幽霊倶楽部メルティキッスにようこそ

月樹《つき》

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白珪学園編

第五話 額縁の中の人達

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 それは暖炉の上に飾られた大きな額縁の絵で、かなり年代ものの絵でした。

「あれは…?」
 倶利伽羅くんも何かに気づいたのでしょう…。
 不思議に思い、大道寺先輩とツバキ先輩を見ました。
  
『あれは…この白珪学園を創設された花屋敷はなやしき家の方達の肖像画よ…』
 答えてくれたのは、ツバキ先輩。

 椅子に座った二人の貴婦人とそれを囲むように立つ二人の紳士の絵。
 確か…入学式の時に、この学園は今年で創立120周年と言われていたような…。

 じっと見ていたら…絵の中心に座ったお茶目な感じのおばさま達が手を振ってくれたので、思わず私も振り返しました。
 よく見ると二人の女性の顔はとても似ているので、たぶん双子の姉妹なのだろうと思われます…。

「は~っ…!?」
 倶利伽羅くんは目を皿のようにして(前髪で見えませんが…たぶん)こちらを見つめ、とうとう言葉が発せなくなったようです。

『初っ端から喜久子きくこ様と櫻子さくらこ様に気に入られるなんて…あなた本当にすごいわね…それに…名前…ミナノというの…?』

「あの方々は喜久子様と櫻子様とおっしゃられるのですね。
 はい…私の名前は皆野みなのたからです。1年3組です。
 よろしくお願いします、ツバキ先輩、大道寺先輩!!額縁の中の先輩方!!」

 私が席を立って、元気にそう挨拶をすると、額縁の中の皆様も席を立って拍手で歓迎してくださいました。

「僕の時は、拍手で迎えられることなんてなかったのに…」
 何かまた大道寺先輩がいじいじしていますが…面倒くさいので放置でいいでしょう…。

「皆野さん…」
 あっ、倶利伽羅くんが復活しました。

「君…ここが何をするクラブなのか…そもそも学校に正式に認められたクラブなのかも確認せずに、ここに決めようとしてるでしょ?」
 倶利伽羅くんが眉間をもみながら、カツアゲをする不良のように睨みあげてきます。
 初めは大人しい根暗くんかと思いましたが…倶利伽羅くんの発するオーラが強者の…兄様達と同じオーラをしています…。
 これ…逆らったら駄目なやつです…。

「ちゃんと説明を聞いてから決めようっと。
 というわけなので、大道寺先輩、いつまでもいじけてないで、とっとと説明始めちゃってください」
 私がそう大道寺先輩に指示すると…

「僕、先輩なのに…とりあえずタナトスさんの入れてくれたお茶をいただきながら、お話しましょう」
 と大道寺先輩は紅茶で喉を潤し、説明を始めました。

 後ろでは、タナトスさんが絵の中の方々にもお茶を給仕しています。
 どういう仕組になっているのか分かりませんが、タナトスさんが絵にお茶を入れたティーカップを近づけると吸い込まれるように消えて、絵の中のサイドテーブルの上にカップがのっていました…。ほんと…どういう仕組になってるのかしら…?



「え~っ、そもそものこの幽霊倶楽部は、生徒達の学園生活を影から見守りたいという創始者の皆様の思いから設立されたクラブなんだ。
 だから、その事はちゃんと書類にもしたためられているし、学校公認のクラブとして、毎月の活動費も出ているよ。
 ただ…この倶楽部はちょっと特殊だから、皆野さんにも話したけれど、誰でもは入れない…選ばれた人しか入れないクラブなんだ…」

「選ばれた人って…その選考理由は何ですか?」
 倶利伽羅くんは、いかにも胡散臭い…という顔をして、大道寺先輩に問いただしました。

 確かに…私と倶利伽羅くんと大道寺先輩に共通点は浮かびません…。
 倶利伽羅くんと大道寺先輩だけなら、陰キャで分類できますが、カワイイ私にそれは当てはまりませんし…。
 なんて真剣に選ばれし理由を考えておりましたのに…

「それは…幽霊が見える人か、見えない人かという点だよ。
 僕んち、お寺だからか…昔からそういうのが見える性質たちなんだよね」



 倶利伽羅くんが案じたように、胡散臭い選考理由でした。



 ■□■□■□■□■□■

 お読みいただきありがとうございます。
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