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一話完結
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オギャーとこの世に生まれ出た私を見て、お母さんは、
「まあ、何てお姫様みたいに可愛い子なのかしら?」
と思ったそうです。
そして、輝愛姫と名付けました。
確かに赤ちゃんの頃の私は、その名前に相応しい可愛いらしさがあったかもしれません。
でも人間、成長するのです。
そんなこと忘れていた、うっかりさんのお母さんから生まれた私も、やっぱりうっかりさんでした。
高校受験で、絶対に受かるだろうと言われていた近所の高校を受けた私は、見事不合格でした。
そう、うっかりさんによくありがちな、テストに名前を書き忘れたのです。
『余程のことがない限り、絶対受かる!』
と言われていたので、滑り止めも受けていませんでした。
慌てて二次募集をしている高校を探し、無事受かりましたが、電車で片道2時間もかかる、はるか遠くの学校でした。
私は何事もポジティブに受け止めようと、これを機会に高校デビューすることにしました。
幸い、校則ユルユルの高校だったので、どんな格好をしても、制服さえ着ていれば問題ありません。
中学までは普通の公立だったので、髪は染めてはいけない。肩につく長さは黒か紺色のゴムでしばるという校則がありました。
もちろんスカート丈も膝下です。
真っ黒の長い髪をおさげにし、黒縁の眼鏡に微妙な丈のスカート。
うちは通学時は下にジャージを履く子が多かったので、基本セーラー服にジャージという格好でした。
そして…名前は輝愛姫…。
中学時代はイジメられないけれど、話し掛けてくれる友達もいなくて、淋しかったです…。
せっかくだから高校では、輝愛姫に相応しい装いにして、友達をいっぱい作りましょう!!
私はまず眼鏡をコンタクトに替え、髪は金色に染めて縦ロールにしました。
そして赤い大きなリボンでハーフアップにし、スカート丈も膝上にしました。
うちの高校は、偏差値は低いけれど、制服はかわいいのです。
良し!!これで友達をいっぱい作ろう!!と勢い勇んで入学式を迎えましたが…
みんな、金髪どころかピンクや青や緑とカラフルな装いで化粧もバッチリで…
私はこのキラキラのクラスメイトの中では、ちっとも『輝く愛らしい姫』になれませんでした…。
高校デビューに失敗し、1人落ち込んでいると声を掛けてくれる親切な男の子が現れました。
彼はまだ高1なのに、頭が真っ白でした。
私が「若白髪は芸術家や研究職の人に多いので、才能溢れる証拠ですよ」と言うと、ニッコリ微笑んでくれました。
お名前を尋ねると、何と…龍華院帝王くん。
私以上のキラキラネームでした。
私なんて名字が平凡な佐藤な分、まだマシです。
さぞや苦労しただろうと、私もこの名前に少しでも近づけるために、頑張って高校デビューしようとしたことを話しました。
すると何と彼は私に同情し、色々とアドバイスしてくれたのです。
彼自身も苦労してきたと思うのに…本当に良い人です。
まず…やはりこの高校で金髪はありふれているので、かえって黒髪の方が目立つよと言われ、髪を元の色に戻しました。
それから、赤いリボンはちょっと幼く見えるので、こっちの方が似合うからと白いサテンのリボンを頂いたので、そちらに変更しました。
すると彼は「僕の髪色とお揃いだね」と喜んでくれました。
スカートは、これまた皆んな短いから、長い方が個性があって良いと思うよと言われ、気がつけば中学の時よりも長い丈になっていました。
まあ、この方が階段上がる時も下着が見えないか心配しなくていいので、良いのかしら…?
彼のアドバイスのお陰で、いつの間にかクラスメイトからは、
ティアラ様と呼ばれるようになっていました。
彼の提案で、お嬢様路線で進めたため、ちょっと気を使われているような感じはしましたが、決して仲間外れにはされず、何だかんだで楽しい高校生活を送れました。
高校を卒業して4年が経ち、今日は久しぶりの同窓会に来ています。
卒業後は、それぞれ就職、専門学校、大学と違う道に進みましたが、会えばすぐあの頃に戻って、昔話に花が咲きます。
「実はみんなには内緒にしていたけれど…私本当はお嬢様でも何でもない、普通の庶民なんです!!」
私は高校時代から秘密にしていた事実を、とうとうカミングアウトしました。
「えっ、みんな知ってたよ…」
「ティアラ様、小物とか100均のよく使ってたし…」
「一緒に食べに行くのも、いつもファミレスかファーストフードで、しかもその中でも安いメニューを選んで食べてたし…」
何だ…あんなに帝王くんと考えて、バレないようにお嬢様の振りをしていたのに…みんな気付いていたんだ…。
「じゃあ、どうしてみんな私のことティアラ様と呼んでくれてたの?」
「だってそんなに綺麗なのに、性格は浮世離れしてて騙されやすいところとか、まさにティアラ様って感じだし…」
「本当、見事に龍華院くんの思う壺だったよね…」
「何だかんだいって、ティアラ様を自分好みに染めていっちゃうし…」
「あの『お嬢様には許嫁がいるものだよ』発言には、みんな吹き出しそうになったよね…。思い切り睨まれたから我慢したけれど…」
『えっ…』
みんなの発言にビックリして聞き返そうとしたところで、邪魔が入りました。
「はいはい、そんな女子ばかりでかたまってないで、みんなで話そうね~。
うちの奥さん貰って行くね~」
真相を確かめようとしたのに…帝王くんに回収されてしまった…。
そう言えば帝王くん、高校を卒業したらストレスがなくなったのか、今では綺麗な黒髪です。良かったね。
「ティアラは身重なんだから、無理しないの」
回収された後は、帝王くんが側から離してくれなかったので、結局謎は迷宮入りです…。
確かあの時、帝王くんはこう話していました…
『佐藤さん、知ってた?良いところのお嬢様って、学生の頃から許嫁がいるのが普通なんだよ』
『本当?ああいうのってドラマとか小説の中だけの話じゃないの?』
『いいや、本当本当。うちの姉なんて、子供の頃から許嫁いるよ』
『そうなんだ!?龍華院くん、すごい名前だと思っていたけれど、やっぱり昔はお貴族様とかだったりするの?』
『貴族では無いけれど…歴史は結構古いし、金持ちではあるかな?
ビルなら何棟か持っているしね』
『すごいね~。おうちは、どんなお仕事をされているの?』
『昔は人に言えない仕事も請け負っていたけれど、祖父の代からはクリーンになったから大丈夫だよ』
『クリーン?清掃関係か何か?』
『ある意味…昔は街の掃除屋と呼ばれていたね。今は不動産関係が主かな?』
『…そうなんだ…。よく分からないけれど不動産屋をされていて、ビルを沢山持ったお金持ちということだね?』
『うん…まあ、そうかな…?
だから、お嬢様である君の許嫁役としては、僕が適任だと思うよ…』
そんな感じで上手いこと言いくるめられ、気がつけば彼の奥さんになっていました…。
まさかあの時、ノリでサインした書類が本物だったとは…。
『やっぱり、あんなに名前にコンプレックスを持っていたのに、龍華院輝愛姫になるなんて…嫌だよね』
なんて、捨てられた子犬のよな目で言われたら…それを無かったことにすることもできませんでした…。
まあ、知らないうちに結婚してたような相変わらずのうっかりさんですけれど、帝王くんのことは好きだし、もうすぐ可愛い赤ちゃんも生まれるし…結果オーライで良いでしょう。
でも、私は子供のためにも名前をつける時だけはしっかりさんになると決めています!!
男の子でも女の子でも、愛しい我が子に会えるのが、今から楽しみです。
■□■□■□■□■□■□
お読みいただきありがとうございます。
このお話は、なろう様でも投稿しております。
名前は子供に一番最初に贈られる大切なプレゼントです。
なので、このお話の中のお母さんも、もちろんティアラ様のことを思って輝愛姫と名付けています。
母の気持ちは、うっかりさんのティアラ様に伝わっておりませんが…。
「まあ、何てお姫様みたいに可愛い子なのかしら?」
と思ったそうです。
そして、輝愛姫と名付けました。
確かに赤ちゃんの頃の私は、その名前に相応しい可愛いらしさがあったかもしれません。
でも人間、成長するのです。
そんなこと忘れていた、うっかりさんのお母さんから生まれた私も、やっぱりうっかりさんでした。
高校受験で、絶対に受かるだろうと言われていた近所の高校を受けた私は、見事不合格でした。
そう、うっかりさんによくありがちな、テストに名前を書き忘れたのです。
『余程のことがない限り、絶対受かる!』
と言われていたので、滑り止めも受けていませんでした。
慌てて二次募集をしている高校を探し、無事受かりましたが、電車で片道2時間もかかる、はるか遠くの学校でした。
私は何事もポジティブに受け止めようと、これを機会に高校デビューすることにしました。
幸い、校則ユルユルの高校だったので、どんな格好をしても、制服さえ着ていれば問題ありません。
中学までは普通の公立だったので、髪は染めてはいけない。肩につく長さは黒か紺色のゴムでしばるという校則がありました。
もちろんスカート丈も膝下です。
真っ黒の長い髪をおさげにし、黒縁の眼鏡に微妙な丈のスカート。
うちは通学時は下にジャージを履く子が多かったので、基本セーラー服にジャージという格好でした。
そして…名前は輝愛姫…。
中学時代はイジメられないけれど、話し掛けてくれる友達もいなくて、淋しかったです…。
せっかくだから高校では、輝愛姫に相応しい装いにして、友達をいっぱい作りましょう!!
私はまず眼鏡をコンタクトに替え、髪は金色に染めて縦ロールにしました。
そして赤い大きなリボンでハーフアップにし、スカート丈も膝上にしました。
うちの高校は、偏差値は低いけれど、制服はかわいいのです。
良し!!これで友達をいっぱい作ろう!!と勢い勇んで入学式を迎えましたが…
みんな、金髪どころかピンクや青や緑とカラフルな装いで化粧もバッチリで…
私はこのキラキラのクラスメイトの中では、ちっとも『輝く愛らしい姫』になれませんでした…。
高校デビューに失敗し、1人落ち込んでいると声を掛けてくれる親切な男の子が現れました。
彼はまだ高1なのに、頭が真っ白でした。
私が「若白髪は芸術家や研究職の人に多いので、才能溢れる証拠ですよ」と言うと、ニッコリ微笑んでくれました。
お名前を尋ねると、何と…龍華院帝王くん。
私以上のキラキラネームでした。
私なんて名字が平凡な佐藤な分、まだマシです。
さぞや苦労しただろうと、私もこの名前に少しでも近づけるために、頑張って高校デビューしようとしたことを話しました。
すると何と彼は私に同情し、色々とアドバイスしてくれたのです。
彼自身も苦労してきたと思うのに…本当に良い人です。
まず…やはりこの高校で金髪はありふれているので、かえって黒髪の方が目立つよと言われ、髪を元の色に戻しました。
それから、赤いリボンはちょっと幼く見えるので、こっちの方が似合うからと白いサテンのリボンを頂いたので、そちらに変更しました。
すると彼は「僕の髪色とお揃いだね」と喜んでくれました。
スカートは、これまた皆んな短いから、長い方が個性があって良いと思うよと言われ、気がつけば中学の時よりも長い丈になっていました。
まあ、この方が階段上がる時も下着が見えないか心配しなくていいので、良いのかしら…?
彼のアドバイスのお陰で、いつの間にかクラスメイトからは、
ティアラ様と呼ばれるようになっていました。
彼の提案で、お嬢様路線で進めたため、ちょっと気を使われているような感じはしましたが、決して仲間外れにはされず、何だかんだで楽しい高校生活を送れました。
高校を卒業して4年が経ち、今日は久しぶりの同窓会に来ています。
卒業後は、それぞれ就職、専門学校、大学と違う道に進みましたが、会えばすぐあの頃に戻って、昔話に花が咲きます。
「実はみんなには内緒にしていたけれど…私本当はお嬢様でも何でもない、普通の庶民なんです!!」
私は高校時代から秘密にしていた事実を、とうとうカミングアウトしました。
「えっ、みんな知ってたよ…」
「ティアラ様、小物とか100均のよく使ってたし…」
「一緒に食べに行くのも、いつもファミレスかファーストフードで、しかもその中でも安いメニューを選んで食べてたし…」
何だ…あんなに帝王くんと考えて、バレないようにお嬢様の振りをしていたのに…みんな気付いていたんだ…。
「じゃあ、どうしてみんな私のことティアラ様と呼んでくれてたの?」
「だってそんなに綺麗なのに、性格は浮世離れしてて騙されやすいところとか、まさにティアラ様って感じだし…」
「本当、見事に龍華院くんの思う壺だったよね…」
「何だかんだいって、ティアラ様を自分好みに染めていっちゃうし…」
「あの『お嬢様には許嫁がいるものだよ』発言には、みんな吹き出しそうになったよね…。思い切り睨まれたから我慢したけれど…」
『えっ…』
みんなの発言にビックリして聞き返そうとしたところで、邪魔が入りました。
「はいはい、そんな女子ばかりでかたまってないで、みんなで話そうね~。
うちの奥さん貰って行くね~」
真相を確かめようとしたのに…帝王くんに回収されてしまった…。
そう言えば帝王くん、高校を卒業したらストレスがなくなったのか、今では綺麗な黒髪です。良かったね。
「ティアラは身重なんだから、無理しないの」
回収された後は、帝王くんが側から離してくれなかったので、結局謎は迷宮入りです…。
確かあの時、帝王くんはこう話していました…
『佐藤さん、知ってた?良いところのお嬢様って、学生の頃から許嫁がいるのが普通なんだよ』
『本当?ああいうのってドラマとか小説の中だけの話じゃないの?』
『いいや、本当本当。うちの姉なんて、子供の頃から許嫁いるよ』
『そうなんだ!?龍華院くん、すごい名前だと思っていたけれど、やっぱり昔はお貴族様とかだったりするの?』
『貴族では無いけれど…歴史は結構古いし、金持ちではあるかな?
ビルなら何棟か持っているしね』
『すごいね~。おうちは、どんなお仕事をされているの?』
『昔は人に言えない仕事も請け負っていたけれど、祖父の代からはクリーンになったから大丈夫だよ』
『クリーン?清掃関係か何か?』
『ある意味…昔は街の掃除屋と呼ばれていたね。今は不動産関係が主かな?』
『…そうなんだ…。よく分からないけれど不動産屋をされていて、ビルを沢山持ったお金持ちということだね?』
『うん…まあ、そうかな…?
だから、お嬢様である君の許嫁役としては、僕が適任だと思うよ…』
そんな感じで上手いこと言いくるめられ、気がつけば彼の奥さんになっていました…。
まさかあの時、ノリでサインした書類が本物だったとは…。
『やっぱり、あんなに名前にコンプレックスを持っていたのに、龍華院輝愛姫になるなんて…嫌だよね』
なんて、捨てられた子犬のよな目で言われたら…それを無かったことにすることもできませんでした…。
まあ、知らないうちに結婚してたような相変わらずのうっかりさんですけれど、帝王くんのことは好きだし、もうすぐ可愛い赤ちゃんも生まれるし…結果オーライで良いでしょう。
でも、私は子供のためにも名前をつける時だけはしっかりさんになると決めています!!
男の子でも女の子でも、愛しい我が子に会えるのが、今から楽しみです。
■□■□■□■□■□■□
お読みいただきありがとうございます。
このお話は、なろう様でも投稿しております。
名前は子供に一番最初に贈られる大切なプレゼントです。
なので、このお話の中のお母さんも、もちろんティアラ様のことを思って輝愛姫と名付けています。
母の気持ちは、うっかりさんのティアラ様に伝わっておりませんが…。
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