446 / 535
Timing
しおりを挟む
(1)
「誠司、少し速度落とした方がいいんじゃない?」
パオラが聞いていた。
日本の道路は狭いうえにカーブが多い。
挙句に燃費をうたい文句にしている車が燃費なんて全く考えないくらいに飛ばしている。
法定速度を守って走行すると煽られる。
もちろんそんな真似したら返り討ちにしてやるけど。
「お前は自分の立場を考えろ!そんな真似したらマスコミに叩かれるだけだろうが!」
母さんにそう怒られたことがある。
「そんなの恵美さんがもみ消してくれるよ」
俺と冬吾は既にテレビに出たりすることがあるのでUSEと契約をしておいた。
面倒な事は全部大地達が請け負ってくれる。
「誠もそうだった。お前誰を乗せて運転してるのか少しは考えろ」
「俺は事故らないよ」
事故った奴は”ハードラックとダンス”っちまっただけ。
さらに怒られたのは言うまでもない。
「冬吾達ついてこれてないよ?」
冬吾達はやけにゆっくり走る。
いつもそうだ。
だけど不思議と信号で止まっていると冬吾の車がいつの間にか後ろにいる。
目的地について車を降りると冬吾に聞いている。
すると冬吾が言ってた。
「そういう風になってるんだって父さんが言ってたんだ」
どんなに飛ばそうと法定速度を守っていようと信号のタイミングがあるから実はそんなに差がつかない。
冬吾は信号のタイミングに合わせて走ってるだけだという。
片桐家の子供はみんなそうらしい。
空達も同じだったそうだ。
もっとも飛ばすという事を前提に走り出すと誰もついてこれないらしい。
それは冬吾の父さんがそうだから。
その恐ろしさは天音が一言で表現していたと姉さんから聞いていた。
「死ぬほど怖いぞ」
あの天音ですら二度と峠で走ろうなんて気が起きないくらいの速度でダウンヒルするらしい。
もちろん天音にだってある程度の能力はある。
だから余計に怖いんだそうだ。
天音の限界を完全に無視した狂気の速度で山道を降りていく。
あの天音が恐怖のあまりに泣いて叫んだそうだ。
だから父親は叱ったりしない。
「茜のチューニングも見事だね。これなら安心だ」
そんな事を言った。
ずっとAT車で走ってた父親がMTのスポーツ車に乗っても慣れている自分が有利だろう。
そう思って父親が持ちかけた勝負を受けてそしてその自信をズタボロにされた。
天音では自分の父親の領域には絶対に踏み込めない。
そう思って峠で遊ぶのをやめたらしい。
茜や冬莉も同じなんだそうだ。
自分たちは女性で彼氏がいる。
だったら運転なんて彼氏任せでいいだろう。
そんな考えを片桐家の娘は持つそうだ。
翼にいたっては母親の愛莉さんに似たらしい。
「私以外の女性を助手席に乗せたらダメ!」
善明にそう注意してるらしい。
空の能力も父親に負けず劣らずらしい。
遊や天が馬鹿みたいにスピードを出すからその対策で「空に運転してもらえ」と天音が言った。
すると最初はのんびりしていた空だったけど山に登りだした途端に速度を上げる。
2人の方が絶対速いと思ってた自信は根底から覆された。
止めに帰る際「この車の限界近くまでやってみるね」と空が言って恐怖したらしい。
何をさせても空には敵わない。
唯一冬吾が勝てるのはサッカーだけだと言っていた。
球技が苦手とかどうでもいいくらいに思える空。
「まあ、ここで話していてもしょうがないしとりあえず回ろうよ」
瞳子が言うので子供達を連れて昭和の町を散策することにした。
とはいえ、生まれる前の景観を楽しめと言われても何が楽しいのか分からない。
しかし瞳子とパオラは様々なものを眺めてはスマホで写真を撮っていた。
雪も同じだ。
カブトムシなどを見ては瞳子に訴える。
それを察した瞳子がカブトムシを撮る。
誠司郎はしっかりと俺が手を繋いでいる。
誠司郎を放っておくと一人であちこち歩き回る頃になったから。
雪にいたって瞳子に甘えていたいのか瞳子と手をつなぐ。
すると何かに気づいた瞳子が結を見る。
「雪、ちゃんと前を向いて歩きなさい」
どういう意味だろう?
俺はパオラを見る。
パオラは知っているようだった。
頻繁に瞳子と連絡をしてるそうだから。
雪は文字通りうつむいたまま歩いていた。
文字通り前を向いてないと危ないから。
しかし雪はそんなレベルじゃなかった。
雪の前に立ちふさがる物は誰だろうと道を譲る。
どういう理屈なのかは分からないけど。
冬吾もサッカーをし始めた頃は同じことをしていた。
周りの状況はなんとなくわかるからと足元のボールを見ていた。
「あの子の前に立ちふさがることが出来る存在は瞳子くらいなんだ」
冬吾もそう言って笑っていた。
迷路があったので子供と一緒に道を探している。
「雪、どっちかな?」
瞳子が聞くと迷わず雪は進んでいく。
雪の中では迷路の構造が把握できてるらしい。
「この先クイズもあるみたいだから先に行こう?」
瞳子がそう言うので俺達は黙ってついて行った。
すると問題の所で雪が待っていた。
背が低すぎて問題を見ることが出来ないから。
まだ文字は読めないと思っていた。
瞳子の顔を見ている。
昭和時代のレトロなクイズ。
こんなの分かるわけないと思ったら結が突然選択肢の一つを選びだした。
まさか文字が分かるのか?
「ずっとテレビを見ていたから」
絵本を読んだりもしていたと思ったら大人向けの雑誌を読むようになった。
すぐに小説や辞典を読むようになった。
実際に雪の示した通りの回答をすると全問正解してお菓子を景品にもらっていた。
それを黙々と食べる雪。
食事中に絶対に邪魔したらいけないと瞳子から聞いていた。
雪はまだ自分の感情をコントロールできていないんだろう。
実際食事中に話しかける誠司郎を露骨に嫌がっていた。
「なあ、冬吾」
「どうした?」
「どうして雪って、あそこまで誠司郎に対してあたりが強いんだ?」
どう考えても嫌っているだろ?
でも誠司郎が何か悪いことをしたというわけでもなさそうだし、どういう理由があるんだ?
しかし冬吾と瞳子に聞いても分からなかった。
ただ、冬吾もおかしいと思って父親に聞いたらしい。
すると父親は笑って答えたそうだ。
「あの子が特別だと思ったら大間違い。あれが正しい反応なんだ」
「え?」
「あの子は普通の女の子だよ」
普通ならそこで愛莉さんが何かしら父親に言うけど愛莉さんも笑っていた。
「母さんもそうだったの」
小さな子供なら当たり前の事だから気にしないでいい。
そのうち変化があるだろうから。
そう言って終わったらしい。
もちろん瞳子にも分からなかった。
しかしパオラは違うみたいだった。
冬吾の父親の言葉で確信を得たらしい。
「結達を見ていたら日本人はそういう物なのだろうかと思ったけどやっぱり子供はそうだったんだね」
「パオラ、どういう意味?」
俺がパオラに聞くとパオラは笑った。
「誠司も小さい時からモテたでしょ?」
「誠司君は小さい時から運動神経はいいし、この見た目だからそれはモテたみたいだよ」
瞳子がそう言って笑っていた。
「それが何か関係あるのか?」
「冬吾や誠司では多分雪の気持ちは分からないと思う」
「パオラには分かるのか?」
「ええ、私にもそういう時期があったから」
だけどそれは雪の前で言う事じゃない。
だから言えない。
パオラはそう言った。
俺と冬吾は悩んでいた。
雪は何を考えているんだろう?
(2)
昼くらいになると昼食にしようと誠司が言い出した。
確かにお腹が空いたけどいくつか問題がある。
まずどこで食べるか。
昭和の町というくらいの観光地。
何を食べても高い。
それに父さんが言っていた。
「クジラの肉が入ったチャーハンだけは止めておきなさい。すごくまずいんだ」
「冬夜さんはどうしてそういう風に好き嫌いを子供に勧めるんですか!」
「愛莉だって一緒に食べに行った時値段の割には微妙だって言ってたじゃないか」
「……うぅ」
「で、どこで食べるのが良いと思うの?」
僕が聞いてみた。
「一度街を離れて国道沿いにファミレスがあるからそこがいいかもしれない」
子供もいるしちょうどいいだろう。
「じゃ、それでいいじゃん?俺達はどこでもいいぞ」
「誠司ならそう言うと思ったんだけど問題はもう一つあるんだ」
それはお土産。
多分父さん達の事だから食べ物でいいだろうけどまた一つ父さんから注文があった。
「あそこの名物の納豆以外の物にしてくれると嬉しいんだけど」
「冬夜さんいい加減にしてください!大体冬夜さん納豆は好きじゃないですか!」
「それが違うんだよ愛莉」
「何が違うんですか?」
ここにある納豆は長持ちしない。
2週間くらいが限度だ。
納豆なのに痛む。
それに普通の納豆より少し大きい。
止めに味付けのたれが無い。
なるほど……。
「だったらいつも通り卵と醤油をかけたらいいじゃないですか!」
「愛莉、それなら納豆いらないだろ?普通にTKGでいいじゃないか」
納豆の粘りとあのたれの味が絶妙なのがいいんだ。
空はそれすら分からないくらい醤油をかけて食べてるらしいけど。
「冬夜さんは大人なのですよ!子供みたいな事言わないでください!」
「だから納豆以外にしてくれって言ってるだけじゃないか」
と、言うわけで何を買えばいいか悩んでる。
しかし瞳子はあっさりと解決策を考えていた。
「漬物か煎餅とかでいいんじゃないかな?」
「でも父さんおかずでご飯食べちゃうからあまり漬物食べないんだ」
僕が瞳子にそう言うと瞳子はくすっと笑っていた。
「自分の父親なのに気づいてないんだね。冬吾さんと一緒だよ」
「え?」
僕は漬物があるとおかずを先に食べて漬物と一緒にご飯を食べる。
父さんもおかずを食べてご飯が残ったらそうしてるらしい。
「で、煎餅は?」
「多分片桐家の子供ならではなんでしょうね」
雪もすでに生えている歯とあごの力で煎餅くらいなら噛み砕くらしい。
母さんはハラハラしながら見てるみたいだけど。
瞳子がそう言うので言う通りに買って昭和の町を出てファミレスに入る。
そこでも問題が起きた。
誠司郎を隣に座らせると雪が警戒する。
近づくな。
そう言わんばかりに嫌悪感を垂れ流していた。
昼ご飯を食べ終わるとそのまま家に帰って行った。
雪は部屋に戻ってスケッチブックに絵を描き始めた。
あの子はそのうち絵日記とか書きそうだな。
夕飯の時間になると部屋から出てきて自分の席に座る。
「今日はどうだった?」
父さんが聞くけど雪は何も答えなかった。
さすがにまずいと思って叱ろうとしたけど、父さんが「まあいいよ」と言って笑っていた。
夕食が済むと僕は雪をお風呂に入れる。
その時に雪になんとなく聞いてみた。
「なんで雪は誠司郎に冷たいの?」
あんなに優しい男の子は滅多にいないよ。
しかし雪からは全く想定外の返事が返って来た。
「だからだよ」
雪の言葉の意味を全く理解できなかった。
「どうして?雪に何かしたわけじゃないだろ?」
「理由なんかない」
父さんは僕の考えてる事を手に取るように把握していたけど、僕は雪の気持ちが分からなかった。
僕は父親失格なのだろうか?
風呂から出ると、2人は部屋に戻る。
父さんとリビングで今日の話とお風呂での出来事を話していた。
すると父さんは笑った。
「多分そうだと思ったよ」
父さんは知っていた?
でもそれなのに雪を自由にしている。
人を憎むのはいけないことじゃないのか?
瞳子にもさすがに理解できなかったらしくて、瞳子が説明をしてもらおうとお願いしていた。
すると母さんも加わった。
「冬夜さん。これは教えない方が良いのでしょうね」
「そうだね。2人の親としての最初の試練にちょうどいいかもしれない」
2人で悩んで雪の真意を解いてみせろ。
父さんはそう言っていた。
でも何もしてない誠司郎を嫌う理由なんてどうやって探せと言うんだ。
「言っておくけど雪に聞いても無駄だからね。雪が結みたいな性格なら素直に言うだろうけど」
「あの……私の育て方が悪かったのでしょうか?」
瞳子が不安そうに聞いていた。
あまりにも歪んでいる性格は瞳子が原因なのかもと思ったのだろう。
だけど母さんが瞳子に注意する。
「それ、絶対に雪の前で言ってはいけません。お手本となる瞳子が悩めば雪は何を頼るの?」
「ですが……」
不安になっている瞳子を放っておくと仕事にも支障が出るかもしれない。
そう判断した父さんが一言言った。
「だめだよ、瞳子。もっと自分の事を思い出してごらん」
「え?」
「……瞳子は幼稚園の時から冬吾と一緒だったね?」
「はい」
「それがヒント。瞳子と冬吾が交際を始めたきっかけは?」
まだわからないならもう少しヒントをあげる。
「何が異常だと決めつけるならむしろ誠司郎が異常なんだ」
雪は凄く普通に育っている。
だから雪の心配をする必要はない。
「他人を嫌う事が普通なの?」
「冬吾、もう少し自分の娘の事を知ってあげないと可哀そうだよ」
雪は僕の娘。
だから女親の瞳子がもっと雪を理解してあげないといけない。
子供は正直だ。
だけど子供だからこその未熟な感情がある。
それが何かを気づいてやるのが父親だろ?
「冬吾と瞳子は雪は何もしなくても自分で何でもするようになった。そう思ってるでしょ」
「やっぱりダメでしたか?」
「ある意味ダメだね。雪を観察することを忘れている」
雪が普段何を考え、どんなことに興味を持って、何を見ているかをよく観察してみるといい。
だけど瞳子も教師の仕事があるから二人を見る時かない。
でも、少しだけ雪の事を見ていたらすぐに気づくはず。
普通ならね。
ただ二人にはまだよく分かってない物がある。
だから雪の行動が不思議に思うんだろう。
「それはなんですか?」
瞳子が聞くと父さんは笑顔で答えた。
「女の子の純情」
それは冬吾や誠司でも絶対にわからないごく普通の感情。
「愛莉さんには分かるのですか?」
「ええ、瞳子もそうだったじゃないですか」
あの子には一つ欠けている物がある。
だけどそれは異常なことじゃない。
むしろそれが当たり前の年頃なんだ。
あの子の心は決して歪んでなんかいない。
むしろとても綺麗な感情なんだ。
それを親である僕達が見守ってあげないとダメだよ。
「ヒントはこのくらいでいいのでしょうか?」
「そうだね。もう少し2人で考える時間が必要かもしれない」
先に寝るよ。
後は戸締りと電気確認して寝なさい。
そう言って両親は部屋に戻って行った。
「冬吾さんは何か手がかり無いですか?」
「うーん、僕は確かに人の心を理解しちゃうから」
娘の心が分からないのがショックだけど。
誠司なら何か思う所があるかもしれない。
グルチャでみんなに聞いてみた。
「それ、母さんも言ってた」
誠司が答えた。
女の子にもいろんなタイプがあるんだ。
雪もそのタイプの一つに過ぎない。
それでも勇気を出した奴にだけ恋人を得る資格がある。
だからほっとけ。
「私も愛莉に賛成だな。雪をもっと信じてやれ。あいつは絶対に性格がねじれているわけじゃない」
天音がそう言っていた。
「そういや、梨々香もそんな感じだったね」
「まあ、そうだね。私も焦ってたから」
純也と梨々香も言っている。
「雪は私や天音と全く違うタイプなんだ。それでもいつか変わる時が来るよ」
水奈が言うとパオラが「私の娘なのにどうしてそうなるんですか?」と笑っていた。
「パパが2人で考えろって言ったんでしょ?じゃあ、私は何も言えない」
翼はそう言っていた。
多分、今までの片桐家の娘では雪のような性格は絶対にいなかった。
ましてやまだ1歳。
そんなに気にする事でもない。
時期が来ればいつか変化が現れる。
やっぱり父さん達と同じ事を言っている。
僕達はさっぱり分からなかった。
ただ、翼の息子の結が言っていた。
「雪はきっと諦めてる」
どういう事?
私達は自分の子供の持つ感情に気づくことが出来ないまま。
その行動を見守る事しかできなかった。
「誠司、少し速度落とした方がいいんじゃない?」
パオラが聞いていた。
日本の道路は狭いうえにカーブが多い。
挙句に燃費をうたい文句にしている車が燃費なんて全く考えないくらいに飛ばしている。
法定速度を守って走行すると煽られる。
もちろんそんな真似したら返り討ちにしてやるけど。
「お前は自分の立場を考えろ!そんな真似したらマスコミに叩かれるだけだろうが!」
母さんにそう怒られたことがある。
「そんなの恵美さんがもみ消してくれるよ」
俺と冬吾は既にテレビに出たりすることがあるのでUSEと契約をしておいた。
面倒な事は全部大地達が請け負ってくれる。
「誠もそうだった。お前誰を乗せて運転してるのか少しは考えろ」
「俺は事故らないよ」
事故った奴は”ハードラックとダンス”っちまっただけ。
さらに怒られたのは言うまでもない。
「冬吾達ついてこれてないよ?」
冬吾達はやけにゆっくり走る。
いつもそうだ。
だけど不思議と信号で止まっていると冬吾の車がいつの間にか後ろにいる。
目的地について車を降りると冬吾に聞いている。
すると冬吾が言ってた。
「そういう風になってるんだって父さんが言ってたんだ」
どんなに飛ばそうと法定速度を守っていようと信号のタイミングがあるから実はそんなに差がつかない。
冬吾は信号のタイミングに合わせて走ってるだけだという。
片桐家の子供はみんなそうらしい。
空達も同じだったそうだ。
もっとも飛ばすという事を前提に走り出すと誰もついてこれないらしい。
それは冬吾の父さんがそうだから。
その恐ろしさは天音が一言で表現していたと姉さんから聞いていた。
「死ぬほど怖いぞ」
あの天音ですら二度と峠で走ろうなんて気が起きないくらいの速度でダウンヒルするらしい。
もちろん天音にだってある程度の能力はある。
だから余計に怖いんだそうだ。
天音の限界を完全に無視した狂気の速度で山道を降りていく。
あの天音が恐怖のあまりに泣いて叫んだそうだ。
だから父親は叱ったりしない。
「茜のチューニングも見事だね。これなら安心だ」
そんな事を言った。
ずっとAT車で走ってた父親がMTのスポーツ車に乗っても慣れている自分が有利だろう。
そう思って父親が持ちかけた勝負を受けてそしてその自信をズタボロにされた。
天音では自分の父親の領域には絶対に踏み込めない。
そう思って峠で遊ぶのをやめたらしい。
茜や冬莉も同じなんだそうだ。
自分たちは女性で彼氏がいる。
だったら運転なんて彼氏任せでいいだろう。
そんな考えを片桐家の娘は持つそうだ。
翼にいたっては母親の愛莉さんに似たらしい。
「私以外の女性を助手席に乗せたらダメ!」
善明にそう注意してるらしい。
空の能力も父親に負けず劣らずらしい。
遊や天が馬鹿みたいにスピードを出すからその対策で「空に運転してもらえ」と天音が言った。
すると最初はのんびりしていた空だったけど山に登りだした途端に速度を上げる。
2人の方が絶対速いと思ってた自信は根底から覆された。
止めに帰る際「この車の限界近くまでやってみるね」と空が言って恐怖したらしい。
何をさせても空には敵わない。
唯一冬吾が勝てるのはサッカーだけだと言っていた。
球技が苦手とかどうでもいいくらいに思える空。
「まあ、ここで話していてもしょうがないしとりあえず回ろうよ」
瞳子が言うので子供達を連れて昭和の町を散策することにした。
とはいえ、生まれる前の景観を楽しめと言われても何が楽しいのか分からない。
しかし瞳子とパオラは様々なものを眺めてはスマホで写真を撮っていた。
雪も同じだ。
カブトムシなどを見ては瞳子に訴える。
それを察した瞳子がカブトムシを撮る。
誠司郎はしっかりと俺が手を繋いでいる。
誠司郎を放っておくと一人であちこち歩き回る頃になったから。
雪にいたって瞳子に甘えていたいのか瞳子と手をつなぐ。
すると何かに気づいた瞳子が結を見る。
「雪、ちゃんと前を向いて歩きなさい」
どういう意味だろう?
俺はパオラを見る。
パオラは知っているようだった。
頻繁に瞳子と連絡をしてるそうだから。
雪は文字通りうつむいたまま歩いていた。
文字通り前を向いてないと危ないから。
しかし雪はそんなレベルじゃなかった。
雪の前に立ちふさがる物は誰だろうと道を譲る。
どういう理屈なのかは分からないけど。
冬吾もサッカーをし始めた頃は同じことをしていた。
周りの状況はなんとなくわかるからと足元のボールを見ていた。
「あの子の前に立ちふさがることが出来る存在は瞳子くらいなんだ」
冬吾もそう言って笑っていた。
迷路があったので子供と一緒に道を探している。
「雪、どっちかな?」
瞳子が聞くと迷わず雪は進んでいく。
雪の中では迷路の構造が把握できてるらしい。
「この先クイズもあるみたいだから先に行こう?」
瞳子がそう言うので俺達は黙ってついて行った。
すると問題の所で雪が待っていた。
背が低すぎて問題を見ることが出来ないから。
まだ文字は読めないと思っていた。
瞳子の顔を見ている。
昭和時代のレトロなクイズ。
こんなの分かるわけないと思ったら結が突然選択肢の一つを選びだした。
まさか文字が分かるのか?
「ずっとテレビを見ていたから」
絵本を読んだりもしていたと思ったら大人向けの雑誌を読むようになった。
すぐに小説や辞典を読むようになった。
実際に雪の示した通りの回答をすると全問正解してお菓子を景品にもらっていた。
それを黙々と食べる雪。
食事中に絶対に邪魔したらいけないと瞳子から聞いていた。
雪はまだ自分の感情をコントロールできていないんだろう。
実際食事中に話しかける誠司郎を露骨に嫌がっていた。
「なあ、冬吾」
「どうした?」
「どうして雪って、あそこまで誠司郎に対してあたりが強いんだ?」
どう考えても嫌っているだろ?
でも誠司郎が何か悪いことをしたというわけでもなさそうだし、どういう理由があるんだ?
しかし冬吾と瞳子に聞いても分からなかった。
ただ、冬吾もおかしいと思って父親に聞いたらしい。
すると父親は笑って答えたそうだ。
「あの子が特別だと思ったら大間違い。あれが正しい反応なんだ」
「え?」
「あの子は普通の女の子だよ」
普通ならそこで愛莉さんが何かしら父親に言うけど愛莉さんも笑っていた。
「母さんもそうだったの」
小さな子供なら当たり前の事だから気にしないでいい。
そのうち変化があるだろうから。
そう言って終わったらしい。
もちろん瞳子にも分からなかった。
しかしパオラは違うみたいだった。
冬吾の父親の言葉で確信を得たらしい。
「結達を見ていたら日本人はそういう物なのだろうかと思ったけどやっぱり子供はそうだったんだね」
「パオラ、どういう意味?」
俺がパオラに聞くとパオラは笑った。
「誠司も小さい時からモテたでしょ?」
「誠司君は小さい時から運動神経はいいし、この見た目だからそれはモテたみたいだよ」
瞳子がそう言って笑っていた。
「それが何か関係あるのか?」
「冬吾や誠司では多分雪の気持ちは分からないと思う」
「パオラには分かるのか?」
「ええ、私にもそういう時期があったから」
だけどそれは雪の前で言う事じゃない。
だから言えない。
パオラはそう言った。
俺と冬吾は悩んでいた。
雪は何を考えているんだろう?
(2)
昼くらいになると昼食にしようと誠司が言い出した。
確かにお腹が空いたけどいくつか問題がある。
まずどこで食べるか。
昭和の町というくらいの観光地。
何を食べても高い。
それに父さんが言っていた。
「クジラの肉が入ったチャーハンだけは止めておきなさい。すごくまずいんだ」
「冬夜さんはどうしてそういう風に好き嫌いを子供に勧めるんですか!」
「愛莉だって一緒に食べに行った時値段の割には微妙だって言ってたじゃないか」
「……うぅ」
「で、どこで食べるのが良いと思うの?」
僕が聞いてみた。
「一度街を離れて国道沿いにファミレスがあるからそこがいいかもしれない」
子供もいるしちょうどいいだろう。
「じゃ、それでいいじゃん?俺達はどこでもいいぞ」
「誠司ならそう言うと思ったんだけど問題はもう一つあるんだ」
それはお土産。
多分父さん達の事だから食べ物でいいだろうけどまた一つ父さんから注文があった。
「あそこの名物の納豆以外の物にしてくれると嬉しいんだけど」
「冬夜さんいい加減にしてください!大体冬夜さん納豆は好きじゃないですか!」
「それが違うんだよ愛莉」
「何が違うんですか?」
ここにある納豆は長持ちしない。
2週間くらいが限度だ。
納豆なのに痛む。
それに普通の納豆より少し大きい。
止めに味付けのたれが無い。
なるほど……。
「だったらいつも通り卵と醤油をかけたらいいじゃないですか!」
「愛莉、それなら納豆いらないだろ?普通にTKGでいいじゃないか」
納豆の粘りとあのたれの味が絶妙なのがいいんだ。
空はそれすら分からないくらい醤油をかけて食べてるらしいけど。
「冬夜さんは大人なのですよ!子供みたいな事言わないでください!」
「だから納豆以外にしてくれって言ってるだけじゃないか」
と、言うわけで何を買えばいいか悩んでる。
しかし瞳子はあっさりと解決策を考えていた。
「漬物か煎餅とかでいいんじゃないかな?」
「でも父さんおかずでご飯食べちゃうからあまり漬物食べないんだ」
僕が瞳子にそう言うと瞳子はくすっと笑っていた。
「自分の父親なのに気づいてないんだね。冬吾さんと一緒だよ」
「え?」
僕は漬物があるとおかずを先に食べて漬物と一緒にご飯を食べる。
父さんもおかずを食べてご飯が残ったらそうしてるらしい。
「で、煎餅は?」
「多分片桐家の子供ならではなんでしょうね」
雪もすでに生えている歯とあごの力で煎餅くらいなら噛み砕くらしい。
母さんはハラハラしながら見てるみたいだけど。
瞳子がそう言うので言う通りに買って昭和の町を出てファミレスに入る。
そこでも問題が起きた。
誠司郎を隣に座らせると雪が警戒する。
近づくな。
そう言わんばかりに嫌悪感を垂れ流していた。
昼ご飯を食べ終わるとそのまま家に帰って行った。
雪は部屋に戻ってスケッチブックに絵を描き始めた。
あの子はそのうち絵日記とか書きそうだな。
夕飯の時間になると部屋から出てきて自分の席に座る。
「今日はどうだった?」
父さんが聞くけど雪は何も答えなかった。
さすがにまずいと思って叱ろうとしたけど、父さんが「まあいいよ」と言って笑っていた。
夕食が済むと僕は雪をお風呂に入れる。
その時に雪になんとなく聞いてみた。
「なんで雪は誠司郎に冷たいの?」
あんなに優しい男の子は滅多にいないよ。
しかし雪からは全く想定外の返事が返って来た。
「だからだよ」
雪の言葉の意味を全く理解できなかった。
「どうして?雪に何かしたわけじゃないだろ?」
「理由なんかない」
父さんは僕の考えてる事を手に取るように把握していたけど、僕は雪の気持ちが分からなかった。
僕は父親失格なのだろうか?
風呂から出ると、2人は部屋に戻る。
父さんとリビングで今日の話とお風呂での出来事を話していた。
すると父さんは笑った。
「多分そうだと思ったよ」
父さんは知っていた?
でもそれなのに雪を自由にしている。
人を憎むのはいけないことじゃないのか?
瞳子にもさすがに理解できなかったらしくて、瞳子が説明をしてもらおうとお願いしていた。
すると母さんも加わった。
「冬夜さん。これは教えない方が良いのでしょうね」
「そうだね。2人の親としての最初の試練にちょうどいいかもしれない」
2人で悩んで雪の真意を解いてみせろ。
父さんはそう言っていた。
でも何もしてない誠司郎を嫌う理由なんてどうやって探せと言うんだ。
「言っておくけど雪に聞いても無駄だからね。雪が結みたいな性格なら素直に言うだろうけど」
「あの……私の育て方が悪かったのでしょうか?」
瞳子が不安そうに聞いていた。
あまりにも歪んでいる性格は瞳子が原因なのかもと思ったのだろう。
だけど母さんが瞳子に注意する。
「それ、絶対に雪の前で言ってはいけません。お手本となる瞳子が悩めば雪は何を頼るの?」
「ですが……」
不安になっている瞳子を放っておくと仕事にも支障が出るかもしれない。
そう判断した父さんが一言言った。
「だめだよ、瞳子。もっと自分の事を思い出してごらん」
「え?」
「……瞳子は幼稚園の時から冬吾と一緒だったね?」
「はい」
「それがヒント。瞳子と冬吾が交際を始めたきっかけは?」
まだわからないならもう少しヒントをあげる。
「何が異常だと決めつけるならむしろ誠司郎が異常なんだ」
雪は凄く普通に育っている。
だから雪の心配をする必要はない。
「他人を嫌う事が普通なの?」
「冬吾、もう少し自分の娘の事を知ってあげないと可哀そうだよ」
雪は僕の娘。
だから女親の瞳子がもっと雪を理解してあげないといけない。
子供は正直だ。
だけど子供だからこその未熟な感情がある。
それが何かを気づいてやるのが父親だろ?
「冬吾と瞳子は雪は何もしなくても自分で何でもするようになった。そう思ってるでしょ」
「やっぱりダメでしたか?」
「ある意味ダメだね。雪を観察することを忘れている」
雪が普段何を考え、どんなことに興味を持って、何を見ているかをよく観察してみるといい。
だけど瞳子も教師の仕事があるから二人を見る時かない。
でも、少しだけ雪の事を見ていたらすぐに気づくはず。
普通ならね。
ただ二人にはまだよく分かってない物がある。
だから雪の行動が不思議に思うんだろう。
「それはなんですか?」
瞳子が聞くと父さんは笑顔で答えた。
「女の子の純情」
それは冬吾や誠司でも絶対にわからないごく普通の感情。
「愛莉さんには分かるのですか?」
「ええ、瞳子もそうだったじゃないですか」
あの子には一つ欠けている物がある。
だけどそれは異常なことじゃない。
むしろそれが当たり前の年頃なんだ。
あの子の心は決して歪んでなんかいない。
むしろとても綺麗な感情なんだ。
それを親である僕達が見守ってあげないとダメだよ。
「ヒントはこのくらいでいいのでしょうか?」
「そうだね。もう少し2人で考える時間が必要かもしれない」
先に寝るよ。
後は戸締りと電気確認して寝なさい。
そう言って両親は部屋に戻って行った。
「冬吾さんは何か手がかり無いですか?」
「うーん、僕は確かに人の心を理解しちゃうから」
娘の心が分からないのがショックだけど。
誠司なら何か思う所があるかもしれない。
グルチャでみんなに聞いてみた。
「それ、母さんも言ってた」
誠司が答えた。
女の子にもいろんなタイプがあるんだ。
雪もそのタイプの一つに過ぎない。
それでも勇気を出した奴にだけ恋人を得る資格がある。
だからほっとけ。
「私も愛莉に賛成だな。雪をもっと信じてやれ。あいつは絶対に性格がねじれているわけじゃない」
天音がそう言っていた。
「そういや、梨々香もそんな感じだったね」
「まあ、そうだね。私も焦ってたから」
純也と梨々香も言っている。
「雪は私や天音と全く違うタイプなんだ。それでもいつか変わる時が来るよ」
水奈が言うとパオラが「私の娘なのにどうしてそうなるんですか?」と笑っていた。
「パパが2人で考えろって言ったんでしょ?じゃあ、私は何も言えない」
翼はそう言っていた。
多分、今までの片桐家の娘では雪のような性格は絶対にいなかった。
ましてやまだ1歳。
そんなに気にする事でもない。
時期が来ればいつか変化が現れる。
やっぱり父さん達と同じ事を言っている。
僕達はさっぱり分からなかった。
ただ、翼の息子の結が言っていた。
「雪はきっと諦めてる」
どういう事?
私達は自分の子供の持つ感情に気づくことが出来ないまま。
その行動を見守る事しかできなかった。
0
あなたにおすすめの小説
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる