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月樹《つき》

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白珪学園編

第二十三話 体育祭②

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 体育祭当日。天候は快晴、風が吹き、そう暑くもなく、絶好の体育祭日和です。

「おばあちゃん、お弁当の中身は何?」
 今日は体育祭なので、ユカリおばあちゃんが私の好きなものがいっぱい入ったお弁当を作ってくれました。

 聖アルメリア王国では、学園は全て食堂で注文して食べるシステムなので、給食やお弁当は、こちらに来て初めて食べましたが…
 給食は自分で好きなものを選べないので、日によって当たり外れがありますが、お弁当はとても良いです。
 毎日だと、それを用意してくれるおばあちゃんが大変ですが、体育祭のような特別な日だけなので、腕によりをかけて作ってくれます。
 お父様達が中学生の頃は、今のように給食がなかったので、毎日お弁当だった!!と自慢していましたが…
 ちゃんとユカリおばあちゃんに感謝していたのでしょうか…?


「タカラちゃんがリクエストしてくれたタコさんウィンナーと卵焼きは入っているわ。あとは食べるときのお楽しみね」
 そう言って、ユカリおばあちゃんが、笑顔でお弁当の包みを渡してくれました。

「僕がリクエストした野菜の肉巻きも入っているよ」
 ユカリおばあちゃんの隣で、すごい笑顔のルークお兄様…。
 競技に出るわけでもないのに、ちゃっかりお弁当のおかずのリクエストをしているところが腹立ちます。

「優樹くんの好きなちくわの磯辺揚げも入ってるわよ」
「お祖母様、私の好きな物まで…ありがとうございます。」
 ユカリおばあちゃんの荷物をさりげなく持ちながら、微笑むノアお兄様…。
 そう、今回はノアお兄様も体育祭を見るためにやって来ました。
 お父様、お母様も来たがっていましたけれど、お仕事があるので諦めさせました…。

 まあ、元々うちの家族は仲が良いので、私の体育祭と聞いたらみんな見に来たがりますけれど…今回、兄達が日本に来た目的は別にありました…


とかいう者は何の競技に出るんだ?」
 ルークお兄様…どうしてナイフを研ぎながら、そんなことを聞くのかしら…?

「リレーと借り物競争です…」
 不思議に思いながら私が答えると…

「兄上、こちらの国のリレーは距離が短く目立つので、のなら借り物競争でです」
 冷静な顔で、ノアお兄様…ヤルって何を?
 借り物競争も聖アルメリア王国うちと違ってダンジョンに行ったりしないので、駄目ですよ…。

 とりあえず、日本の学校には刃物を持って入っただけで逮捕されることを伝え、体育祭にはお弁当と水筒だけを持って来るように説得しました。

 うちの学校では、体育祭の時のお昼は教室で食べても、外で家族と食べても良いので、私はせっかくおじいちゃん、おばあちゃんや兄様達が来てくれるので、外で一緒に食べる約束をしています。

「じゃあタカラ、また後でね…それと、僕達も幻影魔法で日本人らしい容姿に変身して行くから、名前を呼ぶ時は日本名の方でよろしく」

「わかりました。では、知聖ちさとお兄ちゃん、優樹ゆうきお兄ちゃん、また後で」
 私がそう言うと…

「お…お兄ちゃんだと…」
 何か良く分からないですけれど…ルークお兄様はガクリと膝をつき、天を仰いでブツブツ呟いていました。

「兄上のコレはいつもの事なので気にしなくていいから、いってらっしゃい」
 ノアお兄様が手を振ってくれましたので、私も振り返し先に学校へと向かいます。
 学校でもあの調子で来られたら、ちょっと嫌なので、ルークお兄様にはあまり愛想を振りまかないようにしましょう。

 私と倶利伽羅くんが出る借り物競争は午前の三番目の競技で、昼一番に保護者も参加できる綱引きがあり、玉入れはその後、リレーは一番最後とりを飾る花形競技です。

 ルークお兄様が良いところを見せようと綱引きに出場しそうですが…
 ドラゴンを素手で倒すお兄様が出場すると絶対何か起こる気がします…。

 私が異世界人とバレないためにも、お兄様の出場を食い止めないと…。


 ■□■□■□■□

 お読みいただきありがとうございます。


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