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月樹《つき》

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白珪学園編

第二話 旧校舎

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 旧校舎へと続く道は、草が鬱蒼うっそうと生い茂っていましたが、確かに誰かが草を踏み分けて通った跡がありました。
 たぶん日常的に誰かがこの道を行き来しているのでしょう…。

 何故か旧校舎の屋上には、こちらを見張るかのように何羽ものカラスが羽根を休め、警告のような高い鳴き声を上げています。

 踏み固められた道には、よく見ると割れた鏡が散らばり…何故か、あらゆる方向から視線を感じるのですが…

 私達が旧校舎に近付こうとすると…

    バタン!!

 封鎖されているはずの扉が、急に大きな音をたてて開きました…。


、行きましょうか?」
 いつの間にか歩くのをやめ、後方に留まっていた倶利伽羅くんに声を掛け、そのまま旧校舎に入っていこうとしましたら…

「待って!!待って!!待って!!どうしてあんな見るからに怪しそうな建物に入っていこうとしてるの?
 どこから、につながる要素があった?」
 倶利伽羅くんにしては珍しく、大きな声をあげ、私の袖を引っ張って、前に進むのを止めてきました。

「えっ?入りませんの?」
 私には何故、倶利伽羅くんが止めるのかが分かりません…。
 鍵がかかっていたらあきらめましたけれど…せっかく開いているのなら…行きますよね?

 倶利伽羅くんが、『信じられない!!』という顔をしています…。
 長い前髪でほとんど顔は見えていませんが…何となく空気で分かります…。
 しばらく、互いにじーっと見つめ合った後、先に目を逸らした倶利伽羅くんに、思い切り深いため息をつかれました。


「君、見た目はどこにでもいそうな、大人しい感じの普通の女の子なのに…中身は全然違うね」
「よく言われます…」

 何故か、家族以外の人で仲良くなった人達はみんな、私の見た目と中身のギャップが激しいと言います…。
 初めてお付き合いした彼にそう言われて、他の女の子に心変わりされた時は…ショックで、悲しくて泣いてしまいました…。


 その後、妹ラブ♡な兄様にボコボコにされて顔の形が変わって、泣きながら鼻水垂らして『ごめんなざい~』と謝っている姿を見ましたら、100年の恋も冷めましたけれど…


 まあ、それは置いといて…
「どうしますか?倶利伽羅くんはさっき回ったクラブでどこか入りたいところはありましたか?」
 残念ながら、私にはどこも魅力的に思えるクラブはありませんでした。

「僕は特には…。皆野さんこそ、どのクラブに入っても喜ばれそうだけれど…どこにするの?」
 
 私にとって、あの程度のことは出来て当たり前なので…あれでも手を抜いていた方なのですが…。
 が、普通にできていたことをしただけなので、今まで自分が特殊だと思ったことはありませんでした。
 でも、では目立ってしまったようです。失敗しました。
 たぶん運動部で、力加減を間違えていたら、もっと奇異きいの目で見られていたことでしょう…。

「う~ん、どこもというのは無かったですね…ということで、入っても良いですよね?」
 私は、そう言うと有無を言わせず倶利伽羅くんを引きずって、旧校舎へと入って行きました。

 電気がいていないからか、まだ昼間なのに薄暗い旧校舎の中を入って行くと、一番奥の部屋からボソボソと人の話し声が聞こえてきます。

「あっ、誰かいます!!」
 私が声のする部屋に向かって駆け出そうとしましたら、首根っこを思い切り後ろにグッと引かれました。

どうして自ら怪しさ満載の中に飛び込もうとするの!?」
 もちろん犯人は倶利伽羅くんです。
 一見ヒョロっとして見えるのに、意外と力強い…。

「人の声がしたから…?」
「それで、もし相手が危険な人物だったらどうするの?」
「学校に危険な人なんていません!!」

  あっ…また倶利伽羅くんが呆れた顔をしました…。前髪で見えませんが…。 

「どこから来るのかな?その確信は…ちなみに僕はこの校舎に入ってから、ずっとゾワゾワしてる…」
 そう言って、倶利伽羅くんが袖をまくると、すごい鳥肌が立っていました。

「うっわ、すごいチキン!!」
 私が面白がって鳥肌になっている腕をツンツンつつくと、すご~く嫌そうな顔をされました。前髪で見えませんが…。

「とにかく…僕が先に見てくるから、君はここで待っていて。動かないでね!!」
 そう言われたので、先に部屋へと入っていた倶利伽羅くんを後ろから見ていたら…



「やあ、君はうちの新入部員かな?」



 ■□■□■□■□■□■

 お読みいただきありがとうございます。
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