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第28話 月が綺麗ですね(6)
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その頃、海星志學館の寮の一室では…
「なになに~?」
「君には関係ない。人のメールを見ようとするなと何回言えば分かる?」
尊は夏休み明けから同室となった留学生ヘンリー・タケル・ホワイトに、ほとほと困っていた…。
アメリカ人だからなのか…元々の彼の性質なのか…他人との距離が近い…。
一見整ったクールな外見に、そのブルーグレーの瞳が冷たそうに見えるのに…
話し始めると、とても人なつっこい…というか、馴れ馴れしい…。
元々彼は空部屋に入る予定だった。
しかし夏休みの間に寮でボヤ騒ぎがあり、一部使用できない部屋ができてしまったため、急遽空部屋に移ることになり、彼が入る予定だった部屋が埋まってしまったのだ…。
海星の寮は、基本二人部屋で、生徒会の人間のみ特別に一人部屋が与えられる。
(そのために生徒会に入ったのに…)
生徒会で1年は尊だけなので、まさか自分が一人部屋がいいから、先輩に留学生を受け入れてほしいと言うわけにもいかない…。
仕方なく二人部屋を受け入れたのだけれど…
その留学生が、まさか問題の鬼瓦の人間だとは思わなかった…。
名前に鬼瓦が入らないのは父親のファミリーネームを名乗っているからで、母親が鬼瓦の血縁らしい…。
二階堂から、うちのことを聞いた西園寺先輩が部屋を変わると言ってくれたけれど…それは断った。
この厳重に隔離された学校の敷地から誘拐されるとかはないだろうし…鬼瓦の人間になるつもりなどない!!という僕の意志は堅いので、洗脳されるようなこともないだろう…。
なら、別に同じ部屋になったからと言って、どうということはないはず…。
返って身近にいた方が、相手に怪しい動きがないか探れる…と気負っていたのだけれど…
ヘンリーはうっとうしいくらいフレンドリーなだけで、普通の留学生だった…。
ただ京香の情報だけは流したくないので、念の為、通信関係は西園寺先輩の部屋のパソコンからさせてもらっている。
スマホからも京香関連のデータは全て抜いた。
お陰でたった1枚の、学生手帳に入れた写真をこっそり見ることしかできず、かなり京香不足だ…。でも僕たちの幸せな未来のため、1年だけの我慢だ…。
彼は短期留学生なので、1年後にはまたアメリカの大学院に戻ることが決まっている…。
そう思い、尊が決意を新たにしていたら…
「ねえ、ミコト。僕、部屋に推しのポスターが貼りたいんだけれど…良いかな?」
(珍しい…。人間に興味が無さそうな彼に推しなんていたんだ…)
「別に自分のテリトリーに貼るのなら好きにすれば…」
そう言うと、宅配便で取り寄せたらしい大きなポスターケースを取り出した。
ケースのサイズからすると、かなり大きい…?
アレをどこに貼るのだろう…?と見ていると、どうやらベッドの真上の天井に貼るようだ。
腹が立つことに190cmはある長身なので、そのままベッドの上に立ち、手を伸ばせば届いてしまう。
どんな推しなのか?と貼るところを見ていると…
「ステキでしょ?このポスター、関西限定でしかも非売品なんだ。
広告代理店に勤める親戚に頼んで、特別に一枚だけ送ってもらったんだよね…」
そのポスターには、満月をバックに微笑んで見つめ合うカップルが写っている。
「男性は最近人気が出てきたモデルの天馬翔だけれど、女性は全く無名の新人なんだって。
ちょっとミステリアスなところが、ミコトに似てるよね…」
禁断症状が出そうなほど、京香に飢えていた尊は、ヘンリーに怪しまれると思っても、そのポスターから目をそらすことが出来なかった…。
そこには…何もしなくても十分に美しいのに、プロの手に掛かり、別次元の美しさになった京香が写っていのだから…
■□■□■□■□
お読みいただきありがとうございます。
「なになに~?」
「君には関係ない。人のメールを見ようとするなと何回言えば分かる?」
尊は夏休み明けから同室となった留学生ヘンリー・タケル・ホワイトに、ほとほと困っていた…。
アメリカ人だからなのか…元々の彼の性質なのか…他人との距離が近い…。
一見整ったクールな外見に、そのブルーグレーの瞳が冷たそうに見えるのに…
話し始めると、とても人なつっこい…というか、馴れ馴れしい…。
元々彼は空部屋に入る予定だった。
しかし夏休みの間に寮でボヤ騒ぎがあり、一部使用できない部屋ができてしまったため、急遽空部屋に移ることになり、彼が入る予定だった部屋が埋まってしまったのだ…。
海星の寮は、基本二人部屋で、生徒会の人間のみ特別に一人部屋が与えられる。
(そのために生徒会に入ったのに…)
生徒会で1年は尊だけなので、まさか自分が一人部屋がいいから、先輩に留学生を受け入れてほしいと言うわけにもいかない…。
仕方なく二人部屋を受け入れたのだけれど…
その留学生が、まさか問題の鬼瓦の人間だとは思わなかった…。
名前に鬼瓦が入らないのは父親のファミリーネームを名乗っているからで、母親が鬼瓦の血縁らしい…。
二階堂から、うちのことを聞いた西園寺先輩が部屋を変わると言ってくれたけれど…それは断った。
この厳重に隔離された学校の敷地から誘拐されるとかはないだろうし…鬼瓦の人間になるつもりなどない!!という僕の意志は堅いので、洗脳されるようなこともないだろう…。
なら、別に同じ部屋になったからと言って、どうということはないはず…。
返って身近にいた方が、相手に怪しい動きがないか探れる…と気負っていたのだけれど…
ヘンリーはうっとうしいくらいフレンドリーなだけで、普通の留学生だった…。
ただ京香の情報だけは流したくないので、念の為、通信関係は西園寺先輩の部屋のパソコンからさせてもらっている。
スマホからも京香関連のデータは全て抜いた。
お陰でたった1枚の、学生手帳に入れた写真をこっそり見ることしかできず、かなり京香不足だ…。でも僕たちの幸せな未来のため、1年だけの我慢だ…。
彼は短期留学生なので、1年後にはまたアメリカの大学院に戻ることが決まっている…。
そう思い、尊が決意を新たにしていたら…
「ねえ、ミコト。僕、部屋に推しのポスターが貼りたいんだけれど…良いかな?」
(珍しい…。人間に興味が無さそうな彼に推しなんていたんだ…)
「別に自分のテリトリーに貼るのなら好きにすれば…」
そう言うと、宅配便で取り寄せたらしい大きなポスターケースを取り出した。
ケースのサイズからすると、かなり大きい…?
アレをどこに貼るのだろう…?と見ていると、どうやらベッドの真上の天井に貼るようだ。
腹が立つことに190cmはある長身なので、そのままベッドの上に立ち、手を伸ばせば届いてしまう。
どんな推しなのか?と貼るところを見ていると…
「ステキでしょ?このポスター、関西限定でしかも非売品なんだ。
広告代理店に勤める親戚に頼んで、特別に一枚だけ送ってもらったんだよね…」
そのポスターには、満月をバックに微笑んで見つめ合うカップルが写っている。
「男性は最近人気が出てきたモデルの天馬翔だけれど、女性は全く無名の新人なんだって。
ちょっとミステリアスなところが、ミコトに似てるよね…」
禁断症状が出そうなほど、京香に飢えていた尊は、ヘンリーに怪しまれると思っても、そのポスターから目をそらすことが出来なかった…。
そこには…何もしなくても十分に美しいのに、プロの手に掛かり、別次元の美しさになった京香が写っていのだから…
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お読みいただきありがとうございます。
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