姉妹チート

和希

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自分の旗

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(1)

「片桐天音と多田水奈は至急職員室に来るように!」

 学校内の放送が流れる。
 まただ。
 大体内容は分かる。
 僕と翼はため息をついた。
 天音と水奈は入学式に入ることを最初許されなかった。
 母さん達が圧力をかけて結局は許されたのだけど。
 それから毎日のように呼び出しを受けている。
 原因は服装と頭髪にあった。
 スカートの丈を短くしてる。
 靴下も既定の物のわけがない。
 中学になったら自由にしていい。
 そう思っていたらしい。
 もちろん先輩に目をつけられる……ことは無かった。
 FGとSHの関係は中学でも続いていた。
 その一番危険な二人に誰も手が出せるはずがない。
 入学式の後日、僕達は山本喜一の呼び出しを受けた。
 正確には光太が呼び出されたのだが念のためと僕と翼が同行した。
 案の定喜一は多数のFGのメンバーを連れて来た。
 やる気か?
 そうではなかったらしい。

「改めてFGとSHの関係を確認しておきたい」

 喜一はやる気はないらしい。
 お互い不干渉で行こう。
 光太はその条件を飲んだ。
 FGから手を出してこない限りはこちらも手を出さない。
 お互いが合意した。
 SHのメッセージを見る限りだと小学校でも徹底されてるらしい。
 山本勝次も大人しくしているそうだ。
 僕達も受験の年。
 大事な年だ。
 しょうもないことに付き合ってる暇はない。
 そしてこれまで何も無かった。
 皆それぞれの生活を過ごしている。
 天音は多分帰りが遅くなるだろう。
 僕と翼は先に帰ることにした。
 コンビニに寄ってから揚げを食べながら帰る。
 帰ったら宿題をこなしてそしてゲームをする。
 ニュースの時間になる頃天音が帰ってくる。
 機嫌が悪いらしい。
 ドスドスと階段を上ってきてバタンと勢いよくドアを閉める。
 夕食の時も機嫌が悪かった。

「中学生活は慣れたかい?」

 父さんが天音に聞いていた。

「慣れるわけねーだろ!」

 天音は父さんに八つ当たりしていた。
 反抗期ってやつなんだろうか。
 けれどそんなのは母さんが決して許さない。

「天音!冬夜さんに謝りなさい!」

 母さんは普段そんなに怒らない。 
 現に天音の服装については何も言わない。
 だけど父さんに逆らったり今の天音のような態度だけは絶対に許さない。
 父さんが一生懸命働いてくれてるんだから今の生活が成り立ってる。
 誰のおかげで学校に行けてる?
 母さんはそう言う。

「ああ、どいつもこいつも五月蠅いな!もう飯もいらねーよ!」

 天音はそう言って部屋に戻る。
 追いかけようとする母さんを父さんが止める。

「難しい年頃なんだからそっとしてあげなさい。天音も反省しているよ。ただ素直になれないだけ」
「冬夜さんがそう言うのでしたらそうしますが」
「ご馳走様!空、お風呂先にお風呂入っちゃいなよ」

 翼が言うので食事がすむとお風呂に入った。
 翼は天音と話をしているのだろう。
 父さんも翼も他人の感情が分かる。
 だからこういう時は翼に任せておくのが良い。
 そう思って僕はテレビを見ていた

(2)

 どうしてあんな言葉を言ってしまったんだろう?
 私は後悔していた。
 どんな事があっても両親に逆らってはいけない。
 2人がいるから私がいるんだから。
 愛莉もパパも私の事を思ってくれてる。
 入学式の会場に入れないと教師が言った時も愛莉は抗議してくれた。

「あなたにどんな権利があってこの子にそんな仕打ちをするのですか?」
「校則を守れないお子さんを入れるわけにはいきません」
「たかだか服装くらいでこの子の何が分かるんですか?」
「お母さんがそんな甘い躾をしてきたからこういう子になるんでしょう」
「この子は小学校の時も少し悪戯が過ぎる子でしたが法を犯すような真似は決してしていません!」
「たかだか服装といいますが、そんな些細な事を守れない子がいるから……」
「服装を守って授業を乱す子を放っておいてこの子を責める権利はあなたにはありませんよ!」

 そんな押し問答を教師としていた。
 今日だってそうだ。
 愛莉を呼び出されたけど電話で「そのしょうもない理由で我が家の夕食が遅れています。先生が直接着てお詫びをしなさい!」と怒鳴りつけたらしい。
 いつだって愛莉は私を庇ってくれる。
 私だって自分が両親に恵まれている事くらい分かっている。
 そんな大切な両親に酷い真似をした。
 自分を責める。
 たった一言謝ればいい。
 でもどうしてだろう?
 中学に入ってからそれが出来なくなっている。
 そんな自分が情けなくてイライラしてそして爆発した。

「天音、大丈夫?」

 茜が心配そうに言う。

「ご飯食べてないからお腹空いてるんじゃない?」

 そういやまともに食ってなかったな。
 お腹が空いてイライラしてたのだろうか?
 でも空腹という現実に直面すると冷静になれる。
 キッチンに行って謝ろう。
 しかし部屋を出ようとしたときに翼が部屋に入って来た。
 手にはお菓子がある。

「お腹空いたんでしょ?夜食べようと思って買っておいたんだ。とりあえずそれでも食べて落ち着きな」

 翼はそう言ってお菓子を渡してくれた。
 私はそれを食べる。
 食べ終わる頃翼は言った。

「少しは落ち着いた?」
「ああ……」
「じゃあ、何も言わなくてもわかってるよね?」
「うん」
「パパも分かってくれてるよ。天音の気持ち」

 そうだろうな。しっかり私の顔見てたもんな。
 私の心なんてパパには筒抜けだ。

「私から一言言わせてもらうとしたら……」

 翼が言う。

「せめてスカートの下に短パンくらい穿いておきなよ。他の男子にいやらしい目で天音を見られてる時の大地の気持ち察してあげな」

 翼はそう言って笑ってた。
 言われて初めて気が付いた。
 私は大地の気持ちすら気づいてやれなかったのか。
 不安になる。
 そんな私の気持ちを覗いていたのか翼は立ち上がる。

「大地に話あるんでしょ?茜、おいで。偶にはお姉ちゃんと遊ぼう」
「うん」

 茜が翼についていく。

「大地と話済んだらパパに謝りな。今日中がいい」
「分かった」

 私がそう言うと翼と茜は部屋を出た。
 それを見ると私は大地にメッセージを……いや、直接話をした方がいいな。
 電話する。

「もしもし」
「あ、大地?今大丈夫か?」
「うん、大丈夫。こんな時間にどうしたの?突然」

 私は今の気持ちを大地に伝えた。
 大地に悪い事をした。いつも帰りを待ってくれている大地の事を考えていなかった。
 これからは考える。だから……私を嫌いにならないで。
 すると大地は笑っていた。

「天音は勘違いしているよ。そんな天音だから僕は天音が好きなんだ」

 声の限り叫んで自分の旗を振りかざしている私が好きなんだと大地は言う。

「僕は天音以外は誰も待っていない。だから今でも僕は天音が好きだよ」

 巡りくる恐怖。
 しかし大地はもう心を決めた。
 この世界が消えてしまう前に悪あがきをしてやろうと。
 今まさにここから私達の中学校生活は始まるんだと。
 私はそれを聞いて泣いていた。
 両親だけじゃない。
 私は沢山の人に助けられて今ここにいるんだと。

「じゃ、また明日ね」

 電話を終えると私は部屋を出てリビングに行く。
 パパとお爺さんがテレビを見ていた。

「どうした?お腹でもすいた?」

 私に気が付いたパパがそう言った。

「さっきはごめん」

 パパに謝った。
 だけどパパは言う。

「何も悪いことしてないのに謝るのは止めた方がいい。それより夕飯まだ残してるよ。早く食べなさい」

 天音も育ち盛りなんだから。
 パパはそう言って笑う。
 私は残っているご飯を食べる。
 そんな私を見てパパが言う。

「酒井祈さんと同級生なんだってね?」
「うん」
「そのお姉さんの岬さんて人が結婚したらしくてね。イタリアンのお店を開いたそうなんだ。今度食べに行ってみないか?」
「わかった」
「翼たちにも伝えておいてね」

 そう言ってパパはお爺さんとテレビを見ていた。
 ご飯を食べ終わると自分で片づけをする。
 すると冬吾と冬莉と愛莉が風呂から出てきた。

「そんなのは私がやるからお風呂入りなさい」

 愛莉も優しかった。
 どんな場合でも子供を守るのが親のつとめだと誰かが言ってた。
 実際はそんな親いない。
 だけど私の親はひたすら庇ってくれる。
 庇ってくれるからつらいんだ。
 叱られたら反抗すればいい。
 でも自分の盾となってくれる愛莉たちを見て私はどう対応すればいい?
 自分で決断するしかないんだ。
 答は決まってる。
 これ以上両親に迷惑をかけられない。
 風呂を出ると私は制服のスカートを取る。
 ミシン縫いしてあった糸をとる。
 学校はお洒落をするところじゃない。
 そう割り切ればいいんだ。
 お洒落をするのは大地の前だけでいい。
 作業を終わると宿題を済ませて寝た。
 次の日ダイニングに降りると皆驚いていた。
 翼はひとり笑っていた。

「天音、こんな話知ってる?」
「何?」
「愛莉から教わったんだけどさ。制服のスカートをお洒落に着る方法」

 そんなのがあるのか?

「教えてくれ」

 私がそう言うと翼がにやりと笑っていた。

「買ったままの状態が一番お洒落なんだってさ」

 制服のスカート丈はデザイナーと何度も相談して一番脚が美しく見える丈にしたのだから素人のセンスで丈を短くするのは愚かな行為だと翼が言う。
 そうならそうと愛莉も教えてくれたらいいのに。
 意外と愛莉は意地が悪いんだな。
 水奈と学と誠司と純也が来た。
 私達も玄関に向かう。
 水奈と私はお互いに恰好を見て笑っていた。
 水奈も同じようにスカートの丈を元に戻して黒髪に染めてあった。
 教室に行くとみんな驚いていた。
 そんな中一人喜一が笑う。

「先生に負けたの?ださっ」

 以前の私なら殴り飛ばしていただろう。
 だけど私はこいつらとは違う。
 私の代わりに大地が言う。

「僕の彼女になんて言ったかもう一度教えてくれないかな?」

 喜一は引っ込む。
 ダサいのはお前だ。

「でもなんで急に変えたの?」

 大地も驚いていたようだ。

「私が自分の旗を掲げる場所はすでに決まってあったんだ」

 声の限り叫んで、自分の旗を掲げる。
 きっといつか、いつかどこかに辿り着くと信じて。
 息の続く限り、夢を見続け彷徨う。

(3)

 その日学校に呼び出された。
 理由は一つ。
 娘の恰好だろう。
 娘はパーマをかけてそして金髪にして化粧をしてスカート丈を短くして勝手にカーデガンを羽織っている。
 靴も運動靴ではなくローファーを履いている。
 靴下も規格外だ。
 だからどうした!?

「私も店やってて忙しいんだよ!つまんねーことで一々呼び出すんじゃねーよ!」

 生活指導だか何だか知らねーけど余計な手間とらせやがって。

「しかし、お子さんが非行に走っているんですよ?親として止めさせるべきじゃないんですか?」

 染める髪の毛がねーから嫉妬してるのか?

「非行だと?」

 私はその教師を睨みつける。

「ただ子供が好きにオシャレしてるだけだろうが!黒髪だったら虐めしねーのか!?スカートが長かったら人殺さないのか!?どうなんだよ!」
「それは問題のすり替えというものですよ。お母さん」
「お前のお母さんになった覚えはねえ!」

 そうやってしょうもない押し問答を続けていると時間がきた。

「これ以上話しても時間の無駄だ。いくぞ紗理奈」
「ちょっと、話はすんでません」
「私は約束があるんだよ」

 そう言って生徒指導室を出ると学校を出る。
 全く学校って言うところは本当にしょうもない事で呼び出しやがる。
 今も昔も変わってねーな。
 私の時は親は来なかったけど。
 学校の外には正志が待っていた。

「どうだった?」

 正志が聞く。

「いつもと一緒だよ」
「俺が話を聞こうか?美嘉も仕事を早々抜け出せないだろ?」
「娘の躾は私が責任もってやる。信頼してくれ」
「ならいいんだが……」

 今日は酒井岬、酒井の娘の店に招待されていた。
 娘を着替えさせるのは面倒だからそのまま店に行く。
 ドレスコードがあるわけでも無いし良いだろ。
 店にはとーや達も来ていた。
 娘の翼、天音、茜も正装しているわけでも無かった。
 普通にセーラー服を着ていた。
 もちろん、運動靴ではなかったけど。
 紗理奈がやけに大人しい。
 食事はやはり美味かった。
 2人とも素質はあるようだ。
 店の場所が離れているのが助かった。
 とーや達とシェフの相羽陽介と挨拶をする。

「この分なら上手く経営できそうだね。問題あったら報告するよ」

 とーやが言う。
 子供たちを連れているから。
 とーや達は店を出ると帰りのバスに乗った。
 紗理奈が落ち込んでいる。

「ああいう場に行く服装ではなかった。母さんたちに恥をかかせたんじゃないか?」

 紗理奈はそういう。

「そんな事気にすることはねえ、ミニスカートでレストランに来るギャルなんていくらでもいるから」

 私はそういう。
 だけど翌日紗理奈はスカートの丈を膝が隠れるくらいまで戻した。

「裾上げやめたのか?」

 私は紗理奈に聞いていた。

「ああ、TPOってあるんだなって思ってから」
「まあ、お前が良いって言うなら良いよ」

 親がガミガミ言わないでも子供は社会に触れると変わっていく。
 自分で学んで体験してそして納得して社会のルールに収まっていく。
 それが本来の教育なんだろう。
 子供を信じる。
 その意味を痛感した。
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