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第四話 ネタバラシ① side ローランド
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ローランド王太子は子供の隣で安心して眠るクリスティーナを見つめた。
事件後ずっと落ち着かない表情をしていたクリスティーナは、生まれてきた赤ちゃんを見た途端、少しホッとした表情に変わった。
たぶん父親が誰か分かったのだろう…。
ただ、どうしてそんなことをしたのかまでは、たどり着いていないようだが…
~・~・~・~・~
ローランドが自分の前世を思い出したのはクリスティーナに初めて会った時のことだった…。
彼女の自己紹介を聞いた途端、この世界が妻が読んでいた小説『可憐な白い花は手折られる~この子誰の子?~』に似た世界だと気づいた…。
そして、自分が日本という国で百貨店のバイヤーをしていた山崎透という男だった前世も思い出した。
あの時は、一気に前世の記憶が頭に流れ込み、一週間ほど知恵熱を出したのは懐かしい思い出だ…。
前世の自分は、大学時代からの付き合いの彼女、真由と幸せな結婚生活を送っていた。
彼女はとても子供好きの優しい人で、二人のやんちゃな息子達相手にいつも本気で格闘し、大きく口を開けて笑っている…そんな太陽のように明るい人だった…。
僕も息子達もそんな彼女が大好きだった…。
彼女は保育士の仕事をしていたけれど、子供達が幼い間は子供達との時間を大切にしたいと仕事を辞め、専業主婦として家のこと、家族のことを頑張って面倒みてくれていた。
彼女が家をしっかり守ってくれたから、僕は安心して仕事に打ち込めたんだ。
クリスティーナが転生した妻だと、僕にはすぐに分かった。
彼女は前世を思い出していないようだけれど…真面目で何事にも一生懸命で、子供に優しいところは変わらなかった。
ただ…昔のように大口を開けて笑うことはなかった…。
それはもちろん貴族の令嬢だからということもあるけれど…
彼女の生まれ育った環境が、政略結婚で結ばれた両親との冷めきった家庭だったことにも原因があった。
だから僕は、自分が彼女の家族になって、彼女に愛の溢れる家庭を作ってあげると誓った。
真由はあの小説を序盤で読むのを止めてしまったけれど、僕は彼女がどんなものを好んで読むのかが気になって…結局最後まで読んでしまった…。
あの時は単なる気まぐれだったけれど…
今となっては、本当に最後まで読んでおいて良かった…。
だって、そうでなければ…今頃彼女も自分も、不幸のどん底に落ちていたのだから…。
~・~・~・~・~
小説の中で、本当にクリスティーナが暴漢に襲われる時期はもっと後のことだった…。
二人はクリスティーナの学園卒業後すぐに結婚する予定だった。
そしてクリスティーナが襲われたのはその卒業式前日だと小説には記されていた。
卒業式当日、エスコートのためローランドがアルバー公爵邸に迎えに行くと、クリスティーナが屋敷にいなかったため、側近のアーサーと手分けして探しに行く。
そして森の中でボロボロの状態で気を失っているクリスティーナを見つけたのはアーサーだった。
ドレスは切り裂かれ、傷だらけの素肌が露出し、明らかに男に穢された状態で放置されていたクリスティーナ。
見つけるのが遅かったら、獣に食べられていたかもしれない…。
娘に関心のない家族は、1日経ってもクリスティーナが帰ってきていないことに気づいていなかった…。
事件後トラウマになったクリスティーナは、暗闇を怖がり、人を怖がり、夜中に飛び起きては自殺を図る…。
そんな彼女を放っておけなくなったアーサーは、クリスティーナとの婚姻を決めた。
もちろんガーランド公爵夫妻は誰に穢されたかも分からないクリスティーナとの結婚を反対するけれど、アーサーは認めてもらえないのなら公爵家を出ると脅し、クリスティーナとの結婚を許可してもらう。
なんとかトラウマを乗り越え、これからやっと幸せになろうとするクリスティーナ。それを、またもや邪魔する者が…
この事件は、そもそもローランドに横恋慕した隣国のナターシャ王女が、暴漢を雇い起こしたものだった。
王女なのに“平民の娘”と社交界でも馬鹿にされてきたナターシャは、帝国皇女と公爵の娘である高貴な血筋のクリスティーナに理不尽な妬みを抱いていた…。
せっかく暴漢に襲わせボロボロにしたのに、立ち直って公爵令息と幸せになろうとするクリスティーナを失意のどん底に突き落とすため、ナターシャはまたもや狼藉者を雇う。
そして結婚式当日、結婚相手のアーサーを事故に見せかけて亡き者としたのだが…
全ての黒幕がナターシャだと気付いたローランドは、相手の望む通り婚約し希望を抱かせておいて、クリスティーナと同じように結婚式前夜に暴漢に襲わせ、結婚を取りやめるという方法で復讐を果たす。
その後、全ての罪が明るみに出て、唯一の味方の父王にも見放され…
絶望したナターシャは、自分が結婚式で着るはずだったウェディングドレスを纏い、ナイフで心臓を刺して自害する。
ローランドは復讐という形で、クリスティーナへの愛を貫いた。
今度こそ邪魔する者がいなくなったところで、クリスティーナはガーランド公爵家の跡取りとなったフィリップの献身的な愛に心を開き、結婚して幸せになる。
~・~・~・~・~
というのが小説の中の話だ。
まあ、実際には登場人物の中身がかなり小説とは異なるのだけれど…
それは私自身も前世の記憶が戻って、全然異なるローランドになっているのだから…仕方ないことだろう…。
この小説の知識があった私は、先に手を打つことにした…。
■□■□■□■□
お読みいただきありがとうございます。
事件後ずっと落ち着かない表情をしていたクリスティーナは、生まれてきた赤ちゃんを見た途端、少しホッとした表情に変わった。
たぶん父親が誰か分かったのだろう…。
ただ、どうしてそんなことをしたのかまでは、たどり着いていないようだが…
~・~・~・~・~
ローランドが自分の前世を思い出したのはクリスティーナに初めて会った時のことだった…。
彼女の自己紹介を聞いた途端、この世界が妻が読んでいた小説『可憐な白い花は手折られる~この子誰の子?~』に似た世界だと気づいた…。
そして、自分が日本という国で百貨店のバイヤーをしていた山崎透という男だった前世も思い出した。
あの時は、一気に前世の記憶が頭に流れ込み、一週間ほど知恵熱を出したのは懐かしい思い出だ…。
前世の自分は、大学時代からの付き合いの彼女、真由と幸せな結婚生活を送っていた。
彼女はとても子供好きの優しい人で、二人のやんちゃな息子達相手にいつも本気で格闘し、大きく口を開けて笑っている…そんな太陽のように明るい人だった…。
僕も息子達もそんな彼女が大好きだった…。
彼女は保育士の仕事をしていたけれど、子供達が幼い間は子供達との時間を大切にしたいと仕事を辞め、専業主婦として家のこと、家族のことを頑張って面倒みてくれていた。
彼女が家をしっかり守ってくれたから、僕は安心して仕事に打ち込めたんだ。
クリスティーナが転生した妻だと、僕にはすぐに分かった。
彼女は前世を思い出していないようだけれど…真面目で何事にも一生懸命で、子供に優しいところは変わらなかった。
ただ…昔のように大口を開けて笑うことはなかった…。
それはもちろん貴族の令嬢だからということもあるけれど…
彼女の生まれ育った環境が、政略結婚で結ばれた両親との冷めきった家庭だったことにも原因があった。
だから僕は、自分が彼女の家族になって、彼女に愛の溢れる家庭を作ってあげると誓った。
真由はあの小説を序盤で読むのを止めてしまったけれど、僕は彼女がどんなものを好んで読むのかが気になって…結局最後まで読んでしまった…。
あの時は単なる気まぐれだったけれど…
今となっては、本当に最後まで読んでおいて良かった…。
だって、そうでなければ…今頃彼女も自分も、不幸のどん底に落ちていたのだから…。
~・~・~・~・~
小説の中で、本当にクリスティーナが暴漢に襲われる時期はもっと後のことだった…。
二人はクリスティーナの学園卒業後すぐに結婚する予定だった。
そしてクリスティーナが襲われたのはその卒業式前日だと小説には記されていた。
卒業式当日、エスコートのためローランドがアルバー公爵邸に迎えに行くと、クリスティーナが屋敷にいなかったため、側近のアーサーと手分けして探しに行く。
そして森の中でボロボロの状態で気を失っているクリスティーナを見つけたのはアーサーだった。
ドレスは切り裂かれ、傷だらけの素肌が露出し、明らかに男に穢された状態で放置されていたクリスティーナ。
見つけるのが遅かったら、獣に食べられていたかもしれない…。
娘に関心のない家族は、1日経ってもクリスティーナが帰ってきていないことに気づいていなかった…。
事件後トラウマになったクリスティーナは、暗闇を怖がり、人を怖がり、夜中に飛び起きては自殺を図る…。
そんな彼女を放っておけなくなったアーサーは、クリスティーナとの婚姻を決めた。
もちろんガーランド公爵夫妻は誰に穢されたかも分からないクリスティーナとの結婚を反対するけれど、アーサーは認めてもらえないのなら公爵家を出ると脅し、クリスティーナとの結婚を許可してもらう。
なんとかトラウマを乗り越え、これからやっと幸せになろうとするクリスティーナ。それを、またもや邪魔する者が…
この事件は、そもそもローランドに横恋慕した隣国のナターシャ王女が、暴漢を雇い起こしたものだった。
王女なのに“平民の娘”と社交界でも馬鹿にされてきたナターシャは、帝国皇女と公爵の娘である高貴な血筋のクリスティーナに理不尽な妬みを抱いていた…。
せっかく暴漢に襲わせボロボロにしたのに、立ち直って公爵令息と幸せになろうとするクリスティーナを失意のどん底に突き落とすため、ナターシャはまたもや狼藉者を雇う。
そして結婚式当日、結婚相手のアーサーを事故に見せかけて亡き者としたのだが…
全ての黒幕がナターシャだと気付いたローランドは、相手の望む通り婚約し希望を抱かせておいて、クリスティーナと同じように結婚式前夜に暴漢に襲わせ、結婚を取りやめるという方法で復讐を果たす。
その後、全ての罪が明るみに出て、唯一の味方の父王にも見放され…
絶望したナターシャは、自分が結婚式で着るはずだったウェディングドレスを纏い、ナイフで心臓を刺して自害する。
ローランドは復讐という形で、クリスティーナへの愛を貫いた。
今度こそ邪魔する者がいなくなったところで、クリスティーナはガーランド公爵家の跡取りとなったフィリップの献身的な愛に心を開き、結婚して幸せになる。
~・~・~・~・~
というのが小説の中の話だ。
まあ、実際には登場人物の中身がかなり小説とは異なるのだけれど…
それは私自身も前世の記憶が戻って、全然異なるローランドになっているのだから…仕方ないことだろう…。
この小説の知識があった私は、先に手を打つことにした…。
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お読みいただきありがとうございます。
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