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10話 優秀な後輩
しおりを挟む「なぁ……これ、直せるのか?」
俺は変わり果てた駅のホームを指さして言った。塞がれた階段への入り口、柱から飛び出た鉄柱、植物により割れたコンクリートの床。改装工事が大変そうだな……と俺が思っていると、彼女はけろっとした顔で言った。
「あ、はい大丈夫ですよ」
すると、ゴゴゴと大きな音を立てて、壁、鉄柱、樹枝は全て元の位置に引っ込む。
「私の力は、私の願ったとおりに、木火土金水を発生させて、それを自在に操る能力なんです。だから、私が“もういいよ”って願うと全部元通りに出来るんです」
「…………」
俺は開いた口が塞がらないといった感じだった。強力で使い勝手が良いとか、もはやチートである。
ただ、と彼女は続けた。
「その能力を使って、壊したり、影響を与えてしまった物が戻ることはないんです」
そう言いながら、先程樹木が出たせいで割れたコンクリートの床を撫でる。それが俺には少し悲しそうに見えた。
避難警報が解かれて、近くの住民や駅の利用者などが戻ってくる。
俺はすれ違った駅員さんから、俺の手帳を受け取った。
正面には、ダイヤのマークが刺繍されている。
クリアのエンブレムである。
一枚めくると、そこには俺の名前と写真があった。もう少し写りは良く出来ないものだろうかと、写真を見るたびに思う。
新人の方は、先程逃がした女の子から、お礼を言われていた。どうやら駅員さん達と同じ避難場所にいたらしい。
少し恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、女の子の無事をとても嬉しそうにしている新人の姿は、なんか感動的だった。
しばらくして、駅のホームに消防が呼ばれて消火活動に入ったのを見届け、俺達は基地への帰路につく。
駐めていたバイクに跨がりヘルメットを被ろうと、手に取るが……。
「えっとヘルメットは……持ってるわけないか」
「……はい」
そうだった。行きは一人だが、帰りは二人だ。
「あの、私なら大丈夫なので先に行ってください、行き方もちゃんとわかるので……」
と、新人が申し訳なさそうに口を開き、携帯のマップを出した。が、それではあまりにも不憫なので、
「いや、俺も歩いて行くよ。基地はここからかなり近いしさ」
ということで、帰り道は歩道を二人並んで歩いて帰ることになった。
俺は道路側を歩きながらバイクを押す。
これには意外とこつがいる。進むとき、バイクを水平にするのではなく、少し自分の方に傾けて、腰で支えるようにすると、バイクの取り回しが楽に出来るのだ。
という豆知識はさておき……。
「そう言えば、自己紹介してなかったな、お互いに」
「……あ、そうでした」
今の今までお互いの名前も知らずに連携して戦っていたとは、変な話である。
「17番隊戦闘員の“柳川敬人”。16歳の高1……いや、今日で2年生か。よろしく」
「“三沢花鈴”です、私も今日から2年生なんです、同い年だったんですね」
「あ、そうなんだ。じゃぁ全然ため口でいいよ」
「え、そんな、柳川君の方が先輩なわけですし……」
「俺はあんまりそういうの気にしないタイプだからさ」
「じゃあ、…………よろしく、ね」
少しぎこちなさそうにしている三沢に俺は、おぅ、と気軽に返す。
「なぁ、聞きたいことがあるんだけどいいか?」
「いいけど……?」
「異形と戦う前に車両内で爆発があったんだけど、その爆発の被害が小さいなと思ったんだけどさ、心当たりある?」
戦闘の途中になんとなく気が付いたのだが、三沢と女の子のいた車両は、爆発した車両の隣だったにもかかわらず、爆発の影響を大きく受けてはいなかった。
「うん、……爆発する前に、車両間のドアに私が壁を作って塞いどいたからだと思う」
こりゃ、優秀ですわ。
新人でここまでの状況判断が出来て、且つ、戦闘力もあるとか。
俺は感心しっぱなしになりながら足を進めた。
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さっきぶりです!笑
小説を投稿されていたので気になってみにきてしまいました……とても良い世界観だと思います!これからお互い卵同士頑張っていきましょう!!
はい、
お互いに頑張っていきましょう