姉妹チート

和希

文字の大きさ
434 / 535

Chromatics

しおりを挟む
(1)

「あれ?茉奈それだけしか食べないのか?」
「うん、今日はちょっとあまり食欲無くて」

 いつも以上に小食だった。

「結は気にしないで食べていいよ」
「うん、それは良いとして何かあった?」

 今日は連休だという事で茉奈とデートすることにした。
 映画は毎年恒例の探偵アニメ。
 ゲームでもそういうのがよくある。
 だけど茉奈には関係ない気がする。
 だってどうせ水奈が愛菜達と一緒にDVDになったら見るんだから。
 ……思い返すとその時から様子が変だった。
 なんか調子が悪そうだ。
 トイレに行く頻度もいつもより多かった。
 何か悪い物でも食べたのだろうか?
 子供ながらに不安になる。
 俺が何かへまをした?
 だから茉奈が機嫌を損ねてる?
 それは昼食後にゲーセンで遊んでいる時もそうだった。
 いつもは元気な茉奈も今日は椅子に座って見てるだけ。
 結局バスに乗って家に帰る時まで茉奈の調子は良くなかった。
 だから茉奈の家の前で謝っていた。

「どうしたの?」

 茉奈は普通にそう聞いてきた。

「俺のせいで機嫌を損ねたんじゃないかなって……」

 それを聞いた茉奈は笑いだした。

「そっか、結はまだ知らないんだね」
 
 何の事だろう?

「確か美希が教えるって言ってたから私が言ったらだめだよね」

 どうしてだろう?

「家に帰ってから私の事話してみたらいいよ」

 母さんならきっとちゃんと説明してくれる。
 そう言って茉奈は「またね」と言って家に入って行った。
 家に帰ると早速母さんに聞いてみる。
 母さんだけじゃなく、カミラにも聞いてみた。

「うーん、そっか。ついにそうなっちゃったか」

 母さん達は茉奈の不調の理由を知っているみたいだ。

「その話今晩結が風呂に入った後でいいかな?」

 父さんからも何か言う事あると思うから。

「わかった」

 落ち込んでる俺を見て母さんは言った。

「そうだね。一つだけ言っておく。茉奈は別に怒ってるわけじゃない」

 そう言って夕食の支度を始めた。
 夕食を食べて風呂に入るとなぜか比呂とカミルも一緒にいた。

「結、何かやらかしたのか?」

 比呂が聞いている。
 普通にデートしただけなのになぜか茉奈があまり調子が良くなかったんだと説明した。

「ああ、結は聞いてないのか」

 比呂は理由を知っている様だ。

「カミルはと一緒にいてそうなったことある?」
「あるよ。でもしつこく聞くと雪菜が怒り出すんだ」

 女子には女子の都合があるからあんまり聞かないで!
 機嫌もやっぱり悪いらしい。
 そんな僕達の話を聞いていた母さんが言う。

「それはカミルが悪いね」
「どうして?」
「カミルは私が説明するのが遅れたから仕方ない。だから今から説明するね」
 
 カミラは部屋に入っているように言われていた。
 だから今いるのは僕と比呂とカミルと母さんと父さんの5人。
 
「まずはそうだね。茉奈や雪菜達は少しずつ体に変化が始まったの」

 茉奈や雪菜は女の子。
 だから体の仕組みが若干男子よりも複雑だ。
 それは当然らしい。
 だって赤ちゃんを体の中に宿す臓器が余計についているんだから。
 その事は桜子からも保健の授業で言っていた。
 だけどそれが茉奈の不調と関係あるのだろうか?
 あるらしい。
 母さんは女性の体のバイオリズムというのを教えてくれた。
 ちょうどその日が今日だったのだろう。
 母さんが水奈に確認したら間違いないと言っていた。
 でもそれならそうと説明してくれたらいいのに。
 それにデートの日をずらせばいいんじゃないだろうか?

「結はまだ知らないと思ったから、上手く断り方が分からなかったんでしょうね」

 母さんはそういう。
 しかし別の理由もあるらしい。
 そんな体調不良でも大切な俺とのデートを楽しみにしている。
 連休だから俺に会えないから会うチャンスを潰したくない。
 女の子ならみんなそう思う。
 それに必ずそんなに周りが心配するくらい酷い時ばかりじゃない。
 こればっかりはなってみないと分からないらしい。
 なるほど。

「でも、男子はずっと子供のままなの?」
「そんな事無いよ」

 父さんが答えた。
 ただ男の子の場合は周期的に訪れる者じゃない。
 個人差だってある。
 それにそれが無いからと言って別に体に害があるわけじゃない。
 その現象はそのうち来るはずだと父さんが説明した。
 桜子はその辺をすごく曖昧に説明していたけど父さんが具体的に説明してくれた。
 だけどそうなると次の疑問がある。
 子供が出来る仕組みは保健で習った。
 でもどうしてそんな状態になるのかが分からない。
 そう言うと父さんが説明を始めた。

「言っておくけどまだ結やカミルたちはしたらだめだよ」

 父さんがそう補足していた。
 それで夜恋人と過ごすのか……。
 納得していた僕達を見て母さんが言う。

「大事なのはその事自体じゃないの。女の子だって恥ずかしい事がある。それでもこの人だけならって人にだけ行為を許すの」

 だから、自分勝手に乱暴な真似をしてはいけない。
 でも「大丈夫?」って聞いて彼女を不安にしてもいけない。
 そうは言うけどじゃあどうやってしたらいいの。

「父さんもそれで悩んだんだ」

 結論から言うと誠達みたいにDVDをみるとかしかない。
 でも母さんは言う。
 
「結のやりたいようにやって見なさい。あなた達なら茉奈達も自分の要求を言うだろうし」

 女の子の情報量に比べたら男子の情報量なんて幼稚なものか、誠達の様にしょうもない事だ。
 だから嫌がることはしなければいい。
 それなら俺達でも分かるだろ。

「父さんや母さんもしたの?」
「しなきゃ結達は産まれていないよ」

 話がこれで済むかと思った。
 だが母さんは聞き逃してなかった。

「……で、比呂は誰からそんな情報を手に入れたの?」
「え?誠さんがSHのグルチャに乗せてるよ」

 ご丁寧に解説までしてくれるんだそうだ。
 そばで聞いていた愛莉が無言で神奈の家に電話する。

「どうしてお前はそういうことを小4の子供に吹き込むんだ!」

 多田家は今日も通常運転だったらしい。
 パオラは育児に不安を覚えたそうだ。

「パオラは心配しないでいいよ。父親が誠司なんだから」

 じいじがそう言ったらしい。
 どういう意味だろう?
 部屋に戻ると茉奈に話を聞いたと伝えた。
 その上で謝る。

「そっか。じゃあ私の事もっと大事にしてくれるよね?」
「うん」
「あまり気にしないで。これも女の子に生まれてきた以上当たり前の事なんだから」

 むしろデートの雰囲気壊してごめんと謝っていた。

「大丈夫。俺が茉奈の事をちゃんと知っておくべきだったんだから……」
「それは違うよ結。だって美希から聞かなかったの?」

 それは女の子の中だけの秘密の話。
 そんな事を気にする小学生の男子となんて気持ち悪いから付き合いたくない。
 大人になっても同じ事。
 俺は茉奈の体だけが目当てなの?
 茉奈の言う事今なら少しだけ理解できる。
 茉奈は水奈から聞いたらしい。
 一々周期を気にしてデートに誘う男もいるらしい。
 逆にそんなの全く関係なしに夜を過ごそうとする男もいる。
 きっと僕なら大丈夫。
 今だってそんなに心配してくれてる。

「あのさ、こんな事聞いていいのか分からないけど」
「どうしたの?」

 そんなにつらいの?

「うん。水奈が”そろそろ痛み止めと準備した方が良いんじゃないか?”って言うくらい」
「それって茉莉達もか?」
「その質問はNGだね」

 怒られた。

「他の女性の事も男の子って気になるの?」

 そんなの気にしてたらただの変質者だよ?
 なるほど。

「じゃあ、茉奈だけ気にしておく」
「……一つだけいい事教えてあげようか?」
「どうかしたの?」
「最近茉莉は機嫌がいいの」
「なんで?」

 絶対に菫には言ったらだめだよ。
 そう言って結莉は茉莉の秘密を教えてくれた。

「それは朔も知ってるの?」
「さすがに茉莉の事だから自慢してるんじゃない?」
「茉奈はどうなの?」

 別に何の他意はなかった。
 ただそういう時期なんだなと思ったから聞いてみた。
 少し考えていたけど茉奈落ち込んでいた。

「私はママの娘だから……」

 過度な期待はしないでほしいと言っていた。

(2)

「あ、桜子先輩。ちょっと相談があるんですけど」

 私は桜子先輩に相談を持ち掛けた。

「何?もう夫婦喧嘩?」
「いえ、冬吾さんに限ってそれは無いから」
「そうだよねえ……」

 じゃあ、どうしたの?と桜子先輩が聞いてきた。
 まあ、冬吾さんの事で相談なんだけど。

「食事とか体調管理とかどうしたらいいのかなって思って」

 桜子先輩なら詳しいと思って聞いてみた。

「ああ、そっか。冬吾のサポートしないとだものね」

 どんな食事がいいんだろう?
 やっぱりあの食欲をセーブしないとダメなんだろうか?
 色々聞いてみた。
 だけど桜子先輩は一言で返した。

「それ私に聞くよりもっと最適な人が瞳子の側にいるじゃない」
「誰ですか?」
「愛莉先輩」

 冬夜さんがバスケをしている間体調管理をしてたのは愛莉さんだ。
 多分冬吾さんに当たり前の体調管理は通用しない。
 理由は冬夜さんの子供だから。
 それなら多分愛莉さんに聞いた方がいい。
 なるほど……。
 じゃあ、もうすでに実践してるのかな?

「しかし新米教師とこんなのんびり過ごせる時間が出来るなんて思わなかったよ」

 茉莉や優奈達は何をしでかしていたのだろう。
 
「私も違う意味で優奈達に手を焼いていて……」
 
 瞳美先輩が加わって来た。
 掛け算の授業をしていた時だ。

「しく?死んで苦しめじゃないのか?」

 九九すらまともに覚えようとしない優奈と愛菜。

「69って言葉はエッチな言葉だからまだ私達には早いって水奈が言ってたよ」

 優奈がそんな事を言いだすと他の児童もどういう意味かと知りたがってどう誤魔化そうか苦労したらしい。
 当然その事を水奈に相談していた。
 さすがに「次着信拒否とか馬鹿な真似したら分かってるだろうな!?」と神奈さんと学から警告を受けて電話に出たらしい。
 しかしその電話の内容に問題があった。

「水奈。まだ小学生の娘に妙な事を教えないでください」
「何のことだ?」

 覚えがなかったらしい。
 で、今日の授業の内容を説明する。

「69って他になんか意味あったっけ?」
「水奈……九九言える?」

 30歳近い母親にする質問じゃないと思ったけど嫌な予感がしたから聞いてみたそうだ。
 予感は的中した。

「なんだそれ?」

 即答だったそうだ。
 仕方なく神奈さんに相談する。

「……なんでそうなったのか私にも分からないんだ。すまん……」

 そう言っていたそうだ。
 後日学と神奈さんに叱られたそうだ。
 水奈って大卒だったよね……

「そう考えると私はまだましなのかな?茉莉達と優奈達が同じ年だったらと思うとぞっとするわ」

 桜子先生がそう言って頭を抱える。
 私のクラスは別に何の問題もない。
 とてもいい子達ばかり。
 山本恭一君も率先してクラスをけん引している。
 1年生ながらにして素晴らしいリーダーシップを発揮していた。
 これも片桐家の恩恵なんだろうか?
 すると男性教師が職員室に入って来た。

「中山先生と水島先生大変です」
「何があったんですか?」

 今度はリベリオンが問題を起こした。
 家に帰ろうとする恭一君達を勧誘するリベリオンの上級生。
 皆を庇うように先頭に立って反抗する恭一君。
 じゃあ、私の担当なんじゃないか?
 そこからが事件だった。
 それを見つけた茉莉達と優奈達が介入する。

「結莉と結は!?」

 桜子先生が叫んだ。
 まず優先する事はそれだ。
 あの2人が手を出したら大惨事になる。
 校長のクビくらい軽く飛ぶ事態になりかねない。
 幸いやっぱり茉莉達が「結莉と結はそこから動くな!」と言って止めてるらしい。
 それでもあまり長い時間放ってはおけない。
 おやつの時間が遅れたからと言って校舎を破壊しかねない2人だ。
 桜子先輩たちは職員室を出る。
 すると桜子先輩が立ち止まってこっちを見た。

「子供の教育と亭主の体調管理。両方大事だけど今の瞳子はもっと大事にするべき事があるんじゃないの?」
「……気づいたんですか?」
「瞳子の何倍も主婦をやってきたんだよ」

 同じように何倍も若い主婦を見て来た。
 さすがだなと思った。
 もしかして愛莉さんも気づいているんだろうか。
 その日の残務を済ませて家に帰る。
 帰るついでに愛莉さんに連絡をして、スーパーで買い物をする。

「ただいま~」
「おかえりなさい。今日何か学校であったの?」
「え?」
「神奈と亜依が悩んでいたから」

 なるほどね。
 愛莉さんに事件を報告する。

「天音も問題だけどもっと問題があったのね」

 愛莉さんも苦笑していた。

「あ、瞳子。お勤めご苦労さん」

 リビングのソファーで横になってテレビを見ている冬吾さんが言った。
 そんな冬吾さんを見てから愛莉さんに相談があるという。

「どうしたの?」

 愛莉さんがそう聞くと私は桜子先輩と相談した内容を伝えた。
 すると愛莉さんはため息を吐いた。

「瞳子にいいことを教えてあげます。それは考えるだけ無駄です」

 どれだけ暴飲暴食して今の冬吾さんのようにダラダラしていても絶対に体調を崩したりしない。
 片桐家の特徴だと愛莉さんは説明した。

「冬夜さんもそうだったの」

 どれだけ栄養管理をしても前祝いと言って焼肉を食いまくる。
 しっかり見ておかないと生でも食べようとする。
 とどめにどれだけ叱っても自転車通学の消費カロリーなんてばかばかしくなるくらいラーメンなどを食べまくる。
 それでも体形が崩れないのが不思議で仕方ない。
 逆に付き合っている愛莉さんの体形が崩れたらしい。
 そんな事で落ち込んでいても全く気にしないのが片桐家。

「冬吾さんは調整したりしないの?」

 私が聞くと冬吾さんは不思議そうに言った。

「ちゃんとしっかり食べておかないと試合中にエンプティになるよ?」

 化け物染みたスペックを持っているから燃費も悪いのだろうか?

「少しは瞳子の言う事も聞いてあげなさい!お嫁さんを困らせてはいけません」

 愛莉さんが言うとやはり不思議そうに答える冬吾さん。

「父さんが言ってたよ。困らせるくらい甘えるくらいでちょうどいいって」

 そんな事を冬吾君が言うとタイミングよく冬夜さんが帰って来た。
 愛莉さんが冬夜さんを睨みつける。

「あれ?愛莉どうしたの?」
「冬夜さんは息子に何を教えたのですか!」

 愛莉さんの小言を聞きながら手際よく対応する冬夜さん。
 やっぱり長い間夫婦やってると違うんだな。
 食事の後に風呂に入ると愛莉さんと家事を変わろうとする。

「瞳子。これからしばらく安静にしなさい。家事はしなくていいから」
「え?」
「桜子にも言われたのでしょ?私ももしやとは思ってたんだけど……」
「やっぱり気づかれてました?」
「私だって冬吾達を産んできたのですよ」

 愛莉さんはそう言っていた。

「その事は冬吾さんにはまだ……」
「ええ、瞳子から言うべき事だと思うから。ただ病院は早めに受けておきなさい」
「はい、わかりました」

 そう言って部屋に入ると冬吾君はゲームをしている。
 そういう時にどうすればいいか愛莉さんから聞いていた。
 後ろから抱き着いてコントローラーを取り上げる。

「私だって仕事で疲れてるんだから相手してよ」
「分かってるよ。でもさ、最近様子がおかしい気がしたんだけど?」
 
 冬吾君でも気づいたみたいだ。

「その話もう少し待ってくれない?」
「なにかまずいの?」
「うーん、ちょっと今は言えない。結婚式の時に伝えるじゃダメ?」
「瞳子がそう言うならいいよ」

 冬吾君も気づいてしまったのだろうか?
 私達の物語はまだ始まったばかりだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...