大好きなあなたのために…?

月樹《つき》

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第1話 大好きな幼馴染

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 私はアメリア・キャンベル。
 田舎の男爵家の一人娘なので、貴族といってもほぼ平民のような暮らしをしている。

 だから幼馴染の彼、チャーリーが平民でも特に問題なかったし、同じ年頃の子供が少ない地域で、私達は兄妹のように仲良く育った。

 中でも2人が一番好きだった遊びは、ごっこ遊び。

 当時、子供達に大人気だった冒険物語『騎士と聖女』に出てくる悪いドラゴンと戦う騎士アーサーにチャーリーが扮し、私はそれを補佐する聖女リリーとなって彼を応援した。

 花畑で摘んだ花束を差し出して、
『俺、主人公ヒーローのアーサーみたいな立派な騎士になるから、リアは待っていてくれる?』
 と顔を真っ赤にしながら言ってくれたチャーリー…。

 対する私も…
『うん。私もヒロインのような大聖女になって、チャーリーを応援するから頑張ってね』
 そう言って花束を受け取り、嬉しくて…二人で手をつないで走り回ったな…。たぶん二人とも、物語の主役に成りきっていたのだと思う…。


 チャーリーは平民だけれど、金髪に青い目のとても綺麗な顔をしていた。
 私は貴族なのに、茶色い髪に茶色い瞳とそこら辺にいそうな平凡顔なので、私達にがあると聞くと、逆に思う人が多かった…。 

 彼が貴族の息子で、私が平民の娘だと…。

 周りの人が何と言おうと、私達は気にすることもなく、仲良く育った。
   

 でも…成長するにつれて…
 チャーリーは着るものや身につける物を気にするようになった…。

『リアは男爵令嬢なのに、こんな破れた服を着た俺が側にいていいのかな…』 

『リアを守る騎士なのに、木刀なんてちょっと…』 

『あのペン素敵だな…。あんなペンでリアに手紙を書けたらいいのに…』


 私はその度にチャーリーに尋ねた。

『かなり高価なものだよ…。本当に…どうしても買いたいの?』と…。

『どうしても欲しいんだ…』『今の俺にはアレが必要なんだ』『絶対に…大人になったら返すから…』という彼に、私は仕方なく…


『出世したら、ちゃんと返してよね!』
 と約束して、彼の代わりに購入してあげた。


 ■□■□■□■□

 お読みいただきありがとうございます。


 第9回キャラ文芸大賞に応募してます。

 応援よろしくお願いいたしますm(_ _)m 

『須加さんのお気に入り』
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/977567822/236927984

 
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