理想の恋人

月樹《つき》

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第16話 藤華祭(7)

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 透ちゃんは、亮ちゃんの学生時代からの親友で…子供の頃は、よく私達姉弟の相手もしてくれていた。

(透ちゃん、こんな強面だけど意外と子供好きなのよね…。
 高校受験の時も、ちょくちょく勉強を見てくれたなあ…)


 結局、後から尊と西園寺さんも揃い、透ちゃん、亮ちゃん、魁皇の5人で、うちのクラスでお茶することになった。
 5人とも違ったタイプのイケメンな上に、何か圧が強すぎて怖くて近寄れない…と怯えられ、何故か私が給仕することになった…。


「そうそうそう、和風カフェと言えば、可愛い着物姿のウェイトレスさんだろう。
 制服姿の野郎じゃ雰囲気でないよな~」
 透ちゃんは、私の大正ロマン風着物姿に大喜びだ。

「京香、尊、そこに並んで」
 大正風にデコられたアンティーク調の壁の前に有無を言わせず2人を並ばせ、スマホで何枚も写真を撮って満足している亮ちゃんは、まるで娘の晴れ着姿に喜ぶお父さんのよう…。

「やっぱり本物は良いな」
 西園寺さん、いまと比べたの?

「・・・・」
 尊はちょっと不満げだ。
 私が人前で扮装するのが気にくわないのだろう…。
 魁皇がすぐに貸し切り料金を払ったので、彼等以外にお客さんはいない状態だけれど、このメンバーに見せるのも嫌らしい…。

 クラスの藤華祭実行委員に聞いたら、今回は部屋ごと貸切なので、昨年の私1人を貸切にした時よりもお高い料金が支払われたらしい…。
『今年は、売上トップを狙えるかもしれない』と呟く彼は、ホクホク顔だった…。

 たかが、学祭のカフェを貸切するのに、いったいいくら支払ったの?


「京香の席は、ここな」
 魁皇がいい笑顔で自分の膝を指す。 

「貸切料金を払えば、そんなサービスもして貰えるのか?」  
 西園寺さんが真面目な顔で聞いてくる。

「しません!!」
 私は隣のテーブルから椅子を持ってきて、尊の隣に座った。

 魁皇は少し眉をひそめたけれど、尊や透ちゃんの前なので、我慢したようだ。

 二階堂家が表の日本を取り仕切る家なら、柴咲家は裏の日本を牛耳る家なのだそうだ。
 流石の魁皇も、透ちゃんには一目を置くらしい…。 

「そう言えば、どうして隆盛がいるんだ?お前、今は他校の生徒だろ?」
 透ちゃんは抹茶パフェを食べながら、西園寺さんに尋ねた。
 西園寺さんも初等部までは紫明学院にいたから、どこかで繋がりがあるんだろうか…?

「はい、今回はちょっとうちの学祭の参考にさせてもらうために、見学に来ました。
 でも義兄さんが学祭にちゃんと見学に来るなんて、意外ですね」
 西園寺さんはクリームあんみつを食べながら、普通に返答していたが…

義兄にいさん?」
 私は、思わず気になるキーワードが聞こえたため、話に割り込んでしまった。

「ああ、隆盛の姉の美麗みれいは、俺の許嫁だから、まだ結婚はしていないが、いずれは義兄弟になるな…。
 まあ、子供の頃から家族ぐるみの付き合いだから、そういう意味でも弟のようなもんだけどな…」

 透ちゃんに、まさかの許嫁がいたとは…。
 いつも普通に遊んでもらってたから、忘れそうになるけれど、やっぱり透ちゃんも住む世界の違う人なんだ…。

「こいつ俺が理事長に就任したら、身内が同じ学院にいるのは良くないだろうと変な気を使って、さっさと海星に行っちまうし…俺は身内だからと言って優遇したりしないし、そんなことしなくても隆盛なら実力でトップに立てるのにな…」

 なるほど…それで西園寺さんは紫明から海星に転校したのか…。

「まあ、外に出ないと分からなかったこともありますし、家柄など関係ない完全実力主義の海星に入ったことで刺激を受けることも多いですから…私はこれで良かったと思っています」

 西園寺さんはたぶん本当にそう考えているのだろう…。
 ある意味、紫明は特殊な環境だから…世間を知る良い機会になったのかも知れない。


「何事も、違う視点に立って見るというのは、新しい気づきを与えてくれる。
 今回、藤華祭を見学したことも自分が考える学園祭の固定概念を壊す良いキッカケになった。
 うちの学園祭にも紫明の生徒会メンバーを招待するから、是非遊びに来て、また意見を聞かせてほしい」
 西園寺さんは良い笑顔で誘ってくれた。

 彼にとって、確かにこの藤華祭で得るものがあったのだろう。
 それがどのように取り入れられたのか、尊がどれほど頑張って軌道修正したのか…是非確認しに行かなくてはと思った。

 自分達でもう少し他のクラスも見て回るという尊達とはここで分かれた。
 クラスの担当時間を終えた後は、また生徒会の仕事とバタバタしているうちに、今年の藤華祭も終わりを迎え、結果うちのクラスは今年の売上第1位に輝いた。

 (本当、いくら貸切料金が払われたのか怖くて聞けない…)
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