幽霊倶楽部メルティキッスにようこそ

月樹《つき》

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白珪学園編

第六話 ツバキ先輩

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「そんなのどうやって見分けるんですか?
 自己申告制とか…?」

 幽霊が見えるか、見えないかなんて本人にしか分からないのに…どうやって私達が見える人と判断されたのかしら?
 やっぱりそういうのを引きつけそうな暗~い雰囲気を漂わせているとか…?
 倶利伽羅くんはともかく、私には当てはまりませんね…

 と、ぶつぶつ独り言を呟きながら、考えておりましたら…

「君…本当、見た目に反して、不遜ふそんな性格してるよね…」
 倶利伽羅くんが、呆れ返って見下げてきます…。

 そうかしら…?常にヒトのかがみとなるよう心掛けているつもりですのに…

「君を鑑にしていたら、みんな王様のようになっちゃうよ…」

「あら、みんなが王様のようになれるなんて…素敵♡」
 私がそう答えたら、倶利伽羅くんは言葉につまり…もう相槌あいづちを打つのもあきらめてしまいました。


「あの~っ、ちょっといいですか?」
 どうやら大道寺先輩は、私達の会話が途切れるのを待ってくれていたようです。

「幽霊が見える見えないは自己申告ではなく…本当に二人とも見えているから勧誘しています。
 そもそも見える人しか、この校舎に入ることは出来ません…。
 つまり、この部屋にいるということが、すでに条件を満たしているということになります」
 やっと言い切れたと、満足気な大道寺先輩。
 
 え~っ、この部屋に入れるのが条件って…扉は勝手に開いていましたけど…。
 また大道寺先輩を、胡散臭い者を見る目で見ていると…

「いやいやいや…だって君達、さっきからツバキ先輩と普通に話ししているじゃないですか…」

 それが何か?

「えっ…本当に分かってないの…?
 ツバキ先輩、どう見ても幽霊じゃないですか?足透けてるし…」

 女性の足をマジマジと見るなんて、そんな破廉恥はれんちな…と思いつつも、あらためてツバキ先輩のスカートから下に目を向けると…

「あら…透けてる…」
 膝から下がフェードアウトしてました。


「皆野さん、まさか今まで気付いていなかったの…?」
 もう何度目だろう…。倶利伽羅くんに残念なものを見る目で見られるの…


『本当、面白いわね。今年の新入部員は…』
 ツバキ先輩がまた楽しそうにケラケラ笑った。

『あらためまして、この幽霊倶楽部メルティキッスのオブザーバー、香坂こうさか椿つばきです。よろしくね』

 ツバキ先輩はどっからどう見ても普通の女子中学生にしか見えない…足を見なかったら…。
 でも、それより気になったのは…
「オブザーバー?ツバキ先輩は、部員じゃないんですか?」

「一応、部員は白珪学園に在籍する中学生に限るという制限がありますから…なので、現在部員は僕1人になります」
 私の疑問に答えてくれたのは、大道寺先輩だ。

『私はかつてはこの学校に在籍していたけれど、結局卒業する前に亡くなっちゃったから、卒業生にもなれない…中途半端な存在ね』
 ツバキ先輩はちょっと悲しいのを誤魔化すように、おどけて見せた。

「ということは、ツバキ先輩はこの学校で亡くなって、取り憑いた地縛霊とかですか?」

「「・・・・」」

 ちょっと、私の言い方がストレート過ぎたのか、倶利伽羅くんと大道寺先輩が無言の圧をかけてくる…。


『あら?この学校で自殺した生徒だとでも思った?
 違うわよ~。この学校はこのクラブを発足してから、自殺者は1人も出していないもの。
 このクラブでは、そういったことを未然に防ぐことも役割のひとつなの。
 そもそも、私…幽霊になるまで、この学校に通ったことないもの…』
 ツバキ先輩は二人の無言の批難をやわらげようとしてくれたのか、説明を始めた。

「えっ?でも先輩…さっき、この学校に在籍していたって…」

『籍はあったわよ。でも、私、重い病気を患っていたから…結局中学の時は、一回も学校に通えなかったのよ…。
 そして、卒業を待たずに、そのまま病院で亡くなったの…』

「じゃあ、一度も通えなかった中学校に未練があって、幽霊になったのですか?」
 またストレートに聞きすぎて、二人に睨まれた…。

 でも、当のツバキ先輩は、そんなこと気にしていなかったようで…
『学校というよりも…初恋の人にかな…?』
 幽霊なのに、そう呟いたツバキ先輩の頬は、ほんのり赤く染まっていた…。

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 お読みいただきありがとうございます。
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