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運命の振り子の幅
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(1)
さて、今朝はどっちから攻めよう?
洋食か和食か?
どっちも食べるからどっちが先でもいいんだけど。
でも最後にコーヒーを飲むとなるとやはり先に和食を攻めるべきか?
それにしても和食に会う飲み物が無いのはどうしてだろう?
ウーロン茶も少し微妙な気がする。
お腹の中に入れてしまえば同じ気もするけど。
そんな事を考えながら学達とバイキングに向かうと翼が待っていた。
「空、おはよう」
「翼、どうしたの?」
先に席取っていてくれてると思ったんだけど。
「席なら美希達に確保してもらってる。それより重要な事があるから」
「重要な事?」
「昨日愛莉に相談したんだよね。そしたらパパも同じだったんだって。昨日の空みたいに延々と朝食で悩んでたって」
「それで?」
「私が一緒に選んであげる。それなら迷わないでしょ」
さっさと選んで食べて次を取りに行った方がいい。
翼の言う通りかもしれない。
翼と一緒のものを選んでとった。
そして席に皆揃って食べ始める。
さっさと食べて次を取りに行く。
それを延々と時間ぎりぎりまで続ける。
「お前達よく食べるな……」
学はコーヒーを飲みながら僕達を見ていた。
食べ放題だから食べないと損だろ?
時間になると部屋に戻って準備する。
そしてスキー場に出ると、昨日と同じ様に滑る。
今日一日滑ってお終いだ。
逆を言うと今日一日は滑ってないといけない。
僕と美希は自由行動を許可されていた。
だから2人でリフトに乗って上まで上がって2人で滑る。
上級者コースといっても色んな人がいるからゆっくり滑る。
もちろん他の客の邪魔にならない程度のスピードで降りていく。
たまにゲレンデに座り込んでいるボーダーがいる。
一般の客もいるんだから色々いる。
リフトに乗ってキスをしているカップルやら、喫煙している客。
リフトの降り場にたむろしている客。
下まで滑ったらリフトに乗ってその間に美希と話をしてそして滑る時は黙々と滑る。
そうやって午前中を過ごした。
昼食を食べながら他の皆の様子を聞く。
皆そろそろ中級コースで大丈夫と言われたらしい。
午後からは中級コースで滑るそうだ。
午後からは皆について行くことにした。
1人ずつ少しずつ滑りながら滑っていく。
ゆっくりだったけどそれに合わせた。
そして最後に滑ると全員集合する。
そしてインストラクターが全員で並んで滑る。
皆拍手をしていた。
そうして二日間のスキー講習は終わった。
インストラクターのお姉さんに連絡先を聞いてる生徒がいた。
当然彼女が激怒する。
あとで機嫌を直してもらうのに時間と労力を必要としたらしい。
僕達はそんな無謀な事をしなかった。
光太たちはやってしまったのを後でSHのメッセージで知った。
言わなきゃいいのに。
当然、水島さん達の機嫌は悪かった。
お風呂から戻った後に謝罪の電話があったらしい。
「空はどうして聞かないの?」
お風呂から戻ってラーメンを食べてる時に美希から聞かれた。
美希は「パフェでもこの時間は怖いから」とジュースを飲んでいた。
「聞いたら何かあるの?」
普通に返したつもりだった。
相手は年上のお姉さんだよ。
それにインストラクターにとって数ある客の一人にすぎない。
仮に何かあったとしても北海道と九州だ。
高校生には無謀すぎる。
大体前提が間違っている。
綺麗なお姉さん。
ゴーグルや帽子なんかで顔が半分以上隠れている上に紫外線対策等で厚化粧をしている。
ホワイトマジックというらしい。
雪面からの照り返しでしわや輪郭もボケて見える。
理由をあげたらきりがない。それに……
「美希より綺麗な人なんていないよ」
「私も化粧で誤魔化してるかもよ?」
そう言って美希は笑う。
「お風呂から出たのにわざわざ化粧するなんて面倒な真似する彼女じゃないと思ったんだけど」
それに美希は普段もそんなに化粧しないだろ?
日焼け止めや肌荒れ対策すらしなくてもこれだけ綺麗なんだから。
「お前は美希の扱いはなれてるみたいだな」
学がそう言って笑った。
最後くらいはと皆で揃ってラーメンを食べたりパフェを食べたりしてる。
「そんなに難しい事をしてるわけじゃないんだけど?」
心を覗いてるわけでも無いし。
それでも美希は機嫌が良かった。
ちなみにうちの班の女子で厚化粧をしてる子はいない。
翼も元々が母さんに似て美人だったし、前田さんも常日頃から食事や精神面に気を使ってるみたいだし、水島さんは「どうせ化粧しても汗まみれになったりだからね」と笑ってる。
そういう水島さんもすっぴんで十分綺麗だ。
美人女子サッカー選手とかのまとめサイトに載るほどだ。
ラーメンを食べ終わると部屋に戻る。
最後の夜だからもう一杯食べておきたいくらいだけど、学が「そろそろ就寝時間だ」というので部屋に戻る。
部屋でテレビを見ながら喋っていた。
1人、また1人と眠ってしまう。
皆が寝静まる頃僕もテレビを消して寝た。
最後の北海道の夜を過ごした。
「大体みんな北海道行ったみたいだし来年の卒業両行は南にしようぜ」
光太が言う。
卒業旅行は沖縄になりそうだ。
だけどそれはまだ当分先の話。
今はとりあえず明日の東京観光を楽しみにしていた。
(2)
朝になると朝食を食べる。
今日も翼と朝食を選ぶ。
今日は何から食べようか?
そんな事を考える幸せなひと時。
朝食を食べ終えると荷物をまとめる。
学ランを着ようとすると扉をノックする音が。
学が扉を開けると驚いていた。
「翼さん!?」
翼が来たみたいだ。
「ちょっと失礼します」
慌ててズボンを穿く男子達を無視して僕を見る。
「やっぱりそんな事だろうと思った!今日は東京で自由行動って忘れたの!?」
ああ、そうだったね。
でも別に学ランでいいじゃないか?
「何のために服を買ったと思ってるの!?着替えなさい」
「着替えるから取りあえず部屋の外に出てよ」
「今更空の下着姿見たってどうも思わない!それに髪をセットしてあげないと。美希も一緒だってこと忘れたの!?」
「酒井君とかもいるからさ。せめて着替える間だけでも外にいてよ」
「……しょうがないな」
翼が部屋の外に出ると急いで着替える。
「君もたいへんだね」
善明がそう言った。
着替え終えると扉を開ける。
翼は僕の髪をセットすると「もうあまり時間無いから急いで準備しなよ」と言って自分の部屋に戻っていった。
荷物を片付けて部屋を出ると学が部屋の鍵をフロントに返す。
全員が揃うとバスに乗って新千歳空港に向かう。
朝が早かったのでバスの中では寝ていた。
真っ白な世界が続いていただけだったせいもあるのかもしれない。
美希は本を読んでくつろいでたみたいだった。
飛行機に乗ると羽田空港に向かう。
飛行機で2時間半くらいの空の旅。
当然皆寝ていた。
こんな五月蠅い中よく眠れるな。
珍しいものを見た。
美希も疲れているのだろう。
僕の肩にもたれかけて眠っていた。
そっとしておいてやった。
着陸間近の合図がなると美希が起きる。
シートベルトを着用して着陸に備える。
着陸すると飛行機を降りる。
そして皆集合すると先生の説明を受ける。
ここから自由行動らしい。
夜まで自由行動が認められていた。
大きな荷物はホテルに搬送してくれるらしい。
それぞれ予定していた通りに自由行動を開始した。
(4)
「高速バス使った方が楽じゃないか?」
学がそう言う。
学が慎重になるほど複雑怪奇な路線図。
見てるだけで思考を放棄しそうになる。
翼がスマホで渋谷までの経路を見ている。
乗り継ぎはそんなにしないでいいから運賃の安い電車にしよう。
翼がそう言うと反対する者はいなかった。
折角だからモノレールに乗りたい。
そんな意見も出たのでモノレールを利用する。
空港から直接出てるらしい。
案内板を見て進む。
大阪に言った時よりも凄い光景を目にしていた。
ここが日本の顔。
ビルとビルの間を縦横無尽に駆け抜ける高速道路に電車の高架。
地下には地下鉄が幾重にも張り巡らされているらしい。
渋谷に着いた。
まずは面倒な事を片付ける。
さらに地下鉄に乗って移動して博物館に行く。
あとは翼が適当に模範的なレポートを書いてくれるだろう。
さすがにお腹が好いた。
「東京でもラーメンなのかい?」
酒井君が聞いていた。
だけど翼と決めてあった。
翼たち女子のお目当てのビルにも近いお寿司屋さん。
それなら女子達も気軽に食えるだろ。
価格も安かった。
当然僕と翼はそれだけでは物足りず大トロ炙り丼を頼んだ。
腹ごしらえを済んで満足したら女子の好きなところを周る。
こういう時は女子に逆らわない方がいい。
僕も学も善明も把握していた。
服を見てはしゃいでる女子達。
「空はどれがいいと思う?」
自分が直感で閃いたものを選ぶ。
「分かった」
美希はそう言って服を取ってレジに向かう。
その後明治神宮など観光スポットを見て回る。
カフェに寄って休憩をしながら散策する。
夕飯の頃合いになる。
そろそろ食べないと時間が間に合いそうにない。
皆で相談する。渋谷で食って帰るかホテルの側で食べるか?
そもそも何を食べる?
翼と僕で食事を選んできた。
ここは他の皆に聞いてみよう。
「美希、食べたいものはない?」
男子は何でもいいらしい。
女子は相談していた。
そして一つの結論に至った。
「気になる店があったんだよね」
どうせホテルのそばには食べるところないし、渋谷で食べて帰ろう。
チーズフォンデュの店だった。
チーズとチョコとキャラメルの3種類のフォンデュが味わえる店。
具材も色々あった。
2時間食べ放題で意外と安い。
しっかり堪能すると、千葉の浦安のホテルに戻る。
地下鉄で行けるみたいだ。
時間までにホテルに辿り着いた。
みんな時間ぎりぎりだったみたいだ。
コンビニでジュースとかを買って帰った。
まるで迷路を彷徨うような初めての東京だった。
(5)
東京らしい旅と言えば旅だったのかね。
また不良に絡まれたりするのかと不安だったけど無事で済んでよかった。
策者も今回は文字数ヤバいとかおもったのだろうか?
不要なイベントは起こさずにいてくれた。
フロントでに届いていた荷物を受け取って部屋に入る。
1人ずつシャワーを浴びてテレビを見てくつろぐ。
コンビニで買ったお菓子とジュースで子供ながらの宴会を開く。
扉をノックする音が聞こえた。
学が扉を開けると驚いていた。
「つ、翼!」
そんな学をよそに部屋に入ってくる女子。
「一日くらいこういうイベントあってもいいでしょ?」
前言撤回。
策者は余計な事を考えていたみたいだ。
それから僕達の班は一つの部屋で話をしていた。
そんな時間があったらカレーを食べたい。
空はそう思っていたらしい。
そしてまた誰かがノックする。
女子はベッドに隠れる。
「お前たちの部屋に翼たち来てないか?」
先生達にバレたらしい。
こういう時の空は頼もしい。
「来てませんよ」
まったく動揺するそぶりもなく平然と答える空。
先生達が立ち去ると空は翼たちに言った。
「早く部屋に戻った方がいい」
空はコンビニで買ったものをいくつか袋に詰める。
「これ持ってコンビニに言ってましたって誤魔化すと良いよ」
「サンキュー」
翼はそれを受け取ると外に誰もいないことを確認して部屋に戻っていった。
「片桐君は妙に落ち着いてるね」
僕が言うと空は言った。
「翼の行動は大体読めるから」
なるほどね、普段から翼と一緒にいるから出来る芸当なのか。
「後は明日のテーマパークか」
学が言う。
「桐谷君はやっぱり水奈さんがいなくて寂しいかい?」
「平気だと言ったら嘘になるな」
僕が聞くと学はそう言って笑う。
「でもそう言うのは卒業旅行の楽しみにとってあるんだ」
「なるほどね」
大区の皆も今夜は大人しくしてたらしい。
やはり日本代表のメンバーがいると気を使うのだろうか?
「修学旅行が終ればもう今年もわずかだね」
空が言う。
「今年も無事でよかったよ」
「まだ分からんぞ善明」
明日何が起きるか分からない。
平穏無事が一番なんだけどね。
そんな事を祈りながら僕たちは早々と寝る。
女子は海がいいか夢の国がいいか相談していたそうだ。
翌日眠そうに朝食にやって来た。
最後の一日がはじまる。
さて、今朝はどっちから攻めよう?
洋食か和食か?
どっちも食べるからどっちが先でもいいんだけど。
でも最後にコーヒーを飲むとなるとやはり先に和食を攻めるべきか?
それにしても和食に会う飲み物が無いのはどうしてだろう?
ウーロン茶も少し微妙な気がする。
お腹の中に入れてしまえば同じ気もするけど。
そんな事を考えながら学達とバイキングに向かうと翼が待っていた。
「空、おはよう」
「翼、どうしたの?」
先に席取っていてくれてると思ったんだけど。
「席なら美希達に確保してもらってる。それより重要な事があるから」
「重要な事?」
「昨日愛莉に相談したんだよね。そしたらパパも同じだったんだって。昨日の空みたいに延々と朝食で悩んでたって」
「それで?」
「私が一緒に選んであげる。それなら迷わないでしょ」
さっさと選んで食べて次を取りに行った方がいい。
翼の言う通りかもしれない。
翼と一緒のものを選んでとった。
そして席に皆揃って食べ始める。
さっさと食べて次を取りに行く。
それを延々と時間ぎりぎりまで続ける。
「お前達よく食べるな……」
学はコーヒーを飲みながら僕達を見ていた。
食べ放題だから食べないと損だろ?
時間になると部屋に戻って準備する。
そしてスキー場に出ると、昨日と同じ様に滑る。
今日一日滑ってお終いだ。
逆を言うと今日一日は滑ってないといけない。
僕と美希は自由行動を許可されていた。
だから2人でリフトに乗って上まで上がって2人で滑る。
上級者コースといっても色んな人がいるからゆっくり滑る。
もちろん他の客の邪魔にならない程度のスピードで降りていく。
たまにゲレンデに座り込んでいるボーダーがいる。
一般の客もいるんだから色々いる。
リフトに乗ってキスをしているカップルやら、喫煙している客。
リフトの降り場にたむろしている客。
下まで滑ったらリフトに乗ってその間に美希と話をしてそして滑る時は黙々と滑る。
そうやって午前中を過ごした。
昼食を食べながら他の皆の様子を聞く。
皆そろそろ中級コースで大丈夫と言われたらしい。
午後からは中級コースで滑るそうだ。
午後からは皆について行くことにした。
1人ずつ少しずつ滑りながら滑っていく。
ゆっくりだったけどそれに合わせた。
そして最後に滑ると全員集合する。
そしてインストラクターが全員で並んで滑る。
皆拍手をしていた。
そうして二日間のスキー講習は終わった。
インストラクターのお姉さんに連絡先を聞いてる生徒がいた。
当然彼女が激怒する。
あとで機嫌を直してもらうのに時間と労力を必要としたらしい。
僕達はそんな無謀な事をしなかった。
光太たちはやってしまったのを後でSHのメッセージで知った。
言わなきゃいいのに。
当然、水島さん達の機嫌は悪かった。
お風呂から戻った後に謝罪の電話があったらしい。
「空はどうして聞かないの?」
お風呂から戻ってラーメンを食べてる時に美希から聞かれた。
美希は「パフェでもこの時間は怖いから」とジュースを飲んでいた。
「聞いたら何かあるの?」
普通に返したつもりだった。
相手は年上のお姉さんだよ。
それにインストラクターにとって数ある客の一人にすぎない。
仮に何かあったとしても北海道と九州だ。
高校生には無謀すぎる。
大体前提が間違っている。
綺麗なお姉さん。
ゴーグルや帽子なんかで顔が半分以上隠れている上に紫外線対策等で厚化粧をしている。
ホワイトマジックというらしい。
雪面からの照り返しでしわや輪郭もボケて見える。
理由をあげたらきりがない。それに……
「美希より綺麗な人なんていないよ」
「私も化粧で誤魔化してるかもよ?」
そう言って美希は笑う。
「お風呂から出たのにわざわざ化粧するなんて面倒な真似する彼女じゃないと思ったんだけど」
それに美希は普段もそんなに化粧しないだろ?
日焼け止めや肌荒れ対策すらしなくてもこれだけ綺麗なんだから。
「お前は美希の扱いはなれてるみたいだな」
学がそう言って笑った。
最後くらいはと皆で揃ってラーメンを食べたりパフェを食べたりしてる。
「そんなに難しい事をしてるわけじゃないんだけど?」
心を覗いてるわけでも無いし。
それでも美希は機嫌が良かった。
ちなみにうちの班の女子で厚化粧をしてる子はいない。
翼も元々が母さんに似て美人だったし、前田さんも常日頃から食事や精神面に気を使ってるみたいだし、水島さんは「どうせ化粧しても汗まみれになったりだからね」と笑ってる。
そういう水島さんもすっぴんで十分綺麗だ。
美人女子サッカー選手とかのまとめサイトに載るほどだ。
ラーメンを食べ終わると部屋に戻る。
最後の夜だからもう一杯食べておきたいくらいだけど、学が「そろそろ就寝時間だ」というので部屋に戻る。
部屋でテレビを見ながら喋っていた。
1人、また1人と眠ってしまう。
皆が寝静まる頃僕もテレビを消して寝た。
最後の北海道の夜を過ごした。
「大体みんな北海道行ったみたいだし来年の卒業両行は南にしようぜ」
光太が言う。
卒業旅行は沖縄になりそうだ。
だけどそれはまだ当分先の話。
今はとりあえず明日の東京観光を楽しみにしていた。
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朝になると朝食を食べる。
今日も翼と朝食を選ぶ。
今日は何から食べようか?
そんな事を考える幸せなひと時。
朝食を食べ終えると荷物をまとめる。
学ランを着ようとすると扉をノックする音が。
学が扉を開けると驚いていた。
「翼さん!?」
翼が来たみたいだ。
「ちょっと失礼します」
慌ててズボンを穿く男子達を無視して僕を見る。
「やっぱりそんな事だろうと思った!今日は東京で自由行動って忘れたの!?」
ああ、そうだったね。
でも別に学ランでいいじゃないか?
「何のために服を買ったと思ってるの!?着替えなさい」
「着替えるから取りあえず部屋の外に出てよ」
「今更空の下着姿見たってどうも思わない!それに髪をセットしてあげないと。美希も一緒だってこと忘れたの!?」
「酒井君とかもいるからさ。せめて着替える間だけでも外にいてよ」
「……しょうがないな」
翼が部屋の外に出ると急いで着替える。
「君もたいへんだね」
善明がそう言った。
着替え終えると扉を開ける。
翼は僕の髪をセットすると「もうあまり時間無いから急いで準備しなよ」と言って自分の部屋に戻っていった。
荷物を片付けて部屋を出ると学が部屋の鍵をフロントに返す。
全員が揃うとバスに乗って新千歳空港に向かう。
朝が早かったのでバスの中では寝ていた。
真っ白な世界が続いていただけだったせいもあるのかもしれない。
美希は本を読んでくつろいでたみたいだった。
飛行機に乗ると羽田空港に向かう。
飛行機で2時間半くらいの空の旅。
当然皆寝ていた。
こんな五月蠅い中よく眠れるな。
珍しいものを見た。
美希も疲れているのだろう。
僕の肩にもたれかけて眠っていた。
そっとしておいてやった。
着陸間近の合図がなると美希が起きる。
シートベルトを着用して着陸に備える。
着陸すると飛行機を降りる。
そして皆集合すると先生の説明を受ける。
ここから自由行動らしい。
夜まで自由行動が認められていた。
大きな荷物はホテルに搬送してくれるらしい。
それぞれ予定していた通りに自由行動を開始した。
(4)
「高速バス使った方が楽じゃないか?」
学がそう言う。
学が慎重になるほど複雑怪奇な路線図。
見てるだけで思考を放棄しそうになる。
翼がスマホで渋谷までの経路を見ている。
乗り継ぎはそんなにしないでいいから運賃の安い電車にしよう。
翼がそう言うと反対する者はいなかった。
折角だからモノレールに乗りたい。
そんな意見も出たのでモノレールを利用する。
空港から直接出てるらしい。
案内板を見て進む。
大阪に言った時よりも凄い光景を目にしていた。
ここが日本の顔。
ビルとビルの間を縦横無尽に駆け抜ける高速道路に電車の高架。
地下には地下鉄が幾重にも張り巡らされているらしい。
渋谷に着いた。
まずは面倒な事を片付ける。
さらに地下鉄に乗って移動して博物館に行く。
あとは翼が適当に模範的なレポートを書いてくれるだろう。
さすがにお腹が好いた。
「東京でもラーメンなのかい?」
酒井君が聞いていた。
だけど翼と決めてあった。
翼たち女子のお目当てのビルにも近いお寿司屋さん。
それなら女子達も気軽に食えるだろ。
価格も安かった。
当然僕と翼はそれだけでは物足りず大トロ炙り丼を頼んだ。
腹ごしらえを済んで満足したら女子の好きなところを周る。
こういう時は女子に逆らわない方がいい。
僕も学も善明も把握していた。
服を見てはしゃいでる女子達。
「空はどれがいいと思う?」
自分が直感で閃いたものを選ぶ。
「分かった」
美希はそう言って服を取ってレジに向かう。
その後明治神宮など観光スポットを見て回る。
カフェに寄って休憩をしながら散策する。
夕飯の頃合いになる。
そろそろ食べないと時間が間に合いそうにない。
皆で相談する。渋谷で食って帰るかホテルの側で食べるか?
そもそも何を食べる?
翼と僕で食事を選んできた。
ここは他の皆に聞いてみよう。
「美希、食べたいものはない?」
男子は何でもいいらしい。
女子は相談していた。
そして一つの結論に至った。
「気になる店があったんだよね」
どうせホテルのそばには食べるところないし、渋谷で食べて帰ろう。
チーズフォンデュの店だった。
チーズとチョコとキャラメルの3種類のフォンデュが味わえる店。
具材も色々あった。
2時間食べ放題で意外と安い。
しっかり堪能すると、千葉の浦安のホテルに戻る。
地下鉄で行けるみたいだ。
時間までにホテルに辿り着いた。
みんな時間ぎりぎりだったみたいだ。
コンビニでジュースとかを買って帰った。
まるで迷路を彷徨うような初めての東京だった。
(5)
東京らしい旅と言えば旅だったのかね。
また不良に絡まれたりするのかと不安だったけど無事で済んでよかった。
策者も今回は文字数ヤバいとかおもったのだろうか?
不要なイベントは起こさずにいてくれた。
フロントでに届いていた荷物を受け取って部屋に入る。
1人ずつシャワーを浴びてテレビを見てくつろぐ。
コンビニで買ったお菓子とジュースで子供ながらの宴会を開く。
扉をノックする音が聞こえた。
学が扉を開けると驚いていた。
「つ、翼!」
そんな学をよそに部屋に入ってくる女子。
「一日くらいこういうイベントあってもいいでしょ?」
前言撤回。
策者は余計な事を考えていたみたいだ。
それから僕達の班は一つの部屋で話をしていた。
そんな時間があったらカレーを食べたい。
空はそう思っていたらしい。
そしてまた誰かがノックする。
女子はベッドに隠れる。
「お前たちの部屋に翼たち来てないか?」
先生達にバレたらしい。
こういう時の空は頼もしい。
「来てませんよ」
まったく動揺するそぶりもなく平然と答える空。
先生達が立ち去ると空は翼たちに言った。
「早く部屋に戻った方がいい」
空はコンビニで買ったものをいくつか袋に詰める。
「これ持ってコンビニに言ってましたって誤魔化すと良いよ」
「サンキュー」
翼はそれを受け取ると外に誰もいないことを確認して部屋に戻っていった。
「片桐君は妙に落ち着いてるね」
僕が言うと空は言った。
「翼の行動は大体読めるから」
なるほどね、普段から翼と一緒にいるから出来る芸当なのか。
「後は明日のテーマパークか」
学が言う。
「桐谷君はやっぱり水奈さんがいなくて寂しいかい?」
「平気だと言ったら嘘になるな」
僕が聞くと学はそう言って笑う。
「でもそう言うのは卒業旅行の楽しみにとってあるんだ」
「なるほどね」
大区の皆も今夜は大人しくしてたらしい。
やはり日本代表のメンバーがいると気を使うのだろうか?
「修学旅行が終ればもう今年もわずかだね」
空が言う。
「今年も無事でよかったよ」
「まだ分からんぞ善明」
明日何が起きるか分からない。
平穏無事が一番なんだけどね。
そんな事を祈りながら僕たちは早々と寝る。
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最後の一日がはじまる。
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※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
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