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見えない未来
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(1)
「翼、遅刻しちゃうよ」
「大丈夫だって、いつも通りだから」
高校生活が始まった。
いつもの朝を迎える。
翼の仕度に時間がかかるようになった。
靴も白い運動靴から、普通のジョギングシューズに変わった。
腕時計をして部屋を出る。
鞄の指定もなくなった。
背負うタイプの鞄に変えた。
通学は自転車で行っている。
翼は相変わらず規定のスカートの丈にしてある。
「お洒落は彼氏の前だけでいい」
そう言って翼は微笑んでいた。
これまでと違って距離がある。
だから天音達より先に出る。
我が家は広くなった。
増築が済んだ。
冬眞と莉子の部屋が新設された。
家を出ると真新しい制服に身を包んだ同級生がいる。
学校に着くと駐輪場に自転車をとめて教室に向かう。
SH組は皆同じクラスだった。
FGの上級生がさっそく勧誘に来ていたが僕達のクラスには現れなかった。
僕達の目の前で鬱陶しい真似をしたら容赦なく潰す。
それは高校生の間でも徹底されていた。
いくらFGが勢力を伸ばそうとそれは関係なかった。
入学式があって翌週には早速テストがあった。
さすが進学校と言ったところか。
学級委員にはやはり学がなっていた。
誰かがやらないといけない。
そしてそれは学がやるもの。
そんな暗黙の了解があるんだろう。
高校からはお弁当が昼食になる。
学食もあるけど、美希がお弁当を作ってくれるのでお弁当を食べる。
学食のメニューも気になるけどそれよりも美希のお弁当の方が大事だ。
屋上で食べる。
善明や翼も一緒だった。
学も自分で作ったと思いきや恋ちゃんが作ってくれるんだそうだ。
学には似合わない可愛らしい弁当。
学校が終ると寄り道をして帰る。
毎日同じじゃ飽きるので店を変えている。
「今日はあっさりでいく?こってりでいく?」
高校から一番近くのお店はあっさりで女子にも受けがいい。
だけど翼はこってりの方が好きなようだ。
あっさりならうどんでも食ってた方がましだ。
毎日自転車通学だから運動不足ってことは無い。
買い食いをしてコンビニでジュースとお菓子を買って家に帰る。
たまに友達と高校近くにあるカラオケに寄ったりして帰る。
家に帰ると着替えて宿題をする。
高校になると帰る時間が遅くなる。
それは部活をしていなくても生徒会に参加していなくても関係ない。
寄り道も原因だけど授業量が増えた。
高校生活は大学入試への準備の始まり。
それが進学校のさだめだった。
夕食を食べると風呂に入って部屋でくつろぐ。
翼は片づけを手伝ったり部屋を掃除したりしている。
母さんに言われたらしい。
きちんとやれば高校卒業時にプレゼントしてあげる。
それに期待していた。
バイトを始めようかととも思った。
学はバイトしているらしい。
光太もバイトしてると聞いた。
だけど両親は認めてくれなかった。
「小遣いが足りないなら相談しなさい。あなた達の仕事は勉強です。今は学校生活を楽しむことに全力を尽くしなさい」
母さんが言うので従った。
まあ、小遣いが足りないということは無い。
別に必要経費と称してデート代とかももらってるから。
通学距離が増えた。
買い食いが出来るようになった。
それは毎日デートしてるような物。
たまにはお店で雑貨や服を買ったりする。
授業の時間が増えた。
その程度の変化が高校生活だった。
(2)
この学校の特徴。
それは山の上にある事。
伊田高や城宝科学に比べたらましだけど坂がきつい。
光太は私に合わせて自転車を手で押して動いてくれてる。
この学校もやはりFGの手の者が多かった。
だけど私達に手を出すものは少なかった。
たまに何も知らずに手を出していて光太に返り討ちにあってるくらいだ。
工業高校だから専門教科が存在する。
作業着に着替えて実習する。
測量とか色々学ぶ。
進学は考えていない。
どうしても大学に進学したければ推薦入試を受けるしかない。
履修する科目の関係上センター試験は無謀に等しい。
中休みになると学食に食券を買いに行くか、売店でパンを買うか。
中には学校を出てすぐあるお弁当屋さんに買いに行く者もいる。
私は弁当を作るのが苦手だ。
だから光太と一緒にパンか学食にしていた。
どちらか一方だけだと飽きるから適当に選択していた。
他のクラスでは「パシリ」と称して気の弱い生徒に買いに行かせる風習がある。
うちのクラスではそんなことは無かった。
SHのメンバーがそんな事許さなかった。
学校が終ると光太と一緒に家に帰る。
帰りにゲーセンに寄ったりする。
家に帰ると着替えて勉強する。
勉強の科目は多い。
5教科に加えて専門科目が存在する。
高校生にして実習の結果をまとめたレポートを提出しなければならない。
それすら弱者にやらせる不届きものがいるが。
レポートを提出しないと単位をもらえない。
逆をいえば赤点とってもレポートを書けば免除してもらえる。
ただし、出席日数が足りないと面接で不利になる。
成績が悪いと採用試験で不利になる。
私達は進学という道はほぼない。
たまに推薦入試で大学に進学したリ、専門学校に行ったりする者もいる。
私達は卒業するために卒論を書いたりしなければならない。
研究課題は学校が指示してくれる。
共学とは言え工業高校。
圧倒的に男子が多い。
そして男子校のように上半身裸で廊下をウロウロしたリする者もいる。
あまり興味はなかったけど。
ちょっとイメージしていた高校生活とは違うものだった。
生徒会の体系にもちょっと特色がある、
生徒会の他に総務とと応援団長という役職がある。
主に体育祭の為のものだ。
この学校の体育祭は各科が威信をかけて全力を尽くす。
各科ごとの応援歌を声をはりあげて歌う。
校歌を歌うのも声を張り上げる。
そして体育祭以外での行動も体育祭の点数に響く。
歓迎遠足での態度とかがそうだ。
やんちゃをしようものなら総務や応援団長の拳が飛ぶ。
タバコ臭いトイレ。
休み時間大抵の女子は女子更衣室で過ごす。
私は光太とすごしていたけど。
色々あるけど、私達は平穏無事に過ごしていた。
(3)
通学距離が伸びた。
自転車でも30分は要する通学距離。
バスや電車は使えない。
校則で決まってるわけじゃない。
単純にバスや電車がない。
寮に泊まるほどの距離でもない。
授業が終わると部活がある。
部活だけじゃない、授業のカリキュラムのなかにも専門科目として組み込まれている。
しかし普通科。
進学校と同じ授業を受ける。
ハードなカリキュラムを受ける。
部活は実力主義。
テニスが好きだし全国大会に出るだけの実力はあったけど誤算があった。
ボール、ラケット、ラケットの握り方、ルールまで何もかもが違う。
また1から覚えなおす必要がある。
くたくたになるまでラケットを振り、そして家に帰る。
当然帰りに何か食べて帰る。
そして帰って夕食を食べて風呂に入って部屋で過ごす。
妹の渚は彼氏とメッセージをやり取りしてる。
宿題をしながらラジオを聞く。
そして明日に備えて寝る。
朝早く出ないと間に合わないから。
朝食は途中でコンビニでおにぎりとかを買って食べる。
みんな元気かな?
そんなことを考えながら私達は日々を過ごしていた
(4)
入学式。
天は送って来た写真通りの恰好でやって来た。
小泉君や、奏、要は変形学生服を着ていた。
沙奈もスカートの丈を弄っていた。
当然生徒指導の先生が怒り出す。
しかしそんなの全く関係なかった。
勝次と話す。
「俺達はお前たちに絶対に手を出さないから不干渉で行こう」
私達は相手にしなかった。
そんなの関係ない。
目に余る行為を見つけたら遠慮なく攻撃していい。
そう兄様たちに聞いていたから。
その話を聞いたFGは私達の前では全く大人しかった。
ある日勝次達から提案があった。
「お前たちがSHと分かるような目印をつけてくれ」
そうしないと誰がSHなのかわからない。
天音達に相談した。
「そんなことする必要ない」
天音は断言した。
例え私達が標的にならなくても目障りな行動をしたら容赦なく仕掛ける。
精々震えて学校生活を送れ。
天音の意向を勝次に告げる。
勝次は何も言わずに立ち去った。
それから勝次達FGは何もしてこなかった。
私達の学校の秩序はSHによって保たれていた。
上級生下級生関係なかった。
目障りだと判断したら容赦なく攻撃する。
一方的な暴力だ。
黒いリストバンドをしているだけで攻撃対象になる。
だからと言って外すわけにもいかない。
組抜けは制裁を伴う。
結果SHに助けを請う。
私達に断る理由はない。
だってそれが私達が動く理由になるのだから。
そうして平穏な日々を過ごしていた。
(5)
今日は入園式。
冬眞と莉子をつれて幼稚園に向かった。
神奈達も一緒だった。
冬夜さんも一緒に行った。
2人とも大人しかった。
しかしその数に圧倒された。
入園式が終ると冬夜さんは仕事に戻った。
私達は回転寿司を食べに行く。
冬眞達はそんなに食べない。
だけど、食事中に遊ぶこともない。
食事が済むと家に帰る。
そして子供達を寝かしつける。
子供たちが起きる頃には天音や茜が帰ってくる。
2人ともおやつとジュースを手に取ると部屋に行く。
天音達に子供の世話を頼むと私は買い物に行く。
今夜は何が良いだろう?
そんな事を考えながらスーパーで買い物をする。
家に帰ると、夕飯の支度。
仕度が終る頃には翼と空が帰ってくる。
着替えを終えるとダイニングに集まってくる。
そして冬夜さんが帰ってくると食事にする。
食事が終ると翼と一緒に片づけをする。
片付けをすませると冬吾と冬莉と冬眞と莉子を風呂に入れ、寝かしつける。
その間に翼も風呂を済ませて部屋に戻る。
冬夜さんが最後に風呂に入るとリビングでテレビを見ている。
23時を過ぎる頃私達は眠りにつく。
朝起きると翼が朝食の支度をしている。
翼と交代すると翼は着替えに部屋に戻る。
冬夜さんが冬眞と莉子の着替えを手伝ってダイニングに来る。
皆揃うと朝食の時間。
朝食を済ませると準備を済ませた翼と空が学校に行く。
他の子供達も学校や幼稚園に行く。
冬夜さんも仕事に行く。
見送った後片づけて掃除をする。
洗濯を済ませて昼ご飯を食べて少しのんびりしてると幼稚園児がが帰ってくる。
冬眞と莉子の面倒は冬吾と冬莉に任せていたら問題ないみたいだ。
4人が寝てる間に買い物に行く。
毎日のサイクルをひたすら繰り返しながら日々を過ごしていく。
当たり前という奇跡を繰り返して生活をしている。
見えない未来に胸を躍らせながら。
4月は新生活のはじまり。
新しい生活に慣れない体を馴染ませながら少しずつ時を重ねていく。
「翼、遅刻しちゃうよ」
「大丈夫だって、いつも通りだから」
高校生活が始まった。
いつもの朝を迎える。
翼の仕度に時間がかかるようになった。
靴も白い運動靴から、普通のジョギングシューズに変わった。
腕時計をして部屋を出る。
鞄の指定もなくなった。
背負うタイプの鞄に変えた。
通学は自転車で行っている。
翼は相変わらず規定のスカートの丈にしてある。
「お洒落は彼氏の前だけでいい」
そう言って翼は微笑んでいた。
これまでと違って距離がある。
だから天音達より先に出る。
我が家は広くなった。
増築が済んだ。
冬眞と莉子の部屋が新設された。
家を出ると真新しい制服に身を包んだ同級生がいる。
学校に着くと駐輪場に自転車をとめて教室に向かう。
SH組は皆同じクラスだった。
FGの上級生がさっそく勧誘に来ていたが僕達のクラスには現れなかった。
僕達の目の前で鬱陶しい真似をしたら容赦なく潰す。
それは高校生の間でも徹底されていた。
いくらFGが勢力を伸ばそうとそれは関係なかった。
入学式があって翌週には早速テストがあった。
さすが進学校と言ったところか。
学級委員にはやはり学がなっていた。
誰かがやらないといけない。
そしてそれは学がやるもの。
そんな暗黙の了解があるんだろう。
高校からはお弁当が昼食になる。
学食もあるけど、美希がお弁当を作ってくれるのでお弁当を食べる。
学食のメニューも気になるけどそれよりも美希のお弁当の方が大事だ。
屋上で食べる。
善明や翼も一緒だった。
学も自分で作ったと思いきや恋ちゃんが作ってくれるんだそうだ。
学には似合わない可愛らしい弁当。
学校が終ると寄り道をして帰る。
毎日同じじゃ飽きるので店を変えている。
「今日はあっさりでいく?こってりでいく?」
高校から一番近くのお店はあっさりで女子にも受けがいい。
だけど翼はこってりの方が好きなようだ。
あっさりならうどんでも食ってた方がましだ。
毎日自転車通学だから運動不足ってことは無い。
買い食いをしてコンビニでジュースとお菓子を買って家に帰る。
たまに友達と高校近くにあるカラオケに寄ったりして帰る。
家に帰ると着替えて宿題をする。
高校になると帰る時間が遅くなる。
それは部活をしていなくても生徒会に参加していなくても関係ない。
寄り道も原因だけど授業量が増えた。
高校生活は大学入試への準備の始まり。
それが進学校のさだめだった。
夕食を食べると風呂に入って部屋でくつろぐ。
翼は片づけを手伝ったり部屋を掃除したりしている。
母さんに言われたらしい。
きちんとやれば高校卒業時にプレゼントしてあげる。
それに期待していた。
バイトを始めようかととも思った。
学はバイトしているらしい。
光太もバイトしてると聞いた。
だけど両親は認めてくれなかった。
「小遣いが足りないなら相談しなさい。あなた達の仕事は勉強です。今は学校生活を楽しむことに全力を尽くしなさい」
母さんが言うので従った。
まあ、小遣いが足りないということは無い。
別に必要経費と称してデート代とかももらってるから。
通学距離が増えた。
買い食いが出来るようになった。
それは毎日デートしてるような物。
たまにはお店で雑貨や服を買ったりする。
授業の時間が増えた。
その程度の変化が高校生活だった。
(2)
この学校の特徴。
それは山の上にある事。
伊田高や城宝科学に比べたらましだけど坂がきつい。
光太は私に合わせて自転車を手で押して動いてくれてる。
この学校もやはりFGの手の者が多かった。
だけど私達に手を出すものは少なかった。
たまに何も知らずに手を出していて光太に返り討ちにあってるくらいだ。
工業高校だから専門教科が存在する。
作業着に着替えて実習する。
測量とか色々学ぶ。
進学は考えていない。
どうしても大学に進学したければ推薦入試を受けるしかない。
履修する科目の関係上センター試験は無謀に等しい。
中休みになると学食に食券を買いに行くか、売店でパンを買うか。
中には学校を出てすぐあるお弁当屋さんに買いに行く者もいる。
私は弁当を作るのが苦手だ。
だから光太と一緒にパンか学食にしていた。
どちらか一方だけだと飽きるから適当に選択していた。
他のクラスでは「パシリ」と称して気の弱い生徒に買いに行かせる風習がある。
うちのクラスではそんなことは無かった。
SHのメンバーがそんな事許さなかった。
学校が終ると光太と一緒に家に帰る。
帰りにゲーセンに寄ったりする。
家に帰ると着替えて勉強する。
勉強の科目は多い。
5教科に加えて専門科目が存在する。
高校生にして実習の結果をまとめたレポートを提出しなければならない。
それすら弱者にやらせる不届きものがいるが。
レポートを提出しないと単位をもらえない。
逆をいえば赤点とってもレポートを書けば免除してもらえる。
ただし、出席日数が足りないと面接で不利になる。
成績が悪いと採用試験で不利になる。
私達は進学という道はほぼない。
たまに推薦入試で大学に進学したリ、専門学校に行ったりする者もいる。
私達は卒業するために卒論を書いたりしなければならない。
研究課題は学校が指示してくれる。
共学とは言え工業高校。
圧倒的に男子が多い。
そして男子校のように上半身裸で廊下をウロウロしたリする者もいる。
あまり興味はなかったけど。
ちょっとイメージしていた高校生活とは違うものだった。
生徒会の体系にもちょっと特色がある、
生徒会の他に総務とと応援団長という役職がある。
主に体育祭の為のものだ。
この学校の体育祭は各科が威信をかけて全力を尽くす。
各科ごとの応援歌を声をはりあげて歌う。
校歌を歌うのも声を張り上げる。
そして体育祭以外での行動も体育祭の点数に響く。
歓迎遠足での態度とかがそうだ。
やんちゃをしようものなら総務や応援団長の拳が飛ぶ。
タバコ臭いトイレ。
休み時間大抵の女子は女子更衣室で過ごす。
私は光太とすごしていたけど。
色々あるけど、私達は平穏無事に過ごしていた。
(3)
通学距離が伸びた。
自転車でも30分は要する通学距離。
バスや電車は使えない。
校則で決まってるわけじゃない。
単純にバスや電車がない。
寮に泊まるほどの距離でもない。
授業が終わると部活がある。
部活だけじゃない、授業のカリキュラムのなかにも専門科目として組み込まれている。
しかし普通科。
進学校と同じ授業を受ける。
ハードなカリキュラムを受ける。
部活は実力主義。
テニスが好きだし全国大会に出るだけの実力はあったけど誤算があった。
ボール、ラケット、ラケットの握り方、ルールまで何もかもが違う。
また1から覚えなおす必要がある。
くたくたになるまでラケットを振り、そして家に帰る。
当然帰りに何か食べて帰る。
そして帰って夕食を食べて風呂に入って部屋で過ごす。
妹の渚は彼氏とメッセージをやり取りしてる。
宿題をしながらラジオを聞く。
そして明日に備えて寝る。
朝早く出ないと間に合わないから。
朝食は途中でコンビニでおにぎりとかを買って食べる。
みんな元気かな?
そんなことを考えながら私達は日々を過ごしていた
(4)
入学式。
天は送って来た写真通りの恰好でやって来た。
小泉君や、奏、要は変形学生服を着ていた。
沙奈もスカートの丈を弄っていた。
当然生徒指導の先生が怒り出す。
しかしそんなの全く関係なかった。
勝次と話す。
「俺達はお前たちに絶対に手を出さないから不干渉で行こう」
私達は相手にしなかった。
そんなの関係ない。
目に余る行為を見つけたら遠慮なく攻撃していい。
そう兄様たちに聞いていたから。
その話を聞いたFGは私達の前では全く大人しかった。
ある日勝次達から提案があった。
「お前たちがSHと分かるような目印をつけてくれ」
そうしないと誰がSHなのかわからない。
天音達に相談した。
「そんなことする必要ない」
天音は断言した。
例え私達が標的にならなくても目障りな行動をしたら容赦なく仕掛ける。
精々震えて学校生活を送れ。
天音の意向を勝次に告げる。
勝次は何も言わずに立ち去った。
それから勝次達FGは何もしてこなかった。
私達の学校の秩序はSHによって保たれていた。
上級生下級生関係なかった。
目障りだと判断したら容赦なく攻撃する。
一方的な暴力だ。
黒いリストバンドをしているだけで攻撃対象になる。
だからと言って外すわけにもいかない。
組抜けは制裁を伴う。
結果SHに助けを請う。
私達に断る理由はない。
だってそれが私達が動く理由になるのだから。
そうして平穏な日々を過ごしていた。
(5)
今日は入園式。
冬眞と莉子をつれて幼稚園に向かった。
神奈達も一緒だった。
冬夜さんも一緒に行った。
2人とも大人しかった。
しかしその数に圧倒された。
入園式が終ると冬夜さんは仕事に戻った。
私達は回転寿司を食べに行く。
冬眞達はそんなに食べない。
だけど、食事中に遊ぶこともない。
食事が済むと家に帰る。
そして子供達を寝かしつける。
子供たちが起きる頃には天音や茜が帰ってくる。
2人ともおやつとジュースを手に取ると部屋に行く。
天音達に子供の世話を頼むと私は買い物に行く。
今夜は何が良いだろう?
そんな事を考えながらスーパーで買い物をする。
家に帰ると、夕飯の支度。
仕度が終る頃には翼と空が帰ってくる。
着替えを終えるとダイニングに集まってくる。
そして冬夜さんが帰ってくると食事にする。
食事が終ると翼と一緒に片づけをする。
片付けをすませると冬吾と冬莉と冬眞と莉子を風呂に入れ、寝かしつける。
その間に翼も風呂を済ませて部屋に戻る。
冬夜さんが最後に風呂に入るとリビングでテレビを見ている。
23時を過ぎる頃私達は眠りにつく。
朝起きると翼が朝食の支度をしている。
翼と交代すると翼は着替えに部屋に戻る。
冬夜さんが冬眞と莉子の着替えを手伝ってダイニングに来る。
皆揃うと朝食の時間。
朝食を済ませると準備を済ませた翼と空が学校に行く。
他の子供達も学校や幼稚園に行く。
冬夜さんも仕事に行く。
見送った後片づけて掃除をする。
洗濯を済ませて昼ご飯を食べて少しのんびりしてると幼稚園児がが帰ってくる。
冬眞と莉子の面倒は冬吾と冬莉に任せていたら問題ないみたいだ。
4人が寝てる間に買い物に行く。
毎日のサイクルをひたすら繰り返しながら日々を過ごしていく。
当たり前という奇跡を繰り返して生活をしている。
見えない未来に胸を躍らせながら。
4月は新生活のはじまり。
新しい生活に慣れない体を馴染ませながら少しずつ時を重ねていく。
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