変えるように、タナトスさんが質問してくれました。
 タナトスさんは、さりげなく空気を読んで話題を提供してくれる、気配り上手さんです。
「はい、無難に借り物競争と玉入れに参加します」
「それは楽しそうですね。倶利伽羅くんは何に参加するのですか?」
 タナトスさんは、黙って一人でお茶を飲んでいる倶利伽羅くんにまで気を使って話をふります。

 基本、倶利伽羅くんは陰キャなので、こちらから聞かないと何も話しません。
 聞いても自分が興味がなかったり、都合が悪いと聞こえなかったふりをします…。
 クラス内で話し掛けるのも私くらいしかいないため、いつのまにか彼の意見を確認する必要がある時は、全て私を通されるようになっていました…。

『そういうことは、クラスの意見をまとめる学級委員がする仕事だと思います♡』と学級委員の田中君に伝えると…

『そういうことはの仕事だと思います♡』と笑顔で返された…。

 彼女…?she…?誰…?

 結局、が誰なのかわからないまま、未だに私が倶利伽羅くんの連絡係をさせられています…。

 そのことを倶利伽羅くんに話すと…

『ふ~ん。まあ、面倒だから、そのままタカラで良いよ?』と言われました。

 私は良くないです…。


 まあ…そんな面倒な倶利伽羅くんとクラスの橋渡しをして、調整の結果決まった彼の出る競技は…

「…リレーと借り物競争」
 倶利伽羅くんがボソッと答えました。

 倶利伽羅くん、地味な見た目に反して運動神経は抜群に良く、実はクラスで一番走るのが早いのです…。
 だからリレーは『絶対に出てほしい!!』とのクラスの要望で決まりました。

 借り物競争は私が出るから…と決めたようです。倶利伽羅くん、ボッチですから他に同じ競技に一緒に出よう♪というお友達いませんからね。
 私もいませんけれど…それが何か?


「リレーの選手に選ばれたのですか?
 それは素晴らしいですね。二人の借り物競争も楽しそうですね。
 当日は見学に行けないのですが、応援しておりますので、お二人とも頑張ってくださいね」


 タナトスさんにも激励してもらい、ちゃんとみんなから浮かないように練習も重ね、いよいよ明日は本番を迎えます。


 ■□■□■□■□

 お読みいただきありがとうございます。



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