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月樹《つき》

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白珪学園編

第二十四話 体育祭③

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「それでは皆さん、そろそろ開会式が始まりますので、所定の位置に並んでください」

 体育の先生の号令に合わせ、みんなそれぞれのクラスの位置に並びます。
 何度も練習で並んでいるので、間違えることはありません。
 私達1年は朝礼台に向かって左側、真ん中が2年、右側に3年。
 各学年5クラスあり、うちは3組なので、左から3列目に並びます。

「じゃあ後でな…」

 男子女子、背の低い者から順に各一列に並ぶのですが…
 クラスで一番背の高い倶利伽羅くんは一番後ろ、私は前から三番目なので…いちいち人の頭を押さえつけてから、後ろに並びに行きました…。

 ちょっと背が高いからといって、ムカつきます。どうせ幻影魔法を掛けるのなら、身長もちょっと盛っておけば良かったです…。

 この体育祭中、倶利伽羅くんは命が危険にさらされることになると思いますが、思わず放置しておきたい誘惑にかられました…。

 まあ…そもそもお兄様達が倶利伽羅くんを敵視したのは、どうやら私の会話が悪かったみたいなのですが…。


 ~・~・~・~・~

 ~聖アルメリア王国ダイニングルーム in 夏休み~

 父 「タカラ、学校生活はどうだ?」

 タカラ 「まあ、色々とこちらとは異なることがありますから、戸惑うことも多いですが楽しく過ごしております」

 父 「友人は出来たか?」

 タカラ 「…一応は…」

 ルーク 「まさか…男子の友達はいないよね…」

 タカラ 「…男子の友達おりませんが…」

 ルーク 「どうして、女の子の友達がいないんだ?」

 タカラ 「クラスの友達が倶利伽羅くん1人しかいないからです…」

 ノア 「どうして1人しかいないんだい?タカラなら、すぐに沢山たくさん友達が出来るでしょう?」

 タカラ 「だって…みんな、倶利伽羅くんの世話を私一人に押し付けるものですから…他の人達と話す機会が無くて…」

 ノア 「そのクリカラとかいう者は、そんなに手の掛かる人間なのかい?」

 タカラ 「ええ、とても…。とにかく他の人とコミュニケーションを取りたがらない人だから、クラスと倶利伽羅くんの橋渡し役を私が一任されてしまって…」

 ルーク 「どうして、そんな役をタカラが任されるんだ?クラスの代表者か教師がするべきじゃないのか?」

 タカラ 「ええ、私もそう思ったので、学級委員の田中君に言いましたけれど…それはがすることだと…」

 タカラ以外全員 「「「「…??」」」」

 タカラ 「倶利伽羅くんもでいいって言いますし…」

 ルーク 「…どこの馬の骨とも分からない男が、うちの可愛い妹の名前を呼び捨て…」


 ~・~・~・~・~

 というような、やり取りがありまして、今に至ります…。

 それにしても…  
 倶利伽羅くんが私に話し掛けた際、飛んで来た観客席からの殺気にも…誰からの殺気なのかにも気付き、しっかりお兄様達の方を見て、私の頭を押さえつけるなんて挑発行為をしたのには驚きました…。

 まあ、アレで兄様達の殺意ホンキが増したのは確かですが…。



「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。開会の挨拶をさせていただきます、生徒会長の来栖尚明です。
 今日のこの体育祭のために、みんな日頃から練習に励み、力を合わせて頑張って参りました…」

(うっわ~、相変わらず胡散臭い笑顔…)

 あの肝だめし大会以来、宝に興味を持った尚明は、しばしばクラスに押しかけてくるようになりました…。
 イケメンで人気者の尚明がクラスに来ると、目立って仕方がないので、地味に過ごしたい宝にとっては良い迷惑です…。

 しかも、妙に倶利伽羅くんに対抗心を抱いて、などと特別な呼び方をしてくるので本当困ります。


 この体育祭、何か嫌な予感がするのですよね…。私の平穏な生活が壊されるような…。

 この宝の野生の感ともいえる感覚は、今までほぼ外れたことがありません…。


 ■□■□■□■□

 お読みいただきありがとうございます。
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