姉妹チート

和希

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your addiction

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(1)

「何を娘に吹き込んでるんだ!お前は!」
「だって母さんだって似たようなもんだったじゃないか!?」

 カンナと水奈が言い争ってる。

「うぅ……」

 愛莉も悩んでるらしい。
 今日はお盆のキャンプに来ていた。
 BBQも終わって中学生くらいの子供達は瞳子とパオラの監視下で花火を楽しんでいる。
 カンナと水奈の喧嘩の原因は優奈だった。
 進路相談の日に事件は起きた。
 ほら、文系か理系か選ぶ時期だったらしい。
 で、優奈は平然と答えた。

「海翔と同じ大学でいいよ」

 海翔は地元大学に進むらしい。
 優奈にそこまでの学力があるのかも疑問だったけど、担任は別の疑問を持っていた。

「どうして石原君と同じ大学を選ぶの?」

 まともに考えたら、優奈の学力に応じた無理のない大学を選ばせようと思っていたのに優奈に進路希望があったことに驚いたらしい。
 しかしここで優奈が問題を起こす。

「どうせ、海翔と結婚するなら海翔と同じ大学でいいだろ?って水奈が言ってたの」
「……桐谷さん。もう少し自分の進路だからまじめに考えないと」
「うーん。じゃあ、高校卒業したら花嫁修業した方がいいのかな?」

 どうも優奈と話がかみ合わないので担任は水奈に相談したそうだ。

「まあ、なんとななるんじゃねーか?」

 水奈は他人事の様に答えた。
 当然そんな事が学にバレたら大変だから黙っていた。
 しかしそんなに甘くはない。
 終業式の日に学が優奈に通知票を見せるように言ったらしい。
 成績の事は学も察していたけど何か嫌な予感がしたらしい。
 悠翔と茉奈は普通に学に渡した。
 しかし優奈と愛菜は頑なに拒んだ。

「見せられない理由があるのか?」
「見せたら水奈が怒られる」

 誘導尋問でも何でもない。
 母親の事を心配していたみたいだ。

「と、いう事は水奈が関係しているんだな?」

 学がそう言ったら優奈は自分のミスに気づいたらしい。
 しかしそこで娘を叱る学じゃない。

「いいか?このまま優奈が教えてくれないと父さんは母さんから何があったのか聞くしかなくなってしまう」

 夫婦喧嘩してる両親を見たくないだろ?
 だから優奈に協力して欲しい。
 一体何があったのかを学に教えてくれ。
 それが問題なら水奈と相談する必要がある。

「……水奈は悪くないからね」

 そう言って優奈は部屋に通知票を取りに行った。
 その間に学は愛菜を見る。

「……愛菜も同じだ。見せてくれないか?」

 学は水奈と違って普段優奈や愛菜がどんな生活をしているのか知らない。
 それでは親としての責任を果たせないから正直に教えて欲しい。

「……分かった」

 愛菜も部屋に取りに行く。
 その間に水奈が学に言った。

「あ、あの2人が悪いわけじゃないんだ。多分結莉や茉莉も同じだし」
「ていう事はやはり何か隠していたんだな」

 水奈はもう笑ってごまかすしかなかった。
 2人が戻ってくると通知票を見せる。
 一言書かれていた。

 もう少し将来の事についてお子さんと真面目に考えてください。

「どういうことだ?水奈」
「あ、ああ。それはな……」

 で、水奈が白状した。
 もちろん学はその場で怒鳴りはしなかった。
 怒鳴っても意味が無いことくらい学だって分かってる。
 だからどうやって対処したらいいか考えた末話した。

「俺の記憶が正しかったらその意見はおかしくないか?水奈」
「なんでだ?」
「お前年の差があるからって違う大学行ったじゃないか?」
「……そう言えばそうだな」
「どうしてだ?思い出せないなら俺が覚えていることを話すけど」
「……なんだっけ?」

 水奈が言うと学が説明した。
 どうせ学と一緒になるのは間違いない。
 だから学生時代くらい自由に過ごしたい。
 学校は天音と一緒の方が楽しいだろうからそこの普通科で大学は目指す。
 大学はなんとなくやってみたい事があったからそれに必要な学科のある私立大学を目指した。
 しかし実際は違った。
 同棲はしたものの学の目を盗んで遊び放題で下手すると卒論まで学に書かせかねない事態になった。
 その時になずな達と話をしていたのを水奈から聞いて学が提案していた。

「お前が自分一人の力で卒業することが出来たら、もう結婚はしているんだから協力するよ」

 で、水奈は真面目に頑張って自分だけで卒論も作ってテストもクリアして卒業した。
 履修単位だけは学もチェックしたらしい。
 自分の父親が第2外国語の履修を忘れて半年留年したことを亜依さんから聞いていたから。
 で、問題はそこからだ。

「なんでそんな風に娘を唆すんだ!」
「断言する!私だけじゃない!結莉達だって同じだ!」

 どうせ働くつもりはない。
 大学卒業したら結婚して子供作るんだからどこでもいいなら一緒でいいじゃないか。
 水奈が説明すると愛莉が天音を睨む。

「ま、待て!私は違うぞ!!」

 結莉と茉莉はちゃんと自分の意思で地元大学を志望しているという。
 天音に相談すらなかったそうだ。

「でも天音は愛莉さんが言ってたって言ってたじゃないか!?」
「それは間違いないけど状況を考えろ!水奈はどうしてそうやって私をまきこむんだ!?」
「やっぱり天音の仕業じゃないですか!あなたこそもう少し子育てを考えなさい!」
「それはおかしいぞ愛莉!パパから聞いたぞ!」

 そういや僕が私立高校の入試の日に高熱を出して休んだら愛莉も一緒に入試を受けなかったことを話したな。
 カンナと一緒の高校が良いと地元最悪の三重野高校を志望しようとしたことも話した。
 その結果僕が不良になったと勘違いした愛莉パパ達から交際を止めなさいと言われて大ゲンカしたらしい。
 そして……

「うぅ……」

 愛莉が悩んでいる。
 普通に考えたら愛莉が反論できるわけがない。
 自分がやらかしたんだから。
 多分愛莉の血をもらったからだろう。
 翼も「善明と一緒にしとく」と言っていた。
 愛莉は天才的頭脳だけど偶にあほの子になる。

「愛莉ちゃんそれ本当なの?」

 恵美さんが驚いてた。

「……うん」

 すっかり落ち込んでしまっている愛莉。
 しょうがないな。

「優奈と愛菜は将来の夢はお嫁さんって事なんだろ?」
「うん!」
「だったらそれでいいんじゃないか?」
「え!?」

 愛莉が驚いて僕の顔を見ていた。

「ちょっと片桐君それはどうかと思うよ!」

 亜依さんが反論する。
 
「お前他人の娘だからって適当な事言ってんじゃないだろうな!?」

 カンナも同じようだ。

「でも別に私立大学に行くわけじゃないからいいだろ?」

 年の差があるわけでもないし。
 いずれ結婚して専業主婦になったならそれでいい。
 大学でやりたい事が出来たらそれでもいい。
 別れたとしても何か資格をとっておいたら活きてくるだろう。
 それに……。

「仮に優奈と愛菜が他の大学を選んだとすると違う問題が出てこないか?」
「違う問題?」
「そ、亜依さんもカンナもそれで苦労してたじゃないか?」

 それで結局引っ越して同棲して学生婚になったじゃないか。
 分かりやすく言うと桐谷君が良い例だろう。

「……なるほどね」

 2人とも納得したようだ。

「でもそれって一つ問題がありませんか?」

 大地が尋ねて来た。
 まあ、普通はそう思うよね。
 優奈と愛菜に地元大学に入るだけの力がるのか?

「カンナだってバイトしながら必死に勉強して受かったんだから大丈夫だろ?」
 
 そのくらいの事は高校入試の時に分かってるはず。

「しかし水奈の子だぞ?」
「もし血にこだわるとするなら……ちぃちゃんはどう説明するんだ?」
「あ……」
「まあ、ちぃは多田家の最高傑作だからな。俺もちゃんと色々教えたし」
「兄の言ってる事は昔から意味が分からなかった!」
「それはおかしいぞ!俺がちぃに教えたから翔が満足してたんじゃないのか?」

 なんでそうなるのか不思議だった。

「大丈夫だよ。神奈の娘なんだから」
「……そういや誠司。茉菜の成績はどうなんだ?」

 カンナも大変だな。 
 次から次へと問題が出てくる。
 それは愛莉も同じでいい加減にしてほしいと愚痴をこぼすくらい悩んでいるらしい。
 しかし茉奈は余裕があるようだ。
 ちょうど茉奈達が花火を終えて戻ってきたからカンナが茉奈に聞いていた。
 すると茉奈は得意気にパーをカンナに見せた。
 
「全部5だったよ!」
「まじか!?」

 学の方が驚いている。
 勉強だけじゃなく運動もこなす才色兼備な娘。
 休み時間も結といるだけでなく他の女子とも仲良くしてるそうだ。
 愛莉ですらそこまでなかった。
 優秀過ぎるが故にいじめの対象になっていた。
 だけど茉奈がそうだったとしても結が常に茉奈を見ている。
 茉奈に何かをしたら想像つくだろう。

「い、言っとくけど茉奈は桐谷家の人間だからな!」

 手を出すなら桐谷君が先だと言っている。
 桐谷君は親の前で何を言ってるんだろう?

「石原君。そんなに娘や孫娘の行為が気になるんだろうか?」
「それは僕も同感ですね。さすがに娘のそんな姿を見たくない」
「当たり前でしょ!娘だって親に見られたくないに決まってるでしょ!」

 石原君が言うと恵美さんに怒られていた。
 空は少し違う事を考えているようで美希を見ていた。

「どうしたの?空」
「そういや最近美希声出さなくなったなって」
「へ?」

 皆の視線が美希に向かう。

「ほら、中学生の時とか防音の部屋だからって言って遠慮なく声出して大丈夫なのか心配したくらいだったから……」

 ぽかっ!

「そういう話を今ここで言うのは止めて下さい!私だって自分の歳を考えてるの!」
「なんだ空。お前美希に飽きたのか?それなら私が変わってやろうか?」

 策者の気分一つで私が相手だったかもしれないんだぞ?と天音が空を誘っている。

「天音。そういう事を夫の側で言うのは止めて欲しいんだけど」
「お前がそういう事を言うならやることやれ!最近全然相手してくれないじゃないか!」
「なんですって!?大地!どういうつもりなの!?天音はあなたの家政婦じゃないのよ!」

 この話が続くと自分に飛び火してくるかと思った酒井君が話題を変えてきた。

「で、さっきのアドバイスにどういう意味があったんだい?」
「ああ、ちょっと確かめてみたかっただけ」
「そういや茉奈が他の男子の物になるかもみたいな言い方だったな」

 誠が言っていた。

「父親の学でも母親の水奈でもいい。茉奈が他の男子に好意を寄せたなんて事聞いたことあるか?」
「……それは無いですね。学校では別々に行動してるってのを初めて聞いたくらいだから」

 学校から帰ってもどちらかの家で過ごしている。
 休みの日は泊りで遊んでいる。
 だから水奈が部屋にカギをつけた。

「……で、お前は何を知りたかったんだ?冬夜」
「結の反応」
「誠は分からなかったのか?」
「あの、私にも分からないのですが……?」

 愛莉が言うと僕は笑顔で答えた。

「あの子は間違いなく茉奈を意識してるよ」
「なんでそうなるんだ」
「さっき明らかに感情を出したじゃないか?」

 自分と離れている時、茉奈は何をしているんだ?という不安。
 以前の茉奈を拒絶していた時から比べたら十分すぎるほどの進歩だ。

「あの子は僕の孫だ。恐ろしいくらい考えていることが分かる」

 茉奈は優秀な子だ。
 さぞ人気があるんだろう。
 だから誰かに取られちゃうかもしれない。
 そんな不安がはっきり見えた。
 そんな感情をどうでもいい女子に見せるか?

「つまり本音は……」

 愛莉が言うと頷いた。
 多分その通りだろう。
 誰にも取られたくないというのが本音だろう。
 もうあの子は無くせない物がない無力な子供じゃいられなくなった。

「そうならそうと教えてやったらいいのにお前も意地が悪い祖父だな」

 カンナがそう言って笑う。

「どうして冬夜さんの子供はそうやって卑下する男の子が多いのでしょう?」

 愛莉が首を傾げていた。

「それなのよね。どう考えてもインチキな能力持ってるのに不思議だわ」
  
 どうして自分より優秀な人間がいるなんて思えるのか分からない。
 片桐家の男の子に欠けるもの。それは自信。
 女の子は自信の塊みたいだけど。

「それは片桐家だけじゃなくて酒井家もなのよ……」

 晶さんが言う。

「じゃ、この先は女性だけにしてやって先に寝よう」
「どうしてですか?」
「娘の問題とか色々男親に聞かれたくない事あるだろうし」
「まあ、そう言う事なら僕達は朝がありますからね」

 石原君達はそう言って僕達と一緒にテントに戻った。

(2)

「茉奈、起きてくれないか?」

 俺の隣で寝ていた茉奈を起こした。
 多分まだ4時ごろだと思う。
 眠そうに茉奈が起きた。

「どうした?誠が男は朝が一番元気なんだってよく分からない事言っていたけど」

 茉奈の言っていることがさっぱり分からなかった。

「それ優翔にも聞いたのか?」
「うん、わからないみたいだった」
 
 だから神奈に聞いたらいつも通り誠が怒られていたのでなんとなく分かったらしい。

「そういうのだったら私は別にいいけど……でも違うんだよね?」

 どうした?と茉奈が聞くから答えた。

「ちょっと朝の散歩したいと思ってさ」

 俺一人で行ったら茉奈怒るだろ?
 だからとりあえず聞くだけ聞いてみようと思っただけと言った。

「どうする?まだ眠いって言うなら俺一人で行くけど」
「馬鹿だな。そういうお誘いなら行くに決まってるだろ!」

 ちょっと支度だけするから待って欲しいというので待った。
 寝巻で散歩は女の子的には嫌らしい。
 まあ、俺もいやだから着替えたけど。
 ああ、着替えるならあれだな。

「じゃあ、外で待ってるから準備出来たら出てくると良いよ」
「なんで外で待つの?」
「だって茉奈着替えるんだろ?」
「彼女の生着替えに興味ないの?」

 最近こういう風に茉奈が積極的で困ってる。
 まあ、どうしたらいいか父さんに聞いておいたけど。
 
「あのさ、茉奈が俺の想像通りに素敵な体つきをしていたとしたら」
「今更だろ?そんなの」

 今さら好みじゃないとか言わないよね?
 
「だからだよ。俺はもっと要求するかもしれない」
「すればいいじゃない」
「そういうのって茉奈だって見られたくないだろ?」
「まあ、恥ずかしいってのはあるかも……」

 とりあえず外で待ってるからと言って外に出るとじいじと望と善幸が朝早くから話していた。
 3人共仕事を息子に押し付けて悠々自適に過ごしている。
 じいじは俺を見て言った。

「どうしたの?」
「ちょっと散歩しようと思って」
「なるほどね。朝の散歩は気持ちいいよ」
「何でじいじ達はいつも朝早いんだ?」
「年寄りは朝早起きするようになるんだ」

 その代わり夜もさっさと寝ちゃうけどね。と笑っていた。

「でも僕達前からこうでしたよね」
「こうでもしないと晶ちゃん達が起きてしまうからね」
「そういう真似をしないでって何度言えば分かるの!?」

 望と善幸が振り返ると恵美と晶が立っていた。

「ぐっすり眠っていたから起こすのが可哀そうだと思ったんだけどね」
「あのね、善君達が今まで頑張ってきたからご苦労さんは分かるけど妻だって同じくらい頑張ったのよ」

 だから夫婦でゆっくりする時間が欲しいじゃないと晶が主張する。

「誠君達と全然違うのにどうして妻から隠れてこそこそするんですか?」
「酒井君の言う通り起こすのが可哀そうだと思ったんだよ」
「いけません。私達の話だって少しは聞いてほしいんです」

 愛莉と晶は現在進行形で悩んでいるらしい。
 暴れ回っている茉莉や菫だけど椿や冬華、潤子に比べたらまだましだ。
 その基準もどうかと思うけど。
 愛莉と晶の最大の頭痛の種らしい。
 厄介なのは母親の茜や冬莉、泉に直す気が無いらしい。

「彼氏でも出来たら変わるよ」

 3人共自分の過去を忘れたかのように口をそろえて言う。
 だから愛莉が反論する。

「では茜に聞きます。椿には彼氏がいるのに変わらないのはどうしてですか?」
「それ絶対に太一に言ったら駄目だからね。女の子的には知られたくないだろうし」
「そう思ってるのだったらどうして直そうとしないの!?」
「泉も同じよ。あれで彼氏できたらどうするの!?」
「さすがに彼氏と寝る年齢じゃないから大丈夫だよ」

 小学生で彼女と寝たがる変態を連れてきたら母さんが許さないでしょ?

「あなたそう言って年頃になってもどうせ寝る前にシャワー浴びるから問題ないってデートの前日すら入らなかったでしょ!」
「それを育人がいる所で話すのは止めてって言ったでしょ!」
「聞かれたくないならやめればいいでしょ!」

 そんな感じで女親も大変らしい。
 彼女と寝ている彼氏が変態なら俺は変態なんだろうか?
 するとじいじが言った。

「結は違うよ」
「なんで?」
「決まってるだろ?」

 俺はもう十分成長した。
 馬鹿な真似はしないと信用してる。
 
「結、お待たせ」

 茉奈がテントから出て来た。

「あら、茉奈も早いのね」
「結が誘ってくれたから」
「仲がいいのね」

 愛莉がそう言って笑っていた。
 色々聞かれたくないからさっさと散歩に出る。

「……で、何を悩んでるんだ?」

 茉奈は見抜いていたようだ。
 ウズメあたりが入れ知恵したか。
 全く困った二体だな。
 けれど茉奈も昨夜のやりとりをみて気づいていたらしい。

「そろそろ私の気持ちを考えて欲しいんだけどな」
「どういうことだ?」
「結は私が結以外の男子を選ぶと不安なんだろ?」

 図星だった。

「でもそれって自分の事ばかり気にしてて私の事全然考えてくれてないじゃないか?」
「なんで?」
「私は誰にでも好かれて人気のある結を誰かに奪われるんじゃないかといつも不安なんだ」

 茉奈は他の女子と話している時聞かれるそうだ。

「茉奈は結と付き合ってるの?」
「一応カレカノの関係だよ」
「ってことは結は茉奈が好きなの?」
「……そう言ってはくれた」
「茉奈は結が好きなの?」

 そう聞かれたらしいけど茉奈は即答したらしい。

「好きだよ」

 ただ茉奈も俺と同じなんだ。
 俺が茉奈以外の女子と付き合うかもしれない。
 そんな不安を抱えている。
 それを取り除けるのは俺のたった一言でいい。
 茉奈はそう言っていた。

「結局私達も雪達と一緒なの」

 お互いな事が不安なだけ。
 信じていると口にするのは容易い。
 だけどそれだけじゃ不安になるんだ。

「どうすればいい?」
「だから確かめ合うんじゃない」
 
 週一でも月一でもいいからデートに誘うとか、一緒に夜を過ごすとか、電話をしたりして好きなんだよって確かめ合うんだ。

「結も毎晩声を聞かせてくれるから安心してるよ」

 でもせめて教室で友達と話してるだけの時くらい信用して欲しいと茉奈が笑っていた。
 湖畔を一周してテントに戻ると誠が怒っていた。

「随分遅かったじゃないか?何してた?」
「散歩」
「どんだけゆっくりしていたんだ!?」
「誠。ここから反対側にちょうどいい木陰があるんだ。ひょっとしたら……いてぇ!」
「瑛大はいい加減にしろ!結がそんな真似するわけないだろ!」
 
 そんなやりとりを見ながら朝食をとっていた。
 家に帰って夕飯食べて茉奈とメッセージをしながら考えていた。
 俺は茉奈にどうしてやればいい。
 気づいたら茉奈の事ばかり考えている。
 俺は茉奈が好き。
 どんな嘘よりも酷い真実。
 逃げることはもう出来なかった。
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