6 / 8
第6話 夢から醒める時
しおりを挟む
みんなが卒業最後の思い出に浸っている頃、別室では…
「セイラ…どういうことだ?お前があのキャンベル男爵家とお近づきになれたというから、男爵に話しかけたのに…
男爵には怪訝な顔をされ『何かの間違いでは…?』と返されたぞ…。
ところで…その隣の彼はどこの何者なんだ…?」
「だって…チャーリーが、キャンベル領から来たなんて嘘をつくから…。
だから私は彼がキャンベル男爵令息だと思って、結婚しようと思ったのに…」
「嘘などついてない。俺はキャンベル領出身だ」
「キャンベル男爵に息子はいない。ご令嬢と仲良くなるように…とお前には言っただろ?」
「でも…キャンベル領の出身者で貴族は彼しかいなかったから…お父様が令息と令嬢を言い間違えたのだと思って…」
「キャンベル男爵の娘って…リアのこと…?」
「えっ…リアって…。あの貴方が最初一緒にいた冴えない子…?
あの子、あんな見た目なのに男爵令嬢なの?そんなの詐欺じゃない!!
騙された私はちっとも悪くないわ!!
っていうか…あの目立たない容姿の子がクリストファー様と結婚するっていうの!?私の方が美人じゃない!!」
「リアが第三王子なんかと結婚するはずないだろ?リアはずっと俺のことが好きなんだから…」
ある意味似た者同士の二人は、お互い自分に都合の良いことしか見ないし、好き勝手に話すので、部屋の中は混沌としていた…。
そんな中、チャーリーの両親は部屋の隅で必死に空気になろうと沈黙を貫いていた。
どう考えても場違いな場所にいることは分かっている…。
しかも息子はいくらするのか分からないような高価な衣装を着て、話の流れは不穏な感じで…。
今1番の心配事は、あの借用書のことだ…。
息子はちゃんと三年で学費を返せるのだろうか…?
それができなければ、自分達が必死に働いて買った家は取り上げられてしまうかもしれない…。
でも…いつも最後には甘いキャンベル男爵家の人達のことだから、困っていることを切実に訴えたら無かったことにしてくれるのではないだろうか…
などと、さすがチャーリーの親らしく、厚かましいことを考えていたら…。
~・~・~・~・~
ガチャッと扉が開き、無事卒業パーティーを終えたクリストファー殿下、アメリア、キャンベル男爵が部屋に入ってきた。
「少しは頭を冷やせたかな?」
クリストファーがいつもの王子様スマイルで、その場にいた皆に問い掛けると…
「クリストファー様、私は騙されていただけなんです!!
キャンベル男爵令息だと思ったから、チャーリーと仲良くしていたのに…
まさかその地味な人が男爵令嬢だなんて思わないじゃないですか!!」
「セイラ!!黙りなさい!!」
殿下とキャンベル男爵の視線が氷点下になっていることにも気づかず、話し続けようとするセイラをオズボーン子爵は必死に止めようしたけれど…もう遅かった。
「本当に学ばないね…。私の名前を勝手に呼ばないようにと言ったよね…。
2度目はない。
私の婚約者であるアメリアに対する失礼な発言と合わせて、不敬罪で訴えてくれ…」
クリストファー様はセイラさんを視界に入れることもなく、側近のアルバート様に告げた。
「御意」
短く答え、何かにメモを取るアルバート様。
慌ててオズボーン子爵が
「殿下、誠に申し訳ございません。
ですが…娘はまだ貴族となって日が浅く、貴族としての常識が身についておりませんので、どうかご容赦ください!!」
と取り繕うとしましたが…
「日が浅いというが、もう一年はこの学園に在籍してマナーレッスンを受けているはずだし、身分の高い者に自分から話しかけたり、許しもなく名前を呼んではいけないことなど子供でも知っていることだ…。
一年経っても、そのようなことも理解出来ない者を、この王立学園に通わせたオズボーン子爵の判断が甘かったとも言える…。
親として貴方にもしっかり責任は取っていただく」
クリストファー様の有無を言わせぬ冷たい眼差しに、オズボーン子爵は何も言うことができなくなり…
そのままオズボーン親子は、アルバート様が呼ばれた騎士の方に連れて行かれた。
「セイラ…どういうことだ?お前があのキャンベル男爵家とお近づきになれたというから、男爵に話しかけたのに…
男爵には怪訝な顔をされ『何かの間違いでは…?』と返されたぞ…。
ところで…その隣の彼はどこの何者なんだ…?」
「だって…チャーリーが、キャンベル領から来たなんて嘘をつくから…。
だから私は彼がキャンベル男爵令息だと思って、結婚しようと思ったのに…」
「嘘などついてない。俺はキャンベル領出身だ」
「キャンベル男爵に息子はいない。ご令嬢と仲良くなるように…とお前には言っただろ?」
「でも…キャンベル領の出身者で貴族は彼しかいなかったから…お父様が令息と令嬢を言い間違えたのだと思って…」
「キャンベル男爵の娘って…リアのこと…?」
「えっ…リアって…。あの貴方が最初一緒にいた冴えない子…?
あの子、あんな見た目なのに男爵令嬢なの?そんなの詐欺じゃない!!
騙された私はちっとも悪くないわ!!
っていうか…あの目立たない容姿の子がクリストファー様と結婚するっていうの!?私の方が美人じゃない!!」
「リアが第三王子なんかと結婚するはずないだろ?リアはずっと俺のことが好きなんだから…」
ある意味似た者同士の二人は、お互い自分に都合の良いことしか見ないし、好き勝手に話すので、部屋の中は混沌としていた…。
そんな中、チャーリーの両親は部屋の隅で必死に空気になろうと沈黙を貫いていた。
どう考えても場違いな場所にいることは分かっている…。
しかも息子はいくらするのか分からないような高価な衣装を着て、話の流れは不穏な感じで…。
今1番の心配事は、あの借用書のことだ…。
息子はちゃんと三年で学費を返せるのだろうか…?
それができなければ、自分達が必死に働いて買った家は取り上げられてしまうかもしれない…。
でも…いつも最後には甘いキャンベル男爵家の人達のことだから、困っていることを切実に訴えたら無かったことにしてくれるのではないだろうか…
などと、さすがチャーリーの親らしく、厚かましいことを考えていたら…。
~・~・~・~・~
ガチャッと扉が開き、無事卒業パーティーを終えたクリストファー殿下、アメリア、キャンベル男爵が部屋に入ってきた。
「少しは頭を冷やせたかな?」
クリストファーがいつもの王子様スマイルで、その場にいた皆に問い掛けると…
「クリストファー様、私は騙されていただけなんです!!
キャンベル男爵令息だと思ったから、チャーリーと仲良くしていたのに…
まさかその地味な人が男爵令嬢だなんて思わないじゃないですか!!」
「セイラ!!黙りなさい!!」
殿下とキャンベル男爵の視線が氷点下になっていることにも気づかず、話し続けようとするセイラをオズボーン子爵は必死に止めようしたけれど…もう遅かった。
「本当に学ばないね…。私の名前を勝手に呼ばないようにと言ったよね…。
2度目はない。
私の婚約者であるアメリアに対する失礼な発言と合わせて、不敬罪で訴えてくれ…」
クリストファー様はセイラさんを視界に入れることもなく、側近のアルバート様に告げた。
「御意」
短く答え、何かにメモを取るアルバート様。
慌ててオズボーン子爵が
「殿下、誠に申し訳ございません。
ですが…娘はまだ貴族となって日が浅く、貴族としての常識が身についておりませんので、どうかご容赦ください!!」
と取り繕うとしましたが…
「日が浅いというが、もう一年はこの学園に在籍してマナーレッスンを受けているはずだし、身分の高い者に自分から話しかけたり、許しもなく名前を呼んではいけないことなど子供でも知っていることだ…。
一年経っても、そのようなことも理解出来ない者を、この王立学園に通わせたオズボーン子爵の判断が甘かったとも言える…。
親として貴方にもしっかり責任は取っていただく」
クリストファー様の有無を言わせぬ冷たい眼差しに、オズボーン子爵は何も言うことができなくなり…
そのままオズボーン親子は、アルバート様が呼ばれた騎士の方に連れて行かれた。
106
あなたにおすすめの小説
最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。
幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。
一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。
ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。
運命の人は貴方ではなかった
富士山のぼり
恋愛
「パウラ・ ヴィンケル……君との婚約は破棄させてもらう。」
「フレド、何で……。」
「わざわざ聞くのか? もう分かっているだろう、君も。」
「……ご実家にはお話を通されたの?」
「ああ。両親とも納得していなかったが最後は認めてくれた。」
「……。」
「私には好きな女性が居るんだ。本気で愛している運命の人がな。
その人の為なら何でも出来る。」
魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。
星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」
涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。
だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。
それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。
「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」
毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。
必死に耐え続けて、2年。
魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。
「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」
涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。
花言葉は「私のものになって」
岬 空弥
恋愛
(婚約者様との会話など必要ありません。)
そうして今日もまた、見目麗しい婚約者様を前に、まるで人形のように微笑み、私は自分の世界に入ってゆくのでした。
その理由は、彼が私を利用して、私の姉を狙っているからなのです。
美しい姉を持つ思い込みの激しいユニーナと、少し考えの足りない美男子アレイドの拗れた恋愛。
青春ならではのちょっぴり恥ずかしい二人の言動を「気持ち悪い!」と吐き捨てる姉の婚約者にもご注目ください。
勇者様がお望みなのはどうやら王女様ではないようです
ララ
恋愛
大好きな幼馴染で恋人のアレン。
彼は5年ほど前に神託によって勇者に選ばれた。
先日、ようやく魔王討伐を終えて帰ってきた。
帰還を祝うパーティーで見た彼は以前よりもさらにかっこよく、魅力的になっていた。
ずっと待ってた。
帰ってくるって言った言葉を信じて。
あの日のプロポーズを信じて。
でも帰ってきた彼からはなんの連絡もない。
それどころか街中勇者と王女の密やかな恋の話で大盛り上がり。
なんで‥‥どうして?
某国王家の結婚事情
小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。
侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。
王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。
しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。
私の何がいけないんですか?
鈴宮(すずみや)
恋愛
王太子ヨナスの幼馴染兼女官であるエラは、結婚を焦り、夜会通いに明け暮れる十八歳。けれど、社交界デビューをして二年、ヨナス以外の誰も、エラをダンスへと誘ってくれない。
「私の何がいけないの?」
嘆く彼女に、ヨナスが「好きだ」と想いを告白。密かに彼を想っていたエラは舞い上がり、将来への期待に胸を膨らませる。
けれどその翌日、無情にもヨナスと公爵令嬢クラウディアの婚約が発表されてしまう。
傷心のエラ。そんな時、彼女は美しき青年ハンネスと出会う。ハンネスはエラをダンスへと誘い、優しく励ましてくれる。
(一体彼は何者なんだろう?)
素性も分からない、一度踊っただけの彼を想うエラ。そんなエラに、ヨナスが迫り――――?
※短期集中連載。10話程度、2~3万字で完結予定です。
【完結】大好きな彼が妹と結婚する……と思ったら?
江崎美彩
恋愛
誰にでも愛される可愛い妹としっかり者の姉である私。
大好きな従兄弟と人気のカフェに並んでいたら、いつも通り気ままに振る舞う妹の後ろ姿を見ながら彼が「結婚したいと思ってる」って呟いて……
さっくり読める短編です。
異世界もののつもりで書いてますが、あまり異世界感はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる